2025/10/06

このブログの読み方

札幌市オンブズマンによる調査内容を紹介するこのブログ、平成28年(2016年)4月以降に調査を終了した案件を紹介しているが、本ブログの開設者としては、このような作業には、主として以下の3つの意義があると考えている。

(1)オンブズマン「活動状況報告書」に掲載されない案件を紹介する
(2)オンブズマン「活動状況報告書」に掲載されない「市の回答」部分を紹介する
(3)「活動状況報告書」が発行されるよりも早くオンブズマン調査の内容を紹介する

以上を目的として、各月ごとに、調査を終了した案件を紹介するエントリーを作成してきた(なお、ブログ開設の意図については、「札幌市オンブズマン観察記はじめます」において、より詳しく説明している)。

しかしながら、このような紹介方法ではインデックス機能が弱く、同種の内容の苦情調査であっても、その終了月が異なる場合には両者を比較するのは困難であった。そこで、各年度に終了した調査を分野別に分類するエントリーを作成したものの、こうしたエントリーもまた、各月ごとのエントリーに埋没することが懸念されるところである。

以上のことから、このエントリーでは、これまで作成したエントリーを類型別に整理することで、読者の利便性を高めることを試みる。

各リンク先では、苦情の概要を紹介し、調査結果通知書等の全文のpdfファイルのリンクを張り付けてある。また、各月ごとに調査を終了した案件を紹介するエントリーにおいては、調査結果通知書等の1枚目の画像データも掲載してある。

読者諸氏においては、本ブログで紹介するデータを通じ、札幌市オンブズマンの活動状況を「観察」していただきたい。

〇オンブズマン調査の分野別分類
 平成29年度(2017年度)終了分
 平成28年度(2016年度)終了分

〇オンブズマン調査の調査終了時期別リスト
・2025年度
 4月5月6月7月、8月、9月、10月、11月、12月、1月、2月、3月
・2024年度
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
・2023年度
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
・2022年度
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
・2021年度
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
・2020年度
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
・2019年度
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
・平成30年度(2018年度)
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
・平成29年度(2017年度)
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月
・平成28年度(2016年度)
 4月5月6月7月8月9月10月11月12月1月2月3月

〇オンブズマン調査の処理日数の状況

 ・年度別
  2022年度まで(最新版)

2025/10/05

2025年7月に処理を終了した案件

 2025年8月1日、同年7月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期間延長のうえ、同年9月12日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2025年7月)に処理を完了したのは11件で、このうち4件で調査結果が通知された。また、残る7件のうち、6件については苦情について調査しない旨が通知され、1件については苦情申立てが取り下げられた。

今回公開を受けた案件のうち、第2025-32号は当ブログ開設者が申し立てた案件である(以下、「本件苦情」という)。本件苦情の申し立ての趣旨は、当ブログ開設者が過去に申し立てた案件(第2024-97号、以下「第一案件」という。)において、調査担当オンブズマンの梶井祥子が申立ての一部を調査対象にしなかったことの説明を求めるものである。

そして、第一案件をふまえ、札幌市オンブズマンの調査に関する文書についての公文書公開請求への対処のあり方についての苦情申立て(第2025-13号、以下、「第二案件」という。)を経て、本件苦情の申立てに至った。

当ブログ開設者も、よくぞここまで「くどく」苦情申立てをしたものであるが、当ブログ開設者による「三部作」とでも呼ぶべき一連の申立てには、一定の意義があったと考えている。おそらくオンブズマンにとっては、担当した調査の問題点を指摘する申立人がいるという事実は「不都合な真実」らしい、ということを強く推測させるからである。

まず、「三部作」に関する事実の経緯を確認しておく(なお、以下は「三部作」に関連する論点についての記述である。それぞれの案件独自の苦情については省略)。第一案件における当ブログ開設者の苦情申立ては、①札幌市オンブズマンの調査に関する文書の公文書公開請求に対し担当部局が複数回にわたり「非公開情報」とされたはずの情報を誤って公開するともに、②オンブズマンの調査結果を記録した文書を公開することで調査を担当するオンブズマンの力量への疑念も生じさせる結果を招いていることから、今後も引き続きオンブズマンの調査結果を公開するのであれば、オンブズマン制度の適正な遂行に著しい支障を及ぼすことはない(すなわち、非公開事由に該当しない)ということの説明を求めるものであった。

これに対し、第一案件の調査担当オンブズマンの梶井祥子は、②については「苦情申し立ての趣旨」に記することなく、①についても、担当部局が複数回にわたって誤って非公開情報を公開した事情について何ら言及することなく、市の業務に不備はないと結論づけた。

そこで、当ブログ開設者は、札幌市オンブズマンの調査結果に対する情報公開請求に応じることは、①市民が自ら苦情を申し立てたことについて他人に知られない利害を毀損する可能性があるとともに、②(オンブズマンの調査結果が貧弱で)市民の期待を大きく裏切る内容であることが詳らかになるものであり、「公にすることにより、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」ものであるとして、札幌市オンブズマンの調査結果等に対する情報公開請求に対する現行の運用を改めることを求めて苦情を申し立てた(第2025-13号、以下「第二案件」という)。

この第二案件の調査を担当したのが、本件苦情の調査も担当したオンブズマン神谷奈保子である。調査担当オンブズマン神谷奈保子は、第二案件は第一案件案件の「一部」と同様の趣旨であり、第一案件ではすでに調査担当オンブズマンの梶井祥子が判断を述べているとして、調査しないと判断した(なお、「一部」が同様の趣旨ならば、残りの部分は異なった趣旨になるはずであるが、残りの部分の調査を実施しない理由は不明である)。

第二案件においても、当ブログ開設者の主張、すなわち、オンブズマンの調査結果はオンブズマンの力量に疑念を生じさせる(第一案件)、あるいは、調査結果が貧弱で市民の期待を裏切るものである(第二案件)ことから、それを公開することは「事務または事業の遂行に支障を及ぼすおそれがある」と主張している点については、何ら顧慮されることはなかった。

そこで、改めて当ブログ開設者が申し立てたのが、本件第2025-32号である(第一案件において、苦情申し立ての一部が「苦情申し立ての趣旨」に記載されなかったことの説明を求める苦情申立てである)。調査担当オンブズマンの神谷奈保子は、第一案件に対する苦情は「オンブズマンの行為」に対する苦情に該当するという理由で、調査しないと判断した。

以上が、「三部作」の経緯である。当ブログ開設者は、これらの一連の苦情申し立てに成果はあったと考えている。すなわち、「オンブズマン調査の問題点」を指摘する市民がいるということ自体、オンブズマンにとって「不都合な真実」であると強く推測させる結果になったからである。そうでなければ、第一案件において、本件ブログ開設者が主張する「オンブズマン調査の問題点」が「苦情申し立ての趣旨」に記載することを忌避されることにはならなかったであろう。

しかしながら、当ブログ開設者が主張する「オンブズマン調査の問題点」を「苦情申し立ての趣旨」に記載しないことで、その点がオンブズマンにとっての「不都合な真実」であると、当ブログ開設者に「丸わかり」になったと考えている。そうであるならば、調査担当のオンブズマンとしては、当ブログ開設者の主張は主張として聞きおいて、オンブズマン制度で対応可能な部分を調査で取り扱うのが賢明になると当ブログ開設者は考えている。当ブログ開設者が何を主張しようと、オンブズマンにとっては「への河童」というスタンスをとるべきではないか、ということである。

それでは、調査担当オンブズマンにとって、何が「不都合な真実」であったのだろうか。以下に「三部作」における当ブログ開設者の主張のうち、調査担当オンブズマンが「苦情申し立ての趣旨」に記載しなかった内容を記載する。

なお、一点だけ補足しておくと、第一案件の担当オンブズマン(第2024-97号)のみならず、本件苦情(第2025-32号)の担当オンブズマンも、当ブログ開設者の主張(の一部)を本件苦情の「苦情申立ての趣旨」に記載していない。その一方で、同旨の主張は第二案件(第2025-13号)の「苦情申立ての趣旨」に記載されている

(第一案件・第2024-97号)
「また、オンブズマンの調査結果を記録した文書を公開することは、調査を担当するオンブズマンの力量への疑念も生じさせる結果を招いている。すなわち、2025年2月で任期を満了した田村智幸オンブズマンは、担当した案件でたびたび『法令上の根拠が見当たらない』という趣旨の見解を披瀝することで(第2022-74号第2023-6号および第2023-発1号など)、弁護士の肩書を有する割に条文を読むこともままならないことが明らかになった。

のみならず、田村智幸オンブズマンは札幌市電の料金についての苦情である第2022-44号第2022-87号で約款と異なった取扱いについてのダブルスタンダードを容認した。しかし、後者で約款改定の必要性を指摘しておけば、2024年12月の約款改定は『オンブズマン制度における改善事例』となったと思われるのだが、みすみすその機会を取り逃がすことになった。」

(本件・第2025-32号)
「この点、2025年5月19日付の苦情について調査しない旨の通知書(第2025-13号)においては、苦情申立ての趣旨において、『2025年2月で任期を満了した田村智幸オンブズマンは、担当した案件でたびたび『法令上の根拠が見当たらない』という趣旨の見解を披瀝しているが(第2022-74号、第2023-6号および第2023-発1号など)、弁護士の肩書を有する田村智幸オンブズマンといえども法律の条文を満足に読むこともできないようである。

のみならず、田村智幸オンブズマンは札幌市電の料金についての苦情である第2022-44号では約款と異なった取扱いができないとする一方で、2022-87号の調査においては約款と異なる取扱いを容認しており、その判断は『ダブルスタンダード』であるといわざるを得ない。』という、先行苦情において本件苦情申立人が主張したのとほぼ同趣旨の内容が記載されている。」

・・・おわかりであろうか。本件調査を担当した神谷奈保子は、第一案件の担当オンブズマンが苦情申し立ての趣旨に記載されたなかった田村智幸オンブズマンの調査の問題点について、本件苦情においても記載しなかったが、第二案件の苦情申し立ての趣旨には同内容の記載していたのである。だからこそ、当ブログ開設者は、第一案件において「オンブズマン調査の問題点」が記載されなかった理由の説明を求めて、本件苦情を申し立ててたのであるが、第二案件とは一転、本件苦情においては、第二案件の苦情申し立ての趣旨に記載されていた「オンブズマン調査の問題点」が記載されなかったのである。

つまり、当ブログ開設者は、第一案件と第二案件で取り扱いに差が生じているからこそ、本件苦情において、第一案件で「苦情申し立ての趣旨」に「オンブズマン調査の問題点」を記載していない理由の説明を求めたわけである。

しかしながら、本件調査担当の神谷奈保子にとっては、第二案件の苦情申し立ての趣旨に(当ブログ開設者が主張する)「田村智幸オンブズマンの調査の問題点」を記載したこと自体がまた、「不都合な真実」なのだろう。ある意味、同旨の主張が第二案件の「苦情申立ての趣旨」に記載されたのは、当ブログ開設者の「作戦勝ち」かもしれない。

以上、くどくどと書いてきたが、札幌市オンブズマンにとっては、調査においてどのような論点を取り扱うか、また、その前提として「苦情申し立ての趣旨」をどのように取りまとめるかについては、広い裁量があると考えているらしいことが当ブログ開設者が申し立てた「三部作」からうかがわれる。

その一方で、今回公開を受けた案件には、申立人の苦情が「簡易迅速に処理する役割が求められている」オンブズマン「の役割を超えていることは明らか」であるとして(第2025-28号第2025-29号)、調査しない旨が通知されたものもある。

いずれの案件も調査担当オンブズマンは梶井祥子であるが、市職員の行為が刑法や憲法に抵触していると主張しているという申立人の主張を忠実になぞったうえで、違法性、違憲性「等があることの前提となる詳細な事情を認定する必要が必要」という見解を示されている。

しかしながら、前述の「三部作」へのオンブズマンの対応を前提とするならば、オンブズマンがどのような論点を調査対象とするかについては裁量が認められるはずである。したがって、申立人の主張を忠実になぞることをせずに、オンブズマンがその所轄事項の範囲内について看過できない点を調査することはなんら妨げられるものではなく、それはむしろ「市政の改善」に資すると思われる。

また、「簡易迅速に処理する」ことについても、札幌市オンブズマン条例19条3項は、オンブズマンが特に必要があると認めるときは専門的機関に調査、鑑定、分析等を依頼することができる旨を規定している。したがって、依頼先の専門機関の見解を求める時間をかけることは制度上予定されているのであり、札幌市オンブズマンの手がける調査の簡易迅速性は、必ずしも至上命題ではない。上記の案件においても、オンブズマンが忌避した「違法性」「違憲性」の判断について、専門的機関の見解を求めることも許されるであろう。

以上の次第で、上記2件のおける梶井祥子の「調査しない」という判断は、結論ありきの判断で、論理的妥当性を欠くと当ブログ開設者は考えている。とくに、「申立人の主張に忠実」に調査を組み立てた場合、市の対応に重大な問題があったとしても、その点を申立人が苦情化していない場合には調査対象とならないことになる。

ところが、札幌市オンブズマンは、「市政の改善」を目的の一つとして掲げているわけである。であるならば、申立人が明確に苦情化していない点についてもオンブズマンが調査対象とすることは、オンブズマンの「裁量」として是認することができると当ブログ開設者は考えている。あとは担当オンブズマンの「やる気」(と能力)次第である。

-------------------------------------------------------------------------------------------------

①第2025-19号
 生活保護を受給する申立人が、いまだ支払いを受けていない示談金の収入認定の取り扱いをはじめとして、担当ケースワーカーの対応が高圧的で適切な対応をしてもらえないことから、副担当をつけるなどの対応をしてもらいたいとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

②第2025-20号
 NPO法人の役員変更の届出をした際に添付した住民票に個人番号の記載があったことを理由として不受理になったことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

③第2025-25号
 IC敬老優待乗車証の利用者の遺族が、当該乗車証を紛失した場合には支払い済みの利用者負担金の返還を受けられないことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2025-26号
 同時期に納付額が異なる国民健康保険の納付通知書が届いたため担当課に問い合わせたが、2通届いたことに対する謝罪や訂正がなされずなかったことから、その対応に納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑤第2025-27号
 生活保護を受給する申立人が、現在居住する区とは別の区への転居を考え当該別の区の担当課に連絡したところ、対応した職員の対応が電話と訪問時で全く変わるなど誠実さに欠けるとして苦情が申し立てられたケース。「市の業務に不備があるかどうかについて、具体的な挙証もなく」、「市の職員の対応により、何らかの不利益を受けたことについても言及が(ない)」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑥第2025-28号
 申立人が苦情を申し立てた別件第2025-14号の調査は不十分であるとともに、家庭訪問時の担当職員の対応が適切さを欠くものであったとして苦情が申し立てられたケース。すでに調査を行った事項については再度調査を行わず、申立人が主張する担当職員の行為の違法性については簡易迅速を旨とするオンブズマンの制度の役割を超えるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑦第2025-29号
 別件(おそらく前記第2025-28号)で生活保護担当課職員の対応について苦情を申し立てている申立人が、年金を受給しなが生活保護を受給していることに関して、担当職員とは別に担当係長の対応についてもその言動に問題があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑧第2025-30号
 申立人が2025年の3~4月の担当ケースワーカーは生意気で、対応がハラスメントめいたものであったとして苦情が申し立てられたケース。担当職員の具体的な言動が記載されておらず、調査の手掛かりとなる事実が読み取れないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑨第2025-31号
 市民自治推進室を訪問した際、職員に取り囲まれ協約されたうえ、警察官を呼ばれたとして苦情が申し立てられたケース。申立人はオンブズマンとの面談を希望しているところ、現状、面談が困難になったとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:樋川恒一)

⑩第2025-32号
 申立人が過去に申し立てた苦情(第2024-97号)において、調査担当オンブズマンが申立人が主張している以下の事情、すなわち、「オンブズマンの調査結果を記録した文書を公開することで調査を担当するオンブズマンの力量への疑念を生じさせる」ことが「オンブズマン制度の適正な遂行に著しい支障を及ぼしている」事情の一つとして対象公文書が非公開になる事由になると主張しているということを「苦情申し立ての趣旨」に記載しなかった理由の説明を求めて苦情が申し立てられたケース。本件苦情が「オンブズマンの行為関する事項」についての苦情であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑪第2025-36号
 就労継続支援B型の事業所の利用者が、事業所において多様な問題が生じているとして苦情が申し立てられたケース。申立人に本件苦情がオンブズマンの調査対象外となること及び所管課に情報提供することをメールで通知し取下げの扱いとした模様(申立人の取下げの意思の存否は公開された文書からは不明)。(担当オンブズマン:樋川恒一)

2025/09/15

2025年6月に処理を終了した案件

 2025年7月1日、同年6月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期間延長のうえ、同年8月14日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2025年6月)に処理を完了したのは10件で、このうち6件で調査結果が通知された。また、残る4件のうち、1件については苦情について調査しない旨が通知され、3件については苦情申立てが取り下げられた(なお、そのうちの1件は、調査実施通知後の取り下げのため「調査中止」が対象部局あてに通知されている)。

今回もまた、公開を受けた案件のうち当ブログ開設者が興味を覚えたいくつかについて、簡単に紹介したい。

まず、第2025-15号である。この案件は、生活保護制度が通達に基づいて運用されていることについて、調査担当の樋川恒一オンブズマンがかなり慎重に言及している点が興味深い。

この案件は、不動産を賃貸する申立人が、賃借人が入院するとともに生活保護を受給することになったものの、入院したために住宅扶助費が支給されないということを前提として(さらに、賃借人が明け渡しする見込みもない)、賃借人の家財道具の処分についての担当課の説明や市の成年後見の申立ての手続きについて、苦情が申し立てられた事案である。

樋川オンブズマンは、「生活保護法に基づく生活保護の実施に係る事務は、地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務です。実施機関である市の当該事務は、法及びこれに基づく政省令のほか、法定受託事務の処理基準として国から示されている諸通知に基づいて行われ」るとして、「上記局長通知に基づき、住宅費の認定をしなかった市の対応には問題はない」と判断した。このように、市の生活保護行政が通達に基づくことの法令上の根拠について、言及したわけである。

これに対し、第2025-5号は、生活保護受給者が通院移送費の支給がされないこと等について、苦情が申し立てられた案件である。調査を担当したオンブズマン梶井祥子は、通院移送費の遡及支給が可能な期間について、「この点については、オンブズマンも法令の規定を確認しました」と明言している。

しかし、肝心の法令の規定は当該苦情等調査結果通知書には引用されていない。そのため、当ブログ開設者は、担当オンブズマンの梶井祥子は、市の回答に記載された「通達」を「法令」と呼称したのではないか、と考えている。つまり、調査担当の梶井祥子は、何が「法令」であるかという認識を欠いているのではないか、ということである(法令と通達の関係については、前述の樋川恒一オンブズマンの判断を参照されたい)。

この点、担当オンブズマンの梶井祥子は、別件において、「保護の停止」が何を意味するか理解していないことが露見したのは記憶に新しい(第2024-85号。くわしくはこのエントリーで)。「用語」の使い方に厳密さを欠くことは、調査対象となった前提事実や制度について、適切な理解を欠いていることを推測させる。

ところで、本件で問題となった通院移送費の遡及支給の範囲について法令上の根拠を示すとすれば、生活保護法61条が、被保護者が生計の状況に変動があったときは「すみやか」に届け出ることを義務づけていることが指摘できるであろう。そして、通達において、遡及支給するのは3か月という事務処理の基準を示すことによって、「すみやか」な届け出として取り扱う範囲が示されているわけである。

また、生活保護が「その困窮の程度に応じ、必要な保護」を行う制度であり(生活保護法1条)、現実に生じている貧困状態の救済が目的であることからすると、(申請から支給開始までタイムラグがある)保護開始時などを別にすれば、過去に遡及して保護を支給する必要性は認められないのが制度の建前であると思われる。

このほか、興味深いのが第2025-11号である。この案件では、申立人が公文書公開請求を行っていることについて、高校の教職員が申立人の同居の親族に伝えたことが情報の漏洩であるとして苦情が申し立てられた案件である。

当ブログ開設者は、申立人がPTA加入に否定的見解を示していることと、申立人がPTA加入に関連する公文書公開請求を行っていることには論理必然的関係はなく、申立人が公文書公開請求を行っていることについて、高校の教職員が申立人の同居の親族に伝えたことは、個人情報の保護に関する法律69条1項に反する「利用目的以外の目的」のための保有個人情報の提供であると考えている(なお、ここで想定している「個人情報」は、申立人が公文書公開請求を行っている、という事実そのものである)。

この点、市は、「既にその情報を知っている人に対して、当該保有個人情報を伝えることは保有個人情報の漏えいには該当しない」と説明するが、問われるべきは、個人情報の提供が「法令に基づく」か、あるいは「利用目的」のための提供であるかである。したがって、提供先がその情報を知っているか否かは結果論に過ぎず、たとえ提供先が予め知っている情報であっても、利用目的以外の目的での提供が許されないことは明らかであろう。

また、本件における公文書公開請求の対象は、当該学校におけるPTA加入状況等についての公文書である。そして、申立人は学校に対しPTA脱退の意思を表明する一方で、申立人の同居の親族はPTA加入の意思を表明しているわけである。こうした場合、学校は申立人と同居の親族の間の「PTA加入意思」の齟齬を解消すれば足りるのであって、申立人が「公文書公開請求」を行っていることを同居の親族に明らかにする必要はない。

さらに、本件苦情において問題となっている申立人の「個人情報」は、申立人が公文書公開請求を行っているという事実である。この場合の「個人情報」は、担当部局が公文書公開請求に対応するために利用されるものであり、利用目的もその点に限られる。したがって、申立人世帯のPTA加入意思を確認するためであったとしても、申立人の同居の親族に当該個人情報を「提供」することは、その利用目的を逸脱すると当ブログ開設者は考えている。

ところが、この案件の担当オンブズマン神谷奈保子は、こうした問題意識を欠いたようである。その判断は、市の回答を「鵜呑み」にするだけであった。当ブログ開設者としては、オンブズマンが札幌市の情報公開の制度に精通すべく、公文書公開請求を実践することを推奨したい。また、そうした請求をしたとしても、その事実は「個人情報」として保護されるはずである。

「簡単に紹介」するはずが、すでにだいぶ長くなった。最後に、他の案件における「興味深い」論点のみ紹介する。いずれも生活保護の関する事案であるが、第2025-4号は、遺産を相続した場合の医療扶助受給額の返還、第2025-14号は、医療扶助の受給とマイナンバーカードの取り扱いという興味深い論点を取り扱った案件である。

-------------------------------------------------------------------------------------------------

①第2025-4号
 生活保護を受給する申立人が遺産を相続することにともない、医療扶助の自己負担額の取り扱いを担当ケースワーカーなどに相談したにもかかわらず、適切な対応がなされなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

②第2025-5号
 生活保護の受給者が、転居費用の支給を申請させてもらえなかったことや、支給を申請した通院移送費が不支給になったことなど、生活保護担当課職員の一連の対応が不適切であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

③第2025-11号
 申立人は(おそらく申立人の子が通う)高校のPTAの加入状況等の公文書公開請求を行ったことについて、高校が申立人の許可なく申立人の同一世帯構成員に伝えたことが札幌市情報公開条例に反しているとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2025-14号
 医療扶助を受給する生活保護受給者が、返還すべき医療費の支払方法が「保護変更決定通知書」に記載されていなかったことおよび医療扶助の受給者も医療機関でマイナンバーカードを提示する取扱いを説明するビラの記載内容について問い合わせた際の担当職員の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑤第2025-15号
 不動産賃貸業を営む申立人が、賃貸住宅の居住者が入院後生活保護の受給を開始したところ、家賃相当額が保護費として支払われない一方で家財は居室に残されたままであるために保護課の対応を求めるとともに、市長による当該居住者の成年後見の申立ても手続きが進んでいないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

⑥第2025-17号
 確定申告後に更正の請求を行った申立人が納税額の確定後に納付したところ、延滞金を請求されたとして延滞金の免除を求めて苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申し立ての取り下げにより、調査が中止された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑦第2025-18号
 市内の特定の地域の町内会をベースとする団体で不正経理が行われているとして、オンブズマンによる調査を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑧第2025-21号
 市の医療費助成の申請に必要な病院の証明書発行費用が他の病院に比べて高額であるとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマン調査の対象を説明したところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑨第2025-23号
 生活保護の受給開始手続きに付き添いで来庁した際、補任が印鑑を陣しなかったことに関する職員の対応が硬直的であるとして苦情が申し立てられたケース。今後の改善の参考にしてほしいとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑩第2025-24号
 生活保護を受給する申立人が、担当ケースワーカーの収入認定の説明をはじめとする一連の対応に不満を抱き苦情が申し立てられたケース。すでに同趣旨の苦情が申し立てられ現在調査中であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

2025/07/31

2024年度(令和6年度)活動状況報告書・非掲載案件リスト

札幌市オンブズマンは、毎年、活動状況を公表することが義務付けられている(札幌市オンブズマン条例27条1項)ところ、先日、2024年度(令和6年度)(以下、「2024年度」と表記する)の活動状況報告書が公表された。当ブログでは例年、活動状況報告書が公表されるたび、「非掲載案件」のリストを公表してきた。そこで、2024年度の活動状況報告書についても「非掲載案件」を紹介する(注1)。

当該活動状況報告書によると、2024年度に市民から札幌市オンブズマンに申し立てられた苦情は98件で、68件で調査結果が通知された。このうち、活動状況報告書には32件が掲載され、36件が非掲載となった。調査結果が通知された案件のうち、半数弱が活動状況報告書に掲載されたことになる。また、調査結果が通知されることなく調査が終了した30件は全件非掲載である(注2)。

ところで、2024年度の活動状況報告書の特徴の一つとして、学校教育に関連する苦情が全く掲載されなかったことが指摘できると思われる。この点、市民が市職員から「クレーマー」と決めつけられたとか、「カスハラ」と決めつけられといった苦情については、活動状況報告書に掲載されている一方で、学校や教育委員会に対し過剰なまでに再三にわたり対応を求めている(いわゆる「モンスターペアレンツ」ではないかと思われる)案件を掲載することは意識的に避けられているように感じられた。

このような取り扱いの差は、「モンスターペアレンツ」についてはすでに社会的に認知される一方で「カスタマーハラスメント」については新たな課題として認識された、あるいは、市民からの要望に行政が対応に苦慮する点には共通性があり別異に取り扱う必要性は低い、という判断があるのかもしれない。

しかしながら、「クレーマー」や「カスハラ」は基本的に市民対行政という「二面関係」の事例であるのに対し、学校教育の場合には、親-子-学校(教委)という三面関係(四面関係)が成立する点で二面関係の事例とは異なる独自性がある。そのため、当ブログ開設者は活動状況報告書に掲載するべき事例であろうと考えている(なぜ、うちの事例を活動状況報告書に掲載したと詰問されるリスクは「クレーマー」とされた事例も同様であろう)。

なお、2024年度は、オンブズマンの発意に基づく調査の実施件数は1件で、活動状況報告書に58頁以下に調査内容が掲載されている。「対人コミュニケーションスキルの育成」という調査であるが、当ブログ開設者は市職員のコミュニケーションスキルよりも、オンブズマンの調査スキルの向上こそ、喫緊の課題であると考えている。

(注1)当ブログ開設者は、オンブズマン調査は全件公表を原則とするべきであると考えている。全件公表がオンブズマンに調査の質の確保を動機づけるとともに、オンブズマン調査に飽き足らない市民に対しては自ら行動する契機となりうると考えるからである。この点、札幌市よりも遅れて自治体オンブズマン制度を設けた熊本市では、全件・全文の公開を原則とした運用がなされている。

(注2)2023年度(令和5年度)は、苦情申立件数全71件中、調査結果を通知した案件が57件であった。このうち、34件が活動状況報告書に掲載され、23件が非掲載となった(掲載率は約60%)。2024年度は、苦情申立件数が前年から27件増加したため(全71件→全98件)、調査結果が通知された案件の件数も増加した(全57件→全68件)。ただし、調査結果が通知された案件の割合は若干低下している(80.3%→69.4%)。また、活動状況報告書に掲載された件数は、前年から若干減少した(34件→32件)。なお、調査結果を通知しなかった案件は前年からほぼ倍増し(全14件→全30件)、苦情申立て件数に占める割合は上昇している(19.7%→30.6%)。

(1) 調査結果を通知したもの(36件)
第2024-3号
 申立人の子が通う学校において他の児童に対し教員による不適切な指導が行われており、申立人の子も心理的に負担に感じているようであるとして、そうした教員の指導の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-4号
 申立人の子が通っていた学校において、申立人の子を含む子どもたちに対し複数の教員から不適切な指導が行われていたとして、そうした教員たちの指導の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-5号
 申立人の子どもたちが通っていた学校では他の子どもに対し教員から不適切な指導がなされ、申立人自身も教員から嫌がらせを受け体調を崩すこともあるなど、当該学校では教員による不適切な指導がなされているとして改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-8号
 申立人が障がい福祉課を訪問した際に対応した職員や他の職員が申立人に向けた対応が不愉快であったり、馬鹿にされた気分になったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-9号
 申立人が職員部人事課を訪問した際に上席の職員と話をしたいと要望したが拒否されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-14号
 申立人の子が通う学校において、担任が子の性格や特性に対応した適切な指導をしていないことに不満を覚え教育委員会に対応を求めたにもかかわらず、教育委員会が十分な調査を実施しないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-17号
 生活保護を受給する申立人が同居していた家族が特別養護老人ホームに入居したため、担当ケースワーカーに様子を見てきてほしいと依頼し、訪問予定だと聞いていたにも関わらず、未だ訪問していないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-18号
 市営住宅に入居する申立人が階下から犬の鳴き声がして騒々しいことを住宅管理公社および市住宅課に相談しても解決しないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-27号
 生活保護受給者が資産調査の資料提出のため担当係を訪問した際の担当ケースワーカーの対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-28号
 生活保護を受給している申立人が長期にわたり家庭訪問がなされず、訪問された際にも極めて短時間で不十分であったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-31号
 生活保護受給者が入金された保護費の金額が当初聞いていた金額が違ったことをはじめとして保護下の担当職員の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-33号
 生活保護受給者が意に反してジェネリック医薬品の使用を強制されることや、夜間の家庭訪問に応じてもらえないことについて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-35号
 生活保護を担当する職員による物品授受行為が懲戒事由に該当するとして担当部局に情報提供したにもかかわらず、当該職員に対する処分内容等について教えてもらえないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-36号
 生活保護を受給している申立人が職員による物品受領行為や窓口での対応に不満を覚えるとともに、その旨を上司に伝えても適切な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-37号
 生活保護を受給している申立人がエアコンの設置を申請が却下されたとして、設置申請を認めるよう求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-40号
 グループホームに入居していた申立人が転居に際しグループホームから支給された立退料を収入認定する際の取り扱いや転居費用の支給等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-42号
 生活保護の受給開始時に面談した職員の対応及び面談を実施した場所の設定等が不適切であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-49号
 生活保護受給者が担当ケースワーカーが配慮に欠ける対応をするとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-52号
 所得制限のため支給停止となっていた児童手当を再度受給するには申請が必要であるということであるが、申請が必要である旨の案内が不十分であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-57号
 スポットクーラーの購入費用を保護費として支給することを検討しないという保護下の説明に納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-61号
 申立人の子が通う学校で使用する教材(情報通信端末と思われる)に不具合が生じたところ、特定の業者からの購入を強要する等、学校及び教育委員会の対応に問題があるとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:神谷菜保子)
第2024-66号
 申立人は生活保護を受給する親族に所有する住宅を貸与し親族が受給する保護費から賃料名義で貸与した金銭の返還を受けているところ、申立人の関知しないところで保護課が当該親族の転居を進めたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-69号
 中学校に通う申立人を含む複数の生徒の行為が被害生徒に対する「いじめ」と認定されたが、申立人のみが当該被害生徒への「謝罪の会」に参加できなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-72号
 申立人の子である中学生を複数の生徒の行為に関し中学校が「いじめ対策委員会」を設置したが、この委員会を含む中学校の一連の対応に疑問があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-76号
 生活保護受給者がケースワーカーが事前連絡もなく家庭訪問するとともに、その際、受給者のプライバシーへの配慮もなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-79号
 市営住宅の住民が、新旧の自治会が併存状態であるとともに、共益費の未納額が累積する混乱状態にあるとして、市に混乱状態を解消するために対処することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 区保健福祉部の職員が申立人の承諾を得ず診断書を取り寄せたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 申立人が区役所を訪問した際、保健福祉部の職員と1時間くらい話をしているうちに事実に反する理由で110番通報されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 区役所の保健福祉部の職員から障害年金の年金番号で障害者手帳の更新が行えると聞いたとして、更新のために提出した診断書の返還を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 司法書士の過誤により登記上持ち分があるとされる不動産に賦課される固定資産税が未納であるとして差し押さえ通知が送られてきたことから、当該不動産に対する課税されることを不服として苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の子は小学校の就学先の指定を変更されていたが、中学に進学する際にも就学先の指定変更について教育委員会に要望を伝えていたにもかかわらず適切な対応がなされなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 道路を走行中に車がアスファルトの穴に落ちてタイヤがバーストしたことから、道路管理上の責任がある市に補償を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
 生活保護受給者が保護費の支給方法が口座振り込みから窓口支給に変更されたのは、変更決定も弁明機会の付与もない違法な処分であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
 申立人の子の小学校の担任が配慮に欠ける言動を繰り返す等の問題があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 公文書一部公開決定において非公開情報とされた情報を誤って公開したにもかかわらず、担当部署が当該非公開情報が含まれるCD-Rの回収を懈怠しているのは回収の必要性が著しく低いからだとして、担当部署によるCD-Rの差し替えの求めを撤回することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

(2)調査結果を通知しなかったもの(30件)
第2024-1号
 昨冬に自宅の生垣が除雪の際に傷つけられたため現場の確認を依頼したが放置され、今冬もまた生垣を傷つけられたことから、生垣の原状回復を求めて苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-6号
 子ども家庭福祉係の相談員が話す内容を理解してくれず、必要な情報も提供してくれないとして、その対応について苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-7号
 生活保護課の担当者から冷たく事務的に対応されるとして苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-16号
 札幌市は「ゼロカーボンシティ」の宣言をしているのだから、白旗山都市環境林を広範囲にわたって伐採することを取りやめることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-21号
 申立人の子が療育手帳の更新のため児童福祉総合センターを訪問した際の職員対応について苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-23号
 マイナンバーカード更新手続きの際に対応した職員の接遇について苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は終了した。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-26号
 生活保護受給者が入居していた賃貸物件を所有する会社が当該受給者から提訴され多大な迷惑と損害が生じたとして、保護課が当該受給者の提訴のため法テラスを紹介した経緯等についての説明を求めて苦情が申し立てられたケース。すでに調査を終了した第2023-17号と一連の苦情申し立て内容であるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-32号
 生活保護申請時及びその後の家庭訪問時の職員の言動が保護を申請した申立人の不安を煽るものであったとして苦情が申し立てられたケース。保護費の支給が遅れるのではないか等の不安を申立人が抱いたからといって、「現在、申立人に具体的な利害が発生していると、直ちにオンブズマンは判断することはでき(ない)」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-39号
 札幌市立の小学校ではお盆期間が平日であるにもかかわらず完全休校になることが疑問であるとして苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立の原因となった事実についての利害を有さない」(札幌市オンブズマン条例16条1項1号)として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-43号
 市の担当課が「会社乗っ取り」を是認して適切な権限行使をしなかったとして苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情がある」と認められるときに該当するとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-44号
 2023年7月に介護保険料の段階算定のための世帯分離ついて窓口に相談したところ、世帯分離をしなくても2024年の段階算定に影響はないという説明を受けていたにも関わらず、2024年6月の通知では段階が2段階上昇していたとして苦情が申し立てられたケース。説明を受けたのが1年以上前の出来事であり、「申立の原因となった事実のあった日から1年を経過している」(札幌市オンブズマン条例16条1項2号)として調査をしない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-45号
 生活保護受給者が利用する事業所や受けるサービスの見直しが急務と考え、保護課による自宅訪問日に各担当部局も同席することを求めたが同席を拒否されたとして、本件の原因となった事柄ではなく、札幌市の組織性、体制、姿勢等の問題点を適切に調査してほしいとして苦情が申し立てられたケース。市政全販に対する苦情は申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-46号
 聴覚過敏の申立人が信号機の音、公園のスピーカー、区役所の窓口の音声による番号案内等の音等が非常にうるさいとしてオンブズマンによる調査を求めて苦情が申し立てられたケース。信号機音及び公園のスピーカーは「市の機関の業務の執行」に該当せず、区役所窓口の音声案内には「個別具体的利害がない」として調査しない旨が通知されった。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-47号
 海外へ移住するなら国民年金の保険料を納付する意味がないとして、たとえば市に年金の受給資格を譲渡する代わりに、市が納付ずみの保険料相当額を支払う当の対応を求めて苦情が申し立てられたケース。「市の機関の業務の執行」に該当しないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 第2024-38号の申立人が当該調査における「市の回答」には事実と異なる記述があるとして再調査を求めて苦情が申し立てられたケース。再調査の申立ては「オンブズマンの行為に関する事項」に該当するとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 公園でゲートボールをする利用者たちがわがもの顔な態度で公園を専有しているとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンが担当課に申立人が連絡を希望している旨を伝えることでオンブズマンによる調査を行わないことになった模様。なお、申立人が明示的に「苦情申立てを取り下げた」かは公開された文書からは不明。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 町内会の活動実態が不明で会計報告もなされていないところ、市の担当部署に相談しても「町内会は自治組織であり町内会組織へ踏み込んだ調査及び指導ができない」という回答であったとして苦情が申し立てられたケース。本件申し立てが「市の直接的な機関でない町内会への苦情」であるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 自宅畑の横に産業廃棄物処理業者が廃棄物を堆積しているとして担当課に指導を要望した際には対応する旨の回答を得たがその後も改善されないとして苦情が申し立てられたケース。申立後に再度担当課に確認したところ業者に指導する旨の回答を得たとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 第2024-50号の申立人が当該調査が不十分であるとして再度の調査を求めて苦情が申し立てられたケース。「オンブズマンの行為に関する事項」はオンブズマンの所轄外であり、一度オンブズマンが行った調査は再調査できないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 生活保護を受給する申立人が証券口座を新規に開設した際に口座に振り込まれた金額を収入申告したところ、その金額が控除が全くなされないままに収入認定されたことを不服として苦情が申し立てられた事例。当該取り扱いについて北海道知事に対する審査請求がなされているとして調査が中止された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 体育館でバドミントンをする際の利用料についての不満を伝えているにもかかわらず、市民文化局地域振興部区政課は一方的な主張を繰り返すだけでこちらの話に耳を傾けないとして苦情が申し立てられた事例。オンブズマンは申立人が求める金額の引き下げを強制する権限がないことを説明したところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 貸し出し予約をした図書の取り置き期限の延長ができないという図書館の説明に納得がいかないとして苦情が申し立てられた事案。同旨の苦情については第2024⁻50号で調査結果を通知し、再調査を求める苦情についても第2024-65号で再調査をしない旨を通知しているとして、本件についても調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市が支給する町内会への助成金について一部の町内会で横領が行われていることから市に調査を求めて苦情が申し立てられた事案。当該不正については申立人に利害がなく、申立人が2023年度に申し立てた事案(おそらく第2023-43号)及び本件の内容に照らしても助成金に不正が行われている事情は伺われないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 福祉除雪の事業者が歩道部分に排雪していたため社会福祉協議会に苦情を申し立てたものの形式的な謝罪のみであったとして、業者への指導を求めて苦情が申し立てられたケース。苦情申し立て後社会福祉協議会から連絡があり解決したとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 自宅前を除雪していた除雪車が安全確認もせずに猛スピードでバックしていたとして区、苦情が申し立てられたケース。どこに連絡してよいかわからずオンブズマンに連絡したとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 オンブズマンの苦情等調査結果通知書が届いたが「市の回答」に事実に反する虚偽の回答があったため担当職員に問い合わせたところ、当該職員の対応が二転三転したとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンが再調査できない等の説明をしたところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の給与の差し押さえをする旨市税事務所から連絡があった旨を勤務先会社からきいたが、市税事務所が事前に「第三者」に情報を提供することは守秘義務に違反するのではないかと主張して苦情が申し立てられたケース。申立人はすでに同旨の別件の苦情を申し立てているとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市税を滞納している申立人が、市税事務所が嫌がらせとも思える給与調査を実施するとともに、分割納付認めないとして苦情が申し立てられたケース。申立人はすでに本件苦情と同趣旨の申し立てを行っており、「調査することが相当でない特別の事情」があるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市職員の守秘義務違反や申立人に対するストーカー行為についての調査を求めて苦情が申し立てられたケース。「苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 市長が議会の予算特別委員会において行った答弁が申立人の陳情の趣旨と異なっていたとして、答弁の訂正を求めて苦情が申し立てられたケース。「議会に関する事項」はオンブズマンの所轄外の事項であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)