2023/02/14

2022年12月に調査を終了したケース

 2023年1月1日、2022年12月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、2023年1月30日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年12月)に調査を終了したのは7件で、このうち4件で調査結果が通知され、残る3件のうち2件で調査をしない旨、1件で調査中止が通知されている。

さて、今回公開された案件のうち最も興味深い案件ーただしオンブズマンの判断には大いに問題があるという意味においてーは、新型コロナウイルスの感染者情報の公開が十分ではないとして苦情が申し立てられた、第2022-66号である。調査担当のオンブズマンは、「札幌市が公表する新型コロナウイルス感染者情報が、申立人御自身に直接的・具体的な利害があるとは言えません」と判断し、調査を実施しなかった。

しかしながら、自らがコロナ感染を回避しようとした場合、札幌市の感染状況について正確な情報を知ることは、十分な利益があると思われる。したがって、新型コロナがまん延する状況において、①かつてはどのような情報を公表していたか、②現在はどのような情報を公表しているか、③公表する情報が変更されたのはどのような事情によるのか、④市民は感染を回避するためには公表された情報をどのように活用すればよいか、といった点について、市のコロナ担当部署に説明を求めることは、申立人の疑問を解消する可能性があるのみならず、市民一般にとっても有益であると当ブログ開設者は考えている。

それにもかかわらず、オンブズマンが調査を実施しなかったのは、コロナ担当部署の業務負担を忖度したか、あるいは、市の説明の当否を判断できるだけの専門的知見を欠くためであろうと当ブログ開設者は推測する。仮に後者であるならば、調査担当オンブズマンは、市の市民に対する説明責任(アカウンタビリティー)の意義を軽視していると言わざるを得ないであろう。

次に、市・道民税の減免が認められないこと等について苦情が申し立てられた第2022-46号も興味深い。市は申立人に対し一貫して「減免は認められない」旨の説明を行ってきたが、その過程で減免却下通知書(別紙)の記載に誤りがあったことが判明している。いみじくも調査担当オンブズマンも指摘しているように、「申立人の審査請求の意向が税政部を通して示されていなければ、更正を行う機会がなかった可能性」も否定できない。さらに、市の部署間での情報共有についても課題が浮き彫りになる等、調査がなされた実質的意義は大きい。くわしくは、結果通知書で確認して頂きたい。

このほか、農業委員会総会の席上における委員の発言を契機とする苦情(第2022-65号)について、調査担当オンブズマンは、条例16条2項を根拠として「調査しない旨」を通知した。しかし、技術的な話になるが、当該条項は苦情がオンブズマンの所轄事項(条例3条)に該当するとともに、調査対象外の事項(条例16条1項)に該当しない場合に適用する規定である。農業委員会の意思決定機関たる総会における事実関係は、オンブズマンの「所轄事項」に該当しない旨位置づけた方が、事案の処理として適切であろうと思われる。

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①第2022-46号
 疾病を理由に退職したため市・道民税の納付が困難である旨を申し出たにもかかわらず、減免制度の説明をしない等、市職員の一連の対応に不備があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2022-51号
 生活保護を受給する申立人が同一世帯構成員が施設に入所するに際し、当該構成員の受給する年金及び通帳の取扱い等について苦情が申し立てられたケース。なお、本件申立人は、別途、第2022-57号の苦情も申し立てている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2022-55号
 成年被後見人(本人)が入居する市営住宅の退去手続きに際し、成年後見人の司法書士が退去届に本人の押印を求められたことを不服として苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2022-57号
 生活保護を受給する申立人が、転居費用を受領するために保護課を訪問した際、担当職員が何に使用するのかも説明しないまま申立人から受け取った印鑑を押印したことについて苦情が申し立てられたケース。なお、本件苦情の申立人は、第2022-51号の申立ても行っている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑤第2022-59号
 退職した勤務先から支払われた給与が収入認定されたことを不服として、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑥第2022-65号
 農業委員会総会の場におけるある委員の発言が「委員たるに値しない非行」に該当するとして、苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情がある」ことを理由として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑦第2022-66号
 新型コロナウイルスの感染者情報の公開が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。「札幌市が公表する新型コロナウイルス感染者情報が、申立人御自身に直接的・具体的な利害があるとは言えません」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2023/01/25

2022年11月に調査を終了したケース

 2022年12月2日、同年11月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、2023年1月13日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年11月)に調査を終了したのは11件で、このうち9件で調査結果が通知され、残る2件は調査をしない旨が通知されている。

さて、今回公開された案件のうち最も興味深い案件は、ネットカフェを住所とする転入届の受付を拒否されたとする第2022-49である。市の回答では、どのような場合にネットカフェを住所とすることが認められるかという要件が示されているが、札幌市中央区において実際に認められ事例は存在しない模様である。

また、「路面電車無料デー」の実施にともなう定期券の取り扱いについて苦情が申し立てられた第2022-44号も興味深い。市の回答では「定期券は特定の区間を繰り返し乗車する利用者に対して、一定の割引率を適用した乗車券」であると説明がなされているが、札幌市電の定期券は利用区間が特定されることなく、全区間が利用できる取り扱いとなっている。

そのため、定期券利用者が「路面電車無料デー」に乗車する場合、実質的には定期券の日割額を負担していることになるのみならず、「路面電車無料デー」が含まれないように定期券を購入することも不可能である。したがって、当ブログ開設者は申立人の主張にも一理あると考えるのだが、いかがであろうか(ただし、どのように定期券利用者の不利益を解消するかは、考慮を要するところである)。

このほか、第2022-52号第2022-54号および第2022-58号は、いずれも当ブログ開設者の申し立てた苦情である。このうち、第2022-52号は、公文書公開請求に関する苦情であるが、①いわゆる「個人情報」として非公開になる情報がどのようなカテゴリーのものがあるか、②当該情報を非公開とする際、決定通知書にどのような記載がなされるべきか、といった点について、市の対応に不備があるとして苦情を申し立てたのであるが、調査担当のオンブズマンにも申立ての趣旨が理解できるように文章化するには、まだまだ当ブログ開設者の力量が不足していた模様である(あえて言うまでもないが、「皮肉」である。)。

次に、第2022-54号及び第2022-58号は、苦情申立てを受理したオンブズマン事務局の対応等についての苦情である。いずれも「調査しない旨」が通知されているが、第2022-54号のオンブズマン判断の問題点は、第2022-58号の申し立てにおいて指摘した。

また、第2022-58号については、その趣旨は実質的にみて第2022-54号においてオンブズマンが「調査しない」と判断したことに対する苦情であるとして、「オンブズマンの行為」についての苦情は調査対象とならないというのであれば当ブログ開設者も理解できる。

しかしながら、「オンブズマンが既に調査を実施した苦情については、オンブズマンは調査を行うことができません。オンブズマンが調査を行わないと判断した苦情についても同様です」というのでは、苦情の実体的な中身(については調査を実施していない)と、調査しないというオンブズマン判断とを混同している点で、オンブズマン判断は言葉足らずであると言わざるを得ないだろう。

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①第2022-43号
 市の保育施設が建設されるに際し地域住民に対する説明を欠いたり、建物の高さについての説明が一貫性を欠いたこと、騒音や眺望が妨げられる等の支障があること及び情報公開請求に際し職員からやめてほしいと言われたことなどについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

②第2022-44号
 定期券を購入して路面電車を利用している申立人が、「路面電車無料デー」が設けられたことを理由として、日割りでの払い戻しまたは定期券の期限の延長を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2022-45号
 申立人の自宅裏の市有地に散在する単管パイプ等の取り扱いについて、市に真摯な対応を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2022-47号
 生活保護を受給する申立人が担当ケースワーカーの対応に不満があるとして、上司による対応等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑤第2022-48号
 申立人がかつて勤務していた介護保険事業所が報酬を不正に請求しているという申し出をきっかけとして、市が事業所から提供を受けた資料について申立人が個人情報開示請求をしたところ、すでに廃棄済みであることを理由として非開示決定がなされたことを不服として、再度調査を実施することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑥第2022-49号
 札幌市外からの転入手続きの際、ネットカフェを新しい住所とする転入届の受付を拒否されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑦第2022-50号
 生活保護を受給する申立人が、生活扶助が1万円ほど少なくなったのは誰かが着服したためではないかとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑧第2022-52号
 札幌市オンブズマンの調査に関する文書について公文書公開請求を行った申立人が、非公開部分の特定をするとともに当該箇所を非公開とする理由を明確に記載した通知書の交付を求め、あわせて決定通知書記載の非公開理由のひな形について、非公開情報該当性についての記載の明確にすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑨第2022-53号
 申立人が区保健センターで子どもの乳幼児健康診断を受けた際、45分以上も待機することになったとして、待機時間の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑩第2022-54号
 オンブズマンに苦情を申し立てたところ、調査が開始される前に調査対象となる部局の職員が申立人に接触を図ることはオンブズマン調査の公正・中立性に疑義を生じさせるとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が「利害」を有さないとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑪第2022-58号
 オンブズマンが調査を実施する要件たる「申立人の利害」について市民に周知を図ること、オンブズマン事務局がオンブズマンの公正・中立性に疑義を生じさせる行為を慎むこと及び苦情申立がなされた場合にはオンブズマンが調査を実施する・しないに関わらず「受理通知」を送付することを求めて、苦情が申し立てられたケース。いずれも「オンブズマンの行為」に対する苦情であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2022/12/14

2022年10月に調査を終了したケース

 2022年11月2日、同年10月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、11月30日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年10月)に調査を終了した全5件で、調査結果が通知されている。

さて、今回公開された案件のうち最も興味深い案件は、眠れるオンブズマンこと原俊彦担当の第2022-41号である。この案件では、介護保険給付を受けてショートステイを利用した際、当該事業所で何らかのアクシデントがあったことを契機として、当該事業所に対する市の権限行使及び申立人への市職員の対応について苦情が申し立てられている。

ところで、この調査を担当した眠れるオンブズマンこと原俊彦は、かつて介護保険制度の住宅改修費に関する苦情において、「ケア・マネージャー」の対応について縷々見解を開陳したことがある(第2021-17号)。そのため、当ブログ開設者はこのエントリーにおいて、「居宅介護支援事業所に所属するケア・マネージャーの行為は、オンブズマンの所轄事項たる「市の機関の業務の執行に関する事項及び当該業務に関する職員の行為」(札幌市オンブズマン条例3条)に該当せず、その判断はオンブズマンの所轄事項を逸脱していると思われる」旨指摘した

これに対し、今回公開を受けた第2022-41号では、調査担当オンブズマンは「事業所や担当ケアマネに対する市の監督責任という観点から検討」を行っている。このような観点は、札幌市オンブズマンの調査権限に即し適切であると当ブログ開設者は考えている。眠れるオンブズマンこと原俊彦がようやく目覚めの時を迎えたのならば、大いに歓迎すべきことである。

なお、当ブログ開設者は、介護保険の住宅改修費に関する第2021-42号が公開された際(上記の第2021-17号が公開された翌月である)、「(札幌市オンブズマンは)今後、介護保険に関する苦情が申し立てられた場合に備え、「市の機関の業務の執行」という観点から、介護保険法に定められた市の権限を把握しておく必要があると思われる」と論じたことがある(このエントリー)。今後も札幌市オンブズマンには、何がオンブズマンの調査対象事項であるかを適切に把握したうえで、「市民の意向が的確に反映された市政運営に資する」(札幌市オンブズマン条例1条)べく、職務を遂行されることを期待したい。

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①第2022-26号
 生活保護を受給する申立人が、大学進学の際に世帯分離していた子が卒業したことにより世帯分離が解除されるとともに、保護が廃止されたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2022-36号
 申立人が納税のために市税事務所を訪問した際に同行した者がいることについて、日常的に市税事務所と連絡を取っている同行者とは別の人物に市職員が伝えたのは個人情報の漏洩であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2022-38号
 自宅裏の空き家の屋根から自宅敷地内に落雪があることについて、市が適切な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

④第2022-41号
 申立人の母がショートステイを利用した際、事業所で何某かのアクシデントがあったことに関し、市の当該事業所に対する権限行使及び申立人への市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2022-42号
 申立人が通所する就労継続支援B型事業所が営む軽食喫茶店について情報提供した際の市職員の申立人の対応及び当該事業所に対する市の権限行使のあり方について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

2022/11/19

2022年9月に調査を終了したケース

 2022年10月2日、同年9月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、10月31日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年9月)に調査を終了したのは9件で、このうち7件で調査結果が通知されている。また、残る2件は苦情について調査をしない旨が通知されている。

さて、今回公開された案件のうち、最も興味深い案件が、第2022-18号である。非公開部分が多く苦情申立ての趣旨は必ずしも明確ではないが、苦情申立人が札幌市立学校に在学していた当時に教諭から性的暴力を受けたことについて、平成28年に札幌市教育委員会が行った調査が適切ではなかったことや、その後の教育委員会による申立人への対応について苦情が申し立てられた模様である。

ところで、この件に関しては、その当時の札幌市教育委員会が行った対応について、令和4年1月11日付の検証報告書が公開されている。また、申立人がオンブマンに苦情を申し立てた旨は実名記載で報道されているが、当該報道によると申立人は、この報告書が公表された経緯にも不満を抱いているようである。

なお、札幌市では、「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律等を踏まえた市教委の対応について」というページをwebに開設している。上記報告書も、このページからpdfファイルを入手したものである。

次に、制度についての理解を深めるという観点からは、国保料の滞納による差し押さえと納付書による納付が並行してなされた第2022-32号も興味深い事例である。

この案件では、差し押さえ口座への入金を求める申立人と、指定された口座でなければ入金できないという市の主張が平行線をたどっている。当ブログ開設者は、市の回答又はオンブズマン判断において、「申立人としては不本意かもしれないが、差し押さえされた口座を入金口座として指定すれば実質的解決がはかられる」、といったリップサービスをしてもいいのではないか、と感じたものの、そうした言及はなされていない。余計なことに言及して申立人の気分を害することは避けたいと考えたとすれば一つの見識ではあるが、やや親切さに欠けるように思われる。

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①第2022-18号
 申立人が札幌市立学校に在学していた当時に教諭から性暴力を受けたことについて、札幌市教育委員会のその後の一連の対応が適切ではなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

②第2022-21号
 申立人が救急搬送を受けられなかったこと及びその後の消防局の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2022-27号
 児童相談所に一時保護された児童について、児童相談所が申立人の意向に添った対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

④第2022-29号
 市税証明書を取得するために定額小為替証書を同封したにもかかわらず担当職員に過誤があり、その対応のために追加的な負担を余儀なくされたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2022-32号
 (国保料の滞納による差し押さえと納付書による納付が並行してなされたという前提事実のもと)当該金額を差し押さえ口座に返金してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑥第2022-35号
 生活保護を受給する申立人が市営住宅に転居しようと考え保護課に相談したところ転居に要する費用は支給できないといわれたが、他の受給者には転居費用も支給された者がいるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑦第2022-37号
 居住する市営住宅の出入り口の幅の歩道の縁石を撤去して、歩道をバリアフリー化してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)


⑧第2022-39号
 学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑨第2022−40号
 申立人の子が学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2022/10/14

2022年8月に調査を終了したケース

 2022年9月1日、同年8月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、9月27日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年8月)に調査を終了したのは11件で、このうち7件で調査結果が通知されている。また、残る4件は調査をしない旨が通知されている。

さて、今回公開された案件のうち、最も興味深い案件が、第2022-22号である。この案件は、札幌市は敬老パスのチャージ業務を日本郵便北海道支社に委託しているところ、申立人がチャージのために郵便局を訪れた際の郵便局職員の対応について市に改善を求めたが適切な対応がなされないとして、苦情が申し立てられた事案である。

残念ながら、事実関係の詳細は非公開とされていて不明である。のみならず、業務委託契約に関する業務マニュアルの記載内容についても非公開とされている。当ブログ開設者は、当該箇所を非公開とすることについて、公文書一部公開決定通知書における非公開部分の記載及び非公開とする理由の記載が適切ではないように思われたことから、札幌市オンブズマンに苦情を申し立てたところである。調査終了の時期がいつになるかは不明であるが、調査について公文書公開を受けて以降、当ブログで紹介したい(追記:当該苦情の調査結果通知書(第2022-52号)は、このエントリーで紹介している。また、オンブズマン調査終了後に行った審査請求が認容されたことから、第2022-22号のファイルを差し替えた)。

次に、第2022-28号、当ブログ開設者が申し立てた苦情である。公文書公開請求に対する公開対象公文書の特定が適切ではなく(公開対象とされた「一覧表」のみの公開では不十分であるという趣旨である)、文書の追加がなされたことを不服として申し立てた苦情である。すなわち、追加に要する間待つことを余儀なくされる、ということである。この点、調査対象のオンブズマン事務局は、対象公文書の追加をしておきながら、当初の対象公文書の特定が適切であったと「二枚舌」の説明をおこなっている。しかしながら、当初の決定が適切ならば、公開対象公文書を追加する必要もなかったはずである。

そして、調査担当のオンブズマンも、こうした市の「二枚舌」の説明を疑問視することなく是認した。こうした判断は、苦情申立人が何を問題視しているかを理解できない、あるいは曲解したまま調査を実施したためであると思われる。すなわち、調査担当オンブズマンには、オンブズマンが調査結果通知書において調査対象部局に要請した内容と、フォローアップ調査でオンブズマン事務局が調査対象部局に照会した内容の違いが認識できなかった、ということのようである。もっとも、そうした調査であっても、調査担当のオンブズマンが何を理解できなかったかが理解できたという点においては、有益だったという評価も可能かもしれない。

とはいえ、「オンブズマン事務局が実施したフォローアップ調査の内容が確認できる文書」という公文書公開請求に対し、「一覧表を全体としてみれば、容易に内容を把握できるものが公開され」というオンブズマン判断はいかにもひどい。他に適切な文書がなかったのならば話は別であるが、追加で公開された文書には、オンブズマン事務局が調査対象部局に対し、「①前回のフォローアップ調査後の対応、②その他、本件を受けて実施又は検討している事項」について回答を求める旨が記載されていた。こうした記載は、公開請求の対象とした「オンブズマン事務局が実施したフォローアップ調査の内容」そのものであるが、当初公開された「一覧表」には、全く記載されていない。

さらに、調査担当のオンブズマンは、担当職員が情報提供により知る権利が損なわれないよう配慮したとも言及しているが、公文書公開決定に対しては審査請求が行える。それに対し、情報提供に対しては不服申し立ては制度化されていない。したがって、公文書公開請求に対し情報提供で対応したからそれでよい、という話にはならないと当ブログ開設者は考えている。

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①第2022-13号
 除雪が迅速になされなかったことや、その際の業者が受注した道路工事において安全が十分に確保されていなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

②第2022-17号
 住民基本台帳カードを紛失し再発行を依頼したところ、当該カードが有効期限内であるにもかかわらずマイナンバーカードの発行しかできないという対応をされたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

③第2022-19号
 自営業を営む申立人が新型コロナに伴う各種給付金を受給することで生活保護が廃止されることになったが、当初説明を受けていた金額よりも納入通知書記載の返還金の額が大きかったことや、納入通知書記載の金額にも誤りがあったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2022-20号
 非公開とされた部分が多く詳細は不明であるが、申立人が児童相談所に虐待の通報をしたことについて、児童相談所が当該児童の世帯に情報を漏洩したとして苦情が申し立てられたと思われるケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑤第2022-22号
 敬老優待乗車証のチャージのために郵便局を訪れた際の職員の対応(詳細不明)等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
*追記:2022年3月3日付の裁決により、当初の決定では非公開とされていた箇所が追加で公開されている。

⑥第2022-24号
 生活保護受給者が保護課から適切な支援を受けていないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑦第2022-28号
 公文書公開請求をしたところ、当初なされた一部公開決定では対象公文書の特定に漏れがあり、追加決定がなされることになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)


⑧第2022-30号
 生活保護受給中の申立人が入居中の住宅の大家から退去するよう命じられたが借地借家法に違反しているとして苦情が申し立てられたケース。住居の貸主・借主間の関係は「市の業務」に該当せず、市の対応に関してはすでに調査を実施している(第2022-15号)として、申立人に対し苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑨第2022−31号
 過去に2度、居宅に滞在していた際に保健師が訪問してきて病院に救急搬送されることがあったとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過しているとして、申立人に苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑩第2022−33号
 介護施設内で生じた窃盗事件を施設がもみ消しをするのに市職員が加担する等の行為があったとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が現に施設と係争中であるとともに、苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過しているとして、申立人に苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑪第2022−34号
 生活保護を受給している申立人が、過去に年金を受給した際に返還の通知を受けるまで3年近くかかったことの理由を調査することを求め、苦情が申し立てられたケース。申立ての原因となった事実からすでに10年以上経過しているとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)