上記の期間(2025年7月)に処理を完了したのは11件で、このうち4件で調査結果が通知された。また、残る7件のうち、6件については苦情について調査しない旨が通知され、1件については苦情申立てが取り下げられた。
今回公開を受けた案件のうち、第2025-32号は当ブログ開設者が申し立てた案件である(以下、「本件苦情」という)。本件苦情の申し立ての趣旨は、当ブログ開設者が過去に申し立てた案件(第2024-97号、以下「第一案件」という。)において、調査担当オンブズマンの梶井祥子が申立ての一部を調査対象にしなかったことの説明を求めるものである。
そして、第一案件をふまえ、札幌市オンブズマンの調査に関する文書についての公文書公開請求への対処のあり方についての苦情申立て(第2025-13号、以下、「第二案件」という。)を経て、本件苦情の申立てに至った。
当ブログ開設者も、よくぞここまで「くどく」苦情申立てをしたものであるが、当ブログ開設者による「三部作」とでも呼ぶべき一連の申立てには、一定の意義があったと考えている。おそらくオンブズマンにとっては、担当した調査の問題点を指摘する申立人がいるという事実は「不都合な真実」らしい、ということを強く推測させるからである。
まず、「三部作」に関する事実の経緯を確認しておく(なお、以下は「三部作」に関連する論点についての記述である。それぞれの案件独自の苦情については省略)。第一案件における当ブログ開設者の苦情申立ては、①札幌市オンブズマンの調査に関する文書の公文書公開請求に対し担当部局が複数回にわたり「非公開情報」とされたはずの情報を誤って公開するともに、②オンブズマンの調査結果を記録した文書を公開することで調査を担当するオンブズマンの力量への疑念も生じさせる結果を招いていることから、今後も引き続きオンブズマンの調査結果を公開するのであれば、オンブズマン制度の適正な遂行に著しい支障を及ぼすことはない(すなわち、非公開事由に該当しない)ということの説明を求めるものであった。
これに対し、第一案件の調査担当オンブズマンの梶井祥子は、②については「苦情申し立ての趣旨」に記することなく、①についても、担当部局が複数回にわたって誤って非公開情報を公開した事情について何ら言及することなく、市の業務に不備はないと結論づけた。
そこで、当ブログ開設者は、札幌市オンブズマンの調査結果に対する情報公開請求に応じることは、①市民が自ら苦情を申し立てたことについて他人に知られない利害を毀損する可能性があるとともに、②(オンブズマンの調査結果が貧弱で)市民の期待を大きく裏切る内容であることが詳らかになるものであり、「公にすることにより、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」ものであるとして、札幌市オンブズマンの調査結果等に対する情報公開請求に対する現行の運用を改めることを求めて苦情を申し立てた(第2025-13号、以下「第二案件」という)。
この第二案件の調査を担当したのが、本件苦情の調査も担当したオンブズマン神谷奈保子である。調査担当オンブズマン神谷奈保子は、第二案件は第一案件案件の「一部」と同様の趣旨であり、第一案件ではすでに調査担当オンブズマンの梶井祥子が判断を述べているとして、調査しないと判断した(なお、「一部」が同様の趣旨ならば、残りの部分は異なった趣旨になるはずであるが、残りの部分の調査を実施しない理由は不明である)。
第二案件においても、当ブログ開設者の主張、すなわち、オンブズマンの調査結果はオンブズマンの力量に疑念を生じさせる(第一案件)、あるいは、調査結果が貧弱で市民の期待を裏切るものである(第二案件)ことから、それを公開することは「事務または事業の遂行に支障を及ぼすおそれがある」と主張している点については、何ら顧慮されることはなかった。
そこで、改めて当ブログ開設者が申し立てたのが、本件第2025-32号である(第一案件において、苦情申し立ての一部が「苦情申し立ての趣旨」に記載されなかったことの説明を求める苦情申立てである)。調査担当オンブズマンの神谷奈保子は、第一案件に対する苦情は「オンブズマンの行為」に対する苦情に該当するという理由で、調査しないと判断した。
以上が、「三部作」の経緯である。当ブログ開設者は、これらの一連の苦情申し立てに成果はあったと考えている。すなわち、「オンブズマン調査の問題点」を指摘する市民がいるということ自体、オンブズマンにとって「不都合な真実」であると強く推測させる結果になったからである。そうでなければ、第一案件において、本件ブログ開設者が主張する「オンブズマン調査の問題点」が「苦情申し立ての趣旨」に記載することを忌避されることにはならなかったであろう。
しかしながら、当ブログ開設者が主張する「オンブズマン調査の問題点」を「苦情申し立ての趣旨」に記載しないことで、その点がオンブズマンにとっての「不都合な真実」であると、当ブログ開設者に「丸わかり」になったと考えている。そうであるならば、調査担当のオンブズマンとしては、当ブログ開設者の主張は主張として聞きおいて、オンブズマン制度で対応可能な部分を調査で取り扱うのが賢明になると当ブログ開設者は考えている。当ブログ開設者が何を主張しようと、オンブズマンにとっては「への河童」というスタンスをとるべきではないか、ということである。
それでは、調査担当オンブズマンにとって、何が「不都合な真実」であったのだろうか。以下に「三部作」における当ブログ開設者の主張のうち、調査担当オンブズマンが「苦情申し立ての趣旨」に記載しなかった内容を記載する。
なお、一点だけ補足しておくと、第一案件の担当オンブズマン(第2024-97号)のみならず、本件苦情(第2025-32号)の担当オンブズマンも、当ブログ開設者の主張(の一部)を本件苦情の「苦情申立ての趣旨」に記載していない。その一方で、同旨の主張は第二案件(第2025-13号)の「苦情申立ての趣旨」に記載されている。
(第一案件・第2024-97号)
「また、オンブズマンの調査結果を記録した文書を公開することは、調査を担当するオンブズマンの力量への疑念も生じさせる結果を招いている。すなわち、2025年2月で任期を満了した田村智幸オンブズマンは、担当した案件でたびたび『法令上の根拠が見当たらない』という趣旨の見解を披瀝することで(第2022-74号、第2023-6号および第2023-発1号など)、弁護士の肩書を有する割に条文を読むこともままならないことが明らかになった。
のみならず、田村智幸オンブズマンは札幌市電の料金についての苦情である第2022-44号と第2022-87号で約款と異なった取扱いについてのダブルスタンダードを容認した。しかし、後者で約款改定の必要性を指摘しておけば、2024年12月の約款改定は『オンブズマン制度における改善事例』となったと思われるのだが、みすみすその機会を取り逃がすことになった。」
(本件・第2025-32号)
「この点、2025年5月19日付の苦情について調査しない旨の通知書(第2025-13号)においては、苦情申立ての趣旨において、『2025年2月で任期を満了した田村智幸オンブズマンは、担当した案件でたびたび『法令上の根拠が見当たらない』という趣旨の見解を披瀝しているが(第2022-74号、第2023-6号および第2023-発1号など)、弁護士の肩書を有する田村智幸オンブズマンといえども法律の条文を満足に読むこともできないようである。
のみならず、田村智幸オンブズマンは札幌市電の料金についての苦情である第2022-44号では約款と異なった取扱いができないとする一方で、2022-87号の調査においては約款と異なる取扱いを容認しており、その判断は『ダブルスタンダード』であるといわざるを得ない。』という、先行苦情において本件苦情申立人が主張したのとほぼ同趣旨の内容が記載されている。」
・・・おわかりであろうか。本件調査を担当した神谷奈保子は、第一案件の担当オンブズマンが苦情申し立ての趣旨に記載されたなかった田村智幸オンブズマンの調査の問題点について、本件苦情においても記載しなかったが、第二案件の苦情申し立ての趣旨には同内容の記載していたのである。だからこそ、当ブログ開設者は、第一案件において「オンブズマン調査の問題点」が記載されなかった理由の説明を求めて、本件苦情を申し立ててたのであるが、第二案件とは一転、本件苦情においては、第二案件の苦情申し立ての趣旨に記載されていた「オンブズマン調査の問題点」が記載されなかったのである。
つまり、当ブログ開設者は、第一案件と第二案件で取り扱いに差が生じているからこそ、本件苦情において、第一案件で「苦情申し立ての趣旨」に「オンブズマン調査の問題点」を記載していない理由の説明を求めたわけである。
しかしながら、本件調査担当の神谷奈保子にとっては、第二案件の苦情申し立ての趣旨に(当ブログ開設者が主張する)「田村智幸オンブズマンの調査の問題点」を記載したこと自体がまた、「不都合な真実」なのだろう。ある意味、同旨の主張が第二案件の「苦情申立ての趣旨」に記載されたのは、当ブログ開設者の「作戦勝ち」かもしれない。
以上、くどくどと書いてきたが、札幌市オンブズマンにとっては、調査においてどのような論点を取り扱うか、また、その前提として「苦情申し立ての趣旨」をどのように取りまとめるかについては、広い裁量があると考えているらしいことが当ブログ開設者が申し立てた「三部作」からうかがわれる。
その一方で、今回公開を受けた案件には、申立人の苦情が「簡易迅速に処理する役割が求められている」オンブズマン「の役割を超えていることは明らか」であるとして(第2025-28号、第2025-29号)、調査しない旨が通知されたものもある。
いずれの案件も調査担当オンブズマンは梶井祥子であるが、市職員の行為が刑法や憲法に抵触していると主張しているという申立人の主張を忠実になぞったうえで、違法性、違憲性「等があることの前提となる詳細な事情を認定する必要が必要」という見解を示されている。
しかしながら、前述の「三部作」へのオンブズマンの対応を前提とするならば、オンブズマンがどのような論点を調査対象とするかについては裁量が認められるはずである。したがって、申立人の主張を忠実になぞることをせずに、オンブズマンがその所轄事項の範囲内について看過できない点を調査することはなんら妨げられるものではなく、それはむしろ「市政の改善」に資すると思われる。
また、「簡易迅速に処理する」ことについても、札幌市オンブズマン条例19条3項は、オンブズマンが特に必要があると認めるときは専門的機関に調査、鑑定、分析等を依頼することができる旨を規定している。したがって、依頼先の専門機関の見解を求める時間をかけることは制度上予定されているのであり、札幌市オンブズマンの手がける調査の簡易迅速性は、必ずしも至上命題ではない。上記の案件においても、オンブズマンが忌避した「違法性」「違憲性」の判断について、専門的機関の見解を求めることも許されるであろう。
以上の次第で、上記2件のおける梶井祥子の「調査しない」という判断は、結論ありきの判断で、論理的妥当性を欠くと当ブログ開設者は考えている。とくに、「申立人の主張に忠実」に調査を組み立てた場合、市の対応に重大な問題があったとしても、その点を申立人が苦情化していない場合には調査対象とならないことになる。
ところが、札幌市オンブズマンは、「市政の改善」を目的の一つとして掲げているわけである。であるならば、申立人が明確に苦情化していない点についてもオンブズマンが調査対象とすることは、オンブズマンの「裁量」として是認することができると当ブログ開設者は考えている。あとは担当オンブズマンの「やる気」(と能力)次第である。
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①第2025-19号
生活保護を受給する申立人が、いまだ支払いを受けていない示談金の収入認定の取り扱いをはじめとして、担当ケースワーカーの対応が高圧的で適切な対応をしてもらえないことから、副担当をつけるなどの対応をしてもらいたいとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
②第2025-20号
③第2025-25号
④第2025-26号
同時期に納付額が異なる国民健康保険の納付通知書が届いたため担当課に問い合わせたが、2通届いたことに対する謝罪や訂正がなされずなかったことから、その対応に納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
⑤第2025-27号
生活保護を受給する申立人が、現在居住する区とは別の区への転居を考え当該別の区の担当課に連絡したところ、対応した職員の対応が電話と訪問時で全く変わるなど誠実さに欠けるとして苦情が申し立てられたケース。「市の業務に不備があるかどうかについて、具体的な挙証もなく」、「市の職員の対応により、何らかの不利益を受けたことについても言及が(ない)」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
⑥第2025-28号
申立人が苦情を申し立てた別件第2025-14号の調査は不十分であるとともに、家庭訪問時の担当職員の対応が適切さを欠くものであったとして苦情が申し立てられたケース。すでに調査を行った事項については再度調査を行わず、申立人が主張する担当職員の行為の違法性については簡易迅速を旨とするオンブズマンの制度の役割を超えるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
⑦第2025-29号
別件(おそらく前記第2025-28号)で生活保護担当課職員の対応について苦情を申し立てている申立人が、年金を受給しなが生活保護を受給していることに関して、担当職員とは別に担当係長の対応についてもその言動に問題があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
⑧第2025-30号
申立人が2025年の3~4月の担当ケースワーカーは生意気で、対応がハラスメントめいたものであったとして苦情が申し立てられたケース。担当職員の具体的な言動が記載されておらず、調査の手掛かりとなる事実が読み取れないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
⑨第2025-31号
市民自治推進室を訪問した際、職員に取り囲まれ協約されたうえ、警察官を呼ばれたとして苦情が申し立てられたケース。申立人はオンブズマンとの面談を希望しているところ、現状、面談が困難になったとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:樋川恒一)
⑩第2025-32号
申立人が過去に申し立てた苦情(第2024-97号)において、調査担当オンブズマンが申立人が主張している以下の事情、すなわち、「オンブズマンの調査結果を記録した文書を公開することで調査を担当するオンブズマンの力量への疑念を生じさせる」ことが「オンブズマン制度の適正な遂行に著しい支障を及ぼしている」事情の一つとして対象公文書が非公開になる事由になると主張しているということを「苦情申し立ての趣旨」に記載しなかった理由の説明を求めて苦情が申し立てられたケース。本件苦情が「オンブズマンの行為関する事項」についての苦情であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
⑪第2025-36号
就労継続支援B型の事業所の利用者が、事業所において多様な問題が生じているとして苦情が申し立てられたケース。申立人に本件苦情がオンブズマンの調査対象外となること及び所管課に情報提供することをメールで通知し取下げの扱いとした模様(申立人の取下げの意思の存否は公開された文書からは不明)。(担当オンブズマン:樋川恒一)
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