上記の期間(2026年1月)に処理を完了したのは7件で、このうち4件で調査結果が通知された。また、残る3件については苦情について調査しない旨が通知された。
1.やっぱり梶井祥子にはオンブズマンの職務は「荷が重い」
今回公開を受けた全7件のうち、5件を担当したのが樋川恒一オンブズマンである。さしづめ「樋川恒一まつり」といったところであろうか。なかでも注目すべきは、「調査しない旨」を通知された第2025-87号である。この案件の担当オンブズマンが樋川恒一であることで、当ブログ開設者は、ああやっぱり「梶井祥子にオンブズマンの職務は『荷が重い』」と感じた次第。
さて、この第2025-87号の申立人は、2025年11月に処理を終了した第2025-66号の申立人である(このエントリーで紹介している)。この第2025-66号は、さらにさかのぼる第2022-12号の調査がなされた後、調査後の対応が十分ではないとして苦情が申し立てられた案件である(と、当ブログ開設者が理解した旨上記のエントリーで指摘した)。
ところが、である。今回公開を受けた第2025-87号の「苦情申立ての趣旨」に記載された申立人の主張によると、「苦情等調査結果通知書第2022-12号(中略)と同一事案として調査すらされなかった」が「ここまでに異議はない」ということであった。
当ブログ開設者は、申立人は調査終了後の対応に不満を抱いたから新たに苦情を申し立てたにもかかわらず、「同一事案」として調査すらされなかったことに「異議はない」と主張していることに大いに驚いた。
さらに驚いたのは、「第2025-66号のオンブズマンの面談の際に同一事案として調査しない旨の見解は示されていた」という申立人の主張である。どうやら梶井祥子は、申立人と面談した際、「調査終了後の対応についての苦情」を「同一事案」として認識している旨、直接伝えていたらしい。調査しないための「後づけ」の理由ではないことに驚いたわけである。
以上の次第で、別件の苦情調査終了後の対応について「新たに申し立てられた案件」であるにもかかわらず、オンブズマンも申立人も(調査を終了した案件と)「同一事案」という点で見解が一致していたわけである。それでも、結局申立人は、「第2022-12号が3年経っても履行されていないことに対する苦情申し立てであることを強調し、調査することをもっと強調すべきであった」と後悔の念をにじませている(オンブズマンとの面談後に、面談時の「同一事案」という説明に疑念を抱いたのかもしれない)。
このような経緯を経て、今回公開分の第2025-87号が申し立てられた。しかしながら、いったん「調査しない旨」の見解が示された案件について、新規に別件の苦情申し立てがなされたとしても、当該「新規」案件を担当するオンブズマンにできることは限られている。
また、申立人の「新規」の苦情もあまり「筋がよい」とはいえない。今回申し立てられた案件は、オンブズマンが「第2025-66号の案件の申立てがあったことを担当部局に伝えなかった」ことについての苦情申し立てだからである。そのため、この「新規」案件担当オンブズマンの樋川恒一は、「オンブズマンの行為」に関する苦情であるとして、調査しない旨を通知した。
しかしながら、元をただせば、第2025-66号の苦情申し立てを「同一事案」として調査しなかった梶井祥子の判断が適切ではなかったものと思われる。今回公開分の「新規」案件を担当した樋川恒一は、貧乏くじを引いたというべきか、あるいは梶井祥子の尻拭いをさせられたというべきか。
仮に今回の苦情が「第2022-12号の調査後の市の対応」についての苦情として申し立てられていたならば、樋川恒一は(調査をしないという梶井祥子の判断という)「オンブズマンの行為」に関する苦情であるとして、調査を実施しなかったであろうか(なお、調査を実施することは、「調査をしない」という先行案件の判断を実質的に覆すことを意味する)。
2.「通知」と「周知」の間にある大きなギャップ
さて、今回公開分(2026年1月終了分)の第2025-82号は、「定額減税補足給付金」に関する苦情である。2025年12月公開分(このエントリー)の同給付金に関する苦情は、「前提となる『制度』を知らないと振り回されることになる」という「見出し」をつけて紹介した(第2025-65号)。
いずれの案件も、「手続き懈怠」が給付を受けられたかった理由である。ただし、第2025-65号は2024年(令和6年)分の所得税の「修正申告」をしていなかったことが理由であった(というのが当ブログ開設者の理解)。これに対し、今回公開分の第2025-82号は、申立人が2024年に札幌市に転入したため市が「給付金」算定に必要な税のデータを持っておらず、受給のためには別途手続き(申立)が必要な事案であった。
なお、申立人は2024年分所得の確定申告を行っているほか、本件「給付金」受給手続きについてはインターネットの情報(国税庁及び市)を確認し、対象者には「通知文書」が送付されると思っていた模様である。
それに対し、市は2024年(令和6年)の転入者をはじめ給付金受給のためには「申立」が必要な人もいる旨、webサイトや広報誌で「周知」していた主張している。だとすると、個別に「通知」が来ると信じる申立人には、市の「周知」が届かなかったということなのであろう。
なお、市が「周知」のために開設したwebサイトのうち、「詳細」についてはすでに閉鎖されている。したがって、その内容を確認することはできないが、「概要」の以下の記載は、「通知」が来ると信じていた申立人には同情の余地があると、当ブログ開設者は考えている。複雑化せざるを得ない「制度」に難があると思われるからである。
「定額減税未済額」に金額の記載がある場合
「定額減税未済額」が0円以外の方は、給付金(調整給付)の支給対象者となる見込みです。給付金の支給対象となる方へは、後日、給付金の担当部署からご本人へ直接書類を送付します。
詳細は以下のページよりご確認ください。
令和6年度札幌市定額減税補足給付金(調整給付)(札幌市保健福祉局のページ)
3.国民健康保険の「海外療養費」の申請
今回公開分では、第2025-84号も興味深い案件である。申立人は書類を適切に準備していたのもかかわらず申請に長時間を要したとして、苦情が申し立てられた。
市は、時間を要したのは「正確かつ適切な事務処理を行うための必要なプロセスによるもの」だという回答をする一方で、今後の対応として、「本件のように確認すべき事項が多岐にわたることで、窓口対応の長時間化が見込まれるには『長時間の手続きを許容する』か『手続きの時間を短縮したい』か、あらかじめ申請者に意向を確認」し、「長時間の手続きを短縮されたい場合は、書類一式を一旦お預かりしたうえで形式審査を行う」旨を回答している。
以上のような回答は、「ならば今まではどのような対応をしていたのか」気になるところであるが、オンブズマンからの指摘を待つまでもなく、調査対象部局の側から今後へ向けて改善の意向を示していることは評価したい。
4.介護保険法に基づく市の権限について
このほか、第2025-78号では、介護保険の指定事業所やケアマネージャーの対応に不満をいだいた申立人が、市に適切に権限を行使することを求める趣旨で苦情が申し立てられた。市の回答は、市の「権限行使」のあり方について言及している点が興味深い。
この点、過去にケアマネの対応等について苦情が申し立てられた際、「調査しない旨」が通知された案件もある(第2023-26号)。その際、当ブログ開設者は市の権限行使のあり方について調査する余地がある旨の指摘をしたが(このエントリー)、オンブズマンがどのような論点を調査対象をするか、工夫の余地があることを示していると思われる。
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①第2025-75号
障害を持つ者と生計を同一にする者が自動車税等を減免を受ける際に必要となる「同一生計証明書」の発行を受ける際、必要となる「証明書」について適切な説明を受けられなかったこと等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
②第2025-78号
介護保険事業者の提供するサービスやケアマネージャーの対応が不適切であるとして、市が適切な行政監督をすること等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
③第2025-82号
2024年(令和6年)に札幌市内に転入した申立人が、同年分の確定申告をすませていたにもかかわらず定額減税補足給付金が支給されなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
④第2025-84号
国民健康保険の「海外療養費」を申請する際、手続きに3時間20分もの長時間を要したとして苦情が申立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
⑤第2025-87号
過去に調査を終了した案件(第2022−12号)の調査終了後の対応について苦情を申し立てたところ「調査をしない旨の通知」(第2025−66号)を受けたが、オンブズマン室から担当部局あてに苦情申立てがなされたことが通知されていなかったとして、苦情が申し立てられたケース。担当部局に通知をしないのは条例に基づく対応であり、苦情はオンブズマンの所轄事項ではないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:樋川恒一)
⑥第2025-92号
定期券で市電に乗車している申立人が車内の清掃状況について電車事業所に連絡したところ「4~5日おきに清掃している」という回答を受けたが、日常的に汚い状態で運転していることをオンブズマンにも確認してほしいとして苦情が申し立てられたケース。申立人に直接的な利害関係があるとはいえないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:樋川恒一)
⑦第2025-94号
(おそらく市立体育館で何らかのスポーツの教室の講師を務めていた申立人が当該教室の運営担当者から教室閉鎖を言い渡されたために)当該担当者の処分と教室の継続を求めて苦情が申し立てられたケース。本件苦情がオンブズマンの調査対象事項であることを伝えたところ、申立てを取り下げる意向が確認された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)







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