上記の期間(2025年2月)に処理が完了したのは8件で、このうち4件で調査結果が通知された。また、残る4件のうち1件で調査しない旨が通知され、3件で苦情申立てが取り下げられた。
今回、公開を受けた案件においては、札幌市の「カスタマーハラスメント」対策の一端が垣間みえるのが興味深い(ただし、通知書を読了したあと味はよくない)。第2024-71号がそれであり、おそらく第2024-70号も同じ申立人からの苦情と思われる。
どちらの案件も担当オンブズマンは田村智幸で、オンブズマン判断において「本件においてオンブズマンが思うこと」と題し自己の見解を披露している。苦心の跡がしのばれるが、「市民の方々とやり取りをする際にも、『カスハラ』と縮めることなく、『カスタマーハラスメント』と正式名称を用いてお話する方が市民の誤解を招かないのではないか」という見解は疑問である。
むしろ、「カスハラ」であれ「カスタマーハラスメント」であれ、身に覚えのない市民にとっては「レッテル貼り」されることこそが、不満の原因になるだろうからである。ここで必要なことは、市民の具体的な態度が適切さに欠けるため、市職員の業務遂行に支障が生じているという説明であると当ブログ開設者は考えている(第2024-71号)。
次に、第2024-68号は、障害者施設で勤務する申立人が、当該施設においては法令で作成が義務づけられている「支援作成計画書」が作成されていない旨を市の担当部署に通報したにもかかわらず、適切な権限が行使されないという苦情である。
この案件の担当オンブズマンも田村智幸だが、同オンブズマンは「本件において、担当課に不備があったと認めることはできない」と判断する一方で、同オンブズマンは申立人の通報が「法令違反を指摘するものであり、決して優先順位は低くない」という見解も示している。
そうであるならば、オンブズマン判断が「不備があったと認めることはできない」というのは言い過ぎで、「迅速に対応できないやむを得ない事情があった」という程度に留めておくのが適切だったであろうと当ブログ解説者は考えている。
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①第2024-68号
申立人が勤務する福祉施設においては利用者の支援計画書が作成されいないことを所管部局に公益通報したにもかかわらず、適切な監督権限が行使されないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
②第2024-70号
申立人が私費を投じて排雪した自宅前に道路を除雪した際の雪を堆積することや、そのことについて市に連絡した際の職員の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
③第2024-71号
自宅前の雪山に道路の雪を堆積された件で担当部署の電話対応について苦情を伝えるため市民の声を聞く課を落とすれたが、その際、対応した職員に「カスハラ」と認定されたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
④第2024-76号
生活保護受給者がケースワーカーが事前連絡もなく家庭訪問するとともに、その際、受給者のプライバシーへの配慮もなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑤第2024-78号
福祉除雪の事業者が歩道部分に排雪していたため社会福祉協議会に苦情を申し立てたものの形式的な謝罪のみであったとして、業者への指導を求めて苦情が申し立てられたケース。苦情申し立て後社会福祉協議会から連絡があり解決したとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
⑥第2024-84号
自宅前を除雪していた除雪車が安全確認もせずに猛スピードでバックしていたとして区、苦情が申し立てられたケース。どこに連絡してよいかわからずオンブズマンに連絡したとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
⑦第2024-87号
オンブズマンの苦情等調査結果通知書が届いたが「市の回答」に事実に反する虚偽の回答があったため担当職員に問い合わせたところ、当該職員の対応が二転三転したとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンは再調査はできない等の説明をしたところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:梶井祥子)
⑧第2024-89号
申立人の給与の差し押さえをする旨市税事務所から連絡があった旨を勤務先会社からきいたが、市税事務所が事前に「第三者」に情報を提供することは守秘義務に違反するのではないかと主張して苦情が申し立てられたケース。申立人はすでに同旨の別件の苦情を申し立てているとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
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