2026/10/10

現行の制度運用は改善が必要なのではないか(条例改正の必要性を含む)

当ブログ開設者は、前回のエントリーで、(札幌市オンブズマン制度における「苦情申立ての取下げ」という)「取り扱いについての疑義をオンブズマン事務局に対し照会しているものの、未だ納得できる回答を得ていない。機会があれば、その顛末を当ブログで紹介したい」と書いた。

そこでこのエントリーでは、以下に当ブログ開設者とオンブズマン事務局の間の「愛♡の交換文書」を紹介する。なお、ここでいう「愛♡」には、適切な制度運用を望む当ブログ開設者の切なる願いが込められている。

が、その前に、オンブズマン事務局との文書の交換を経て、現時点で当ブログ開設者が考える札幌市オンブズマン制度に必要な改善策は以下である。

ア.苦情申立ての「取下げ」時の申立人宛て通知の発送の徹底
 現在の制度運用においては、オンブズマンが調査対象部局に「調査実施通知」が送付される前に苦情申立てが「取下げ」られた場合、とくに申立人宛ての通知はなされていない。しかしながら、札幌市オンブズマン条例の規定上、「苦情申立て」がなされた場合には、何らかの「通知」が発送される扱いとなっている。そこで、苦情申立てが「取下げ」られた場合にも、「取下げ」を理由とする「苦情について調査しない旨」の通知を発送することを徹底することが必要である。
 こうした取り扱いが条例の定めに忠実であるとともに、そうする実益もある。つまり、「調査をしない」というオンブズマン判断を書面化し、申立人に書面で通知することで、うっかり者の申立人から「あの申立てどうなった?」という照会が来たときに、「調査しない旨」を通知ずみと説明することができると思われる。

イ.条例改正による「苦情申立ての受理」の制度化
 以下に紹介する「第4回照会への回答」のうち、「照会事項4」への回答によると、webサイトに「苦情申立てフォーム」と「問い合わせフォーム」を開設しているところ、「単純な問い合わせ、意見・提言などが苦情申立てフォームから送信される事例が発生してき」たため、「オンブズマンによる申し合わせにより、申立人の意向を確認したうえで『明かな間違い申立て』として取り扱う」ことにしたそうである。
 この「明かな間違い申立て」という取扱いは、「苦情申立て」としての要件を備えない「苦情申立て」が存在していることを意味している。この点、現在の制度運用においては、条例上の規定が存在しないものの、申立人に「受理通知」を交付する取り扱いがなされている(ただし、交付されない案件もある)。
 で、あるならば、この「受理」を制度化し、苦情申立てがなされた場合には、「受理通知」または「不受理通知」を交付する扱いとすることで、苦情申立てがなされた事実を申立人に通知する制度改正をすることにより、制度運用が明確化がされると思われる(「不受理」の場合は理由付記を要件とする)。
 すなわち、これにより、①苦情申立てとしての実質がない「申立て」や、②苦情申立ての形式要件を充足しない申立て等について「不受理」としてスクリーニングしたうえで、「苦情申立て件数」として計上することに制度運用上の整合性が図られるということである。
 その際、苦情申立てとしての実質がない「申立て」がなされることが起きないように、オンブズマンによる調査対象となる事項について、いま以上に市民に向けて周知を図ることも必要となると思われる。
 なお、現在の制度運用においては、いったん「調査しない旨」が通知された苦情については、再度同内容の苦情申立てがなされた場合において、「調査しない」という取扱いがなされている。
 しかしながら、苦情を申し立てたにも関わらず「受理」されたかどうかわからない状態では、申立ての「取下げ」をすることもできない。したがって、オンブズマンによる苦情申立ての「受理」の制度化は、申立人に対し「受理」「不受理」の事実を通知することで、(「受理」された場合に)申立ての「取下げ」が可能な状況になったことを申立人に明確化することも期待できるであろう。

──それでは、当ブログ開設者がオンブズマン事務局に照会した内容と、それに対する回答を以下に紹介する。

1.第1回照会とそれへの回答
<第1回照会>
件名:苦情申立て「取下げ」の扱いについて

 かねてオンブズマン調査に関する文書について公文書公開請求を行っているが、2025年度にオンブズマンが担当した案件に関する文書の記載内容に疑義があることから、以下の照会をする。

 まず、「取り下げの経緯」を記録した以下の13件の文書のうち、◯を付した文書には「申立人から苦情申立てを取り下げる意向を確認した」旨の記載がない。これは、オンブズマンが申立人の苦情申立てを取り下げる意向を確認することなく申立ての取り下げがあったとして調査を終了したということか(照会事項1)。

 また、札幌市オンブズマン条例は、「オンブズマンが苦情を調査しないときは、苦情申立人に対し、理由を付してその旨を速やかに通知しなければならない」(同条例17条1項)ところ、「申立人による苦情申立ての取り下げ」があったならば、苦情申立ての取下げを理由として調査を実施しない旨を申立人に通知することが条例の定める手続きであると考える。苦情申立ての取り下げがなされた場合に「調査を実施しない旨」の通知をしていないのはどのような理由か(照会事項2)。

 さらに、前記照会事項2に関し、「申立ての取下げ」によりそもそもの苦情申立て自体が存在しないことになった(したがって、「調査しない旨」を通知する必要がない)と理解することも考えられるが、それならば取下げがあった案件は「苦情申立て件数」に計上するのは辻褄が合わないのではないか。苦情申立てが取り下げされた場合にも申立て件数として計上しているのはなぜか(照会事項3)。

 以上の次第で、現在の札幌市オンブズマン制度の運用における「申立ての取下げ」という取り扱いは条例に定めがなく、適正さを欠く疑念があることから、上記の照会事項に対する明確な説明を要請する。
(以下略)

<第1回照会への回答>
1 照会事項1について
 苦情申立てがなされた際は、申立内容を確認し、より適切な窓口を案内するなどの対応を行う場合があります。
 その場合は、便宜上「取り下げの経緯」に申立人との対応記録を残しています。

2 照会事項2について
 苦情申立て後に申立人が苦情を取り下げた場合については、次のとおり取り扱うこととしています。
・オンブズマンから調査実施通知書を発出する前に取下げの意向があった場合は、口頭による取下げを了承することとし、申立人に通知は行わない。
・調査実施通知書が発出され、オンブズマンによる調査が開始された後、申立人より取り下げの意向があった場合は、申立人と調査対象機関に調査中止通知書を発出する。
 なお、オンブズマン条例第17 条第1項に定める「調査を実施しない旨の通知」は同条例第16 条の規定により調査を実施しない場合に発出しております。

3 照会事項3について
 取下げをされた場合でも、申立てはなされていることから、従来より件数として計上しております。


2.第2回照会とそれへの回答
<第2回照会>
件名:苦情申立て取下げの意思を確認したことが文書に記録されていない案件について

 札幌市オンブズマン事務局長名の回答文書(2025年12月15日付・札オ第835号)を拝受した。
 回答内容の趣旨は、①条例17条は、条例16条に基づき調査をしない場合に通知をすると定めており、条例16条によらずに調査をしない場合には通知をしない、②申立人が苦情申立てを取り下げた場合は条例16条によらずに調査をしない典型例の一つであり、「調査を実施しない旨の通知」は発出しない、③取下げがされても申立てはなされていることから苦情申立て件数に計上している、ということだと理解した。
 以上の回答にたいする理解をふまえて、新たに以下の点について照会する。

 A調査結果を通知した、B調査をしない旨の通知をした、C申立人が苦情申立てを取り下げた、という3つのパターンについては、制度についての説明として成立しうると考えられるところ、

(照会事項1)ABに該当せず、Cの苦情申立ての取り下げの意思を確認した旨が文書に記録されていないケースについては、苦情申立てはそのまま存在するのではないか。存在しないならば、申し立てられた苦情はどこに消えたのか。

(照会事項2)Cのケースは民事上の「意思表示の撤回」に準じて申立ての取下げを認めるという趣旨であるか。

(照会事項3)苦情申立てが取り下げられた場合は、札幌市オンブズマン条例16条2項に定める「調査をすることが相当でない特別の事情」に基づいてオンブズマンは調査を実施していないのではないか。だとすれば、条例17条に定める調査を実施しない旨の通知を申立人に送付する必要があるのではないか。

 以上の照会事項について回答を要請する。なお、これまでの照会及び回答は「別添」のとおり。
(以下略)

<第2回照会への回答>
1 照会事項1及び2について
 苦情申立てがなされた時は、申立ての内容を確認(必要に応じ申立人に直接意図を確認する場合もあります。)し、オンブズマン調査に該当しない場合、市の担当部署へ申立て内容を回付したり、適切な窓口を案内するなど、それぞれの内容に応じた必要な対応を行っております。
 申立人には対応の状況をお知らせしますが、申立て内容によっては必ずしも申立人に取下げの意向を確認していない場合もあります。

2 照会事項3について
 照会事項3の苦情申立てが取り下げられた場合については、平成19 年度より前回の問い合わせ(照会事項2)への回答のとおり取り扱っております。


3.第3回照会とそれへの回答
<第3回照会>
件名:札幌市オンブズマン条例は「苦情申立ての取下げ」についての規定がない件

 過去2回にわたり、札幌市オンブズマン制度における「苦情申立て」という取扱いについて照会しましたが、納得できる回答を頂戴できておりません。つきましては、再度、照会したいことがありますので回答をお願いする次第です。
 すなわち、民事訴訟法261条が「訴えの取下げ」を規定しているのとは異なり、札幌市オンブズマン条例は「苦情申立ての取下げ」についての規定はありません。したがって、条例に規定のない取扱いをするからには、その取扱いを正当化する理由が必要となるところ、これまでの照会に対しては「そういう取り扱いをしている」という説明のみで、正当化する理由についての説明がありません。
 以上の次第で、改めて札幌市オンブズマン制度の運用において、「苦情申立ての取下げ」という取扱いが正当化される理由についての説明を要請します。
 なお、これまでの紹介と回答についても添付します。
(以下略)

<第3回照会への回答>
苦情申立ての取下げの取扱いについて
 苦情申立て後に申立人が取下げた場合については、平成19 年度に札幌市オンブズマンが申し合わせた内容に基づいて事務処理しています。


4.第4回照会とそれへの回答
<第4回照会>
件名:苦情申し立ての「取下げ」の条例上の根拠等について

 2026年6月12日付のオンブズマン事務局長名による回答文書を2件受領しました(札オ第293号および札オ第294号)。どうもありがとうございます。このうち、第294号において回答していただいた件と関連しますが、過去に受けた回答(2026年2月4日付・オンブズマン事務局長名による回答文書・札オ第970号)をふまえて、改めて、以下の5点についてお尋ねします。

 平成19年11月26日付の「オンブズマンによる申し合わせ事項」によると、申立人の苦情申立ての取り下げ(調査実施通知送付後)は、条例18条1項が規定する「調査を続けることが相当でない特別の事情」に該当するという運用が行われている模様である。

 そうすると、苦情申立ての取下げが調査実施通知送付前になされた場合には、当該取り下げは条例16条2項が規定する「調査することが相当でない特別の事情」に該当すると解するのが条例の整合的解釈なのではないか(したがって、条例17条1項が規定する非開始の通知が必要となる)。そのような扱いをしない理由はなにか(照会事項1)

 次に、申し合わせ事項によると、取り下げには「取り下げを了承」することが必要であり、その前提には取下げの申し出があると思われるが、現行の「取下げ」の運用において、この申し出および了承が記録されていない案件が存在する。こうした運用は、申し合わせに抵触するのではないか。(照会事項2)

 また、この申し合わせがなされる以前から苦情申立ての「取下げ」が件数として計上されているが、申し合わせ前はどのような根拠に基づく取り扱いがなされていたのか。(照会事項3)。

 ところで、従来は「苦情申し立ての取下げの経緯」というひな形に取下げの経緯が記録されていたところ、2026年3月からは、「苦情申立書が□明かな間違い申立て・□取下げと判断した記録簿」というひな形に変更された模様である。この変更がなされたのはどのような理由か。(照会事項4)

 さらに、2005年度以降、札幌市オンブズマン活動状況報告書に掲載された「苦情処理の状況」においては、「取下げ」が「調査を中止」に計上されている。その際、条例18条という記載もされているところ、札幌市オンブズマン条例18条2項は調査を中止した場合には「通知しなければならない」旨を規定している。しかしながら、申立てが取り下げられたにもかかわらず、「調査中止」が通知されていない案件が存在するのはどのような理由に基づくのか。「条例18条」という記載は正確性を欠くのではないのか(照会事項5)

<第4回照会への回答>
1 照会事項1「苦情申立ての取下げが調査実施通知送付前になされた場合には、当該取り下げは条例16条2項が規定する「調査することが相当でない特別の事情」に該当すると解するのが条例の整合的解釈なのではないか」について
 苦情申立ての取下げの取扱いについて、調査実施通知の発出後は、申立人においては「受理通知」を受け取った状態、担当課においては「調査実施通知書」が届いた状態のままとなっていることから、特に、担当課における書類上の調査未了の状況を解消するため、平成19年のオンブズマンによる申し合わせにより、札幌市オンブズマン条例(以下「条例」という。)第18条第1項の「調査を続けることが相当でない特別の事情があると認めるとき」に該当するものとしたうえで、同条第2項を適用し、申立人及び担当課あてに通知することとしております。
 調査実施通知の発出前においては、条例等に規定がないものとする従前の運用を維持することとしており、申立人とはすでに口頭により取下げの意向を確認していることから、条例第4条第1号で規定する「簡易迅速な処理」の実現として、特段の通知は行わないとするものであり、条例の整合的解釈は図られているものと考えております。

2 照会事項2「取り下げには「取り下げを了承」することが必要であり、その前提には取下げの申し出があると思われるが、現行の「取下げ」の運用において、この申し出および了承が記録されていない案件が存在する。こうした運用は、申し合わせに抵触するのではないか」について
 取下げの経緯を記載した記録簿は、苦情申立ての取下げに至る要点を簡潔に記録した公文書となっております。しかしながら、過去の記録簿に取下げの申し出及び了承の旨が記載されていない案件が見られました。
 これらの案件のうち、その内容が単なる問い合わせや意見・提言であるなど、オンブズマンによる調査を求めていないことが明かな場合を除き、提出された苦情申立書を他部署へ回付するためには、前提として平成19年11月26日付「札幌市オンブズマン申し合わせ事項」に基づき、申立人による「取下げ」の申し出が必要であり、過去の一方的な通知のみによる対応は、同申し合わせ事項に照らし不適切な運用でした。
 今後は、同申し合わせ事項に基づき、適正な運用を行っていきます。

3 照会事項3「申し合わせ前はどのような根拠に基づく取り扱いがなされていたのか」について
 申し合わせ前の取扱いに関する文書は保存期間経過のため保存されておらず、どのような根拠に基づく取扱いがなされていたのかは不明です。

4 照会事項4「『苦情申立書が□明かな間違い申立て・□取下げと判断した記録簿』というひな形に変更された模様である。この変更がなされたのはどのような理由か」について
 現在、札幌市公式ホームページにおけるオンブズマン関連のページには、通常の問い合わせフォームとオンブズマンへの苦情申立てフォームの2種類が存在しておりますが、これに伴い、単純な問い合わせ、意見・提言などが苦情申立てフォームから送信される事例が発生してきました。そこで、こうした事態に対応すべく、令和8年2月24日付でオンブズマンによる申し合わせにより、申立人の意向を確認したうえで「明かな間違い申立て」として取り扱うこととし、様式を変更したものです。

5 照会事項5「2005年度以降、札幌市オンブズマン活動状況報告書に掲載された「苦情処理の状況」においては、「取下げ」が「調査を中止」に計上されている。その際、条例18条という記載もされているところ、札幌市オンブズマン条例18条2項は調査を中止した場合には「通知しなければならない」旨を規定している。しかしながら、申立てが取り下げられたにもかかわらず、「調査中止」が通知されていない案件が存在するのはどのような理由に基づくのか。「条例18条」という記載は正確性を欠くのではないのか」について
 ご指摘のとおり、条例第18条という記載をしているにもかかわらず同条を適用していない案件を計上しており、正確性を欠く表記でしたので、今後、正確な表記に改めます。


5.第5回照会とそれへの回答
<第5回照会>
件名:現在札幌市オンブズマンは苦情申し立ての「取下げ」という運用をどのような根拠に基づいて行っているのか

 2026年7月10日付のオンブズマン事務局長名の回答文書(札オ第389号)を受領しました。その回答をもっても、苦情申し立ての「取下げ」という取扱いがどのような法令上の根拠に基づくのか不明です。つきましては、現在、札幌市オンブズマン制度の運用における「苦情申立て」の取下げがどのような法令上の根拠に基づくのか説明をお願いします。条例に規定のない取り扱いも、「オンブズマンの申し合わせ」により正当化されるということでしょうか。なお、これまでの回答は(別添)のとおりです。
 また、今回の回答で「明らかな間違い申立て」というカテゴリーが設けられた事情についてご説明いただきましたが、その件については、改めて照会いたします。
(以下略)

<第5回照会への回答>
照会事項「現在、札幌市オンブズマン制度の運用における「苦情申立て」の取下げがどのような法令上の根拠に基づくのか説明をお願いします。条例に規定のない取り扱いも、「オンブズマンの申し合わせ」により正当化されるということでしょうか。」について

 苦情申立てが申立人の自由であるのと同様に、手続きを終了するか否かも申立人の意思に委ねられています。このため、条例等に明文の規定がない場合であっても、申立人からの取下げの申し出は自由な権利行使として認められるべきものであり、これに対して了承することで手続の終了に合意したものとして取り扱っております。

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