2018/07/09

平成29年度活動状況報告書・非掲載案件リスト

先日、平成29年度札幌市オンブズマン活動状況報告書が公表された。この報告書には、オンブズマンが市民の苦情申し立てに基づいて調査した事例のうち40件(ほかにオンブズマンの発意に基づく調査1件)が掲載されている。

ところで、上記報告書には、オンブズマンが取り扱った事例のすべてが掲載されているわけではない。すなわち、平成29年度に札幌市オンブズマンに申し立てられた苦情は全82件のうち、調査結果を通知したものは67件となっている。したがって、上記報告書に掲載された40件(いずれも調査結果が通知された案件である)は、全苦情申し立ての約半数、調査結果を通知したものの6割弱ということになる。

これに対し、当ブログでは、オンブズマンが調査した全案件を紹介しているが、残念ながら、過去に遡って各事案の報告書に掲載の有無について、情報を追加することは行っていない。そこで、このエントリーでは、上記の平成29年度の活動状況報告書に掲載されなかった案件のリストを掲載することにした。

全体でみた場合にも生活保護に関する苦情が多いため(全19件)、非掲載案件に生活保護に関するものが多く含まれるのはやむを得ないとして、当ブログ開設者としては、オンブズマン事務局職員の対応に関する苦情が、軒並み掲載対象から除外されている点が興味深い。札幌市オンブズマンは公正さや中立性を欠く、身内に甘い隠匿体質を有する制度であるという批判を甘受する覚悟があるに違いない(なお、この点については、第29-42号の苦情申し立ての趣旨④を参照されたい)。

 (1)調査結果を通知したもの(27件)
第29-9号
 盗難にあった生活保護費の再支給が認められなかったこと、盗難に伴い支給された保険金が収入として認定されること、保険金が支給されたことを申告しなかったとして保護が停止されたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-13号
 転居に伴う保護費の支給について生活保護受給者から苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-20号
 区の保健福祉課で精神保健福祉相談員に相談しようとした際に対応した別の職員の対応及び後日、精神保健福祉相談員に電話した際の対応に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-21号
 他の部局の職員の対応について、職員部人事課の職員に苦情を述べるために訪れた際の人事課職員の対応が誠実とはいいがたいものであったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-22号
 これまで、さる体育振興会が管理していた小学校の体育館が使用できなくなったことから、市が振興会に対する調査を行うとともに、今後の改善点を示すことを求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-24号
 生活保護受給者が、未申告の預貯金について生活保護法63条に基づいて返還を求められたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-26号
 生活就労支援センター・ステップで就職相談をしてきた際の担当職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-32号
 申立人の子が利用するデイサービスの事業所において、その子が虐待を受けていることや事業所が不正を行っていることについて相談したが、市の調査はずさんなものであり、調査が終了した旨の連絡もなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-33号
 息子が通う中学校の部活における顧問の指導や日常の教科における指導に関し、学校及び教育委員会の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-35号
 申立人の子の訴訟において、市が提出した記録に事実に反する記録がなされていたほか、申立人の氏名という個人情報が黒塗りされていなかったことから第三者に個人情報が漏洩する可能性があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-38号
 生活保護受給者が、担当ケースワーカーから電話連絡があった際の対応が保護受給者を嘲笑するようなものであったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-40号
 中学校の給食の献立について、当該中学校に通う生徒から苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-41号
 障害を有する申立人が利用していた就労移行支援事業所において虐待を受けたとして、市の担当課に調査するよう申し入れたが、長期にわたり放置されたとして苦情が申し立てられたケース(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-42号
 オンブズマンによる「苦情等調査結果通知書(第28−58号)」の記載において、担当の職員が申立人に謝罪した旨の記載に疑義があることを契機として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-49号
 生活保護を受給する申立人が、担当ケースワーカーに住居や通院の相談をしても十分な対応を受けられないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-51号
 申立人の子が児童相談所に一時保護されたこと及び児童相談所職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-53号
 NPO法人が運営する宿泊施設に入居している申立人が、NPOに対する市の権限行使のあり方や申立人の相談に応じた市職員の対応について、苦情を申し立てたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-55号
 一般競争入札の対象である運搬業務において、市が積算した発注額は人件費や燃料費の高騰等の事情を考慮すると適正な価格とは思われないとして、発注額の増額を検討することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-58号
 申立人の父がデイサービス利用中に転倒したことに関し、市の担当課が当該施設に行った調査は「転倒した事実はない」という施設の主張を鵜呑みにするものであり、もっと厳しい姿勢で調査を行うべきであるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-62号
 住宅地近隣でキツネが営巣・徘徊していることにつき、市に捕獲等の対応を求めたが応じられないと回答されたことをはじめとする、市の一連の対応はエキノコックス対策として十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-70号
 生活保護の受給者が入院する医療機関から、当該受給者が退院後に介護保険を利用するための手続きや転居するにあたっての敷金支給の可否についての判断に時間がかかる等、市の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-71号
 過去、オンブズマンに苦情を申し立てた調査結果が申し立ての趣旨からかけ離れた的外れのものであることから、オンブズマン事務局に対し調査手法の改善を求めたが、オンブズマン事務局は積極的に改善しようとしないとして、そうしたオンブズマン事務局の対応及び調査手法の改善を求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-72号
 オンブズマン調査の2件の結果通知書における市の回答内容に齟齬があるとして、市に回答を求めたが適切な回答がなく、ようやく受けた口頭での回答も合理性を欠くとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-74号
 個人の国民健康保険料の未納分を窓口で支払ったにもかかわらず、納付を督促されることに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-76号
 生活保護受給開始前に入居したアパートの敷金が返金されたところ収入認定されたが、その際の取り扱いに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-77号
 固定資産税を滞納している申立人が、1回ごとの支払額の減額及び担当職員の交代を求めるとともに、差し押さえを受けた際に車のミラーを破損されことを不満として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-78号
 生活保護受給者が、担当ケースワーカーによる暴言や守秘義務違反を含む職員の一連の対応に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

(2)調査結果を通知しなかったもの(15件)
第29-3号
 生活保護受給者が転居により生じた大型ごみを処分する際、当該ごみ処分が一般廃棄物の処理としては適法になされていないにもかかわらず、市が当該ごみ処分の費用を支出しているとして、苦情申立てがなされたケース。当該苦情申立てにつき、申立人に利害関係がないとして、調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-6号
 (ア)職員が生活保護受給者に対し、年金受給について問い合わせた際の対応が威圧的であったこと、(イ)自宅アパートでガス漏れ事故が生じた際に現場を訪問した消防局職員が居住者である申立人に対し状況説明をしなかったこと、(ウ)本件苦情を申し立てる際に受け付けた職員が専門用語を知らなかったことついて、苦情申立てがなされたケース。
 当該苦情申立てにつき、(ア)(イ)については、すでに同趣旨の苦情申立てに対する調査が終了していること、(ウ)については、申立人に利害関係がないとして、調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-14号
 市長宛の手紙に対する市の回答文書が訴えた内容に対応していないとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情は、オンブズマンによる調査がすでに実施されているとして、調査をしない旨が通知されている。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-16号
 何某かの給付金が本来支給される期日に支給されなかったとして、苦情が申し立てられたケース。本件苦情がオンブズマンの所轄事項に該当しないとして、調査をしない旨が通知されている。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-31号
 生活保護受給者が、転居に伴い大家から水回り清掃料等の支払いを求められたところ、当該金額について保護費として支給することはできないという説明を受けたことについて苦情が申し立てられたが、オンブズマンの判断に強制力がない旨を説明したところ、申立てが取り下げれらたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-34号
 特定口座の分離課税に関し、平成29年度の税制改正による、納税通知書の送達前に住民税申告書を市税事務所に提出することにより、特定口座の配当・譲渡所得がなかったものとして取り扱うという扱いに苦情が申し立てられたケース。
 税制改正はオンブズマンの調査対象に該当せず、住民税の算出方法については第29-19号により調査を終了しているとして、申立人には苦情について調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-39号
 消防団在団中に支払った金員の返還を求めたが未だ返還されないとして、苦情が申し立てられたケース。なお、当該金員は消防団員を会員とする私的団体の親睦会費であり、その取り扱いは市の機関の業務の執行に該当しないとして、調査が中止された。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-43号
 市から公園管理に関する規程がもらえないという苦情申立てについて、取り下げられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-44号
 苦情申立ての趣旨の主張部分が非公開とされたため、その趣旨を判読できないケース。なお、調査については、「調査することが相当でない特別の事情がある」(札幌市オンブズマン条例16条2項)として、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:房川樹芳)
第29-45号
 生活保護を受給している申立人が、申立人が保護課職員の電話対応について不快な思いをしたことを担当ケースワーカーに伝えたことが複数回あったところ、担当ケースワーカーからはそのたびに、「広聴課には絶対に訴えないでほしい」と要望されたとして、苦情が申し立てらたケース。調査は申立人が苦情を取り下げたことにより終了している。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-56号
 申立人の子が児童相談所に一時保護された後、2か月も連絡もないまま放置されたことについての苦情が、一時保護について不服申し立て中であることを理由として、オンブズマンの所轄外事項であるとして調査が行われなかったケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-66号
 通所していた事業所でのトラブルを契機に北海道社会福祉協議会に設置された苦情窓口の北海道福祉サービス運営適正化委員会に苦情を申し出たが、事業所から送られてきた回答は事実に反することから、その職員が事業所の所長との話し合いの席に同席していた札幌市保健福祉局から事業所の対応について、踏み込んだ調査をしてほしいとして苦情が申し立てられたケース。
 北海道福祉サービス運営適正化委員会は札幌市の機関ではなく、札幌市保健福祉局が申立人と事業所の所長との話し合いに同席していたことが申立人の不利益や権利の侵害にも関係していないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-67号
 生活保護受給者が、平成23年に交付された指示(指導書)の撤回を求めて苦情を申し立てたところ、当該指示(指導書)の交付からすでに1年を経過しているとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:岩田雅子)
第29-69号
 申立人の親族が高齢者虐待防止法及び老人福祉法に基づいて一時保護されたことに関し、審判手続や一時保護の期間が明示されることがないまま行われたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情」(札幌市オンブズマン条例16条2項)があるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:杉岡直人)
第29-75号
 以前通っていた福祉事業所に対し、市が平成28年に4回ほど行った調査がどのようなものであったかの調査を求めて苦情が申し立てられたが、すでに市の調査から1年以上が経過しており調査対象外であることを説明したところ、苦情が取り下げられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

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