2021/02/11

2020年12月に調査を終了したケース

2021年1月1日、2020年12月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、2021年2月3日付で一部公開決定がなされた。今回の請求分も2020年12月1日請求分と同様に、決定期間が延長されている。

上記の期間(2020年12月)に調査を終了したのは10件で、このうち7件で調査結果が通知された。また、残る3件のうち、1件は調査しない旨、1件は調査終了が通知され、1件は申立人の取り下げにより、調査が終了している。

今回の公開分にも、興味深い事案が複数あるため、以下、そのうちの3件を確認していく。

まず、第2020−41号である。この案件は、市のまちづくりセンターにチラシの配布・配架を要請した際の市の対応に関する苦情である。苦情が申し立てられたのち、市は対応の不備を認め、具体的に対処しており、申立人にとっては苦情を申し立てた成果があったと思われる案件である。

ところが、担当の原俊彦オンブズマンは、何を思ったか、申立人の苦情に対し、①「配架を断られ、突き返された」事実は確認できませんでした、とか、②「団体の貴重なガソリン代が無駄になる」ことはなかったものと思われます、というように、申立人の主張を否定する判断を行なっている。

当ブログ開設者は、原俊彦オンブズマンのこのような判断は、市の対応の当否に関する判断を何ら左右するものではないうえ、苦情の文言を額面通りにしか受け止めずに、徒に申立人の神経を逆撫でするものであると考えている

こうした判断がなされたのは、オンブズマンが、“申立人と市の主張のどちらが正しいか”を判断する必要がある、と考えているためなのかもしれないが、“市政の改善”を図るためには、市の対応の当否を判断すれば足りると思われる。そのため、この案件おける原俊彦オンブズマンの職務に取り組む姿勢には、大いに疑問を抱かざるを得ない。

もっとも、あえて申立人に対し挑発的な判断を示すことは、先日のエントリーで論じたように、市民の自主的・自律的な行動を促進する可能性を秘めている。だとすれば、原俊彦オンブズマンは、札幌市オンブズマンの新たな像を提示しているのかもしれない。

次に、第2020−55号である。この案件では、申立人は、札幌アイヌ協会の関係者による話し合いが市の会議室を利用してなされた際、その場に立ち会った市職員が録音したテープの提供を求めている。市は、オンブズマンに対し、「録音テープには個人情報が含まれていることから、申立人に公開することはできません」と回答するとともに、担当の房川樹芳オンブズマンは、市の回答を鵜呑みにする判断を行なっている。

しかしながら、録音テープに個人情報が含まれており、その個人情報が非公開情報に該当するとしても、札幌市情報公開条例8条1項は、「非公開情報に係る部分を容易に区分して除くことができるときは、当該非公開情報に係る部分以外の部分を公開しなければならない」と規定しているのであり、「録音テープに個人情報が含まれている」ことが、当然に公開しないことを正当化するわけではない(もちろん、録音データの場合には、紙ベースのデータの場合と異なり、非公開情報を「容易に区分して除くことができる」とは言い難い可能性はある)。

また、公文書公開請求は、決定に不服がある場合、審査請求や取り消し訴訟を行うことができるところ、この案件では、市もオンブズマンも、申立人に対し、この制度(公文書公開請求)を知らせていないのであり、「市民の知る権利」(札幌市情報公開条例1条)への配慮が不十分であると思われる。

最後に、第2020-57号である。この案件を担当した原俊彦オンブズマンは、当ブログ開設者が申し立てた苦情(第2020−20号)を担当したオンブズマンであるが、上記のエントリーで紹介したように、「札幌市オンブズマンは、ろくろく文章を書くこともままならない人物が利用する制度である」という発言を行った人物である(ただし、その後の照会に対し、オンブズマン事務局からはそうした発言を行なった事実はない、という回答を受けている)。

当ブログ開設者は、この第2020−57号の苦情申立書を見て、まさに原俊彦オンブズマンが適任であるという印象を抱いたが、それは、この案件の苦情申立書には、わずか1行にも満たない記述がなされるのみだったからである。もっとも、苦情等調査結果通知書に記載された”苦情申立の趣旨”には、詳しい事実関係についての記述もなされており、申立書の記述を埋め合わせるために、申立人からの聴き取りがなされたものと思われる。いずれにせよ、原俊彦オンブズマンの発言にしたがうならば、まさにこのような事例を担当することこそ、オンブズマンたる面目躍如であろう。

ところで、今回、全7件の苦情等調査結果通知書を掲載したうち、4件が原俊彦オンブズマンの担当である。原俊彦オンブズマンは、8月28日付の苦情等調査結果通知書(第2000−28号)を担当したのち、9、10、11月の3か月にわたり、調査結果を通知する案件を担当していなかった。”眠れるオンブズマン”も、ようやくお目覚めの時を迎えたようである。

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①第2020−41号
 市教委が後援する講習のチラシの配布・配架を市の施設に要請したところ、配架を拒否されたとして、その根拠の説明と謝罪を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

②第2020−43号
 水道工事に際しての歩道の誘導が不十分であるとともに、その後の市の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2020−48号
 生活保護受給者に賃貸していたアパートの所有者が、当該保護受給者の退去後に残された荷物を市が処分することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)


④第2020−51号
 不動産業者が取扱物件に隣接する公園のフェンスが倒れそうであるとして、市に対応を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2020−52号
 市が生活保護受給者に対し「通院移送費」が支給されるように適切な対応をしていないことや、保護変更申請に対し30日経過しても未だ決定がなされていないこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑥第2020−53号
 生活保護が廃止されことに対し、苦情が申し立てられたケース。申立人がオンブズマンと面談した際、新たな情報を提供するとともに、新たな苦情申立てとする旨の申し出があったために調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑦第2020−55号
 市民文化局市民生活部アイヌ施策課の会議室で行われた札幌アイヌ協会の関係者が出席した話し合いの模様を録音したテープの提供を求めるとともに、申立人が市議と接触したことについて市職員から論難されたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑧第2020−57号
 生活保護を廃止されたことや自動車を処分するよう指示されたこと等が不満であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
⑨第2020−59号
 生活保護受給者が入居する住宅の家主が入居者の家賃を市から代理納付を受けていたところ、退去日が延期されために市に家賃を請求したが本人に請求するようにという回答を受けたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑩第2020−60号
 札幌駅北口で行われている再開発事業に対し、市の補助金の支出を一時停止することを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人が利害を有さないとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:房川樹芳)

2021/01/18

2020年11月に調査が終了したケース

2020年12月1日、同年11月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、同年12月28日に一部公開決定がなされた(通常、公文書公開請求がなされた場合、請求の翌日から起算して14日以内に決定がなされるところ、今回は3か月ぶりに決定期間が延長された)。

上記の期間(2020年11月)に調査を終了したのは8件で、このうち6件で調査結果が通知されている。また、残る2件は調査しない旨が通知され、調査が終了している。

このうち、興味深い案件はいくつかあるが、まずは、第2020-44号である。この案件では、市の業務の受託事業者の元従業員が、勤務先での処遇に関し苦情を申し立てた。

こうした事例では、勤務先の違法行為に対して市が何らかの権限を有していることを前提に、市に権限行使を求める苦情であれば、市に権限行使を求める申立人への市の対応の当否が問われることになろう。

これに対し、単に労使関係上のトラブルに対し市の関与を求める場合には、果たして、オンブズマンの調査の対象「市の機関の業務の執行に関する事項」(札幌市オンブズマン条例3条)といえるのか、検討の余地があると思われる。また、「市の機関の業務の執行に関する事項」に該当するとしても、市職員であれば、「自己の勤務内容に関する事項」はオンブズマンの所轄外の事項であるところ、受託事業者の従業員であれば「自己の勤務内容に関する事項」がオンブズマン調査の対象となるというのは、整合性を欠くようにも思われる。

次に、第2020-50号である。この苦情は、市営住宅の「家賃減免通知書」記載の申請日と実際の申請日が異なるという苦情であるが、オンブズマンは「申立人の事情を酌んだものである」として、通知書記載の日付を格別、問題視しなかった。

たしかに、減免を認めることは申立人の利益となる取扱いではあるものの、制度運用として適切であるかは、なお課題を残すように思われる。より実態に即した対処ができるように、たとえば、申請書に「申請日」と「減免事由発生日」を記載し、「減免事由発生日」からの減免を認める等の対応を求める等、オンブズマンは、安易に例外を認めることを戒める必要があるのではなかろうか。

以上が、2020年11月に調査を終了した案件について、当ブログ開設者の考えるところである。

なお、2020年12月に調査を終了した案件について、2021年1月1日に公文書公開請求を行ったところ、公開決定の期間を延長し、2021年2月5日までとする通知を受けた。したがって、当該期間(2020年12月)に調査を終了した案件を当ブログに掲載するのは、2021年2月以降になると思われる。掲載まで、しばしお待ちいただきたい。

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①第2020-39号
 申立人が障害を有する娘の通学のため「移動支援事業」を利用しようとした際の市職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

②第2020-42号
 市営住宅入居に先立つ説明において、「家賃減免」の説明がなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子) 

③第2020-44号
 市の事業の受託事業者の元従業員が、当該事業者が違法な行為を行っているにもかかわらず事業を委託した理由の説明や、市が当該事業者に対し必要な調査を行わなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。申し立ての原因となった事実から1年以上経過しているとともに、申立ての内容がすでにオンブズマンが調査を行った事項についての再調査を求めるものであるとして、調査をしない旨が通知された。
 なお、すでにオンブズマンが調査を行った案件として記載されているのは、第28-12号である。(担当オンブズマン:房川樹芳)

④第2020-45号
 国外滞在した期間について住民票を海外転出しないままであったところ、その後、国内の住民票を移動させたために過去の住民票を訂正することができないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑤第2020-47号
 「アイヌ施策推進委員会傍聴要領」が、傍聴者の写真撮影及び録画を禁止していることについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑥第2020-49号
 市営住宅の駐車場使用料の減免対象を拡大することを求めて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑦第2020-50号
 市営住宅の家賃減免を受けられることになったが、実際の申請日と「減免通知書」記載の申請日が異なっているとして、事実を記載した通知書の作成と今後の対処についての説明を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑧第2020-56号
 2018年9月にあった北海道胆振東部地震の災害義援金について、2019年9月1日以降の申請受理分を減額したことについて、苦情が申し立てられたケース。申立人自身が災害義援金の申請を行っていないことから、申立人に直接の利害関係がないとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:房川樹芳)

2020/12/30

2019年度(令和元年度)活動状況報告書・非掲載案件リスト

札幌市オンブズマンは、毎年、活動状況を公表することが義務付けられている(札幌市オンブズマン条例27条1項)。例年、活動状況報告書が公表されるたび、「非掲載案件」のリストを公表してきたが、2019年度(令和元年度)(以下、「2019年度」と表記する)のリストは、未だ作成していなかった。そこで、遅ればせながらではあるが、当該活動状況報告書への非掲載案件を紹介する(注1)。

ところで、当該活動状況報告書によると、2019年度に市民から札幌市オンブズマンに申し立てられた苦情は122件で、このうち調査結果が通知されたものが94件、調査結果が通知されることなく調査が終了したものが28件となっている。そして、当該活動状況報告書に掲載されたのは、調査結果が通知された事例の41件である(ほかにオンブズマンの発意に基づく調査1件の要約も掲載)(注2)。

したがって、活動状況報告書に掲載されなかった案件の内訳は、調査結果が通知された事例が53件、調査結果が通知されることなく調査が終了した全28件である。

注1 )当ブログ開設者は、オンブズマン調査は、全件公表を原則とするべきであると考えている。それは、活動状況報告書への掲載事例が恣意的に選択されないようにするとともに、全件公表がオンブズマン調査の質を確保するためには必要不可欠であると考えているためである。この点、札幌市よりも遅れて自治体オンブズマン制度を設けた熊本市では、全件・全文の公開を原則とした運用がなされており、札幌市ができない理由はないように思われる。

(注2)平成30年度(2018年度)は、苦情申立件数全82件中、調査結果を通知した67件のうち40件が活動状況報告書に掲載されていた(非掲載27件)。2019年度は、苦情申立件数が前年度より大幅に増加したことにより(全82→全122)、非掲載案件も大幅に増える結果となった(調査結果を通知したもの27→53、調査結果を通知しなかったもの全11→全28)。

(1)調査結果を通知したもの(53件) 
第2019−2号
 申立人自宅の隣接地に土砂が搬入されている件で、市は宅地造成規制法に違反しないとして十分な対応を行わないほか、職員の一連の対応にも問題があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 申立人の自宅に面した道路の補修を依頼しても補修がなされないほか、雪が降るようになってからは、市が除雪する際、申立人が除雪した自宅や歩道に大量の雪を置いていくようになったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 施設に入所する生活保護受給者が、指定難病の診察を受けられずにいるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市営住宅に入居する申立人が、団地の指定管理者である管理体制がずさんであるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 通所していた就労移行支援事業所で虐待を受けていたことを市の担当課に通報したにもかかわらず、その後、十分な対応がなされていないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 精神障害者についても、他の障害者同様にタクシー料金の福祉割引の対象としてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 自宅に隣接する地区センター駐車場から、車の出入りや風により埃が舞い込み、暮らしに支障が生じているとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 かつて市立札幌病院に勤務していた申立人が、配偶者の勤務先の理事長等に申立人を誹謗中傷する発信人不明の怪文書が送付されたことについて、病院の職員が関与した疑いがあるとして病院が調査を実施したものの満足のいくものではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 国民健康保険の被保険者証が郵送されてこないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 入居しているグループホームから満足のいくサービスを受けられないでいると市に訴えているにもかかわらず、市の対応が不十分で何ら改善が図られないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 市立札幌病院に勤務していた申立人が任期満了により退職した後、新たな勤務先の関係者に申立人を誹謗中傷する発信人不明の怪文書が送付されたため病院に問い合わせたところ、内部調査を行い結果を報告するということであったが、発信人を特定することは困難であるという回答であったことから、怪文書の発信者が誰であるか徹底な調査を行うことを求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 生活保護を受給している申立人から、担当ケースワーカーによる公的年金に関する説明をはじめとする 一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市営住宅の居住者と同居していたと主張する申立人が、同住宅の共同物置に保管されていた申立人の荷物が何の断りもなく市の倉庫に移動されたのみならず、荷物の量も減っていたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 自宅近くにカラスが営巣し、申立人を含む通行人を威嚇したり攻撃することから、早急に巣の撤去すること等を求めて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 自宅向かいのマンションが市道に雪出しをしていることについて、市の回答文書には「雪出しは行われていないことを確認している」とあるが、このような回答は虚偽であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 国民健康保険の被保険者証が届かなかったこと及びその後の市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 障害福祉サービス受給者証の更新手続きについて問い合わせた際の職員対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護受給者に対する担当ケースワーカーによる一連の対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護受給者が、水道を止められたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 市営住宅の自治会に対する市の指導が不十分である等、市の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 自宅前の市道に花壇がはみ出している部分があり、市に是正を求めているが改善が見られないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 所有するアパートが自身により損壊したが、り災証明書の「一部損壊」の認定、認定プロセス及び住宅再建支援制度についての適切な説明がなかったことについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 民泊事業の届出をして以降になされた、消防法令の適用に関する市の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 市の保健福祉局に在籍する職員を確認するための文書の交付を受けるまでの市の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 市のホームページからメール送信フォームがなくなったことやインターネット上の苦情相談窓口が存在しないことについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 市の施設の非常階段が自動的に施錠されること等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 札幌市から北海道に出向した職員がニセ警察官になっている可能性があるとして、出向の取りやめを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 婚姻届の提出をする際、受付の担当職員が行った戸籍謄本の提出の要否に関する説明内容等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 市立図書館の職員が利用者による閲覧室のマナー違反行為を放置したり、申立人に対する示威行為を行うこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 申立会社が昨年度まで受注していた業務を今年度は別企業が受注したが、その業務が適切に遂行されていないとして、業務が適切に遂行されるよう市が対応することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 申立人の子が施設に入所するに際しての市職員の一連の対応及び生活保護を受給する申立人とは世帯を分離する子に対する問い合わせ等の市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護を受給する申立人の自宅に担当ケースワーカーが訪問した際の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護の受給者から、これまで通り車の使用を認めてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護を受給している家族とは世帯分離している申立人から、保護課の担当者から訪問を受けたことについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 申立人の子の国民健康保険証が届かなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 生活保護を受給する申立人から、療養中の妻に対し求職活動を行うよう指示する指示書が交付されたこと等を不服として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護担当職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 申立人の転院先や病状等の個人情報について、担当ケースワーカーが申立人の戸籍上の母に漏洩したとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 自家用車で走行中に交差点で除雪車との接触を避けるために急停止したところ車がパンクしたところ、パンクしたタイヤの補償と除雪する時間帯の変更を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 2018年9月の北海道胆振東部地震の災害義援金を申請したところ、申請期限を過ぎていたとして受付を拒否されたとして、受付拒否や申請期限設定の理由の説明等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護を受給しているが、家族のところに転居するので保護を廃止してほしいと伝えたにもかかわらず、生活がきちんとするまで保護を廃止できないといわれたとして、保護の廃止を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 子どもが市立中学校に新入生として入学することになったが、補助教材として購入を求められた情報機器が高額であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 母が入所する介護老人保健施設で転倒する事故が生じたが、市の担当課の施設に対する調査が不十分であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 生活保護の受給者に対する資産調査が過酷であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 生活保護課職員の電話対応や保護課訪問時の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護を受給する申立人が、現在の住居は水漏れがするとして、転居費用の支給を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 DV加害者にでっち上げられている件で男女共同参画室職員に面談したが、その際の職員の対応や言動について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 介護保険サービスを利用することに関連し、地域包括支援センターのケアマネージャーの対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 申立人の子どもが市立幼稚園に入園するに際し「特別支援枠」で入園したことや、退園するに際しての園の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 戸籍謄本等を請求した際、必要部数の交付が受けられなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 公園内のテニスコート内の雪処理に関し、以前、オンブズマンに苦情申立をした際に、市は対応を約したにもかかわらず(第30-72号)、2020年3月になり、散歩道の雪が掘り返されていることから、市の対応についての説明を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 市道を車で走行中、道路にできた穴が原因で左後輪がパンクしたが、市の担当部署から補償はできないという説明を受けたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 元勤務先のグループホームが不正請求を行っていると公益通報を行った後、市がどのような対応を行ったのか問い合わせても回答が得られないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

(2)調査結果を通知しなかったもの(28件)
第2019−7号
 (仮称)町内会条例に関するパブリックコメントについて、市が公表した概要の取扱いに疑義がある等の苦情が申し立てられたケース。申立人が苦情を取り下げたことにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 申立人の妻が高齢者虐待防止法及び老人福祉法に基づく分離措置を受けたが、3か月たっても解除されないため会うことができずにいるとして、苦情が申し立てられたケース。申立人に調査をしない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 生活保護を受給する母が入所する施設を移動する際、申立人が立て替えた敷金について、母が退所した際に施設から返金されたところ、保護課から当該敷金を返還するよう求められたとして、苦情申し立てられたケース。申立人による苦情の取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 札幌市の集会施設で行われている活動が政教分離原則に違反するとして、苦情が申し立てられたケース。当該集会施設の運営は町内会で行われており、市の業務ではない旨を説明したところ、申立人が苦情を取り下げ、調査が終了した。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 自動車販売業の店舗前の道路改修により段差が大きくなり、車が損傷する恐れがあるとして市に改善を求めたが取り合ってもらえないとして、苦情が申し立てられたケース。その後、修復工事がなされて段差が解消したことにより、申立人が苦情を取り下げ調査は終了した。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 建築計画概要書と異なる建物が建っていることに対する市の担当課の対応について、苦情が申し立てられたケース。オンブズマンが既に調査を行った内容と重複する苦情であるとして、申立人に調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 突然に生活保護が打ち切られたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人による苦情の取り下げにより、調査を終了している。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 臨時職員として勤務していた札幌市の職員から電話がきたが、アルバイトに応募した際の書類から電話番号を知ったということだったとして、個人情報の管理の徹底を求めて苦情が申し立てられたケース。申立人に対しては、調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 電話を受けた保護課の職員が、勝手に電話を担当ケースワーカーに転送したとして、苦情が申し立てられたケース。申立人による苦情の取り下げにより、調査を終了している。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 市の委託業務を行っているNPO法人の運営に問題があるとして市の所管課に相談したが、担当者が積極的に関わろうとしないこと等について苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 被相続人が死亡した直後、市税事務所から被相続人の未払住民税の見込額の通知があり、その後、確定した未払額を記載した納税通知が送られてきたが、未払額を把握した時点で相続人に連絡していれば、正しい遺産分割協議と相続税の申告納税手続きができたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の死亡により調査を終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 事前の案内がなく、突然歩道の工事が開始されたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情を取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護受給者が、ケース。申立人が苦情を取り下げたことで、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市営住宅の入居者が、他の入居者から嫌がらせを受けているとして、市の対応を求めて苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 地震で損壊した住宅が「一部損壊」と判定されたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。「苦情について調査しない」旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 国民健康保険料の滞納により財産を差し押さえられたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 市営温水プールの水泳教室における先生の評価に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。当該水泳教室は温水プールの指定管理者の独自事業で「市の業務」に該当しないとして、「苦情について調査しない旨」が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 札幌市オンブズマンの活動状況報告書の内容及び公開方法の改善を求めて、苦情が申し立てられたケース。活動状況報告書の作成及び公表は「オンブズマンの行為」でありオンブズマンの所轄外の事項であるとして、調査しない旨が通知されたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 市営住宅の自治会から嫌がらせを受けているため、管理会社から自治会に対して嫌がらせをやめるよう指導してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 自宅近くの樹木にカラスが営巣しているため市の担当課に撤去を求めたが断られたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:杉岡直人)
 担当ケースワーカーの説明が理解できなかったので再度連絡をくれるよう伝えたにもかかわらず、連絡がないとして苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護の担当ケースワーカーが自宅を訪問した際の対応について、苦情が申し立てられたケース。すでに同内容の苦情について調査を終了しているとして、調査をしない旨が通知されている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 その活動について苦情申立ての対象となった団体が、自主的な活動を行う任意団体で札幌市の管理監督等の権限が及ぶものではないとして、調査が中止されたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 生活保護の受給者から、市のこれまでの対応について苦情が申し立てられたケース。申し立ての原因となった事実のあった日から1年以上が経過しているとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市立小学校のPTAに「自動加入」するという取り扱いについて苦情が申し立てられたが、申立人の苦情取り下げにより調査が終了したケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 札幌市が関与する第三セクターの株式会社がビル管理業務の委託の取りやめにより、委託先の従業員が失職することになるとして、苦情が申し立てられたケース。ビル管理業務の委託取りやめには申立人の直接的・具体的な利害関係がないとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン・房川樹芳)
 経営する月極駐車場の隣接地に一軒家が建設され民泊や簡易宿泊所になると不安であるとして、早期の排除を求めて苦情が申し立てられたケース。苦情について調査しない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン・原俊彦)
 公文書一部公開決定に対する審査請求の裁決の内容に疑義があるとして、その内容について明確な説明を求めて苦情が申し立てられたケース。調査しない旨が通知され、調査が終了している。当ブログ開設者が申し立てた苦情である。(担当オンブズマン:房川樹芳)

2020/12/28

原俊彦オンブズマンが職務に取り組む姿勢から考える

今を去ること5ヶ月前のことになる。2020年7月19日、2019年度の札幌市オンブズマンの活動状況報告書が、代表オンブズマンから札幌市長に交付される「手交式」が実施された。札幌市長のFacebookに掲載された、その模様の写真が興味深い。

以下の写真がそれである。写っている全6名のうち、向かって左側の3名が札幌市の受け取り側(3名の中央が札幌市長である)、向かって右側3名が交付側のオンブズマンである。

そして、一番右端の男性を除く5名は、机の上に腕があるのが見える。これに対し、右端の男性は、なぜかうつむき加減に背中を丸めている。腕も机の上にあるようには見えず、まるで居眠りしているかのようである。たとえ居眠りしていないとしても、見るからに姿勢が悪い(机の縁に資料の背中を載せ傾けた資料を覗き込んでいるのであろうか?)が、この人物こそ、原俊彦オンブズマンである。

このような写真を撮影するとは、カメラマンもなかなか罪作りである。また、あえてそのような写真をFacebookに掲載する札幌市長も然り。


ところで、この原俊彦オンブズマン、当ブログ開設者が申し立てた、公文書公開請求に関する審査請求手続きの教示が十分ではないとする苦情(第2020-20号)について、「申立人が受けた具体的な不利益が確認できない」ことを理由として、調査を実施しなかった(このエントリーで紹介した)。

この調査が実施されなかったため、当ブログ開設者はやむを得ず、札幌市行政情報課に対し、公文書公開請求に関する審査請求手続きを市民向けに周知する内容の改善を要望したところ、新たに、「公文書公開請求・個人情報開示請求における審査請求手続きの流れ」と題するwebページが公開されるに至った。

それまでは、「情報公開制度のあらまし」と題するwebページに、「行政不服審査法に基づいて審査請求ができる」旨の記載があるのみであった。ところが、札幌市情報公開条例16条の2が「公開決定等に係る審査請求については、行政不服審査法9条1項の規定は、適用しない」と定めていることもあり、審査請求手続きがどのように進められるのかが、きわめてわかりにくかった(当ブログ開設者は、同条3項の読み替え規定の教示を受け、不明の点が解消した)。

行政情報課としても、審査請求の手続きがわかりにくいという当ブログ開設者の主張について、もっともであると考えてくれたのであろうか、新たなwebページの公開に至ったわけである。このような対応は、「申立人が受けた具体的な不利益が確認できない」というオンブズマンの判断とは、実に対照的である(なお、当ブログ開設者の上述の苦情について、原俊彦オンブズマンが「調査しない」と判断するのであれば、「審査請求人は本件苦情を申し立てた後に意見陳述の機会が付与されており、実質的な不利益はすでに解消している」といった理由づけが適切であったと当ブログ開設者は考えている)。

以上の次第で、原俊彦オンブズマンは、当ブログ開設者が申し立てた苦情の調査を実施しないことで、オンブズマン調査を通じて市の業務の改善を図るせっかくの機会をみすみす取り逃すことになったわけだが、当ブログ開設者は、このような原俊彦オンブズマンが職務へ取り組む姿勢にも、少なからず意味があると考えている。

まず第一に、原俊彦オンブズマンが、調査にムダに時間をかけたり、中途半端な調査を実施することがなかったため、当ブログ開設者としては、速やかに行政情報課への要望を行うことができた。その結果、具体的な改善がもたらされたが、これは原俊彦オンブズマンが何が問題なのかわからないまま漫然と調査を実施したのでは得られなかった成果であると、当ブログ開設者は考えている。

第二に、「申立人が受けた具体的な不利益が確認できない」という原俊彦オンブズマンの判断は、オンブズマンが申立人の苦情を理解できなかったポイントを明瞭に示している。すなわち、手続きが「わかりにくい」という申立人の苦情について、オンブズマンは「具体的な不利益が確認できない」と判断したが、どうやら、苦情を申し立てる際には、「わかりにくい」と主張するだけでは、「申立人の利害」として十分ではないようだ。

そこで、当ブログ開設者は、行政情報課に改善を要望する際、「審査請求人にどのように攻撃・防御の機会が与えられるのかが、よくわからない状態」であるという説明を付け加えた。その後、行政情報課がwebページを公開したことは前述したが、行政情報課に要望する際、オンブズマン判断から大きな示唆を受けた内容を盛り込んだことが、こうした成果をもたらした可能性がある。

第三に、オンブズマン調査が申立人の苦情の解決に直接的に役立たなくとも、そのことはむしろ、市民の自主的・自律的な行動を促進する可能性を秘めている。安易にオンブズマンに苦情を申し立てる前に、まずは自らの行動を、というわけである。

この点、当ブログ開設者が上述の苦情を申し立てのためにオンブズマンと面談した際、原俊彦オンブズマンはさすがに居眠りはしていなかったものの、「札幌市オンブズマンは、ろくろく文章を書くこともままならない人物が利用する制度である」という発言を行ったことに驚嘆した。このオンブズマンは、いったい何を考えて職務に取り組んでいるのであろうか、と(ただし、当ブログ開設者が問い合わせた際には、そうした発言を行った事実はないという回答がオンブズマン事務局から寄せられている)。

しかしながら、「まちづくりは、市民が主体である」(札幌市自治基本条例4条1項)ことを考慮するならば、自らの主張・要求を文章化できる限り、オンブズマンに苦情を申し立てるよりも、自ら行動することが期待されるということが原俊彦オンブズマンの言わんとすることであるとすれば、それはそれで一つの見識であろう。

したがって、上述の苦情調査において、原俊彦オンブズマンは市の対応を改善する機会をみすみす取り逃したというよりも、札幌市オンブズマンの存在意義は、「無用の用」にこそある、と考えるべきなのかもしれない。原俊彦オンブズマンが職務に取り組む姿勢は、その象徴なのである。

2020/11/25

2020年10月に調査が終了したケース

2020年11月1日、同年10月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、同年11月16日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2020年10月)に調査を終了したのは3件で、このうち1件で調査結果が通知されている。また、残る2件のうち1件は調査しない旨が通知され、1件は申し立ての取り下げにより、調査が終了している。

このうち、第2020-36号は、札幌市の「障がい者交通費助成」のうち、福祉割引サピカへのチャージが選択された場合の手続きが理解できる点で興味深い。

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①第2020−36号
 障害者であることを示す手帳の交付及び交通費助成をSAPICAへチャージする際の職員の対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2020−40号
 申立人が所有するアパートから退去した生活保護受給者の荷物が車庫に残されたままであるとして、市に撤去を求めたが対応してもらえないとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:原俊彦)

③第2020−46号
 申立人が何らかの通報を行ったにもかかわらず、十分な対応がしてもらえないとして苦情が申し立てられたと思しきケース。なお、通報の内容は不明。申立人に対し調査をしない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)