2016/07/27

平成28年6月に調査を終了したケース

平成28年7月1日、同年6月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、7月15日に一部公開決定がなされた。

決定対象となった調査は7件で、全7件において調査結果が通知されている。

①第28-4号
 生活保護法78条に基づいて支給済みの保護費の返還を求められたが、当該条項は「不正に」受給した場合の返還の規定であり、自らが不正受給として事務的に処理されたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

②第28−9号
 前妻が親権者である申立人の第1子及び第3子(第2子は申立人が親権者である)と面会交流を行うについて、その日程等の設定は児童相談所を通じて行うことになっているところ、現在のところ、児童相談所からは面会交流ができない理由についてあいまいな説明しか受けていないことから、面会交流ができない理由や、今後、面会交流が可能となる時期や条件について知りたいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

③第28−12号
 「救急安心センターさっぽろ」の受託事業者であった前勤務先は、法律に違反し社会保険や雇用保険に加入していなかったが、こうした法律に違反する事業者が引き続き事業を受託することがあってはならないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:三木正俊)

④第28−13号
 市道の歩道部分に盛り上がりができていたために車のバンパーが損傷したとして、市に補償を求めたが補償出来ないという回答を受けたこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

⑤第28−14号
 児童養護施設に入所する子が施設から脱走する事件を起こしたことについて、脱走の状況や原因、今後の改善策について説明や、当該児童養護施設におけるその子の生活状況等についての説明を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑥第28-16号
 さっぽろコミュニティ型建設業推進協議会の運営に関し、協議会の理事でもない市職員がメールにより意見を表明するのは脅迫や圧力であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

⑦第28−20号
 生活保護の受給者が、すでに支払い済みの家賃の更新料や火災保険料を保護費として支給して欲しいとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

2016/07/26

札幌市オンブズマン苦情処理日数の状況(オンブズマン別・平成27年度まで)

(※最新のオンブズマン別の処理日数の状況は、このエントリーで紹介している。)

前回のエントリーでは、オンブズマンの苦情処理日数の状況を記載したが、このエントリーでは、オンブズマン別の苦情処理日数の状況を紹介したい。

各オンブズマンの表には、年度別のデータと任期を通算したデータを掲載した。このうち年度別のデータについては、オンブズマンの任期の始期が3月1日、終期が2月末と年度の区切りとずれているため、注意が必要である。

すなわち、各オンブズマンの初年度のデータは、3月のみ1か月間に当該オンブズマンが担当することになった件数、最終年度のデータは、4月から翌年2月の11か月間に当該オンブズマンが担当することになった件数である。そのため、特に初年度のデータについては、件数が少ないため、その精度は低いと考えられる。

また、各年度のデータは、いずれも申立ての時点をベースにしており、調査終了が翌年度に及んだケースについても、申立てのなされた年度に計上している。

なお、前回のエントリーにおいて、迅速な処理が達成されている目安としては、結果通知の平均処理日数が30日以内であるか、結果通知の30日以内の処理率が70%を越えているというあたりが妥当なラインではないか、という指摘をした。

この点、すでに任期を満了したオンブズマンには、この指標を達成した年度が1回もない者や、任期を通算した場合の平均処理日数や30日以内の処理率が他のオンブズマンに比し、明らかに見劣りする者も散見される。現職のオンブズマンには、処理状況が他のオンブズマンに比し見劣りすることがないよう、迅速な処理を心がけることが期待されているであろう。

①廣岡得一郎(弁護士・平成13年3月1日〜平成17年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成12年度
15
7
69.71
71.4%
平成13年度
42
32
37.97
53.1%
平成14年度
33
27
28.85
66.7%
平成15年度
32
29
29.50
53.8%
平成16年度
28
18
29.11
66.7%
通算
150
113
33.37
64.6%

②長井敬子(札幌地方・簡易裁判所民事調停委員、人権擁護委員・平成13年3月1日〜平成17年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成12年度
19
12
44.17
41.7%
平成13年度
43
30
35.93
50.0%
平成14年度
41
32
31.88
68.8%
平成15年度
39
26
33.73
38.5%
平成16年度
23
20
30.72
69.0%
通算
165
120
34.73
52.5%

③三谷鉄夫(北海道大学名誉教授・平成13年3月1日〜平成16年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成12年度
15
9
32.00
66.7%
平成13年度
43
30
54.80
50.0%
平成14年度
37
29
32.45
62.1%
平成15年度
32
26
29.50
53.8%
通算
127
94
38.72
56.4%

④佐藤譲治(元会社役員・平成16年3月1日〜平成20年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成15年度
3
2
43.50
0.0%
平成16年度
33
29
30.72
69.0%
平成17年度
35
30
22.73
96.7%
平成18年度
39
33
23.42
93.9%
平成19年度
30
26
24.00
92.3%
通算
140
120
25.48
86.7%

⑤文仙俊一(弁護士・平成17年3月1日〜平成21年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成16年度
5
5
29.20
60.0%
平成17年度
36
31
27.16
77.4%
平成18年度
38
32
27.03
90.6%
平成19年度
37
28
24.50
89.3%
平成20年度
33
29
31.14
75.9%
通算
149
125
27.54
82.4%

⑥杉野目康子(翻訳家、元北海道教育委員・平成17年3月1日〜平成21年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成16年度
4
2
27.50
50.0%
平成17年度
32
27
24.33
74.1%
平成18年度
38
27
25.59
92.6%
平成19年度
39
31
24.90
87.1%
平成20年度
31
29
34.48
69.0%
通算
144
116
27.37
80.2%

⑦前野正明(元会社役員・平成20年3月1日〜平成24年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成19年度
5
5
28.20
80.0%
平成20年度
43
41
32.12
78.0%
平成21年度
43
36
38.36
38.9%
平成22年度
46
37
34.12
45.9%
平成23年度
35
27
45.78
18.5%
通算
172
146
36.56
49.3%

⑧岩本勝彦(弁護士・平成21年3月1日〜平成25年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成20年度
5
4
30.75
50.0%
平成21年度
49
39
32.56
59.0%
平成22年度
43
37
35.54
51.4%
平成23年度
46
43
35.77
39.5%
平成24年度
42
36
25.56
80.6%
通算
185
159
32.49
56.6%

⑨井上宏子(消費生活アドバイザー・平成21年3月1日〜平成25年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成20年度
5
5
32.40
60.0%
平成21年度
41
34
39.44
32.4%
平成22年度
41
35
34.69
51.4%
平成23年度
40
37
37.78
35.1%
平成24年度
33
25
27.28
80.0%
通算
160
136
35.27
47.8%

⑩相澤重明(札幌家庭裁判所家事調停委員・平成24年3月1日〜平成28年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成23年度
4
4
37.50
25.0%
平成24年度
42
35
33.74
57.1%
平成25年度
42
35
31.11
57.1%
平成26年度
46
39
34.15
51.3%
平成27年度
31
26
36.92
23.1%
通算
165
139
33.90
48.2%

⑪三木正俊(弁護士・平成25年3月1日〜平成29年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成24年度
10
8
28.38
75.0%
平成25年度
40
35
29.91
71.4%
平成26年度
43
35
34.57
45.7%
平成27年度
51
40
32.35
55.0%
通算
144
118
32.02
58.5%

⑫吉田かよ子(北星学園大学教授・平成25年3月1日〜平成27年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成24年度
8
6
33.00
66.7%
平成25年度
40
34
28.44
76.5%
平成26年度
34
28
32.96
50.0%
通算
82
68
30.71
64.7%

⑬岩田雅子(札幌地方・簡易裁判所民事調停委員・平成27年3月1日〜現職)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成26年度
6
5
22.80
100.0%
平成27年度
40
36
31.86
58.3%
通算
46
41
30.80
63.4%

⑭杉岡直人(北星学園大学教授・平成28年3月1日〜現職)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成27年度
8
7
28.71
42.9%
通算
8
7
28.71
42.9%

2016/07/25

札幌市オンブズマン苦情処理日数の状況(年度別・平成27年度まで)

(※最新の年度別の処理状況は、このエントリーで紹介している)。

札幌市オンブズマンでは、毎年公刊する活動状況報告書において、苦情処理日数の状況を公表している。しかしながら、そこに掲載された処理日数のデータは、「30日以内」「31〜60日」及び「61日以上」の3段階の区分となっており(*1)、刻みの幅が大きすぎることもあり、実際にどれだけの日数がかかったのかは、実にわかりにくい。

たとえば、オンブズマンの調査に要する期間について尋ねた際、30日以内に調査を終了する割合は〇〇パーセントという回答を得たとしても、十分に納得できるであろうか。むしろ、ケースによってばらつきはあるが平均日数としては〇〇日、という説明を受けた方が、尋ねた者にとっては、具体的なイメージが掴みやすいのではなかろうか。

また、札幌市オンブズマン条例には、オンブズマンの職務の一つとして、市の業務に関する苦情を受け付け、簡易迅速に処理すること(同条例第4条第1号)が規定されている。具体的な処理日数を明らかにすることは、調査担当者が迅速な処理を心がけるよう動機づけることになると思われる。

以上のことから、札幌市オンブズマンが、市民から申立てがあった苦情に対し、実際にどれくらいの日数をかけて処理しているのかを確認すべく、同制度の事務局に各年度の個別の案件の処理日数及び担当オンブズマンについての情報提供を求めたところ、先日、その回答があった。この回答をもとに、平均処理日数を算出したのが、以下の表である(*2)(*3)。また、比較のため、30日以内に結果通知を発送した処理率も掲載しておく(*4)。

平成17〜19年度及び24〜25年度は、平均処理日数が30日を切るとともに、平成25年度を除き、30日以内の処理率は70%を上回っている。また、平成20年度は平均処理日数は30日を越えるものの、30日以内の処理率は70%を上回っている。

一方、平成27年度は、4年ぶりに30日以内の処理率が50%を切っている。苦情申立てに対し簡易迅速に処理するという制度目的に照らすと、何らかのテコ入れが必要な状況にあるように思われる。また、オンブズマン自らの処理の遅滞を改善することもなく、市に対する要望・要請を行ったとしても、説得力を欠くおそれがあるだろう。

いずれにせよ、この程度の処理状況は達成しておきたいという目標値を設定することによって、簡易迅速な処理を行う上で、一定の効果が期待できるように思われる。過去の実績も踏まえて、無い物ねだりをすることない値を設定するならば、平均処理日数30日以内または30日以内の処理率70%といったあたりが妥当ではなかろうか。

なお、オンブズマン別の苦情処理日数の状況については、次回のエントリーで紹介したい。

 
苦情申立
件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
30日以内
処理率
平成12年度
49
28
46.64
57.1%
平成13年度
128
92
42.79
51.1%
平成14年度
111
88
31.14
65.9%
平成15年度
113
83
30.07
54.2%
平成16年度
93
74
30.78
63.5%
平成17年度
103
88
24.78
83.0%
平成18年度
115
92
25.32 
92.4%
平成19年度
111
90
24.70
88.9%
平成20年度
117
108
32.45
73.1%
平成21年度
133
109
36.62
44.0%
平成22年度
130
109
34.79
49.5%
平成23年度
125
111
38.94
32.4%
平成24年度
135
110
29.16
71.8%
平成25年度
122
104
29.84
68.3%
平成26年度
129
107
33.45
51.4%
平成27年度
130
109
33.05
47.7%
全期間通算
1844
1502
32.35
61.6%

(*1)平成16年度以前の活動状況報告書においては、当該年度に調査を終了した案件の処理日数の状況について、「30日以内」「31〜60日」、「61日〜90日」及び「91日以上」の4段階の区分で掲載していた。これに対し、平成17年度以降の活動状況報告書においては、当該年度に申立てがあった苦情に関する処理日数の状況を掲載するようになっている。

(*2)札幌市オンブズマンの制度が発足したのは、平成13年3月1日であることから、平成12年度のデータは、平成13年3月の1か月に申立てがあった案件のものである。また、他の年度も当該年度に申立てがあった案件についてのデータであり、案件によっては調査の終了が翌年度になっている場合もある。

(*3)東京都多摩市が設置する「総合オンブズマン」の年次報告書では、各年度の平均処理日数が掲載されている。札幌市も同市に倣い、処理日数の状況について、よりわかりやすい情報提供がなされることを期待している。

(*4)各年度のデータは、いずれも申立ての時点をベースにしており、調査終了が翌年度に及んだケースについても、申立てのなされた年度に計上している。

2016/07/15

平成28年5月に調査を終了したケース

平成28年6月1日、同年5月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、6月13日に一部公開決定がなされた。

決定対象となった調査は11件で、全11件において調査結果が通知されている。

①第27-126号
 申立人が川に架橋するために問い合わせたところ、河川占用許可を受けるとともに占用料の支払いを要すると説明を受けたが、無許可で架橋しているものがいるのは不公平であるとして、苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

②第27−128号
 生活保護受給者に賃貸をしている申立人が、当該受給者の家賃未納について相談して以後の保護課の対応について苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

③第27−129号
 札幌市から補助を受けて運営がされている障がい者施設販売所の職員の対応について苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:三木正俊)

④ 第27−130号
 町内会において、町内に設置されたゴミ収集所(ゴミステーション)の運営を担当する役職にあった申立人が、市の担当部局の職員が町内会内部の人事に介入したとして苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑤第28−1号
 確定申告において扶養状況を申告していたにもかかわらず、配偶者控除の適用がないとして納税通知書等が送られてきたことに納得がいかないとして、苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:三木正俊)

⑥第28−3号
 小学校高学年の児童のプール利用に関し苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:三木正俊)

⑦第28−5号
 図書館職員の採用面接の際に受けた対応について苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑧第28−6号
 市税の延滞金納付に関し苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:三木正俊)

⑨第28−7号
 国民健康保険(国保)の加入を取り消したいとして苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑩第28−8号
 生活保護受給者が家賃の支払いを証する文書を提出したにもかかわらず、市職員による当該文書の取り扱いに疑念があるとして苦情申立てがなされたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑪第28−11号
 水道工事の開札後入札中止となったことに関し、市の担当部局からの説明を求めて苦情申立てがなされたケース。過去に申し立てられたケースと調査内容が重複するとして、調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:岩田雅子)