2018/04/25

平成30年3月に調査を終了したケース

平成30年4月1日、平成30年3月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、同年4月16日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(平成30年3月)に調査を終了した4件で、調査結果が通知されている。

①第29-71号
 過去、オンブズマンに苦情を申し立てた調査結果が申し立ての趣旨からかけ離れた的外れのものであることから、オンブズマン事務局に対し調査手法の改善を求めたが、オンブズマン事務局は積極的に改善しようとしないとして、そうしたオンブズマン事務局の対応及び調査手法の改善を求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 なお、オンブズマン事務局の対応については、当ブログ開設者も平成29年度に2件の苦情をオンブズマンに申し立て、すでに調査が終了している(第29-42号第29-72号)。この案件は、本ブログ開設者とは別の人物が申し立てたものである。

②第29−73号
 精神障害者保健福祉手帳の更新手続きをしたところ、申立人が手続きを行った区では「1か月半ほどかかる」として有効期間内に完了しなかったが、他の区では「1か月」で更新手続きが完了したという話も聞いており、申立人の区でも有効期間内に更新手続きが完了するようにしてほしいとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

③第29−74号
 個人の国民健康保険料の未納分を窓口で支払ったにもかかわらず、納付を督促されることに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

④第29−77号
 固定資産税を滞納している申立人が、1回ごとの支払額の減額及び担当職員の交代を求めるとともに、差し押さえを受けた際に車のミラーを破損されことを不満として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

 今回公開された結果通知書のうち、特に注目されるのが、①第29-71号である。それは、この調査においてオンブズマンは、オンブズマンによる調査手法に関する苦情について、自ら判断をしているものの、札幌市オンブズマン条例では、「オンブズマン・・・(中略)・・・の行為に関する事項」がオンブズマンの所轄事項から除外されており(同条例3条6号)、そのために、この調査におけるオンブズマンの判断がいかなる権限に基づくものであるのか、疑念を生じさせるからである。

 この点、この調査でオンブズマンが判断すべきであったのは、オンブズマンとオンブズマン事務局の関係性を明らかにした上で、オンブズマン事務局の対応の適否についてであったと、当ブログ開設者は考えている。

 すなわち、申立人は、オンブズマンによる調査手法を改善するようにオンブズマン事務局に求めているが、議会におけるオンブズマン事務局の職務に関する説明によると、オンブズマン事務局はオンブズマンを補佐する立場から、苦情申し立ての受け付けや事務手続に関することなどを行っているということである。したがって、オンブズマン事務局は、あくまでオンブズマンを「補佐」する立場にあり、オンブズマンに対し指揮監督する立場にはないのである。

 そうであるならば、申立人によるオンブズマンによる調査手法の改善要望が満たされなかったとしても、それはあくまで、「オンブズマンの行為」が改善されなかったことを意味するのである。「オンブズマンの行為」がオンブズマンの所轄事項とならないことは、前述した

 これに対し、オンブズマンの調査手法を改善することがオンブズマン事務局の業務であるならば、オンブズマンの所轄事項になるわけであるが、オンブズマン事務局がオンブズマンを指揮監督する立場にないことも、前述のとおりである。

 ところで、この調査の「市の回答」では、①「オンブズマン事務局がオンブズマンの調査・判断に直接関与することはでき」ないこと、②「本件申立人や他の利用者からいただくご意見・ご要望については、お伝えして」いることが、回答されている。オンブズマンの所轄事項(「市の機関の業務の執行に関する事項及び当該業務に関する職員の行為」(札幌市オンブズマン条例3条))を考慮するならば(ただし、「オンブズマンの行為」は除外されることは前述)、オンブズマンは、オンブズマン事務局の対応について判断すべきであった。

 以上のことから、オンブズマンとオンブズマン事務局の両者の関係性を意識することなく、オンブズマンによる調査手法について判断しているこの調査は、オンブズマンが自らの所轄事項を理解しないまま、調査を行ったというそしりを免れないであろう。

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