2025/07/26

2025年5月に処理を終了した案件

 2025年6月1日、同年5月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行っところ、決定期間延長の上、同年7月16日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2025年5月)に処理が完了したのは8件で、このうち5件で調査結果が通知された。また、2件については苦情について調査しない旨が通知され、1件については苦情申立てが取り下げられた。

今回、公開を受けた案件においては、中学校の就学先指定の変更手続きについて苦情が申し立てられた案件(第2024⁻86号)および複数の相続人がいる場合の固定資産税の賦課手続きについて苦情が申し立てられた案件(第2025-6号)が、行政事務の運用実態が垣間見える点で興味深い(ただし、どちらの案件も対応の不備が明らかになっている)。

また、事案としては、北ガスアリーナが貸切利用されると市民が利用できないという苦情も興味深く感じられた(第2024-91号)。それというのも、市の回答には「札幌市体育施設条例」に定める「体育施設」の表が掲載されているものの、当ブログ開設者に「なじみのある」施設がそこには記載されていなかったからである。

すなわち、札幌市の体育施設条例とは別に、札幌市都市公園条例に基づき設置された「体育施設」や、「札幌市スポーツ交流施設条例」に基づき設置された「スポーツ交流施設」もあり、ひとくちに「体育施設・スポーツ施設」といっても、根拠となる条例が必ずしも統一されていない模様である(「札幌ドーム条例」もその一例)。なお、スポーツ施設の一覧は市のwebサイトに掲載されている(ここ)。

それにしても、この案件が「傑作」なのは、市の回答で「第2期札幌市スポーツ推進計画」が引用されていることである。そこでは、「スポーツを見る機会の充実」が方針として掲げられているからである。

この点、当ブログ開設者としては、それまで札幌ドームを本拠地として使用していた北海道日本ハムファイターズが北広島市に移転したことについて、札幌市はどのように考えているのか、ぜひ説明を聞きたいと感じた次第である(ひょっとして、プロ野球はしょせん「興行」であって「スポーツ」ではないため、ファイターズが移転したからといって、「スポーツを見る機会の充実」に支障を生ずるものではない、ということであろうか)。

と、揶揄するようなことを書いたが、札幌市としては「4つのプロスポーツチーム」と連携協力して、まちづくりを進めていく方針であり、そこには北海道日本ハムファイタイーズも含まれている。したがって、プロ野球が「スポーツ」の枠組みから排除されているわけではなさそうである。なお、札幌市とプロスポーツチームの連携については、プロスポネットSAPPOROの取り組みを参照されたい(ここ)。

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①第2024-86号
 申立人の子は小学校の就学先の指定を変更されていたが、中学に進学する際にも就学先の指定変更について教育委員会に要望を伝えていたにもかかわらず適切な対応がなされなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

②第2024-91号
 北ガスアリーナのメインアリーナでプロスポーツの大会が開催される場合には貸切使用とされ、メインアリーナ以外の貸切の利用対象外と思われる施設も利用できなくなることから、安易に貸切利用とせずに一般市民も利用できるようにすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

③第2024-96号
 申立人の子の小学校の担任が配慮に欠ける言動を繰り返す等の問題があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2025-1号
 生活保護担当課の窓口カウンター職員が申立人が訪問した理由を適切に把握しないなどその対応に問題がったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑤第2025-6号
 市が固定資産税を賦課する際の「共有代表者」を変更した手続き及び同税の納税義務者の取り扱いに不備があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

⑥第2025-10号
 (申立人との関係は不明)児童相談所の入所者(申立人との関係は不明)が暴力を受けた件で児相に疑問点の回答を求めているものの明確な回答が得られず、現在は対応を拒否された状態であるとして苦情が申し立てられたケース。「申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑦第2025-13号
 札幌市オンブズマンの調査結果等について公文書公開請求に応じることは、市民が自らが苦情を申し立てたことについて他人に知られないという利害を毀損する可能性があるとともに、オンブズマンの調査が市民の期待を大きく裏切る内容であることが詳らかになることから「非公開情報」に該当するとして、現行の公開請求に対する運用を改めることを求めて苦情が申し立てられたケース。本件苦情申し立てが、前回苦情申立て(苦情等調査結果通知書第2024-97号)の一部と同様の趣旨であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑧第2025-16号
 創成川に架かる橋の歩道の点字タイルにつまづいて転倒したことから、改善を求めて苦情が申し立てられたケース。担当部局と連絡が取れたとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:樋川恒一)

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