2019年6月1日、同年5月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、6月17日に一部公開決定がなされた。
上記の期間(2019年5月)に調査を終了したのは12件で、このうち10件で調査結果が通知されている。また、残る2件のうち1件は申立人による苦情申し立ての取り下げ、1件は申立人に調査をしない旨が通知され、調査が終了している。
このうち、特に注目されるのが、高齢者虐待防止法及び老人福祉法に基づく分離措置が解除されないとして苦情が申し立てられた、第2019-13号である。この案件でオンブズマンは、「虐待の認定や養護者との分離は、・・・(中略)・・・高度な専門的知見に基づいて、各関係者等による検討会議等で判断の結果、最終的になされるもので」あり、「オンブズマンが調査・判断をすることは、高齢者虐待防止法等の目的にそぐわず、相当ではない」として、調査を行わないと判断した。
しかしながら、この案件を担当した房川樹芳オンブズマンは、2019年3月13日付・苦情調査結果通知書・第30-65号の調査において、高齢者虐待防止法に基づく分離措置に関する苦情調査を実施し、オンブズマンとしての判断を行っている。したがって、この案件について調査を実施しないことと、整合性を欠くと思われる。
また、房川樹芳オンブズマンは、児童相談所が申立人の子を一時保護したことに対する苦情調査を実施し、オンブズマンとしての判断を行っている(第30-5号)。いうまでもなく、児童相談所は児童福祉の専門機関である。オンブズマンが専門機関の判断の当否についての判断を行っている事例がある以上、この案件において、高齢者の分離措置が「高度な専門的知見に基づいて・・・なされる」ことが、オンブズマン調査の対象外とする根拠になるとは思われない。
さらに、房川樹芳オンブズマンは、「虐待の認定や養護者との分離は、・・・(中略)・・・最終的になされるもの」とも言及する。ここでいう「最終的」という文言が具体的に何を意味するか、判然としないが、一般論として、利害関係人は行政庁の処分に対する不服申し立てをする等、係争することは可能である。
したがって、オンブズマンが実体的な中身に立ち入った調査を実施しないのであれば、申立人に対し他に利用可能な制度について情報提供する等、「市政の改善を図る他の諸制度と有機的な連携を図ること」(札幌市オンブズマン条例5条2項)が、「市民の権利利益を擁護」する(同項)ことにつながると思われる。
以上の次第で、当ブログ開設者は、本件調査において申立人の苦情を門前払いし、調査を実施しないとした房川樹芳オンブズマンの判断は、実体的にも手続的にも「適切な説明を受ける」という申立人の利益に対する配慮が欠けており、妥当性を欠くと考えている。
①第30−72号
他の公園利用者によるテニスコートの雪割り作業によって、公園内を散歩することに支障が生じているとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
②第30−74号
統一地方選の開票事務のアルバイトに不採用になったがその理由に疑問があるとして、今後の選考方法の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
③第30−75号
④第30−76号
DV被害を理由とする住民票等の閲覧制限の支援措置を受けているにもかかわらず、担当職員が電話での問い合わせに回答したこと及び転居を急かす保護課の担当職員の対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑤第30−77号
香料や化学物質の被害に苦しむ申立人が(※化学物質過敏症と思われる。)、これらの物質の利用の自粛を求めるポスターの掲示や被害に苦しむ者への合理的配慮を求めて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑥第2019−1号
区役所の戸籍住民課の職員が他者の転出証明書と取り違えて交付したこと及び区役所職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑦第2019−2号
申立人自宅の隣接地に土砂が搬入されている件で、市は宅地造成規制法に違反しないとして十分な対応を行わないほか、職員の一連の対応にも問題があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑧第2019−3号
申立人の自宅に面した道路の補修を依頼しても補修がなされないほか、雪が降るようになってからは、市が除雪する際、申立人が除雪した自宅や歩道に大量の雪を置いていくようになったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
⑨第2019−4号
保護課が申立人の娘に対し扶養照会を行ったことに関し(※親類縁者に生活保護受給者がいる模様)、申立人が保護課の担当者に手紙を書いたにもかかわらず、5か月経過しても未だ返事がないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑩第2019−6号
札幌市社会福祉協議会で行っている法律相談を利用した際に対応した弁護士の態度があまりにもひどいものであったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑪第2019−7号
(仮称)町内会条例に関するパブリックコメントについて、市が公表した概要の取扱いに疑義がある等の苦情が申し立てられたケース。申立人が苦情を取り下げたことにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑫第2019−13号
申立人の妻が高齢者虐待防止法及び老人福祉法に基づく分離措置を受けたが、3か月たっても解除されないため会うことができずにいるとして、苦情が申し立てられたケース。申立人に調査をしない旨が通知され、調査を終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
しかしながら、この案件を担当した房川樹芳オンブズマンは、2019年3月13日付・苦情調査結果通知書・第30-65号の調査において、高齢者虐待防止法に基づく分離措置に関する苦情調査を実施し、オンブズマンとしての判断を行っている。したがって、この案件について調査を実施しないことと、整合性を欠くと思われる。
また、房川樹芳オンブズマンは、児童相談所が申立人の子を一時保護したことに対する苦情調査を実施し、オンブズマンとしての判断を行っている(第30-5号)。いうまでもなく、児童相談所は児童福祉の専門機関である。オンブズマンが専門機関の判断の当否についての判断を行っている事例がある以上、この案件において、高齢者の分離措置が「高度な専門的知見に基づいて・・・なされる」ことが、オンブズマン調査の対象外とする根拠になるとは思われない。
さらに、房川樹芳オンブズマンは、「虐待の認定や養護者との分離は、・・・(中略)・・・最終的になされるもの」とも言及する。ここでいう「最終的」という文言が具体的に何を意味するか、判然としないが、一般論として、利害関係人は行政庁の処分に対する不服申し立てをする等、係争することは可能である。
したがって、オンブズマンが実体的な中身に立ち入った調査を実施しないのであれば、申立人に対し他に利用可能な制度について情報提供する等、「市政の改善を図る他の諸制度と有機的な連携を図ること」(札幌市オンブズマン条例5条2項)が、「市民の権利利益を擁護」する(同項)ことにつながると思われる。
以上の次第で、当ブログ開設者は、本件調査において申立人の苦情を門前払いし、調査を実施しないとした房川樹芳オンブズマンの判断は、実体的にも手続的にも「適切な説明を受ける」という申立人の利益に対する配慮が欠けており、妥当性を欠くと考えている。
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①第30−72号
他の公園利用者によるテニスコートの雪割り作業によって、公園内を散歩することに支障が生じているとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
②第30−74号
統一地方選の開票事務のアルバイトに不採用になったがその理由に疑問があるとして、今後の選考方法の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
③第30−75号
市民税・住民税の差押予告書が届いたが、差押予告書には「再三にわたり納付催告をしてきました」と記載されているものの納付催告を受けた事実はないとして、延滞金支払いの免除等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
④第30−76号
DV被害を理由とする住民票等の閲覧制限の支援措置を受けているにもかかわらず、担当職員が電話での問い合わせに回答したこと及び転居を急かす保護課の担当職員の対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑤第30−77号
香料や化学物質の被害に苦しむ申立人が(※化学物質過敏症と思われる。)、これらの物質の利用の自粛を求めるポスターの掲示や被害に苦しむ者への合理的配慮を求めて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑥第2019−1号
区役所の戸籍住民課の職員が他者の転出証明書と取り違えて交付したこと及び区役所職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑦第2019−2号
申立人自宅の隣接地に土砂が搬入されている件で、市は宅地造成規制法に違反しないとして十分な対応を行わないほか、職員の一連の対応にも問題があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑧第2019−3号
申立人の自宅に面した道路の補修を依頼しても補修がなされないほか、雪が降るようになってからは、市が除雪する際、申立人が除雪した自宅や歩道に大量の雪を置いていくようになったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
⑨第2019−4号
保護課が申立人の娘に対し扶養照会を行ったことに関し(※親類縁者に生活保護受給者がいる模様)、申立人が保護課の担当者に手紙を書いたにもかかわらず、5か月経過しても未だ返事がないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑩第2019−6号
札幌市社会福祉協議会で行っている法律相談を利用した際に対応した弁護士の態度があまりにもひどいものであったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑪第2019−7号
(仮称)町内会条例に関するパブリックコメントについて、市が公表した概要の取扱いに疑義がある等の苦情が申し立てられたケース。申立人が苦情を取り下げたことにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑫第2019−13号
申立人の妻が高齢者虐待防止法及び老人福祉法に基づく分離措置を受けたが、3か月たっても解除されないため会うことができずにいるとして、苦情が申し立てられたケース。申立人に調査をしない旨が通知され、調査を終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
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