2025/03/26

2025年1月に処理を完了した案件

 2025年2月1日、同年1月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期間延長のうえ、同年3月19日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2025年1月)に処理を完了したのは7件で、このうち3件で調査結果が通知された。残る4件のうち1件の苦情は取下げ、2件が調査しない旨、1件が調査中止が通知され処理を完了した。

なお、今回公開分から、「調査終了」の文言は調査結果を通知した場合に限定し、申し立ての取り下げ等「調査終了」以外の場合を含めて「処理を完了」の文言を用いることにする。

さて、今回公開された案件は、なんとも「ねちっこい」申立人の苦情が複数あり興味深い。まず、第2024-74号は予約図書の取り置き期限の延長を求めての「3度目」の苦情申し立てである。第2024-75号は町内会における助成金の不正を主張するおそらく「2度目」の苦情申し立てである。どちらもあまり後味はよろしくない。

また、第2024-61号は学校で使用する教材(おそらく情報通信端末)に不具合が生じたことに端を発する苦情である。そもそもの発端から1年以上学校とのやり取りを経たうえで、ようやく苦情申し立てに至っている。

この事案、非公開とされた箇所が多く、どのようなやりとりがなされたのか不明な点が多いものの、「学校のメールアドレスを教えほしい」という申立人の要望に対し、「文字ではなく、直接の口頭のやり取りにより保護者の考えていることや抱いている気持ちをより感じて理解できると考えている」という学校サイドの説明が興味深い。

おそらく、メールの場合は一方的に送信することが可能であり、アドレスを公開することでその対応に追われるのを避けたいというのが学校サイドの本音であろう。苦し紛れにも見える「慎重な説明」は、過剰に申立人を刺激しないように配慮したものと思われる。ただし、そうした配慮が奏功したかは不明である。

ところで、札幌市では国の「GIGAスクール構想」の下、小学校・中学校では1人1台の情報端末が貸与されている模様である(くわしくはここ)。これに対し、札幌市立の高校では2022年4月から端末の「購入」が求められているようである。

この点、自前の端末が利用可能であれば新規に端末を購入するための金銭負担が不要になる一方で、その場合には端末を接続する技術的仕様が問題になる、ということが本件苦情により可視化されたと思われる。今回の苦情を契機として、保護者等に対しこれらの事情についての適切な説明がなされることを期待する。

【おしらせ】
当ブログではこれまで、毎月1日に前月に処理を完了した案件について公文書公開請求をしてきたところ、当ブログ解説者の過誤により2025年2月に処理を完了した案件については、同年3月25日付の請求となった。そのため、当ブログにおけるそれらの案件の紹介は5月半ば以降になると思われる。この点、お詫びするとともに読者諸賢にはご了解いただきたい。

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①第2024-61号
 申立人の子が通う学校で使用する教材(情報通信端末と思われる)に不具合が生じたところ、特定の業者からの購入を強要する等、学校及び教育委員会の対応に問題があるとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:神谷菜保子)

②第2024-64号
 給湯ボイラーの減圧弁が不調になった原因が水道工事が行われた際の断水が原因であると思われるため水道局に減圧弁の交換を要請したが、水道局が交換に応じないとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

③第2024-66号
 申立人は生活保護を受給する親族に所有する住宅を貸与し親族が受給する保護費から賃料名義で貸与した金銭の返還を受けているところ、申立人の関知しないところで保護課が当該親族の転居を進めたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:梶井祥子)


④第2024-67号
 生活保護を受給する申立人が証券口座を新規に開設した際に口座に振り込まれた金額を収入申告したところ、その金額が控除が全くなされないままに収入認定されたことを不服として苦情が申し立てられた事例。当該取り扱いについて北海道知事に対する審査請求がなされているとして調査が中止された。(担当オンブズマン:田村智幸)


⑤第2024-73号
 体育館でバドミントンをする際の利用料についての不満を伝えているにもかかわらず、市民文化局地域振興部区政課は一方的な主張を繰り返すだけでこちらの話に耳を傾けないとして苦情が申し立てられた事例。オンブズマンは申立人が求める金額の引き下げを強制する権限がないことを説明したところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
⑥第2024-74号
 貸し出し予約をした図書の取り置き期限の延長ができないという図書館の説明に納得がいかないとして苦情が申し立てられた事案。同旨の苦情については第2024‐50号で調査結果を通知し、再調査を求める苦情についても第2024-65号で再調査をしない旨を通知しているとして、本件についても調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑦第2024-75号
 市が支給する町内会への助成金について一部の町内会で横領が行われていることから市に調査を求めて苦情が申し立てられた事案。当該不正については申立人に利害がなく、申立人が2023年度に申し立てた事案(おそらく第2023-43号)及び本件の内容に照らしても助成金に不正が行われている事情は伺われないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

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