2020年7月に入り、札幌市オンブズマンの2019年度活動状況報告書が公表された。当ブログ開設者は、すでにオンブズマン事務局から各案件の処理日数のデータ提供を受けていたが、そのデータに基づき、以下の表及びグラフを作成した。
なお、以下の(表1)の「結果通知処理件数」とは、「苦情申立件数」のうち、オンブズマンが「苦情等調査結果通知」を発送し、調査を終了した案件の件数である。これらの案件において、「処理日数」は原則として、苦情申し立てを受理した日から「苦情等調査結果通知書」の発送までに要した日数である(申立人に苦情の内容を確認するために要した日数は算定から除外されている)。
また、札幌市オンブズマンの制度が発足した初年度の2000年度は、制度が運用されたのがわずか1か月間にとどまっている。そのため、この期間の処理状況は便宜的に2001年度と合算し、2000/01年度の13か月間に申し立てられた案件の処理状況を一括して計上している。これに対し、以後の各年度は、当該年度の12か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上している(調査終了が翌年度となった案件は、申立時点を基準として処理状況を計上している)。
ところで、2019年度における処理状況は、2018年度と打って変わり、取扱件数が激増した。この点、2015年度から2018年度にかけての件数の減少した理由をオンブズマン事務局に照会したところ、以下の回答を受けた。
「札幌市オンブズマン制度が発足して約18年が経過し、これまで数多くの苦情申立てを受け、都度関係部局の調査を行い、必要に応じて業務の改善を促してきたことにより、各部局の業務意識の改善、能力の向上が図られ、各種制度を利用する市民との意思疎通が適切になされた結果、苦情申立件数の減少に結び付いたと考えています。」
わずか1年で、「市民との意思疎通が適切に」なされなくなった、とは考えにくいところであるが、この件数増の傾向が今後も継続するのか、注目していきたい。
なお、以下の(表1)の「結果通知処理件数」とは、「苦情申立件数」のうち、オンブズマンが「苦情等調査結果通知」を発送し、調査を終了した案件の件数である。これらの案件において、「処理日数」は原則として、苦情申し立てを受理した日から「苦情等調査結果通知書」の発送までに要した日数である(申立人に苦情の内容を確認するために要した日数は算定から除外されている)。
また、札幌市オンブズマンの制度が発足した初年度の2000年度は、制度が運用されたのがわずか1か月間にとどまっている。そのため、この期間の処理状況は便宜的に2001年度と合算し、2000/01年度の13か月間に申し立てられた案件の処理状況を一括して計上している。これに対し、以後の各年度は、当該年度の12か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上している(調査終了が翌年度となった案件は、申立時点を基準として処理状況を計上している)。
ところで、2019年度における処理状況は、2018年度と打って変わり、取扱件数が激増した。この点、2015年度から2018年度にかけての件数の減少した理由をオンブズマン事務局に照会したところ、以下の回答を受けた。
「札幌市オンブズマン制度が発足して約18年が経過し、これまで数多くの苦情申立てを受け、都度関係部局の調査を行い、必要に応じて業務の改善を促してきたことにより、各部局の業務意識の改善、能力の向上が図られ、各種制度を利用する市民との意思疎通が適切になされた結果、苦情申立件数の減少に結び付いたと考えています。」
わずか1年で、「市民との意思疎通が適切に」なされなくなった、とは考えにくいところであるが、この件数増の傾向が今後も継続するのか、注目していきたい。
(表1)
苦情申立
件数
|
結果通知
処理件数 |
結果通知
平均処理
日数
|
結果通知
処理日数
中央値
|
結果通知
30日以内
処理率
|
|
2000/01年度
|
177
|
120
|
43.69
|
29
|
52.5%
|
2002年度
|
111
|
88
|
31.14
|
28
|
65.9%
|
2003年度
|
113
|
83
|
30.07
|
30
|
54.2%
|
2004年度
|
93
|
74
|
30.78
|
28
|
63.5%
|
2005年度
|
103
|
88
|
24.78
|
26
|
83.0%
|
2006年度
|
115
|
92
|
25.32
|
25.5
|
92.4%
|
2007年度
|
111
|
90
|
24.40
|
23
|
88.9%
|
2008年度
|
117
|
108
|
32.45
|
28
|
73.1%
|
2009年度
|
133
|
109
|
36.62
|
32
|
44.0%
|
2010年度
|
130
|
109
|
34.79
|
32
|
49.5%
|
2011年度
|
125
|
111
|
38.94
|
37
|
32.4%
|
2012年度
|
135
|
110
|
29.16
|
28
|
71.8%
|
2013年度
|
122
|
104
|
29.84
|
28
|
68.3%
|
2014年度
|
129
|
107
|
33.45
|
30
|
51.4%
|
2015年度
|
130
|
109
|
33.05
|
31
|
47.7%
|
2016年度
|
100
|
88
|
35.36
|
31.5
|
45.5%
|
2017年度
|
82
|
67
|
35.76
|
33
|
38.8%
|
2018年度
|
77
|
66
|
*40.06
|
*37
|
15.2%
|
2019年度
|
122
|
94
|
38.84
|
37
|
23.4%
|
全期間
通算 |
2225
|
1817
|
*33.24
|
*29
|
56.3%
|
*を付したデータは、2018年度の案件のうち1件について推定値に基づくことを示している。
次に、年度別の平均処理日数をグラフ化したものが、以下の(グラフ1)である。2019年度は、2012年度から継続してきた処理の遅滞化傾向に歯止めがかかったことを読み取ることができるものの、日数自体は2011年度のレベルと変わらない。したがって、処理が迅速化したというためには、引き続き、経過を観察する必要があると思われる。
(グラフ1)
次に、以下の(表2)は、制度発足以来の処理日数の度数分布を取りまとめたものである。4年ぶりに処理日数が20日以内の案件があるほか、2018年度と比較した場合には、「21日~30日」の割合が増加する一方で、「31日~45日」の割合が10%以上低下しており、処理日数の短縮を読み取ることができる。
(表2)
20日
以内
|
21日〜
30日
|
31日〜
45日
|
46日〜
60日
|
61日〜
90日
|
91日
以上
|
30日
以内
処理率
|
30日
超
処理率
| |||||||
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
| |||
2000/01
年度
|
20
|
16.7%
|
43
|
35.8%
|
26
|
21.7%
|
10
|
8.3%
|
9
|
7.5%
|
12
|
10.0%
|
52.5%
|
47.5%
|
2002
年度
|
20
|
22.7%
|
38
|
43.2%
|
17
|
19.3%
|
5
|
5.7%
|
7
|
8.0%
|
1
|
1.1%
|
65.9%
|
34.1%
|
2003
年度
|
13
|
15.7%
|
32
|
38.6%
|
33
|
39.8%
|
5
|
6.0%
|
0
|
0.0%
|
0
|
0.0%
|
54.2%
|
45.8%
|
2004
年度
|
7
|
9.5%
|
40
|
54.1%
|
21
|
28.4%
|
4
|
5.4%
|
2
|
2.7%
|
0
|
0.0%
|
63.5%
|
36.5%
|
2005
年度
|
20
|
22.7%
|
53
|
60.2%
|
15
|
17.0%
|
0
|
0.0%
|
0
|
0.0%
|
0
|
0.0%
|
83.0%
|
17.0%
|
2006
年度
|
21
|
22.8%
|
64
|
69.6%
|
5
|
5.4%
|
1
|
1.1%
|
0
|
0.0%
|
1
|
1.1%
|
92.4%
|
7.6%
|
2007
年度
|
21
|
23.3%
|
59
|
65.6%
|
7
|
7.8%
|
2
|
2.2%
|
1
|
1.1%
|
0
|
0.0%
|
88.9%
|
11.1%
|
2008
年度
| 7 |
6.5%
|
72
|
66.7%
|
15
|
13.9%
|
8
|
7.4%
|
4
|
3.7%
|
2
|
1.9%
|
73.1%
|
26.9%
|
2009
年度
|
7
|
6.4%
|
41
|
37.6%
|
34
|
31.2%
|
20
|
18.3%
|
7
|
6.4%
|
0
|
0.0%
|
44.0%
|
56.0%
|
2010
年度
|
14
|
12.8%
|
40
|
36.7%
|
35
|
32.1%
|
14
|
12.8%
|
5
|
4.6%
|
1
|
0.9%
|
49.5%
|
50.5%
|
2011
年度
|
6
|
5.4%
|
30
|
27.0%
|
51
|
45.9%
|
15
|
13.5%
|
8
|
7.2%
|
1
|
0.9%
|
32.4%
|
67.6%
|
2012
年度
|
20
|
18.2%
|
59
|
53.6%
|
20
|
18.2%
|
10
|
9.1%
|
1
|
0.9%
|
0
|
0.0%
|
71.8%
|
28.2%
|
2013
年度
|
8
|
7.7%
|
63
|
60.6%
|
28
|
26.9%
|
4
|
3.8%
|
1
|
1.0%
|
0
|
0.0%
|
68.3%
|
31.7%
|
2014
年度
| 1 |
0.9%
|
54
|
50.5%
|
39
|
36.4%
|
10
|
9.3%
|
3
|
2.8%
|
0
|
0.0%
|
51.4%
|
48.6%
|
2015
年度
|
8
|
7.3%
|
44
|
40.4%
|
45
|
41.3%
|
12
|
11.0%
|
0
|
0.0%
|
0
|
0.0%
|
47.7%
|
52.3%
|
2016
年度
| 0 |
0.0%
|
40
|
45.5%
|
33
|
37.5%
|
13
|
14.8%
|
2
|
2.3%
|
0
|
0.0%
|
45.5%
|
54.5%
|
2017
年度
|
0
|
0.0%
|
26
|
38.8%
|
31
|
46.3%
|
8
| 11.9% |
2
|
3.0%
|
0
|
0.0%
|
38.8%
|
61.2%
|
2018
年度
|
0
|
0.0%
|
10
|
15.2%
|
40
|
60.6%
|
14
| 21.2% |
2
|
3.0%
|
0
|
0.0%
|
15.2%
|
84.9%
|
2019
年度
|
3
|
3.2%
|
19
|
20.2%
|
46
|
48.9%
|
20
| 21.3% |
6
|
6.4%
|
0
|
0.0%
|
23.4%
|
76.6%
|
全期間
通算 | 196 |
10.8%
|
827
|
45.5%
|
541
|
29.8%
|
175
|
9.6%
|
60
|
3.3%
|
18
|
1.0%
|
56.3%
|
47.3%
|
さらに、以下の(グラフ2)は、(表2)よりも度数分布を細かく区分し、度数分布の経年変化を示した。
(グラフ2)
※なお、オンブズマン別の処理日数の状況については、このエントリーで紹介している。