2020/05/27

2020年4月に調査を終了したケース

2020年5月1日、同年4月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、同年5月15日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2020年4月)に調査を終了したのは15件で、このうち14軒が苦情申し立てに基づく調査、1件がオンブズマンの自己の発意による調査である。また、苦情申し立てに基づく調査のうち、11件で調査結果が通知され、残る3件は調査しない旨が通知され、調査が終了している。

ところで、調査しない旨が通知された3件は、いずれも房川樹芳オンブズマンの担当である。このうち、⑬第2020-2号は、札幌市における新型コロナへの対応に関する苦情(PCR検査を受けられなかったことが苦情の背景であろうか)、⑭第2020-5号は、庁舎敷地内での職員の喫煙についての苦情である。

そして、これらの案件の調査が実施されていれば、前者については、新型コロナ電話相談窓口での対応の実情、後者は、庁舎における喫煙管理の実態が明らかになったと思われるが、残念ながら、調査は実施されなかった(なお、平成27年度の活動状況報告書(27頁)には、「区体育館における受動喫煙の被害」という案件が掲載されている。したがって、市の管理下にある施設における喫煙に関する苦情について、オンブズマンが調査をすることに支障はないと思われる)

この点、当ブログ開設者としては、札幌市オンブズマン制度の存在意義の一つに、市の業務を市民向けに可視化する機能があると考えている。そして、札幌市オンブズマンの制度目的として、「市民の意向が的確に反映された市政運営に資すること」(札幌市オンブズマン条例1条)と規定されているが、担当の房川樹芳オンブズマンは、オンブズマン調査を通じて市の業務内容を市民向けに可視化するという「市民の意向」については、さほど重視していない模様である。

なお、オンブズマン調査における「市の回答」の意義を重視することは、「オンブズマン判断」の意義を相対的に低下させるものの、「市の回答」の内容は、オンブズマンが調査において、市にどのような照会を行うかに大きく左右されるものである。

したがって、「市の回答」の意義を重視したからといって、オンブズマンが果たすべき役割が軽減されるものではなく、むしろオンブズマンには、「この調査を通じて何を明らかにしようとしているか」を強く意識して、調査に臨むことが求められるであろう。新たに任用された原俊彦オンブズマンの取り組みに期待したい。

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①第2019−104号
 2018年9月の北海道胆振東部地震の災害義援金を申請したところ、申請期限を過ぎていたとして受付を拒否されたとして、受付拒否や申請期限設定の理由の説明等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2019-105号
 2019年2月に北海道胆振東部地震の災害義援金を申請しようとしたところ、受付を終了しているという説明を受けたが、受付の終了期日を変更して義援金を受け取れるようにしてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2019−107号
 生活保護を受給しているが、家族のところに転居するので保護を廃止してほしいと伝えたにもかかわらず、生活がきちんとするまで保護を廃止できないといわれたとして、保護の廃止を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

④第2019−108号
 子どもが市立中学校に新入生として入学することになったが、補助教材として購入を求められた情報機器が高額であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2019−109号
 母が入所する介護老人保健施設で転倒する事故が生じたが、市の担当課の施設に対する調査が不十分であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑥第2019−110号
 生活保護の受給者に対する資産調査が過酷であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑦第2019−111号
 生活保護課職員の電話対応や保護課訪問時の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑧第2019−112号
 生活保護を受給する申立人が、現在の住居は水漏れがするとして、転居費用の支給を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑨第2019−113号
 DV加害者にでっち上げられている件で男女共同参画室職員に面談したが、その際の職員の対応や言動について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑩第2019−118号
 公園内のテニスコート内の雪処理に関し、以前、オンブズマンに苦情申立をした際に、市は対応を約したにもかかわらず(第30-72号)、2020年3月になり、散歩道の雪が掘り返されていることから、市の対応についての説明を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑪第2019−121号
 車で市道を走行中、段差があったために車の前部が損傷したが、対応した職員の説明は到底納得できるものではないとして、車の修理代の支払いを求めるとともに、職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑫第2019−122号
 公文書一部公開決定に対する審査請求の裁決の内容に疑義があるとして、その内容について明確な説明を求めて苦情が申し立てられたケース。調査しない旨が通知され、調査が終了している。当ブログ開設者が申し立てた苦情である。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑬第2020−2号
 体調不良が新型コロナウイルスり患に由来する可能性があると考え、札幌市新型コロナウイルス一般電話相談窓口に電話連絡したところ、国の基準では検査の必要はないので、保健所から検査不要といわれた旨伝えて一般外来を受診するよう説明されたが、このような対応は感染を拡大するものであるとして、対応を改めることを求めて苦情が申し立てられたケース。医学的知見を持たないオンブズマンが検査の必要性について調査・判断をすることは相当でないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑭第2020−5号
 水道局営業所の駐車場で複数の職員が喫煙しているが、このような対応をどうにかしてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。勤務時間外の喫煙は市の機関の業務の執行に関するものではないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑮2019-発1号
 国民健康保険の被保険者証について、普通郵便による発送を原則とし、希望者に対してのみ簡易書留で発送している現在の対応について、オンブズマンが自己の発意により調査を行ったケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

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