「やっぱり梶井祥子には支援が必要なようだ」と題するエントリー、(上)(下)で完結させたつもりだった。しかし、それらの公開後にさらに展開があったので、その顛末を紹介する。「完結」と考えたのは、いささかせっかちだったようだ。
紹介する内容は、①「札幌市オンブズマン室」に送った照会メッセージの内容、②それに対する「オンブズマン事務局」からの返信の内容、③オンブズマン事務局からの返信へのお礼、④札幌市市民文化局男女共同参画室男女共同参画課に宛てた照会に対する回答へのお礼(兼今回の発意調査に対する感想)である。時系列としては、①を送信後に④を送信し、②の返信を受信後、③の返信へのお礼を送信している。
なお、オンブズマン室および男女共同参画課に対する照会は、2025年度に梶井祥子が実施した「札幌市における女性支援の現状について~困難女性支援法施行後の取組と課題~」と題する発意調査に関する事項である。
① 「札幌市オンブズマン室」宛の照会メール
まずは、「札幌市オンブズマン室」に宛ててwebの問い合わせフォームから送った内容である。
「件名:発意調査における「基本方針」および「支援調整課」についての照会
今般実施された札幌市オンブズマンの「札幌市における女性支援の現状について~困難女性支援法施行後の取組と課題~」と題する発意調査に関し、調査結果の市民向けた広報のあり方について苦情を申し立て、すでに調査しない旨の通知を受けたところではありますが、あらためて調査の内容につきまして、以下の3点について照会いたします。回答をよろしくお願いいたします。
(照会事項1)
「調査の目的」には、「厚生労働省社会・援護局地域福祉課女性支援室によれば、国の基本方針として、民間団体を支援のプロフェッショナルと位置づけています」(結果通知書2頁、活動状況報告書51頁)とある。
ア ここでいう「基本方針」とは困難女性支援法7条1項に基づいて定められた「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針」(令和5年3月29日・厚生労働省告示第111号)のことか。
イ 上記基本方針(厚生労働省告示)には「支援のプロフェッショナル」という記述はないが、「国の基本方針として、民間団体を支援のプロフェッショナルと位置づけて」いることを確認できる文書はあるか。あれば、当該文書の記載内容または当該文書を特定するために必要な情報。
(照会事項2)
「調査の目的」には、「困難女性支援法に示された基本方針を踏まえ、本市における困難な問題を抱える女性の支援の現状について調査を行ないます」(結果通知書2頁、活動状況報告書51頁)とある。
ア 「困難女性支援法に示された基本方針」とは具体的にどのような内容か。すなわち、同法は厚生労働大臣に基本方針を定めることを義務づけているものの、基本方針が「法に示された」わけではないのではないか(基本方針は「厚生労働省告示」である)。それとも、同法が「基本方針」そのものだということか。
(照会事項3)
上記発意調査は、「調査の趣旨」、「市の回答」および「オンブズマンの判断」、の3部から構成されているところ、「調査の趣旨」、「市の回答」のいずれにおいても、「支援調整課」についての言及がないにもかかわらず、「オンブズマン判断」において突然「支援調整課」についての言及がある。
ア 本件発意調査の担当オンブズマン梶井祥子は、どのようにして「支援調整課」を知りえたのか
イ 「調査の趣旨」および「市の回答」において「支援調整課」についての言及がないのはなぜか。」
・・・いずれの照会事項も、(下)で論じた梶井祥子は基本方針を確認しているのか、さらに、「ワンストップ・サービス」が必要不可欠と論じるならば札幌市の庁内連携についても調査事項とする必要があったのでないか、という当ブログ開設者の疑念に基づいている。
② 「オンブズマン事務局」からの返信
続いて、①の照会に対する返信である。オンブズマン本人からの回答がないことは折り込みずみであるが、事務局からの回答は「梶井祥子が基本方針を確認していない」という疑念を強めるものであると考えている(その理由は③で)。
「ホームページからのお問い合わせに対する回答について
令和8年9月13日付けでホームページからお問い合わせいただいた「発意調査における「基本方針」および「支援調整課」についての照会」につきまして、下記のとおり回答いたします。
記
オンブズマン調査に対する個別のご質問について、オンブズマンが回答することはありません。
なお、ご質問について事務局では分かりかねますが、厚生労働省社会・援護局地域福祉課女性支援室が作成した資料「女性支援における都道府県・市町村・民間団体の役割分担(基本方針より)」において、民間団体は「都道府県・市町村と対等な立場で協働し、互いの活動を補完しながら支援を行う存在」「民間団体←プロフェッショナル」と記載されております。
また、支援調整課を令和7年4月から全区へ設置することは、札幌市公式ホームページで公表されております。
③ 「オンブズマン事務局」からの返信へのお礼
以上の返信(②)に対し、当ブログ開設者が送信したお礼の内容が以下である。
「2026年9月18日付回答文書(札オ第615号)へのお礼
2026年9月18日付のオンブズマン事務局長名による回答文書(札オ第615号)を拝受いたしました。まずは、照会内容に関する資料2点についてご教示いただいたことにお礼申し上げます。
このうち、厚労省の資料「女性支援と障害福祉との連携について」については、発意調査の苦情等調査結果通知書記載の2026年6月5日よりものちの同月17日の日付が記載されており、梶井祥子オンブズマンが発意調査を実施するにあたり、この資料そのものを参照することができなかったことは明らかです。
しかしながら、同資料9頁記載の「女性支援における都道府県・市町村・民間団体の役割分担」のマトリクス図(民間団体について「支援のプロフェッショナル」という記載あり)は、従来、他の資料においても使用されてきているものと推察いたします。
頂戴した回答文書には直リンクの記載があるだけでしたが、このような記載の場合は、当該資料がどのような性格のものであるかわかりません。したがいまして、「札幌市公式ホームページで公表されております。」ということでご紹介いただきましたが、直リンクを張るだけでなく、市のwebサイトの階層構造をどのようにたどるとそのファイルを見ることができるか、明示する必要があると考えます。
その一方で、今回の回答が「札幌市のwebサイトにアップロードされた資料から確認できます」といった記述ならば、直リンクのみで階層構造の説明は不要になりますが、その場合には当該資料がどのような資料であるか不明となることは前述のとおりです。
なお、最後になりますが、今回の回答によっても、梶井祥子オンブズマンが「困難な問題を抱える女性への支援のための施策に関する基本的な方針」(令和5年3月29日・厚生労働省告示第111号)本文を確認していないのではないか、というわたくしの疑念を解消することはできませんでした。」
・・・当ブログ開設者が梶井祥子は「基本方針」を確認していないのではないかという疑念を抱く理由の一つが、本件発意調査の「調査目的」において、「厚生労働省社会・援護局地域福祉課女性支援室によれば、国の基本方針として、民間団体を支援のプロフェッショナルと位置づけています」という記述があるものの、「基本方針」本文にはプロフェッショナルという文言が用いられていないからである。
のみならず、「調査目的」には、「困難女性支援法に示された基本方針を踏まえ、本市における困難な問題を抱える女性の支援の現状について調査を行ないます」という記述もある。しかしながら、「困難女性支援法」が「基本方針」を示しているわけではない。同法はあくまで厚労大臣に「基本方針」を定めることと義務づけていることにすぎない(同法7条1項)。このことも、梶井祥子が「基本方針」を確認していないのではないかという疑念を抱かせるものである(また、苦情等調査結果通知書においても、同項は参照条文への記載がない)。
それが今般のオンブズマン事務局からの返信によって、厚労省の資料に「プロフェッショナル」の文言が用いられていることが明らかになった。これは大きな成果である。この点、オンブズマンの発意調査の苦情等調査結果通知書の日付(2026年6月5日)からすると、オンブズマン事務局から教示された厚労省資料(2026年6月17日)を参照することは不可能であるというおまけ付きである。
それにもかかわらず、当ブログ開設者がオンブズマン事務局あてのお礼において「従来、他の資料においても使用されてきているものと推察」するという紳士的な対応をした。それは、(下)において、「厚労省の女性支援室が『基本方針』の解釈として民間団体は『支援のプロフェッショナル』であるという見解を示しているということだろうか」という推測が、まさにそのとおりという手ごたえを得たからである(なお、当ブログ開設者がお礼メールにおいて「支援のプロフェッショナル」という記載あり、と書いたのは明らかな誤りである)。
結局のところ、厚労省資料の該当ページには、「女性支援における都道府県・市町村・民間団体の役割分担(基本方針より)」というタイトルが付されているが、そこにある「基本方針より」とは、基本方針に記載された内容をひとことで言うならば、都道府県が司令塔、市町村が最前線、民間団体が(支援の)プロフェッショナルという役割分担が図られる、といった趣旨、あるいは、「基本方針」においては、その前提として民間団体は(支援)のプロフェッショナルという位置づけである、といった趣旨と思われる。
以上の次第で、当ブログ開設者は、梶井祥子が「基本方針」を確認していれば、そこで市町村にはどのような役割を果たすことが期待されているかを把握したうえで、より適切な調査項目を立てることができた可能性があると考えている。
また、「支援調整課」の設置に関する文書(令和7年度定数・機構編成の概要)の記載内容も興味深い。そこには、「区支援調整課の全区展開 《 区)保健福祉部 》」について、「複合的な福祉課題等を抱えた市民に対する支援体制を強化するため、組織・分野横断的な調整を行う支援調整課を、試行導入していた4区から全区へ拡大」という記載がある。
これに対し、梶井祥子は本件発意調査のオンブズマン判断において、「本市では複合的な福祉課題を抱える要支援者に対応する組織横断的な支援を行うための「支援調整課」を令和7年4月から全区役所の保健福祉部内に設置しています」と記述するが、このような記述では、「試行導入」なしに全区でいっせいに支援調整課を設置したかのような「誤読」を招く可能性がある。
この点、(上)で紹介したように、当ブログ開設者から男女共同参画課に対して「支援調整課」を設置した日付と全区での設置にいたる経緯について照会したところ、同課の所管でないにもかかわらず、実に丁寧な回答を受けている。これは、オンブズマンが発意調査において適切に調査項目を立てていれば、同内容もしくはさらに詳細な市の回答を受けられたことを示唆していると思われる。しかしながら、梶井祥子がそうした調査項目を立てることがなかった要因の一つが、前述したように、「基本方針」を確認しなかったことにあると当ブログ開設者は考えている。
④ 「男女共同参画課」へのお礼
それでは最後に、男女共同参画課に宛てて送信したお礼のメッセージを紹介する。これまでの一連のやり取りを経た当ブログ開設者の「到達点」(の一つ)が示されていると考えている。
「札幌市市民文化局
男女共同参画室
男女共同参画課 御中
2回にわたる照会に対し、丁寧な回答をありがとうございました。2回目の照会への回答を頂戴した後、
(照会内容は、オンブズマンの発意調査の過程で「支援調整課」について説明を行った事実はあるか)困難女性支援法7条1項に基づき定められた「基本方針(以下、「基本方針」)」と、「第5次男女共同参画さっぽろプラン」を確認いたしました。
また、再度、今回の発意調査における「本市における女性支援施策について」も確認し、感じたことをお伝えしようと考えました。そこで、このメールを認めております。
まず、ひとくちに「困難女性に対する支援」といっても、①「女性ならでは」の事情によって困難に直面している当事者に対する支援、②なんらかの事情により「困難に直面している」女性に対する支援という、性格の異なる支援があるのだろうと感じました。
そのうえで、札幌市の男女共同参画室の所管はおもに①である一方で、②については、他の局の扱いになるところ、札幌市における庁内の連携をいかに行うかが、今後の課題なのだろうと感じた次第です。
それと申しますのも、まず、「基本方針」では、「市町村は、支援対象者にとって最も身近な、支援の端緒となる相談機能を果たすとともに、困難な問題を抱える女性の支援に必要となりうる児童福祉、母子福祉、障害者福祉、高齢者福祉、生活困窮者支援、生活保護等の制度の実施主体であり、支援の主体でもあることから、支援に必要な制度を所管する庁内関係部署はもとより、幅広い部署がそれぞれに主体性を発揮し、相互に連携の上、支援対象者が必要とする支援を包括的に提供する」と書いてあります。
その一方で、「男女共同参画さっぽろプラン」および今回の発意調査に列挙された「事業」や「支援策」は、上記①の支援に傾いている印象を受けました。
そして、それはおそらく男女共同参画室の所管がおもに①であることに由来するからであろうというのが、わたくしの感じたところです。
この点、子ども未来局が所管する「単親世帯」に対する支援は、「単親世帯」においては圧倒的にシングルマザーの割合が高いため、①の性格が強く、そのため、「男女共同参画さっぽろプラン」および今回の発意調査に列挙された「事業」や「支援策」に含まれる一方で、障害者や高齢者に対する支援のような、保健福祉局の所管については②の性格が強く、「女性ならでは」の事情による支援という①の性格が強くないため、そこから漏れたのだろうと推測しています。
なお、この点に関しては、保健福祉局においては、局内において制度横断的な支援を行うことを目的として、「支援調整課」を設置したという状況であると思われます。
以上、縷々述べてまいりましたが、必ずしも「女性ならでは」の性格が強くない施策は、男女共同参画室の視野に入りにくいかもしれないと感じたわけですが、これはあくまでも、わたくしの仮説です。
それでもなお、前述の①②の区分は、わたくしが今後、行政による困難女性に対する支援を考える上で、有効な区分になるだろうと考えております。
最後になりますが、今回の発意調査に接し、調査担当の梶井祥子は基本方針の内容を把握しているのか、疑問が残りました。
しかし、それでもなお、梶井祥子の目に何が見えていないかを考えることは、わたくし自身の理解を深めたと考えております。
以上の次第で、今般のわたくしの照会に対し、親切な回答を頂戴したことへのお礼を込めて、わたくしの所感をお伝えしようと考えました。このたびは、本当にありがとうございました。
追記
もし上記の内容に明らかな事実誤認があれば、その旨、ご指摘頂けると幸いです。」