2019年7月に入り、札幌市オンブズマンの平成30年度活動状況報告書が公表された。そこで、オンブズマン事務局に各案件の処理日数のデータ提供を依頼し、以下の表及びグラフを作成した(ただし、1件のデータ提供が受けられなかったことから、その案件については、他の情報と合わせて推定される最小の日数を計上した)。また、今回は、処理日数の平均に加え、処理日数の中央値も掲載することにした。
なお、以下の(表1)の「結果通知処理件数」とは、「苦情申立件数」のうち、オンブズマンが「苦情等調査結果通知」を発送し、調査を終了した案件の件数である。したがって、「処理日数」は原則として、苦情申し立てから「苦情等調査結果通知書」の発送までに要した日数である(申立人に苦情の内容を確認するために要した日数は算定から除外されている)。
このほか、札幌市オンブズマンの制度が発足した初年度の2000年度は、制度が運用されたのがわずか1か月間にとどまっていることから、この期間の処理状況は便宜的に2001年度と合算している。そのため、制度が発足した当初の2000/01年度に限り、13か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上している。これに対し、以後の各年度は、当該年度の12か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上している(調査終了が翌年度となった案件は、申立時点を基準として処理状況を計上している)。
ところで、2018年度における処理状況をみる限り、札幌市オンブズマン制度史上最低の1年であったといえるだろう。すなわち、第1に、取扱件数が制度発足来の最少を更新している。第2に、結果通知発送に要した日数は、①平均の処理日数が制度が発足した2000/01年度以来の40日台、②平均処理日数の中央値が2011年度以来の37日という最長の日数、③30日以内に結果通知を発送した割合が過去最低(32.4%)を大幅に下回る15.2%、と3点において最低(又は最低タイ)になっている。
もっとも、それはあくまで、処理件数及び日数に限られた話であり、オンブズマン調査の「質」については別論である。すなわち、オンブズマン調査に時間がかかったり、件数が少なかったとしても、1件1件の調査に手間をかけ、調査の「質」の向上につながるのであれば、件数の少なさや処理日数の長さについて、否定的に評価すべきではないのかものしれない。
ただし、この「質」の評価は、処理日数や処理件数のように、数値として客観化されるものではないことから、2018年度のオンブズマン調査について、過去にオンブズマンが行ってきた調査の質と比較することは、実際のところ困難である。この点、当ブログ開設者としては、2018年度に示されたオンブズマン判断は、興味深い案件もある一方で、全体としては、その「質」が十分確保されていたとは言い難いと考えている。そのことの一端を示すべく、当ブログ開設者がオンブズマン判断に抱いた疑問(の一部)を論じたエントリーを示しておく(6月調査終了分、3月調査終了分)。
なお、以下の(表1)の「結果通知処理件数」とは、「苦情申立件数」のうち、オンブズマンが「苦情等調査結果通知」を発送し、調査を終了した案件の件数である。したがって、「処理日数」は原則として、苦情申し立てから「苦情等調査結果通知書」の発送までに要した日数である(申立人に苦情の内容を確認するために要した日数は算定から除外されている)。
このほか、札幌市オンブズマンの制度が発足した初年度の2000年度は、制度が運用されたのがわずか1か月間にとどまっていることから、この期間の処理状況は便宜的に2001年度と合算している。そのため、制度が発足した当初の2000/01年度に限り、13か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上している。これに対し、以後の各年度は、当該年度の12か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上している(調査終了が翌年度となった案件は、申立時点を基準として処理状況を計上している)。
ところで、2018年度における処理状況をみる限り、札幌市オンブズマン制度史上最低の1年であったといえるだろう。すなわち、第1に、取扱件数が制度発足来の最少を更新している。第2に、結果通知発送に要した日数は、①平均の処理日数が制度が発足した2000/01年度以来の40日台、②平均処理日数の中央値が2011年度以来の37日という最長の日数、③30日以内に結果通知を発送した割合が過去最低(32.4%)を大幅に下回る15.2%、と3点において最低(又は最低タイ)になっている。
もっとも、それはあくまで、処理件数及び日数に限られた話であり、オンブズマン調査の「質」については別論である。すなわち、オンブズマン調査に時間がかかったり、件数が少なかったとしても、1件1件の調査に手間をかけ、調査の「質」の向上につながるのであれば、件数の少なさや処理日数の長さについて、否定的に評価すべきではないのかものしれない。
ただし、この「質」の評価は、処理日数や処理件数のように、数値として客観化されるものではないことから、2018年度のオンブズマン調査について、過去にオンブズマンが行ってきた調査の質と比較することは、実際のところ困難である。この点、当ブログ開設者としては、2018年度に示されたオンブズマン判断は、興味深い案件もある一方で、全体としては、その「質」が十分確保されていたとは言い難いと考えている。そのことの一端を示すべく、当ブログ開設者がオンブズマン判断に抱いた疑問(の一部)を論じたエントリーを示しておく(6月調査終了分、3月調査終了分)。
(表1)
苦情申立
件数
|
結果通知
処理件数 |
結果通知
平均処理
日数
|
結果通知
処理日数
中央値
|
結果通知
30日以内
処理率
|
|
2000/01年度
|
177
|
120
|
43.69
|
29
|
52.5%
|
2002年度
|
111
|
88
|
31.14
|
28
|
65.9%
|
2003年度
|
113
|
83
|
30.07
|
30
|
54.2%
|
2004年度
|
93
|
74
|
30.78
|
28
|
63.5%
|
2005年度
|
103
|
88
|
24.78
|
26
|
83.0%
|
2006年度
|
115
|
92
|
25.32
|
25.5
|
92.4%
|
2007年度
|
111
|
90
|
24.40
|
23
|
88.9%
|
2008年度
|
117
|
108
|
32.45
|
28
|
73.1%
|
2009年度
|
133
|
109
|
36.62
|
32
|
44.0%
|
2010年度
|
130
|
109
|
34.79
|
32
|
49.5%
|
2011年度
|
125
|
111
|
38.94
|
37
|
32.4%
|
2012年度
|
135
|
110
|
29.16
|
28
|
71.8%
|
2013年度
|
122
|
104
|
29.84
|
28
|
68.3%
|
2014年度
|
129
|
107
|
33.45
|
30
|
51.4%
|
2015年度
|
130
|
109
|
33.05
|
31
|
47.7%
|
2016年度
|
100
|
88
|
35.36
|
31.5
|
45.5%
|
2017年度
|
82
|
67
|
35.76
|
33
|
38.8%
|
2018年度
|
77
|
66
|
*40.06
|
*37
|
15.2%
|
全期間
通算 |
2103
|
1723
|
*32.93
|
*29
|
58.1%
|
*を付したデータは、2018年度の案件のうち1件について推定値に基づくことを示している。
また、以下の(表2)は、制度発足以来の処理日数の度数分布を取りまとめたものである。2017年度とくらべ、2018年度における「21日~30日」の減少と、「31日~45日」及び「46日~60日」の割合の増加が顕著である。
(表2)
20日
以内
|
21日〜
30日
|
31日〜
45日
|
46日〜
60日
|
61日〜
90日
|
91日
以上
|
30日
以内
処理率
|
30日
超
処理率
| |||||||
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
|
件数
|
処理率
| |||
2000/01
年度
|
20
|
16.7%
|
43
|
35.8%
|
26
|
21.7%
|
10
|
8.3%
|
9
|
7.5%
|
12
|
10.0%
|
52.5%
|
47.5%
|
2002
年度
|
20
|
22.7%
|
38
|
43.2%
|
17
|
19.3%
|
5
|
5.7%
|
7
|
8.0%
|
1
|
1.1%
|
65.9%
|
34.1%
|
2003
年度
|
13
|
15.7%
|
32
|
38.6%
|
33
|
39.8%
|
5
|
6.0%
|
0
|
0.0%
|
0
|
0.0%
|
54.2%
|
45.8%
|
2004
年度
|
7
|
9.5%
|
40
|
54.1%
|
21
|
28.4%
|
4
|
5.4%
|
2
|
2.7%
|
0
|
0.0%
|
63.5%
|
36.5%
|
2005
年度
|
20
|
22.7%
|
53
|
60.2%
|
15
|
17.0%
|
0
|
0.0%
|
0
|
0.0%
|
0
|
0.0%
|
83.0%
|
17.0%
|
2006
年度
|
21
|
22.8%
|
64
|
69.6%
|
5
|
5.4%
|
1
|
1.1%
|
0
|
0.0%
|
1
|
1.1%
|
92.4%
|
7.6%
|
2007
年度
|
21
|
23.3%
|
59
|
65.6%
|
7
|
7.8%
|
2
|
2.2%
|
1
|
1.1%
|
0
|
0.0%
|
88.9%
|
11.1%
|
2008
年度
| 7 |
6.5%
|
72
|
66.7%
|
15
|
13.9%
|
8
|
7.4%
|
4
|
3.7%
|
2
|
1.9%
|
73.1%
|
26.9%
|
2009
年度
|
7
|
6.4%
|
41
|
37.6%
|
34
|
31.2%
|
20
|
18.3%
|
7
|
6.4%
|
0
|
0.0%
|
44.0%
|
56.0%
|
2010
年度
|
14
|
12.8%
|
40
|
36.7%
|
35
|
32.1%
|
14
|
12.8%
|
5
|
4.6%
|
1
|
0.9%
|
49.5%
|
50.5%
|
2011
年度
|
6
|
5.4%
|
30
|
27.0%
|
51
|
45.9%
|
15
|
13.5%
|
8
|
7.2%
|
1
|
0.9%
|
32.4%
|
67.6%
|
2012
年度
|
20
|
18.2%
|
59
|
53.6%
|
20
|
18.2%
|
10
|
9.1%
|
1
|
0.9%
|
0
|
0.0%
|
71.8%
|
28.2%
|
2013
年度
|
8
|
7.7%
|
63
|
60.6%
|
28
|
26.9%
|
4
|
3.8%
|
1
|
1.0%
|
0
|
0.0%
|
68.3%
|
31.7%
|
2014
年度
| 1 |
0.9%
|
54
|
50.5%
|
39
|
36.4%
|
10
|
9.3%
|
3
|
2.8%
|
0
|
0.0%
|
51.4%
|
48.6%
|
2015
年度
|
8
|
7.3%
|
44
|
40.4%
|
45
|
41.3%
|
12
|
11.0%
|
0
|
0.0%
|
0
|
0.0%
|
47.7%
|
52.3%
|
2016
年度
| 0 |
0.0%
|
40
|
45.5%
|
33
|
37.5%
|
13
|
14.8%
|
2
|
2.3%
|
0
|
0.0%
|
45.5%
|
54.5%
|
2017
年度
|
0
|
0.0%
|
26
|
38.8%
|
31
|
46.3%
|
8
| 11.9% |
2
|
3.0%
|
0
|
0.0%
|
38.8%
|
61.2%
|
2018
年度
|
0
|
0.0%
|
10
|
15.2%
|
40
|
60.6%
|
14
| 21.2% |
2
|
3.0%
|
0
|
0.0%
|
15.2%
|
84.9%
|
全期間
通算 | 193 |
11.2%
|
808
|
46.9%
|
495
|
28.7%
|
155
|
8.2%
|
54
|
3.0%
|
18
|
1.0%
|
58.1%
|
41.9%
|
さらに、以下の(グラフ1)は、(表2)よりも度数分布を細かく区分し、度数分布の経年変化を示したものである。2018年度は、ついに25日以内に調査を終了した案件もなくなっている。
札幌市オンブズマンの調査が遅滞することは、今に始まったことではない。過去を振りかえってみると、処理日数に関しては、2011年度が札幌市オンブズマン制度史上最低の1年であった。しかし、この時は、翌2012年度の処理日数の状況は、大幅に改善している。
2018年度の経験を踏まえ、2019年度の札幌市オンブズマンは、何某かの改善に取り組むのか、それとも、漫然と処理日数の減少と処理の遅滞化傾向に身を委ねるままにするのか。その活動に注目である。
※なお、オンブズマン別の処理日数の状況については、このエントリーで紹介している。
2018年度の経験を踏まえ、2019年度の札幌市オンブズマンは、何某かの改善に取り組むのか、それとも、漫然と処理日数の減少と処理の遅滞化傾向に身を委ねるままにするのか。その活動に注目である。
※なお、オンブズマン別の処理日数の状況については、このエントリーで紹介している。