2023/03/06

審査請求が認められる

すでに2022年8月に調査を終了したケースのエントリーに記載したが、第2022-22号の苦情等調査結果通知書で非公開とされた箇所の一部の公開を求めて審査請求したところ、審査庁たる札幌市長は2023年3月3日付の裁決において請求を認容した。「札幌市情報公開・個人情報保護審査会」への諮問すら行われない、いわば「完全勝利」である(札幌市情報公開条例17条1項2号参照)。

全文参照

まず、裁決までの経緯を振り返っておく。2022年9月1日付で行った公文書公開請求に対し、同月27日付でなされた一部公開決定において、苦情等調査結果通知書第2022-22号が公開された(当初公開分)。この案件は、敬老優待乗車証のチャージのために郵便局を訪れた際の職員の対応に不満を覚えた申立人が、市に対応を求めたものの適切な対処がなされないとして苦情が申し立てられた事案である。

そして、当初公開された上記通知書においては、市とチャージ業務について業務委託契約を締結した日本郵便北海道支社の業務マニュアルを引用した箇所が非公開とされていたことから、当ブログ開設者が当該箇所の公開を求めて審査請求をしたところ、公開を命ずる裁決が出されるとともに、裁決書と合わせて、苦情等調査結果通知書第2022-22号が送られてきた(裁決後の通知書)。

なお、この裁決では、上記マニュアルを引用した箇所について、「本件非公開部分を公開しても申立人と郵便局員とのやり取りの内容が明らかになるものとは認められず、特定の個人を識別することはできない」として、条例7条1号に定める非公開情報(いわゆる「個人情報」)には該当しないと判断されている(同号は「非公開情報」として「個人に関する情報で、特定個人を識別することができるもの」を規定する)。

ここでのポイントは、特定個人識別性がないことを理由として非公開情報ではないと判断している点である。この点、当ブログ開設者による、マニュアルを引用した箇所は「個人に関する情報」には該当しないという主張は、残念ながら採用されなかった。

また、裁決は条例7条1号の非公開情報該当性を否定するとともに、条例7条5号オ(いわゆる「事務事業情報」)該当性も否定した(同号オは「事務又は事業の性質上、公にすることにより、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすと認められるもの」を非公開情報と規定する)。

以上の次第で、今回の裁決は、オンブズマンによる「苦情等調査結果通知書」について、通知書の記載内容は「個人に関する情報」であるが、「特定個人識別性」が認められない限り条例7条1号が規定する非公開情報(いわゆる「個人情報」)には該当しないことを明確にした点で、大きな意義があると思われる。

その一方で、条例7条5号オが規定する非公開情報(いわゆる「事務事業情報」)該当性に関しては、条例7条1号が規定する非公開情報該当性と結びつけた判断をしている。しかしながら、こうした判断が適切かどうかは、なお議論の余地があると思われる。特定個人識別性がある箇所を非公開にしたとしても、自らが申し立てた苦情(について記載された文書)が公文書公開の対象となること自体、苦情申立を忌避する理由となると思われるからである。

また、今回の審査請求においては、審査請求書に「苦情等調査結果通知書を公開することによりオンブズマンがいかにずさんな調査を行っているかが明らかになり、「市民のオンブズマン制度への信頼を失わせ」る可能性がある」旨も記載した。裁決書記載の「審査請求書による請求人の主張」においては見事なまでに無視されたが、その理由は定かでない。

2023/03/01

新オンブズマン就任(2023年)

2023年2月28日、以下の議案が札幌市議会に提出され、同日、議会の同意を得た。これにより、新たに神谷奈保子氏(民事調停委員)がオンブズマンに就任するとともに、田村智幸氏(弁護士)が再任された。神谷氏は、2019年3月にオンブズマンに就任した八木橋眞規子氏(民事調停委員)の後任である。

これにより、2023年3月1日以降は、2020年3月1日に就任したオンブズマン2期目の原俊彦氏(大学名誉教授)とあわせ、3名体制で札幌市オンブズマンの職務が遂行されることになる。

ところで、今回再任された田村智幸氏について、当ブログ開設者は2021年9月に調査を調査を終了したケースのエントリーにおいて、「オンブズマンがその手腕を惜しむことなく発揮することを期待したい」と記したことがある。しかし、1期目の2年が満了する現時点では、田村智幸氏の手腕を買いかぶっていたと感じている。

それというのも、その後田村智幸氏が担当した調査には、「市の回答」を鵜呑みにして裏とりをしていなかったり、申立人の主張をオンブズマンの都合で改変したり、場合によっては申立人が主張していない内容をあたかも主張しているかのごとく捏造したと疑われる案件も散見されるからである(なお、第2022-58号は当ブログ開設者が苦情を申し立てた案件であるが、苦情申立ての趣旨において田村智幸氏を名指しでの調査の問題点を指摘している。ご関心の向きに一読を推奨する)。

こうした調査は、田村智幸氏が札幌市オンブズマンとしての職務を遂行するに際し、「市民の意向が的確に反映された市政運営に資する」(札幌市オンブズマン条例1条)ことよりも、苦情を申し立てる口うるさい市民に穏便にお引取りいただくよう、調査をしたという体裁を取り繕うことがオンブズマンの役割であると考えているためではないかと、当ブログ開設者は考えている。

市民の意向が的確に反映された市政運営に資するべく、オンブズマン2期目の田村智幸氏には札幌市オンブズマンの制度の理念に忠実に、市の業務の実体的側面に限らず、制度・手続き・説明といった側面からも、適切な調査が実施されることを期待したい。


2023/02/14

2022年12月に調査を終了したケース

 2023年1月1日、2022年12月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、2023年1月30日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年12月)に調査を終了したのは7件で、このうち4件で調査結果が通知され、残る3件のうち2件で調査をしない旨、1件で調査中止が通知されている。

さて、今回公開された案件のうち最も興味深い案件ーただしオンブズマンの判断には大いに問題があるという意味においてーは、新型コロナウイルスの感染者情報の公開が十分ではないとして苦情が申し立てられた、第2022-66号である。調査担当のオンブズマンは、「札幌市が公表する新型コロナウイルス感染者情報が、申立人御自身に直接的・具体的な利害があるとは言えません」と判断し、調査を実施しなかった。

しかしながら、自らがコロナ感染を回避しようとした場合、札幌市の感染状況について正確な情報を知ることは、十分な利益があると思われる。したがって、新型コロナがまん延する状況において、①かつてはどのような情報を公表していたか、②現在はどのような情報を公表しているか、③公表する情報が変更されたのはどのような事情によるのか、④市民は感染を回避するためには公表された情報をどのように活用すればよいか、といった点について、市のコロナ担当部署に説明を求めることは、申立人の疑問を解消する可能性があるのみならず、市民一般にとっても有益であると当ブログ開設者は考えている。

それにもかかわらず、オンブズマンが調査を実施しなかったのは、コロナ担当部署の業務負担を忖度したか、あるいは、市の説明の当否を判断できるだけの専門的知見を欠くためであろうと当ブログ開設者は推測する。仮に後者であるならば、調査担当オンブズマンは、市の市民に対する説明責任(アカウンタビリティー)の意義を軽視していると言わざるを得ないであろう。

次に、市・道民税の減免が認められないこと等について苦情が申し立てられた第2022-46号も興味深い。市は申立人に対し一貫して「減免は認められない」旨の説明を行ってきたが、その過程で減免却下通知書(別紙)の記載に誤りがあったことが判明している。いみじくも調査担当オンブズマンも指摘しているように、「申立人の審査請求の意向が税政部を通して示されていなければ、更正を行う機会がなかった可能性」も否定できない。さらに、市の部署間での情報共有についても課題が浮き彫りになる等、調査がなされた実質的意義は大きい。くわしくは、結果通知書で確認して頂きたい。

このほか、農業委員会総会の席上における委員の発言を契機とする苦情(第2022-65号)について、調査担当オンブズマンは、条例16条2項を根拠として「調査しない旨」を通知した。しかし、技術的な話になるが、当該条項は苦情がオンブズマンの所轄事項(条例3条)に該当するとともに、調査対象外の事項(条例16条1項)に該当しない場合に適用する規定である。農業委員会の意思決定機関たる総会における事実関係は、オンブズマンの「所轄事項」に該当しない旨位置づけた方が、事案の処理として適切であろうと思われる。

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①第2022-46号
 疾病を理由に退職したため市・道民税の納付が困難である旨を申し出たにもかかわらず、減免制度の説明をしない等、市職員の一連の対応に不備があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2022-51号
 生活保護を受給する申立人が同一世帯構成員が施設に入所するに際し、当該構成員の受給する年金及び通帳の取扱い等について苦情が申し立てられたケース。なお、本件申立人は、別途、第2022-57号の苦情も申し立てている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2022-55号
 成年被後見人(本人)が入居する市営住宅の退去手続きに際し、成年後見人の司法書士が退去届に本人の押印を求められたことを不服として苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2022-57号
 生活保護を受給する申立人が、転居費用を受領するために保護課を訪問した際、担当職員が何に使用するのかも説明しないまま申立人から受け取った印鑑を押印したことについて苦情が申し立てられたケース。なお、本件苦情の申立人は、第2022-51号の申立ても行っている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑤第2022-59号
 退職した勤務先から支払われた給与が収入認定されたことを不服として、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑥第2022-65号
 農業委員会総会の場におけるある委員の発言が「委員たるに値しない非行」に該当するとして、苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情がある」ことを理由として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑦第2022-66号
 新型コロナウイルスの感染者情報の公開が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。「札幌市が公表する新型コロナウイルス感染者情報が、申立人御自身に直接的・具体的な利害があるとは言えません」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2023/01/25

2022年11月に調査を終了したケース

 2022年12月2日、同年11月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、2023年1月13日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年11月)に調査を終了したのは11件で、このうち9件で調査結果が通知され、残る2件は調査をしない旨が通知されている。

さて、今回公開された案件のうち最も興味深い案件は、ネットカフェを住所とする転入届の受付を拒否されたとする第2022-49である。市の回答では、どのような場合にネットカフェを住所とすることが認められるかという要件が示されているが、札幌市中央区において実際に認められ事例は存在しない模様である。

また、「路面電車無料デー」の実施にともなう定期券の取り扱いについて苦情が申し立てられた第2022-44号も興味深い。市の回答では「定期券は特定の区間を繰り返し乗車する利用者に対して、一定の割引率を適用した乗車券」であると説明がなされているが、札幌市電の定期券は利用区間が特定されることなく、全区間が利用できる取り扱いとなっている。

そのため、定期券利用者が「路面電車無料デー」に乗車する場合、実質的には定期券の日割額を負担していることになるのみならず、「路面電車無料デー」が含まれないように定期券を購入することも不可能である。したがって、当ブログ開設者は申立人の主張にも一理あると考えるのだが、いかがであろうか(ただし、どのように定期券利用者の不利益を解消するかは、考慮を要するところである)。

このほか、第2022-52号第2022-54号および第2022-58号は、いずれも当ブログ開設者の申し立てた苦情である。このうち、第2022-52号は、公文書公開請求に関する苦情であるが、①いわゆる「個人情報」として非公開になる情報がどのようなカテゴリーのものがあるか、②当該情報を非公開とする際、決定通知書にどのような記載がなされるべきか、といった点について、市の対応に不備があるとして苦情を申し立てたのであるが、調査担当のオンブズマンにも申立ての趣旨が理解できるように文章化するには、まだまだ当ブログ開設者の力量が不足していた模様である(あえて言うまでもないが、「皮肉」である。)。

次に、第2022-54号及び第2022-58号は、苦情申立てを受理したオンブズマン事務局の対応等についての苦情である。いずれも「調査しない旨」が通知されているが、第2022-54号のオンブズマン判断の問題点は、第2022-58号の申し立てにおいて指摘した。

また、第2022-58号については、その趣旨は実質的にみて第2022-54号においてオンブズマンが「調査しない」と判断したことに対する苦情であるとして、「オンブズマンの行為」についての苦情は調査対象とならないというのであれば当ブログ開設者も理解できる。

しかしながら、「オンブズマンが既に調査を実施した苦情については、オンブズマンは調査を行うことができません。オンブズマンが調査を行わないと判断した苦情についても同様です」というのでは、苦情の実体的な中身(については調査を実施していない)と、調査しないというオンブズマン判断とを混同している点で、オンブズマン判断は言葉足らずであると言わざるを得ないだろう。

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①第2022-43号
 市の保育施設が建設されるに際し地域住民に対する説明を欠いたり、建物の高さについての説明が一貫性を欠いたこと、騒音や眺望が妨げられる等の支障があること及び情報公開請求に際し職員からやめてほしいと言われたことなどについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

②第2022-44号
 定期券を購入して路面電車を利用している申立人が、「路面電車無料デー」が設けられたことを理由として、日割りでの払い戻しまたは定期券の期限の延長を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2022-45号
 申立人の自宅裏の市有地に散在する単管パイプ等の取り扱いについて、市に真摯な対応を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2022-47号
 生活保護を受給する申立人が担当ケースワーカーの対応に不満があるとして、上司による対応等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑤第2022-48号
 申立人がかつて勤務していた介護保険事業所が報酬を不正に請求しているという申し出をきっかけとして、市が事業所から提供を受けた資料について申立人が個人情報開示請求をしたところ、すでに廃棄済みであることを理由として非開示決定がなされたことを不服として、再度調査を実施することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑥第2022-49号
 札幌市外からの転入手続きの際、ネットカフェを新しい住所とする転入届の受付を拒否されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑦第2022-50号
 生活保護を受給する申立人が、生活扶助が1万円ほど少なくなったのは誰かが着服したためではないかとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑧第2022-52号
 札幌市オンブズマンの調査に関する文書について公文書公開請求を行った申立人が、非公開部分の特定をするとともに当該箇所を非公開とする理由を明確に記載した通知書の交付を求め、あわせて決定通知書記載の非公開理由のひな形について、非公開情報該当性についての記載の明確にすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑨第2022-53号
 申立人が区保健センターで子どもの乳幼児健康診断を受けた際、45分以上も待機することになったとして、待機時間の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑩第2022-54号
 オンブズマンに苦情を申し立てたところ、調査が開始される前に調査対象となる部局の職員が申立人に接触を図ることはオンブズマン調査の公正・中立性に疑義を生じさせるとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が「利害」を有さないとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑪第2022-58号
 オンブズマンが調査を実施する要件たる「申立人の利害」について市民に周知を図ること、オンブズマン事務局がオンブズマンの公正・中立性に疑義を生じさせる行為を慎むこと及び苦情申立がなされた場合にはオンブズマンが調査を実施する・しないに関わらず「受理通知」を送付することを求めて、苦情が申し立てられたケース。いずれも「オンブズマンの行為」に対する苦情であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2022/12/14

2022年10月に調査を終了したケース

 2022年11月2日、同年10月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、11月30日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年10月)に調査を終了した全5件で、調査結果が通知されている。

さて、今回公開された案件のうち最も興味深い案件は、眠れるオンブズマンこと原俊彦担当の第2022-41号である。この案件では、介護保険給付を受けてショートステイを利用した際、当該事業所で何らかのアクシデントがあったことを契機として、当該事業所に対する市の権限行使及び申立人への市職員の対応について苦情が申し立てられている。

ところで、この調査を担当した眠れるオンブズマンこと原俊彦は、かつて介護保険制度の住宅改修費に関する苦情において、「ケア・マネージャー」の対応について縷々見解を開陳したことがある(第2021-17号)。そのため、当ブログ開設者はこのエントリーにおいて、「居宅介護支援事業所に所属するケア・マネージャーの行為は、オンブズマンの所轄事項たる「市の機関の業務の執行に関する事項及び当該業務に関する職員の行為」(札幌市オンブズマン条例3条)に該当せず、その判断はオンブズマンの所轄事項を逸脱していると思われる」旨指摘した

これに対し、今回公開を受けた第2022-41号では、調査担当オンブズマンは「事業所や担当ケアマネに対する市の監督責任という観点から検討」を行っている。このような観点は、札幌市オンブズマンの調査権限に即し適切であると当ブログ開設者は考えている。眠れるオンブズマンこと原俊彦がようやく目覚めの時を迎えたのならば、大いに歓迎すべきことである。

なお、当ブログ開設者は、介護保険の住宅改修費に関する第2021-42号が公開された際(上記の第2021-17号が公開された翌月である)、「(札幌市オンブズマンは)今後、介護保険に関する苦情が申し立てられた場合に備え、「市の機関の業務の執行」という観点から、介護保険法に定められた市の権限を把握しておく必要があると思われる」と論じたことがある(このエントリー)。今後も札幌市オンブズマンには、何がオンブズマンの調査対象事項であるかを適切に把握したうえで、「市民の意向が的確に反映された市政運営に資する」(札幌市オンブズマン条例1条)べく、職務を遂行されることを期待したい。

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①第2022-26号
 生活保護を受給する申立人が、大学進学の際に世帯分離していた子が卒業したことにより世帯分離が解除されるとともに、保護が廃止されたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2022-36号
 申立人が納税のために市税事務所を訪問した際に同行した者がいることについて、日常的に市税事務所と連絡を取っている同行者とは別の人物に市職員が伝えたのは個人情報の漏洩であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2022-38号
 自宅裏の空き家の屋根から自宅敷地内に落雪があることについて、市が適切な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

④第2022-41号
 申立人の母がショートステイを利用した際、事業所で何某かのアクシデントがあったことに関し、市の当該事業所に対する権限行使及び申立人への市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2022-42号
 申立人が通所する就労継続支援B型事業所が営む軽食喫茶店について情報提供した際の市職員の申立人の対応及び当該事業所に対する市の権限行使のあり方について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)