札幌市では2021年度以来、「インターネットアンケート調査」を実施するようになった模様である。2025年度に実施したアンケートの結果はここから確認できるが、「札幌市オンブズマン制度」がテーマの一つとして設定されている。アンケートは、15歳以上の札幌市民500名を調査対象として、全25問のクローズ型のインターネットアンケートとして実施された。調査期間は、2025年9月11日~14日である。
このアンケートの特に「おもしろい」ところは、オンブズマンの調査結果が誰でも入手できることや、調査結果をwebで公開することについての質問項目が設定されていることである。つまり、当ブログ開設者が公文書公開請求で情報を収集することや、その結果を当ブログで公表すること自体に対する「市民の声」が可視化されているのである。当ブログ開設者は目がくぎ付けになった。それでは、アンケート結果をみていこう。
(アンケート全体)
まず、Q12.では「調査結果を請求により誰でも入手できること」が問われている。回答は、「とても良いことだと思う」(21.0%)、「どちらかといえばよいと思う」(23.6%)と、半数近く(44.6%)が肯定的に受け止めている。これに対して、「どちらかといえば好ましくない」(6.2%)、「好ましくないと思う」(4.6%)という否定的見解は(10.8%)にとどまっている。
次に、Q13.は、「調査結果を入手した第三者がその内容をインターネットやSNSに掲載すること」が問われている。回答は、「とても良いことだと思う」(6.4%)、「どちらかといえば良いことだと思う」(12.8%)と、肯定的評価は2割弱(19.2%)であった。
これに対して、「どちらかといえば好ましくないと思う」(19.4%)、「全く好ましくないと思う」(24.2%)という否定的評価(43.6%)は、肯定的評価(19.2%)を大きく上回っている。このような回答は、当ブログにおいてオンブズマンの調査結果を紹介することは、必ずしも市民から肯定的に評価されない可能性を示している。
しかしながら、アンケートの結果は別の傾向も示している。それは、「実際の事例」を明らかにするニーズの存在である。
まず、Q19.では「今後オンブズマン制度をもっと知ってもらうために今一番重要だと思うこと」が問われている。そして、「実際の利用事例の紹介」という選択肢が13.2%(SA)から選ばれている。
また、Q22.では「25周年をきっかけに制度や広報に期待すること」が問われており、「実際の事例をもっと紹介してほしい」という選択肢が31.0%(MA)、Q23.では「オンブズマン制度の今後の方向性として必要だと思うこと」が問われており、「調査結果をわかりやすく公開する」という選択肢が31.8%(MA)から選ばれている。
したがって、このような回答は、個別案件を紹介することに対する一定のニーズがあることを示していると思われる。その一方で、当ブログ開設者のような「第三者」が公文書公開請求を通じて「実際の事例」や「調査結果」を紹介することはあまり歓迎されておらず、「実際の事例」や「調査結果」を紹介するにしても、それは制度運用者側が行うべきだというのが市民の受け止め方だと評価できるかもしれない。
ただし、留意すべき点もある。それは、アンケート回答者が現在、オンブズマン調査の「実際の事例」や「調査結果」がどのように紹介されているか、どの程度認識したうえで回答しているか、必ずしも明らかではないからである。
すなわち、毎年度公表される「札幌市オンブズマン活動状況報告書」に一部の案件が掲載されていることや、当ブログにおいて個別案件が(批判的に)紹介されていることは、必ずしも広く認知されていない可能性があるということである。この点、いささか自嘲的であるが、アンケート回答者が当ブログの存在を知って回答した場合、「否定的評価」がさらに高まる可能性があると当ブログ開設者は考えている。
ところで、当ブログ開設者は、「札幌市オンブズマン観察記はじめます」と題するエントリー(リンクはここ)において、当ブログの目的を以下のように論じている。
(1)オンブズマン「活動状況報告書」に掲載されない案件を紹介する
(2)オンブズマン「活動状況報告書」に掲載されない「市の回答」部分を紹介する
(3)「活動状況報告書」が発行されるよりも早くオンブズマン調査の内容を紹介する
そして、2016年(平成28年)4月に調査を終了した案件の公開請求を皮切りに、公開を受けたオンブズマンの調査結果等を当ブログで紹介してきたわけである。余談ながら、この3月(2026年3月のことである)に処理を終了した案件の請求を完了すると、まる10年分の調査について公開請求を行ったことになる。われながら、よくぞここまで継続してきたものである。
また、当初は案件を紹介することに主眼を置いてきたが、近時は調査そのものに対する批判を加える傾向が強まっている。それは、調査担当オンブズマンが苦情対象となった制度について、理解が十分でないと思われる案件が見受けられるからである。
こうした傾向は、当ブログ開設者が札幌市オンブズマン制度の究極的な存在意義を「住民自治の実質化」であると考えるとともに、この制度が「適切な説明を受ける利益」を実現する制度として独自の存在意義がある、という制度理解に基づいている。
すなわち、適切な制度理解があればもっと異なるオンブズマン判断もありえるのではないかということ、そして、適切な制度理解に基づくオンブズマン判断は「市政の改善」につながる可能性を高めると、当ブログ開設者は考えているのである(なお、当ブログ開設者の「札幌市オンブズマン」制度の理解については、さしあたりこのエントリーを参照されたい)。
もっとも、上述の「ブログの目的」はあくまで「表向き」の理由である。当ブログ開設者が、オンブズマン調査に関する文書について公文書公開請求をするとともに、公開された文書を当ブログで紹介することに踏み切ったのは、「オンブズマンの調査内容を公開すること」によって、それを嫌う申立人が苦情申し立てを忌避する「抑制効果」が生じるのではないかと、問題提起するためであった。そして、そのような問題提起をするためには、抽象的な指摘よりも「実際の請求」を行うのが効果的だと考えたのである。
こうして10年が経過した。前述のように、当ブログ開設者は、もともとオンブズマンの調査内容を公開することにより「抑制効果」が生じることを懸念していた。しかしながら、実際に公開を受けることで、当初の想定とは別の「意義」を発見することになった。
すなわち、上述の「表向き」の(かつ抽象的な)ブログの目的は不変であるが、実際に調査内容を記録した文書の公開を受けることで、市民の生活を支えるために市職員が「縁の下の力持ち」として職務を遂行する姿が見えてきたのである。これは当ブログ開設者にとって、大きな収穫であった。また、そうであるからこそ、当ブログ開設者が公文書公開請求を継続してきたといえるかもしれない。
以上の次第で、今回のアンケート結果をふまえると、制度運用側は、オンブズマンの調査結果を現在よりも積極的に公表する必要があると、当ブログ開設者は考えている。その一方で、オンブズマン調査についての「公文書公開請求」も閉ざされるべきではない。それは、制度運用側から公表される情報は制度運用側にとって「都合がよい」情報に限定される可能性があるほか、そもそも「市民の知る権利」の実現は「住民自治」の第一歩だからである。
それでも、オンブズマンの調査内容を公表することは、それにより、苦情申し立ての「抑制効果」が生じることは考慮する必要があるだろう。したがって、オンブズマンの調査内容について「第三者」からの公文書公開請求がなされた場合、制度運用側からの公表(「活動状況報告書」の公表を想定している)がなされるまで、調査内容を記録した文書の公開を控えることも検討されるべきである。
この点、札幌市情報公開条例は、「事務又は事業の性質上、公にすることにより、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの」(同条例7条4号ク)を非公開情報としている。したがって、オンブズマン調査が終了したのち一定期間は、公開することで苦情申し立てに対する「抑制効果」が生じる可能性を考慮し、この号に基づき調査結果を非公開とする一方で、制度運用側から調査内容が公表されて以降は「事務または事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」がないという取り扱いをするわけである。
なお、同条例には次のような定めもある。「公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しない旨の決定(中略)をした場合において、当該公文書の全部又は一部についての公開が可能となる時期が明らかであるときは、実施機関は、その旨をこれらの規定による書面に付記しなければならない」。この規定は、制度運用側からオンブズマン調査を公表するまでは「非公開」とする扱いの根拠となると思われる。
また、以上の取り扱いは、オンブズマンの調査内容を記録した文書については、「事務事業情報」(同条例7条4号ク)の記載を理由として「非公開決定」をするということ意味するのみである。制度運用側からの調査内容が公開されて以後も、「特定個人識別情報」(同条例7条1号)等に該当する情報は「非公開」とすることは当然である。

0 件のコメント:
コメントを投稿