2021/02/11

2020年12月に調査を終了したケース

2021年1月1日、2020年12月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、2021年2月3日付で一部公開決定がなされた。今回の請求分も2020年12月1日請求分と同様に、決定期間が延長されている。

上記の期間(2020年12月)に調査を終了したのは10件で、このうち7件で調査結果が通知された。また、残る3件のうち、1件は調査しない旨、1件は調査終了が通知され、1件は申立人の取り下げにより、調査が終了している。

今回の公開分にも、興味深い事案が複数あるため、以下、そのうちの3件を確認していく。

まず、第2020−41号である。この案件は、市のまちづくりセンターにチラシの配布・配架を要請した際の市の対応に関する苦情である。苦情が申し立てられたのち、市は対応の不備を認め、具体的に対処しており、申立人にとっては苦情を申し立てた成果があったと思われる案件である。

ところが、担当の原俊彦オンブズマンは、何を思ったか、申立人の苦情に対し、①「配架を断られ、突き返された」事実は確認できませんでした、とか、②「団体の貴重なガソリン代が無駄になる」ことはなかったものと思われます、というように、申立人の主張を否定する判断を行なっている。

当ブログ開設者は、原俊彦オンブズマンのこのような判断は、市の対応の当否に関する判断を何ら左右するものではないうえ、苦情の文言を額面通りにしか受け止めずに、徒に申立人の神経を逆撫でするものであると考えている

こうした判断がなされたのは、オンブズマンが、“申立人と市の主張のどちらが正しいか”を判断する必要がある、と考えているためなのかもしれないが、“市政の改善”を図るためには、市の対応の当否を判断すれば足りると思われる。そのため、この案件おける原俊彦オンブズマンの職務に取り組む姿勢には、大いに疑問を抱かざるを得ない。

もっとも、あえて申立人に対し挑発的な判断を示すことは、先日のエントリーで論じたように、市民の自主的・自律的な行動を促進する可能性を秘めている。だとすれば、原俊彦オンブズマンは、札幌市オンブズマンの新たな像を提示しているのかもしれない。

次に、第2020−55号である。この案件では、申立人は、札幌アイヌ協会の関係者による話し合いが市の会議室を利用してなされた際、その場に立ち会った市職員が録音したテープの提供を求めている。市は、オンブズマンに対し、「録音テープには個人情報が含まれていることから、申立人に公開することはできません」と回答するとともに、担当の房川樹芳オンブズマンは、市の回答を鵜呑みにする判断を行なっている。

しかしながら、録音テープに個人情報が含まれており、その個人情報が非公開情報に該当するとしても、札幌市情報公開条例8条1項は、「非公開情報に係る部分を容易に区分して除くことができるときは、当該非公開情報に係る部分以外の部分を公開しなければならない」と規定しているのであり、「録音テープに個人情報が含まれている」ことが、当然に公開しないことを正当化するわけではない(もちろん、録音データの場合には、紙ベースのデータの場合と異なり、非公開情報を「容易に区分して除くことができる」とは言い難い可能性はある)。

また、公文書公開請求は、決定に不服がある場合、審査請求や取り消し訴訟を行うことができるところ、この案件では、市もオンブズマンも、申立人に対し、この制度(公文書公開請求)を知らせていないのであり、「市民の知る権利」(札幌市情報公開条例1条)への配慮が不十分であると思われる。

最後に、第2020-57号である。この案件を担当した原俊彦オンブズマンは、当ブログ開設者が申し立てた苦情(第2020−20号)を担当したオンブズマンであるが、上記のエントリーで紹介したように、「札幌市オンブズマンは、ろくろく文章を書くこともままならない人物が利用する制度である」という発言を行った人物である(ただし、その後の照会に対し、オンブズマン事務局からはそうした発言を行なった事実はない、という回答を受けている)。

当ブログ開設者は、この第2020−57号の苦情申立書を見て、まさに原俊彦オンブズマンが適任であるという印象を抱いたが、それは、この案件の苦情申立書には、わずか1行にも満たない記述がなされるのみだったからである。もっとも、苦情等調査結果通知書に記載された”苦情申立の趣旨”には、詳しい事実関係についての記述もなされており、申立書の記述を埋め合わせるために、申立人からの聴き取りがなされたものと思われる。いずれにせよ、原俊彦オンブズマンの発言にしたがうならば、まさにこのような事例を担当することこそ、オンブズマンたる面目躍如であろう。

ところで、今回、全7件の苦情等調査結果通知書を掲載したうち、4件が原俊彦オンブズマンの担当である。原俊彦オンブズマンは、8月28日付の苦情等調査結果通知書(第2000−28号)を担当したのち、9、10、11月の3か月にわたり、調査結果を通知する案件を担当していなかった。”眠れるオンブズマン”も、ようやくお目覚めの時を迎えたようである。

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①第2020−41号
 市教委が後援する講習のチラシの配布・配架を市の施設に要請したところ、配架を拒否されたとして、その根拠の説明と謝罪を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

②第2020−43号
 水道工事に際しての歩道の誘導が不十分であるとともに、その後の市の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2020−48号
 生活保護受給者に賃貸していたアパートの所有者が、当該保護受給者の退去後に残された荷物を市が処分することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)


④第2020−51号
 不動産業者が取扱物件に隣接する公園のフェンスが倒れそうであるとして、市に対応を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2020−52号
 市が生活保護受給者に対し「通院移送費」が支給されるように適切な対応をしていないことや、保護変更申請に対し30日経過しても未だ決定がなされていないこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑥第2020−53号
 生活保護が廃止されことに対し、苦情が申し立てられたケース。申立人がオンブズマンと面談した際、新たな情報を提供するとともに、新たな苦情申立てとする旨の申し出があったために調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑦第2020−55号
 市民文化局市民生活部アイヌ施策課の会議室で行われた札幌アイヌ協会の関係者が出席した話し合いの模様を録音したテープの提供を求めるとともに、申立人が市議と接触したことについて市職員から論難されたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑧第2020−57号
 生活保護を廃止されたことや自動車を処分するよう指示されたこと等が不満であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑨第2020−59号
 生活保護受給者が入居する住宅の家主が入居者の家賃を市から代理納付を受けていたところ、退去日が延期されために市に家賃を請求したが本人に請求するようにという回答を受けたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑩第2020−60号
 札幌駅北口で行われている再開発事業に対し、市の補助金の支出を一時停止することを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人が利害を有さないとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:房川樹芳)

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