2018/07/27

札幌市オンブズマン苦情処理日数の状況(年度別・平成29年度まで)

平成30年7月に入り、札幌市オンブズマンの平成29年度活動状況報告書(リンク先はpdfファイル:3.2MB)が公表された。そこには、苦情処理日数の状況の表が掲載されているものの、日数の度数分布の区分が粗すぎるほか、当該年度の処理状況が掲載されているのみで、過去の処理状況との比較も困難である。そこで、オンブズマン事務局に各案件の処理日数のデータ提供を依頼し、以下の表及びグラフを作成した。

なお、以下の(表1)の「結果通知処理件数」とは、「苦情申立件数」のうち、オンブズマンが「苦情等調査結果通知」を発送し、調査を終了した案件の件数である(したがって、申立人による苦情の取り下げや、調査を実施しない旨の通知により調査を終了した案件は件数から除外される)。また、「処理日数」は原則として、苦情申し立てから「苦情等調査結果通知書」の発送までに要した日数である(申立人に苦情の内容を確認するために要した日数は算定から除外している模様)。

ところで、札幌市オンブズマンの制度が発足したのは、平成13年3月である。そのため、平成12年度に制度が運用されたのは、わずか1か月間となっていることから、この期間の処理状況は、便宜的に平成13年と合算することとした。したがって、制度発足当初の平成12/13年度に限り、13か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上した(以後の各年度は、当該年度の12か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上している。そのため、案件によっては、調査終了が翌年度となったものも存在している)。

なお、平成29年度における処理状況の顕著な特徴は、2年連続で10件単位で取り扱い件数が減少し、過去最低を記録したことである。また、平成23年度以来、6年ぶりに30日以内の処理率が40%を割ったことも見逃せない(制度発足以来の全期間を通算した30日以内の処理率も60%を割ることになった)。件数が減少しながら処理が遅滞する傾向が強まることは、「簡易迅速に苦情を処理する」という札幌市オンブズマンの制度目的に照らし、由々しき事態であるように思われる。

(表1)
 
苦情申立
件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成12/13年度
177
120
43.69
52.5%
平成14年度
111
88
31.14
65.9%
平成15年度
113
83
30.07
54.2%
平成16年度
93
74
30.78
63.5%
平成17年度
103
88
24.78
83.0%
平成18年度
115
92
25.32
92.4%
平成19年度
111
90
24.40
88.9%
平成20年度
117
108
32.45
73.1%
平成21年度
133
109
36.62
44.0%
平成22年度
130
109
34.79
49.5%
平成23年度
125
111
38.94
32.4%
平成24年度
135
110
29.16
71.8%
平成25年度
122
104
29.84
68.3%
平成26年度
129
107
33.45
51.4%
平成27年度
130
109
33.05
47.7%
平成28年度
100
88
35.36
45.5%
平成29年度
82
67
35.76
38.8%
全期間
通算
2026
1657
32.65
59.8%

また、以下の(表2)は、制度発足以来の処理日数の度数分布を取りまとめたものである。平成28年度は、処理日数の割合のピークが「21日~30日」であったのが、平成29年度は、「31日~45日」にシフトしているように、前年と比べて処理が遅滞化していることは明らかである。

(表2)
   
20日
以内
 21日〜
30日
 31日〜
45日
46日〜
60日
61日〜
90日
91日
以上
30日
以内
処理率
30日
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
12/13
年度
20
16.7%
43
35.8%
26
21.7%
10
8.3%
9
7.5%
12
10.0%
52.5%
47.5%
14
年度
20
22.7%
38
43.2%
17
19.3%
5
5.7%
7
8.0%
1
1.1%
65.9%
34.1%
15
年度
13
15.7%
32
38.6%
33
39.8%
5
6.0%
0
0.0%
0
0.0%
54.2%
45.8%
16
年度
7
9.5%
40
54.1%
21
28.4%
4
5.4%
2
2.7%
0
0.0%
63.5%
36.5%
17
年度
20
22.7%
53
60.2%
15
17.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
83.0%
17.0%
18
年度
21
22.8%
64
69.6%
5
5.4%
1
1.1%
0
0.0%
1
1.1%
92.4%
7.6%
19
年度
21
23.3%
59
65.6%
7
7.8%
2
2.2%
1
1.1%
0
0.0%
88.9%
11.1%
20
年度
7
6.5%
72
66.7%
15
13.9%
8
7.4%
4
3.7%
2
1.9%
73.1%
26.9%
21
年度
7
6.4%
41
37.6%
34
31.2%
20
18.3%
7
6.4%
0
0.0%
44.0%
56.0%
22
年度
14
12.8%
40
36.7%
35
32.1%
14
12.8%
5
4.6%
1
0.9%
49.5%
50.5%
23
年度
6
5.4%
30
27.0%
51
45.9%
15
13.5%
8
7.2%
1
0.9%
32.4%
67.6%
24
年度
20
18.2%
59
53.6%
20
18.2%
10
9.1%
1
0.9%
0
0.0%
71.8%
28.2%
25
年度
8
7.7%
63
60.6%
28
26.9%
4
3.8%
1
1.0%
0
0.0%
68.3%
31.7%
26
年度
1
0.9%
54
50.5%
39
36.4%
10
9.3%
3
2.8%
0
0.0%
51.4%
48.6%
27
年度
8
7.3%
44
40.4%
45
41.3%
12
11.0%
0
0.0%
0
0.0%
47.7%
52.3%
28
年度
0
0.0%
40
45.5%
33
37.5%
13
14.8%
2
2.3%
0
0.0%
45.5%
54.5%
29
年度
0
0.0%
26
38.8%
31
46.3%
8
11.9%
2
3.0%
0
0.0%
38.8%
61.2%
全期間
通算
193
11.6%
798
48.2%
455
27.5%
141
8.5%
52
3.1%
18
1.1%
59.8%
40.2%

また、以下の(グラフ1)は、(表2)よりも度数分布を細かく区分し、度数分布の経年変化を示したものである。うぐいす色とうす紫色の境界(30日以内と31日以上の境目)が、平成24年以来、一貫して右肩下がりであることが一目瞭然である。

(グラフ1)

札幌市オンブズマンには、市の担当部局に何らかの改善、対応を求める役割が期待されている。それにもかかわらず、オンブズマンが自らの業務に関しては漫然と遅滞化するに任せたままであるならば、制度に対する信頼が大きく傷つけられるように思われる。

なお、オンブズマン別の処理日数の状況については、このエントリーで紹介している。

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