2024/02/29

2023年12月に調査を終了したケース

2024年1月1日、2023年12月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期限延長のうえ、2024年2月9日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2023年12月)に調査を終了したのは8件で、このうち7件で調査結果が通知された。また、残る1件は調査しない旨が通知された。

今回公開された調査結果通知書のうち、滞納していた固定資産税を差押予告書記載の指定納付期限までに電子納税したにもかかわらず差押調書が送付されてきたという苦情(第2023-42号)が興味深い。結論として市は対応の拙さを認めているものの、何が拙かったかという認識に難があるように思われるためである。

まず、市の税務担当部局では情報システムとして、「収納管理システム(①)」と「滞納整理システム(❷)」という異なったシステムがあり、差押通知書を発行する際には「滞納整理システム(❷)」を利用するようである(なお、「差押通知書」は差押債権の債務者に交付され、滞納者には「差押調書」が交付される模様)。

また、市税が電子納税された場合にはそれぞれのシステムにデータを反映させる必要があるところ、「収納管理システム(①)」と電子納税に関する「速報データ(③)」は連携している一方で、苦情の時点では「滞納整理システム(❷)」が未改修で「速報データ(③)」と連携していないなかった。そのため、「速報データ(③)」を出力した「エクセルデータ(④)」に基づいて「滞納整理システム(❷)」に手作業で入力する作業が必要な状況であった(現在は改修ずみ)。

ところが、「エクセルデータ(④)」を「滞納整理システム(❷)」に反映させる作業を担当職員が懈怠した結果、差押えに着手する段階で電子納税により滞納が解消していることが認識されず、「差押通知書」(および「差押調書」)が発送されることになった模様である。

なお、「滞納整理グループ」が差押えを実施する際(「差押通知書」の発送はその過程の一つ)の手順は、(1)納税担当職員が差押え起案時に「滞納整理システム(❷)」または「エクセルデータ(④)」で電子納税の状況を確認する、(2)差押え決裁時に(ア)担当係長が「滞納整理システム(❷)」により、(イ)担当課長が「エクセルデータ(④)」または「収納管理システム(①)」により電子納税の状況を確認する、(3)納税担当職員が「差押通知書」発送前に電子納税の状況を最終確認する、というものであった(なお、ここでいう「電子納税の状況を確認する」とは、結果通知書の「速報データの情報の有無を確認」という記述を換言したものである)。

以上の手順を前提とすると、たとえ「滞納整理システム(❷)」に「速報データ(③)」が反映されていなくとも、上記(2)(イ)の担当課長の段階で、「エクセルデータ(④)または「収納管理システム(①)」により電子納税がされている状況を把握できるはず、ということになる。逆にいえば、(1)の納税担当職員および(2)(ア)の担当係長の段階では「滞納整理システム(❷)」により状況確認をすることが(も)想定されており、当該システムに電子納税の情報が反映されていない「まさか」に事態に対処することは、そもそも期待できない手順となっている。

しかしながら、「市の回答」によれば(通知書9頁)、「債権等の差押えの事務処理を行う際の担当係長及び担当課長の役割は、担当職員が作成した書類の記載内容を確認することでありますが、本件では、いずれの役職者も所定の確認を怠っていた不適切なもの」なのだそうだ(下線は当ブログ開設者による付記)。

上述したように、「滞納整理システム(❷)」に「速報データ(③)」が反映されていなかったため、担当係長は所定の確認作業を行ったにもかかわらず、電子納付が完了している状況を認識できなかったのであり、市の回答の「いずれの役職者も所定の確認を怠っていた」という記述は正確さを欠くと思われる。当ブログ開設者は、確認作業を完全に怠った担当課長の失策を糊塗するため、担当係長が巻き添えを食らったと考えているが、いかにも気の毒であり、担当係長の士気が低下しないか懸念する。

また、「市の回答」(通知書5頁)では、「速報データ(③)」が「滞納整理システム(❷)」に反映されていなかったことについて、(滞納整理システム(❷)への)「「速報データ」の情報の入力が適切に行われているかについて、他の職員による確認を行うべきでありましたが、担当係長及び担当課長はそれに関して適切な指示を行っていませんでした」として、確認体制に不備があったことを認めている。

この点についても、担当課長による確認の段階で「速報データ(③)が「滞納整理システム(❷)」に反映されていないことを把握していれば、当該入力作業の完了を確認する作業が必要であることを認識できていたと思われる。したがって、担当課長が確認作業を怠ったことは、二重の意味で致命的な失策であった。

当ブログ開設者は、担当課長が確認作業を怠った理由や、そもそも職員が「エクセルデータ(④)」を「滞納整理システム(❷)」に反映させることを懈怠した理由を明らかにしない限り、具体的対策を講じることはできないと考えている(業務負担が過重でそこまで手が回らなかったのだろうか?)。本件ではすでにシステム改修が完了しているとはいえ、「職員への指導や注意喚起を行う」(通知書10頁)という「精神論」頼みでは、今後も「確認作業の懈怠」という同種の過誤が生じるおそれがあると考える。

なお、この案件を担当した田村智幸オンブズマンによると、「本件では、納税担当職員と上席者のどちらか一人だけでも「速報データ」を直接確認するという本来のルールを実行していれば、本件の事態が起こらなかったことが明らか」(通知書14頁)なのだそうであるが、このような記述からは、田村智幸オンブズマンがいう「本来のルール」について、オンズマン自身の理解が粗雑であることが見て取れる(なお、田村智幸オンブズマンがいう「速報データ」とは、「エクセルデータ(④)」を指すものと思われる)。

まず、すでに確認したように、納税担当職員の確認作業は「滞納整理システム(❷)」によることも想定されているほか、担当課長の確認作業も「収納管理システム(①)」によることも想定されている。したがって、「「速報データ」を直接確認する」ことが「本来のルール」であるという理解は誤りである(なお、田村智幸オンブズマンがいう「速報データ」とは「エクセルデータ(④)であろうことは前述)。

また、市の回答では、「速報データ」と「エクセルデータ」の文言が明確に使い分けられているが、これはおそらく「速報データ」本体は本庁にある財政局(税務担当)税制部納税指導課が保有しており、そこから各市税事務所に「エクセルデータ」が提供されるためであるというのが当ブログ開設者の理解である。

そうすると、田村智幸オンブズマンがいう「速報データ」が「エクセルデータ」を意味するのではないとするならば、「「速報データ」を直接確認する」ためには、各市税事務所の職員はその都度、本庁の納税指導課を訪問しなければならないことになる。しかし、そうした煩わしさを避けるために「エクセルデータ」の提供がされているわけである。本件のような事態を避けるために必要だった作業は「速報データ」を直接確認することではなく、(市の回答の用語を用いるならば)「「速報データ」の情報の有無を確認する」ことであった(なお、前述のように当ブログ開設者は「電子納税の状況を確認する」と表記した)。

それからもう1点、田村智幸オンブズマンの判断には、「差押えの対象物が「給与」という勤務先から申立人に支払われる債権であり、その性格上、勤務先から申立人への給与の支払を禁止する命令であることから・・・(以下略)」という記述がある。このような記述は、賃金全額の支払いが禁じられるかのように読めるのだが、もしかすると田村智幸オンブズマンは法律専門職の弁護士という肩書を有しながら、残念なことに差押禁止債権をご存知ないのかもしれない。

すなわち、賃金債権の差押えは労働基準法24条の「賃金全額払い」の例外として、使用者は当該差押え額を控除して賃金を支払うことが認められる。その一方で、本件における固定資産税の場合には、地方税法373条7項が国税徴収法の規定を準用することを規定し、同法76条は差押禁止債権を規定する。したがって、この差押禁止債権に該当する賃金については、使用者はなお労働者に対し支払わなければならないことになる。賃金債権の差押えが「勤務先から申立人への給与の支払いを禁止する」というのは、いかにも正確さを欠く粗暴な記述と思われる(なお、民事については、民事執行法152条1項参照)。

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①第2023-35号
 身体障害のある市営住宅の入居者が駐車場の割り当てに際し障害者への配慮に欠けるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

②第2023-36号
 土砂災害警戒地域に指定された道路ののり面上端にある申立人所有地の管理について札幌市の複数の部署に相談しているが総合的な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2023-38号
 自宅前の道路が舗装されたことで歩道部分に傾斜がついたことや車両乗り入れ部の平らな縁石の本数が家により違いがあるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2023-40号
 生活保護受給者がこれまでとことなりケースワーカーが事前の約束なしに家庭訪問をするようになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑤第2023-41号
 タクシー運転手の申立人から公園のトイレが冬季に閉鎖されることについて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑥第2023-42号
 滞納している固定資産税を差押予告書記載の指定納付期限までにpaypayで電子納税したにもかかわらず差押調書が送付されてきたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑦第2023-43号
 全世帯数にくらべて町内会に加入する世帯数が少なすぎるのは何らかの不正が行われているからに違いないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑧第2023-45号
 市職員が配偶者の収入が増えたことで共済組合から被扶養者として取り扱われなくなったことについて苦情が申し立てられたケース。共済組合の行う決定や処分は「市の機関の業務の執行」に該当しないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

2024/02/15

2022年度(令和4年度)活動状況報告書・非掲載案件リスト

札幌市オンブズマンは、毎年、活動状況を公表することが義務付けられている(札幌市オンブズマン条例27条1項)。2022年度(令和4年度)(以下、「2022年度」と表記する)の活動状況報告書も公表されすでに半年以上経過している。当ブログでは例年、活動状況報告書が公表されるたび、「非掲載案件」のリストを公表してきたことから、遅ればせながら、2022年度の活動状況報告書非掲載案件を紹介する(注1)。

なお、当該活動状況報告書によると、2022年度に市民から札幌市オンブズマンに申し立てられた苦情は94件で、このうち調査結果が通知されたものが71件、調査結果が通知されることなく調査が終了したものが23件となっている。このうち、活動状況報告書に掲載されたのは調査結果が通知された37件である(注2)。

また、活動状況報告書に掲載されなかった案件は57件で、調査結果が通知された案件が34件、調査結果が通知されることなく調査が終了した全案件23件である。調査結果が通知された案件は掲載37件・非掲載34件と、ほぼ五分五分の割合となっている。非掲載となった案件にも興味深い案件はある。このエントリーでそれらの案件をしみじみと味わっていただきたい。

なお、2022年度は、2年ぶりにオンブズマンの発意に基づく調査が実施された。活動状況報告書に調査の要約が掲載されている。

(注1)当ブログ開設者は、オンブズマン調査は全件公表を原則とするべきであると考えている。全件公表がオンブズマンに調査の質の確保を動機づけるとともに、オンブズマン調査に飽き足らない市民に対しては自ら行動する契機となりうると考えるからである。この点、札幌市よりも遅れて自治体オンブズマン制度を設けた熊本市では、全件・全文の公開を原則とした運用がなされていることは注目に値する。

(注2)2021年度(令和3年度)は、苦情申立件数全112件中、調査結果を通知した案件が79件であった。このうち、40件が活動状況報告書に掲載されていた(非掲載39件)。2022年度は、苦情申立件数が前年から18件減少したものの(全112件→全94件)、調査結果が通知された案件の件数の減少の程度はゆるやかであった(全79件→全71件)。そのため、活動状況報告書に掲載された件数もほぼ前年並みとなっている(40件→37件)。なお、調査結果を通知しなかった案件(2021年度同様、活動状況報告書には全件非掲載)は9件減少している(全33件→全24件)。

(1) 調査結果を通知したもの(34件)
第2022-1号
 生活保護受給者が、市側の都合で長らく家庭訪問をしなかったにもかかわらず、訪問日を強制的に決定するとともに、訪問日には体調不良であったにもかかわらず訪問が強行され、資産報告書及び預金通帳の写しの提出も強制されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-3号
 新型コロナウイルスの感染者がホテル療養するに際し、当初は他の感染者と同乗するという説明だったのに、翌日には単独で搬送できることになったとして、当初の説明と職員の説明時の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-6号
 滞納している市税の取扱い及び担当職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-7号
 市から業務を受託している企業で就労している者が行った通報について、市が正式の「公益通報」として取り扱わなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-8号
 生活保護受給者の担当ケースワーカーが交代したにもかかわらず交代前のケースワーカー名の押印された封筒が送付されてきたり、架電した際に交代前のケースワーカーが電話を受けることがあるなど本当に交代したか疑わしく、長期にわたって家庭訪問も行われていないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-15号
 生活保護受給者が入居している住居の管理会社から退去させられたことに関し、保護課が十分な説明をしてくれず、所持品の取扱いも不適切であったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-18号
 申立人が札幌市立学校に在学していた当時に教諭から性暴力を受けたことについて、札幌市教育委員会のその後の一連の対応が適切ではなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-20号
 非公開とされた部分が多く詳細は不明であるが、申立人が児童相談所に虐待の通報をしたことについて、児童相談所が当該児童の世帯に情報を漏洩したとして苦情が申し立てられたと思われるケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-22号
 敬老優待乗車証のチャージのために郵便局を訪れた際の職員の対応(詳細不明)等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-24号
 生活保護受給者が保護課から適切な支援を受けていないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-27号
 児童相談所に一時保護された児童について、児童相談所が申立人の意向に添った対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-28号
 公文書公開請求をしたところ、当初なされた一部公開決定では対象公文書の特定に漏れがあり、追加決定がなされることになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-36号
 申立人が納税のために市税事務所を訪問した際に同行した者がいることについて、日常的に市税事務所と連絡を取っている同行者とは別の人物に市職員が伝えたのは個人情報の漏洩であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-41号
 申立人の母がショートステイを利用した際、事業所で何某かのアクシデントがあったことに関し、市の当該事業所に対する権限行使及び申立人への市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-42号
 申立人が通所する就労継続支援B型事業所が営む軽食喫茶店について情報提供した際の市職員の申立人の対応及び当該事業所に対する市の権限行使のあり方について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-47号
 生活保護を受給する申立人が担当ケースワーカーの対応に不満があるとして、上司による対応等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-48号
 申立人がかつて勤務していた介護保険事業所が報酬を不正に請求しているという申し出をきっかけとして、市が事業所から提供を受けた資料について申立人が個人情報開示請求をしたところ、すでに廃棄済みであることを理由として非開示決定がなされたことを不服として、再度調査を実施することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-50号
 生活保護を受給する申立人が、生活扶助が1万円ほど少なくなったのは誰かが着服したためではないかとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-51号
 生活保護を受給する申立人が同一世帯構成員が施設に入所するに際し、当該構成員の受給する年金及び通帳の取扱い等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-52号
 札幌市オンブズマンの調査に関する文書について公文書公開請求を行った申立人が、非公開部分の特定をするとともに当該箇所を非公開とする理由を明確に記載した通知書の交付を求め、あわせて決定通知書記載の非公開理由のひな形について、非公開情報該当性についての記載の明確にすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-61号
 申立人の関係人が市立札幌病院に入院しているところ、当該関係人が他の病院に転院することを病院職員が妨害しているとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-62号
 生活保護受給者が転居費用の支給や担当ケースワーカーの交代を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-64号
 生活保護受給者が、転居にともない家賃が安くなったにもかかわらず適時に住宅扶助の金額が変更されず、過支給となったために分割での返還を余儀なくされたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-69号
 生活保護を受給する申立人が、担当のケースワーカーの一連の対応や窓口を訪問した際に元警察官が同席したこと等に不満を覚え、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-70号
 札幌市の業務を受託した企業の従業員が当該業務の遂行過程において、市職員から怒鳴りつけられる等のパワハラ行為を受けたとして、当該職員への処分等の対処を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-75号
 札幌市から除雪業務を受託した事業者の「除雪センター」及び札幌市の「土木センタ―」が申立人からの問合せに適切な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-77号
 札幌市に寄付をするに際し特定の日付を希望日として伝えていたにもかかわらず、市からの連絡が途絶えたことにより当該特定の日付で寄付することができなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-80号
 生活保護受給者が、非常食の支給が途中で打ち切られたこと等を不服として苦情が申してられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-82号
 生活保護受給者が、金銭の借り入れが確認できたので保護を打ち切らなければならないと通告されたが、結局何も見つからず、その後の職員の対応も誠実さを欠くとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-83号
 申立人と関係のある「本人」が生活保護を受給しているところ、保護課が申立人が依頼しても「本人」の安否確認をしない等その対応に問題があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-84号
 身体障害者手帳を取得した申立人が、医療費助成について当該助成の申請日より遡って疾病の発生日とすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-86号
 就学指定先が変更される前に申立人の関係者が通っていた小学校における「いじめ」に関し、一連の学校の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-88号
 札幌市内に事務所を開設する士業者が、市が所有する建物を利用する顧問先法人の解散に関し市からの問合せに再三にわたり対応を余儀なくされたり、荷物の保管を要求される等、過大な負担を負わされているとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2022-94号
 住民税非課税世帯を対象とした特別給付金の申請書類が届かなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

(2)調査結果を通知しなかったもの(23件)
第2022-9号
 特定のオンブズマンの担当案件数が他のオンブズマンより少ない事情について問い合わせたことについて、実質的に意義のある回答がなされるまで照会を繰り返すことになったのはいかにも煩わしいとして、市民からの照会にはできる限り速やかに適切な回答をすることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人の直接の不利益が存在しないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-16号
 住基カードを紛失したので区役所の戸籍住民課に再発行を依頼したが再発行を受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。苦情内容を追加して新たな苦情を申し立てるとして、いったん申立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-23号
 市が道路工事を委託した事業者によるずさんな工事により自宅が被害を受けたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人による苦情申立ての取り下げにより、調査は実施されなかった。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-25号
 市が検討中の「町内会支えあい条例」、パートナーシップ排雪はいずれも不要であり、冬季五輪も実施すべきではないとして、苦情が申し立てられたケース。苦情はいずれも市の政策への意見であり、申立人自身に利害があるといえないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-30号
 生活保護受給中の申立人が入居中の住宅の大家から退去するよう命じられたが借地借家法に違反しているとして苦情が申し立てられたケース。住居の貸主・借主間の関係は「市の業務」に該当せず、市の対応に関してはすでに調査を実施している(第2022-15号)として、申立人に対し苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-31号
 過去に2度、居宅に滞在していた際に保健師が訪問してきて病院に救急搬送されることがあったとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過しているとして、申立人に苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-33号
 介護施設内で生じた窃盗事件を施設がもみ消しをするのに市職員が加担する等の行為があったとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が現に施設と係争中であるとともに、苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過しているとして、申立人に苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-34号
 生活保護を受給している申立人が、過去に年金を受給した際に返還の通知を受けるまで3年近くかかったことの理由を調査することを求め、苦情が申し立てられたケース。申立ての原因となった事実からすでに10年以上経過しているとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-39号
 学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022−40号
 申立人の子が学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-54号
 オンブズマンに苦情を申し立てたところ、調査が開始される前に調査対象となる部局の職員が申立人に接触を図ることはオンブズマン調査の公正・中立性に疑義を生じさせるとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が「利害」を有さないとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-58号
 オンブズマンが調査を実施する要件たる「申立人の利害」について市民に周知を図ること、オンブズマン事務局がオンブズマンの公正・中立性に疑義を生じさせる行為を慎むこと及び苦情申立がなされた場合にはオンブズマンが調査を実施する・しないに関わらず「受理通知」を送付することを求めて、苦情が申し立てられたケース。いずれも「オンブズマンの行為」に対する苦情であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-59号
 退職した勤務先から支払われた給与が収入認定されたことを不服として、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-65号
 農業委員会総会の場におけるある委員の発言が「委員たるに値しない非行」に該当するとして、苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情がある」ことを理由として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-66号
 新型コロナウイルスの感染者情報の公開が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。「札幌市が公表する新型コロナウイルス感染者情報が、申立人御自身に直接的・具体的な利害があるとは言えません」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-67号
 申立人の土地が産業廃棄物の保管場所となっていることについて、業者が道路占有を申請する際に地番を誤認するとともに、当該誤認を市が十分確認しなかったためであるとして、これまで市に説明を求めてきたが納得のいく回答が得られず、2022年4月に再度質問したがこれまでの回答と変わらなかったとして苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての原因となった工事が平成30年の出来事であり、「申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-68号
 肺炎球菌ワクチンの接種について保健所に問い合わせたにもかかわらず、適切な情報提供を受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。調査に着手したものの、問い合わせがなされたのが2021年6月のことであり、「申立の原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査中止が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-72号
 申立人の関係人の虐待致死事件に関し市に高齢者虐待防止法に基づく通報を行ったところ、市は介護保険法に違反する事実は認められないとして申立てを棄却したが、その結論は不当であり、市が事業者に対し適切な処分を行うことを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人は当該関係人が2020年1月に入院して適切な医療を受けていれば死亡しなかったと主張しているところ、「申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-78号
 中通りにある有料駐車場付近の除雪に関し苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」(札幌市オンブズマン条例16条1項1号)として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-79号
 申立人の関係者が生活保護を受給しているところ、申立人が保護課に対し当該受給者への対応を求めても適切な対応がなされなかったとして苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-90号
 除雪センターの弁護士から届いた内容証明郵便の記載内容が、市民が適切な行政サービスを受けられないかのような記載であるとして、苦情が申立られたケース。発端が同じような近接した時期に起こった事案についてすでに調査を完了しており、この案件でオンブズマンが新たな見解を示すとは考えにくいとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-91号
 市立病院で医療過誤があった件について、損害賠償を請求するつもりであり、市立病院の医師賠償責任保険加入についても調べてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。医療行為に関する高度な専門的知見を欠くオンブズマンには調査が困難であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-92号
 子どもが通う小学校でいじめのようなことがあり、学校及び教育委員会に対応を求めているが十分ではないとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンとの面談の日程が決まらないとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:田村智幸)

2024/02/14

札幌市オンブズマン苦情処理日数の状況(オンブズマン別・最新版)

前回のエントリーでは、オンブズマン調査の年度別の処理状況を紹介した。このエントリーでは、オンブズマン別の処理状況を紹介する。

なお、札幌市オンブズマンの制度が発足した2001年3月(年度としては2000年度)以来、オンブズマンは、各年度の3月1日付で2年の任期で任用されている。そのため、初年度の任用期間は当該年度の3月、1か月間だけとなることから、以下の表では、任用初年度は2年度目と合算した13か月間に申し立てられた苦情の処理状況のデータ計上した。


また、オンブズマン任用の最終年度は、4月から翌年2月末までの11か月間の任用であるため、この11か月間に申し立てられた苦情の処理状況について計上した(それ以外の各年度は、4月から翌年3月までの12か月間に申し立てられた苦情の処理状況を計上)。

このほか、「取扱件数」のうち、「結果通知処理件数」に計上した件数は、「苦情等調査結果通知書」が発送された件数であり、「平均処理日数」、「中央値」及び「30日以内処理率」のデータは、この苦情等調査結果通知が発送された案件について計上したものである。

(1) 廣岡得一郎(弁護士・2001年3月1日〜2005年2月28日)


取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2000/01年度
57
39
43.67
29
56.4%
2002年度
33
27
28.85
26
66.7%
2003年度
32
29
26.38
25
53.8%
2004年度
28
18
29.11
26
66.7%
通算
150
113
33.37
28
64.6%

(2) 長井敬子(札幌地方・簡易裁判所民事調停委員、人権擁護委員・2001年3月1日〜2005年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2000/01年度
62
42
38.29
31
47.6%
2002年度
41
32
31.88
28
68.8%
2003年度
39
26
33.73
31
38.5%
2004年度
23
20
33.10
30
55.0%
通算
165
120
34.73
30
52.5%

(3) 三谷鉄夫(北海道大学名誉教授・2001年3月1日〜2004年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2000/01年度
58
39
49.54
29
53.8%
2002年度
37
29
32.45
28
62.1%
2003年度
32
26
29.50
30
53.8%
通算
127
94
38.72
29
56.4%

(4) 佐藤譲治(元会社役員・2004年3月1日〜2008年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2003/04年度
36
31
31.55
29
64.5%
2005年度
35
30
22.73
22
96.7%
2006年度
39
33
23.42
25
93.9%
2007年度
30
26
24.00
22
92.3%
通算
140
120
25.48
25
86.7%

(5) 文仙俊一(弁護士・2005年3月1日〜2009年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2004/05年度
41
36
27.44
27.5
75.0%
2006年度
38
32
27.03
26.5
90.6%
2007年度
37
28
24.50
23.5
89.3%
2008年度
33
29
31.14
28
75.9%
通算
149
125
27.54
27
82.4%

(6) 杉野目康子(翻訳家、元北海道教育委員・2005年3月1日〜2009年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2004/05年度
36
29
24.55
27
72.4%
2006年度
38
27
25.59
27
92.6%
2007年度
39
31
24.90
23
87.1%
2008年度
31
29
34.48
29
69.0%
通算
144
116
27.37
27
80.2%

(7) 前野正明(元会社役員・2008年3月1日〜2012年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2007/08年度
48
46
31.70
27.5
78.3%
2009年度
43
36
38.36
35
38.9%
2010年度
46
37
34.12
35
45.9%
2011年度
35
27
45.78
44
18.5%
通算
172
146
36.56
31.5
49.3%

(8) 岩本勝彦(弁護士・2009年3月1日〜2013年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2008/09年度
54
43
32.40
30
58.1%
2010年度
43
37
35.54
29
51.4%
2011年度
46
43
35.77
35
39.5%
2012年度
42
36
25.56
22.5
80.6%
通算
185
159
32.49
29
56.6%

(9) 井上宏子(消費生活アドバイザー・20009年3月1日〜2013年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2008/09年度
46
39
38.54
36
35.9%
2010年度
41
35
34.69
30
51.4%
2011年度
40
37
37.78
35
35.1%
2012年度
33
25
27.28
27
80.0%
通算
160
136
35.27
31
47.8%

(10) 相澤重明(札幌家庭裁判所家事調停委員・2012年3月1日〜2016年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2011/12年度
46
39
34.13
30
53.8%
2013年度
42
35
31.11
30
57.1%
2014年度
46
39
34.15
30
51.3%
2015年度
31
26
36.92
36
23.1%
通算
165
139
33.90
31
48.2%

(11) 三木正俊(弁護士・2013年3月1日〜2017年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2012/13年度
50
43
29.63
28
72.1%
2014年度
43
35
34.57
33
45.7%
2015年度
51
40
32.35
30
55.0%
2016年度
25
22
33.55
32.5
31.8%
通算
169
140
32.26
30
58.5%

(12) 吉田かよ子(北星学園大学教授・2013年3月1日〜2015年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2012/13年度
48
40
29.13
28
75.0%
2014年度
34
28
32.96
31
50.0%
通算
82
68
30.71
29
64.7%

(13) 岩田雅子(札幌地方・簡易裁判所民事調停委員・2015年3月1日〜2019年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2014/15年度
46
41
30.76
28
63.4%
2016年度
34
31
34.26
30
58.1%
2017年度
28
20
36.25
34.5
35.0%
2018年度
20
17
39.35
41
17.6%
通算
128
109
34.10
31
49.5%

(14) 杉岡直人(北星学園大学教授・2016年3月1日〜2020年2月29日)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2015/16年度
42
36
34.81
32
47.2%
2017年度
27
24
37.71
35.5
20.8%
2018年度
26
20
42.60
38
15.0%
2019年度
24
20
36.20
36.5
20.0%
通算
119
100
37.34
36
29.0%

(15) 房川樹芳(弁護士・2017年3月1日〜2021年2月28日
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2016/17年度
34
29
35.38
30
51.7%
2018年度
28
26
*37.62
*36
19.2%
2019年度
43
32
36.25
36
25.0%
2020年度
27
16
33.06
34
37.5%
通算
132
103
*35.85
*35
32.0%
*を付したデータは、2018年度の案件のうち1件について推定値に基づくことを示している。

(16) 八木橋眞規子(札幌地方・簡易裁判所民事調停委員・2019年3月1日~2023年2月28日)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2018/19年度
50
38
41.82
38.5
26.3%
2020年度
27
22
33.91
31.5
40.9%
2021年度
40
31
42.42
42
12.9%
2022年度
23
17
41.88
38
5.9%
通算
140
108
40.39
37.5
22.2%

(17) 原俊彦(札幌市立大学名誉教授・2020年3月1日~現職)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2019/20年度
39
26
39.81
38.5
23.1%
2021年度
30
22
43.91
38.5
18.2%
2022年度
36
26
42.85
39
15.4%
通算
105
74
42.09
38.5
18.9%

(18)田村智幸(弁護士・2021年3月1日~現職)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2020/21年度
47
29
43.28
41
24.1%
2022年度
31
24
47.63
49
12.5%
通算
78
53
45.25
46
18.9%

(19)神谷奈保子(民事調停委員・2023年3月1日~現職)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2022年度
4
4
48.75
47
25.0%
通算
4
4
48.75
47
25.0%

次に、以下の(グラフ1)は、オンブズマン別の結果通知の平均処理日数を示したものである。オンブズマンの任期の古い順に左から右に並べた。


(グラフ1)

また、以下の(表1)は各オンブズマンの処理日数区分ごとの度数分布である。上から下にオンブズマン任期の古い順である。

(表1)
   
20日
以内
 21日〜
30日
 31日〜
45日
46日〜
60日
61日〜
90日
91日
以上
30日
以内
処理率
30日
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
廣岡
23
20.4%
50
55.6%
24
21.2%
9
8.0%
2
1.8%
5
4.4%
64.6%
35.4%
長井
16
13.3%
47
39.2%
39
32.5%
7
5.8%
8
6.7%
3
2.5%
52,5%
47.5%
三谷
18
19.1%
35
37.2%
24
25.5%
5
5.3%
7
7.4%
5
5.3%
56.4%
43.6%
佐藤
22
18.3%
82
68.3%
12
10.0%
3
2.5%
1
0.8%
0
0.0%
86.7%
13.3%
文仙
20
16.0%
83
66.4%
17
13.6%
3
2.4%
1
0.8%
1
0.8%
82.4%
17.6%
杉野目
25
21.6%
68
58.6%
14
12.1%
6
5.2%
3
2.6%
0
0.0%
80.2%
19.8%
前野
13
8.9%
59
40.4%
40
27.4%
22
15.1%
10
6.8%
2
1.4%
49.3%
50.7%
岩本
20
12.6%
70
44.0%
48
30.2%
15
9.4%
6
3.8%
0
0.0%
56.6%
43.4%
井上
13
9.6%
52
38.2%
47
34.6%
17
12.5%
5
3.7%
2
1,5%
47.8%
52.2%
相澤
7
5.0%
60
43.2%
52
37.4%
18
12.9%
2
1.4%
0
0.0%
48.2%
51.8%
三木
7
5.0%
69
49.3%
52
37.1%
10
7.1%
2
1.4%
0
0.0%
54.3%
45.7%
吉田
3
4.4%
41
60.3%
21
30.9%
2
2.9%
1
1.5%
0
0.0%
64.7%
35.3%
岩田
5
4.6%
49
45.0%
39
35.8%
16
14.7%
1
0.9%
0
0.0%
49.5%
50.5%
杉岡
3
3.0%
26
26.0%
53
53.0%
13
13.0%
5
5.0%
0
0.0%
29.0%
71.0%
房川
1
1.1%
32
31.1%
53
51.5%
17
16.5%
0
0.0%
0
0.0%
32.0%
68.0%
八木橋
1
0.9%
23
21.3%
51
47.2%
24
22.2%
9
8.3%
0
0.0%
22.2%
77.8%
2
2.7%
12
16.2%
35
47.3%
19
25.7%
4
5.4%
2
2.7%
18.9%
81.1%
田村
0
0.0%
10
18.9%
17
32.1%
19
35.8%
7
13.2%
0
0.0%
18.9%
81.1%
神谷
0
0.0%
1
25.0%
2
50.0%
0
0.0%
1
25.0%
0
0.0%
25.0%
75.0%
通算
199
9.8%
869
42.9%
639
31.5%
225
11.1%
75
3.7%
20
1.0%
52.7%
47.3%

以下の(グラフ2)は、(表1)よりも度数分布を細かく区分した。オンブズマンの並び順は、平均処理日数の短い順である。

(グラフ2)

前回のエントリーで紹介したように、2022年度に調査結果を通知するまでに要した日数は2年連続で40日を超えている。また、各オンブズマンの処理日数を前年度と比較した場合、原俊彦オンブズマンは取扱件数及び結果通知処理件数を増やしながらも処理日数を縮めている。その一方で、田村智幸オンブズマンは件数が減っているにもかかわらず日数が延びている。

ところで、2021年度の処理日数の状況は、原俊彦オンブズマンの担当件数が他のオンブズマンよりも明らかに少なく、当ブログ開設者は、他のオンブズマンに過大な負担を負わせている可能性を指摘したところである(くわしくはこのエントリー)。これに対し、2022年度は原俊彦オンブズマンの健闘むなしく、田村智幸オンブズマンのキャパをオーバーする負担があったようだ。

この点、当ブログ開設者は、田村智幸オンブズマンの調査手腕を過大評価していたと大いに反省している(くわしくはこのエントリー)。また、「法令及び法律事務に精通しなければならない」(弁護士法2条)はずの弁護士という肩書きを有する同オンブズマンが、行政の監督権限を定めた規定を見出すことができない旨公言していることにも大いに驚いた(くわしくはこのエントリー

それでも、田村智幸オンブズマンによると、調査に際する「執務の責任をオンブズマンが負うことは言うまでもありません」(令和4年度札幌市オンブズマン活動状況報告書 巻頭言」)とのことである。ここでいう「執務の責任」が何を意味するのかその趣旨は明らかではないが、よせばいいのにずいぶん大見栄を切ったものである。

この点、当ブログ開設者は、同オンブズマンが適切に執務の責任を果たすことを期待するのは無いものねだりであると考えている。過大な期待は慎みたい(注1)。

(注1)2023年度の案件(2023-6号)であるが、田村智幸オンブズマンが児童扶養手当について「職権で直ちに支給停止できることについては、明確な法令上の根拠や規定を見出すことはできませんでした」という判断を披歴している(そのおかげで、当ブログ開設者は自らの見識を深めることができた。くわしくはこのエントリー)。

田村智幸オンブズマンも「法令に精通」(弁護士法2条参照)していれば、「職権で直ちに支給できることについて、法令上の根拠に基づいて行われていることの説明を得たかった」などと泣き言をいわずにすんだのではあるまいか。結局、根拠が不明なまま「(児童扶養手当を支給)停止するのもやむを得ない」と結論づけた。「法律に基づく行政の原理」を著しく軽視した見解であると言わざるを得ない。