2022年10月2日、同年9月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、10月31日付で一部公開決定がなされた。
上記の期間(2022年9月)に調査を終了したのは9件で、このうち7件で調査結果が通知されている。また、残る2件は苦情について調査をしない旨が通知されている。
さて、今回公開された案件のうち、最も興味深い案件が、第2022-18号である。非公開部分が多く苦情申立ての趣旨は必ずしも明確ではないが、苦情申立人が札幌市立学校に在学していた当時に教諭から性的暴力を受けたことについて、平成28年に札幌市教育委員会が行った調査が適切ではなかったことや、その後の教育委員会による申立人への対応について苦情が申し立てられた模様である。
ところで、この件に関しては、その当時の札幌市教育委員会が行った対応について、令和4年1月11日付の検証報告書が公開されている。また、申立人がオンブマンに苦情を申し立てた旨は実名記載で報道されているが、当該報道によると申立人は、この報告書が公表された経緯にも不満を抱いているようである。
なお、札幌市では、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律等を踏まえた市教委の対応について」というページをwebに開設している。上記報告書も、このページからpdfファイルを入手したものである。
次に、制度についての理解を深めるという観点からは、国保料の滞納による差し押さえと納付書による納付が並行してなされた第2022-32号も興味深い事例である。
この案件では、差し押さえ口座への入金を求める申立人と、指定された口座でなければ入金できないという市の主張が平行線をたどっている。当ブログ開設者は、市の回答又はオンブズマン判断において、「申立人としては不本意かもしれないが、差し押さえされた口座を入金口座として指定すれば実質的解決がはかられる」、といったリップサービスをしてもいいのではないか、と感じたものの、そうした言及はなされていない。余計なことに言及して申立人の気分を害することは避けたいと考えたとすれば一つの見識ではあるが、やや親切さに欠けるように思われる。
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①第2022-18号
申立人が札幌市立学校に在学していた当時に教諭から性暴力を受けたことについて、札幌市教育委員会のその後の一連の対応が適切ではなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
②第2022-21号
申立人が救急搬送を受けられなかったこと及びその後の消防局の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
③第2022-27号
児童相談所に一時保護された児童について、児童相談所が申立人の意向に添った対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
④第2022-29号
市税証明書を取得するために定額小為替証書を同封したにもかかわらず担当職員に過誤があり、その対応のために追加的な負担を余儀なくされたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑤第2022-32号
(国保料の滞納による差し押さえと納付書による納付が並行してなされたという前提事実のもと)当該金額を差し押さえ口座に返金してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑥第2022-35号
生活保護を受給する申立人が市営住宅に転居しようと考え保護課に相談したところ転居に要する費用は支給できないといわれたが、他の受給者には転居費用も支給された者がいるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑦第2022-37号
居住する市営住宅の出入り口の幅の歩道の縁石を撤去して、歩道をバリアフリー化してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑧第2022-39号
学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑨第2022−40号
申立人の子が学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
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