2021/02/17

2021年1月に調査を終了したケース

2021年2月1日、同年1月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、同年2月15日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2021年1月)に調査を終了したのは4件で、全4件で調査結果が通知されている。


このうち、特に興味深いのが、第2020−54号である。この案件では、通所サービスの事業所を利用していた申立人が、事業所職員の対応について市に不満を訴えたにもかかわらず、市が適切な対応をせず、市職員の対応もひどいものであるとして、苦情を申し立てた。

当初の事業所への不満が市の対応への苦情に転化して行ったのは、おそらく、”市が自分の味方になってくれるはず”と考えた申立人にとって、市が自分の思うような対応をしてくれないだけでなく、市職員から事実関係を確認するためにいろいろ尋ねられたことによって、あたかも自身が責められているという感情を抱くことになったためではないかと推察する。

このような場合、オンブズマンは、市職員の申立人への対応が適切であったかどうかという、”過去”についての判断に力点を置くよりも、これから市職員は何をできるのかという、”将来”へ向けての見解を示したうえで、市職員が業務を遂行する上で、事実関係を確認するためには申立人の協力が必要不可欠である旨、やさしく申立人に説いて聞かせるという「オンブズマン判断」が適切ではなかったかと考える。

この点、この案件の担当オンブズマンは、しばしば、市職員に「市民に寄り添った対応」を要請する判断を示していることからすると、当ブログ開設者は、今回のこのオンブズマンの判断は、「らしくない」という印象を抱いた次第である。今回の調査結果により、不満の対象がどんどん横滑りしていく申立人の不満が、今度はオンブズマンに向けられることになりはしないか懸念する。

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①第2020-54号
 申立人がかつて通所していた就労支援A型事業所に対し市が指導を行うことに要望したにもかかわらず指導がなされないばかりか、対応した市職員の一連の対応も納得できるものではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2020-58号
 申立人と別居し生活保護を受給している申立人の娘の転居に際し、移送費が支給されるに至るまでの市の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2020-61号
 真駒内駅前地区の土地利用再編について、地域の代表者等が意見を表明する「地域協議会」のメンバーの選出方法について、市に納得のできる説明を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

④第2020-63号
 市営住宅の入居者が家賃の減免決定を受けたことから、敷金についても減免前の金額で納付がなされるべきであり、実際に道営住宅には敷金減免の制度があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

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