2023/06/14

オンブズマン調査の分野別分類(2022年度・全件)

当ブログでは読者の利便性を高めるべく、過去の各年度ごとに調査を終了した案件を大まかな行政分野ごとに分類するエントリーを作成してきた。2022年度も同様に、分野別に分類したエントリーを作成した。ただし、分類は必ずしも厳格なものではなく、あくまで便宜的なものである。

 各案件番号にpdfファイルへのリンクが張り付けてあるので、より詳しい内容が知りたい場合には、ファイルを開いて確認していただきたい。 

2022年度は2年ぶりに、オンブズマンの自己の発意による調査が実施された。ただし、同年度内に終了したのは1件のみである。調査終了が2023年度になった1件については、このエントリーには記載していない。「2023年4月に調査を終了したケース」で紹介する。

<苦情分野の一覧>
◎市税に関する苦情
◎国民健康保険・介護保険に関する苦情
 〇国民健康保険関連
◎社会福祉に関する苦情
 〇高齢者福祉関連
 〇障がい者福祉関連
 〇児童福祉関連
 〇その他の社会福祉に関する苦情
◎生活保護に関する苦情
 〇受給者からの苦情
◎幼稚園・学校教育に関する苦情
◎体育施設・イベントに関する苦情
◎その他の施設・財産管理に関する苦情
◎保健・衛生に関する苦情
◎消防・救急に関する苦情
◎除雪・道路管理等に関する苦情
◎戸籍・住民票・印鑑登録等に関する苦情
◎都市・環境問題に関する苦情
◎市民生活に関する苦情
 〇消費者保護関連
◎まちづくり・市民参加に関する苦情
◎情報公開・個人情報保護に関する苦情
◎市営住宅に関する苦情
◎経済施策に関する苦情
◎交通事業に関する苦情
◎病院事業に関する苦情
◎上下水道に関する苦情
◎農業委員会に関する苦情
◎オンブズマン制度に関する苦情
◎その他の苦情
◎オンブズマンの自己の発意による調査

<苦情分野別の案件一覧>
◎市税に関する苦情
第2022-6号
 滞納している市税の取扱い及び担当職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-29号
 市税証明書を取得するために定額小為替証書を同封したにもかかわらず担当職員に過誤があり、その対応のために追加的な負担を余儀なくされたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-36号
 申立人が納税のために市税事務所を訪問した際に同行した者がいることについて、日常的に市税事務所と連絡を取っている同行者とは別の人物に市職員が伝えたのは個人情報の漏洩であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-46号
 疾病を理由に退職したため市・道民税の納付が困難である旨を申し出たにも関わず、減免制度の説明をしない等、市職員の一連の対応に不備があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

◎国民健康保険・介護保険に関する苦情
〇国民健康保険関連
第2022-32号
 (国保料の滞納による差し押さえと納付書による納付が並行してなされたという前提事実のもと)当該金額を差し押さえ口座に返金してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

◎社会福祉に関する苦情
〇高齢者福祉関連
第2022-22号
 敬老優待乗車証のチャージのために郵便局を訪れた際の職員の対応(詳細不明)等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022−33号
 介護施設内で生じた窃盗事件を施設がもみ消しをするのに市職員が加担する等の行為があったとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が現に施設と係争中であるとともに、苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過しているとして、申立人に苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-41号
 申立人の母がショートステイを利用した際、事業所で何某かのアクシデントがあったことをに関し、市の当該事業所に対する権限行使及び申立人への市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-72号
 申立人の関係人の虐待致死事件に関し市に高齢者虐待防止法に基づく通報を行ったところ、市は介護保険法に違反する事実は認められないとして申立てを棄却したが、その結論は不当であり、市が事業者に対し適切な処分を行うことを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人は当該関係人が2020年1月に入院して適切な医療を受けていれば死亡しなかったと主張しているところ、「申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
〇障がい者福祉関連
第2022-14号
 申立人がグループホーム入所に際して障害福祉サービスの利用もあわせて申請したが、入所後3か月経過しても未だ障害福祉サービスの利用について手続きが進められていないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-42号
 申立人が通所する就労継続支援B型事業所が営む軽食喫茶店について情報提供した際の市職員の申立人の対応及び当該事業所に対する市の権限行使のあり方について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
〇児童福祉関連
第2022-4号
 子育て支援特別給付金を申請したところ申請期限を過ぎていることを理由に申請書が返却されたが、当初の申請書類には申請期限の記載がなされていなかったとして、当該給付の支給を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-20号
 非公開とされた部分が多く詳細は不明であるが、申立人が児童相談所に虐待の通報をしたことについて、児童相談所が当該児童の世帯に情報を漏洩したとして苦情が申し立てられたと思われるケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-27号
 児童相談所に一時保護された児童について、児童相談所が申立人の意向に添った対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
〇その他の社会福祉に関する苦情
第2022-74号
 無料低額医療により医療機関を受診した申立人が、薬が1か月しか処方されなかったことを不服として、札幌市に社会福祉法による調査と指導等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎生活保護に関する苦情
〇受給者からの苦情
第2021-110号
 生活保護の受給者から、自動車処分の指示の取消等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-8号
 生活保護受給者の担当ケースワーカーが交代したにもかかわらず交代前のケースワーカー名の押印された封筒が送付されてきたり、架電した際に交代前のケースワーカーが電話を受けることがあるなど本当に交代したか疑わしく、長期にわたって家庭訪問も行われていないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-1号
 生活保護受給者が、市側の都合で長らく家庭訪をしなかったにもかかわらず、訪問日を強制的に決定するとともに、訪問日には体調不良であったにもかかわらず訪問が強行され、資産報告書及び預金通帳の写しの提出も強制されたとして苦情が申し立てられたケース。なお、本件は第2021-83号の申立人がいったん申し立てを取り下げた後、再度苦情を申し立てた案件である。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-15号
 生活保護受給者が入居している住居の管理会社から退去させられたこと関し、保護課が十分な説明してくれず、所持品の取扱いも不適切であったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-24号
 生活保護受給者が保護課から適切な支援を受けていないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-26号
 生活保護を受給する申立人が、大学進学の際に世帯分離していた子が卒業したことにより世帯分離が解除されるとともに、保護が廃止されたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-30号
 生活保護受給中の申立人が入居中の住宅の大家から退去するよう命じられたが借地借家法に違反しているとして苦情が申し立てられたケース。住居の貸主・借主間の関係は「市の業務」に該当せず、市の対応に関してはすでに調査を実施している(第2022-15号)として、申立人に対し苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022−34号
 生活保護を受給している申立人が、過去に年金を受給した際に返還の通知を受けるまで3年近くかかったことの理由を調査することを求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-35号
 生活保護を受給する申立人が市営住宅に転居しようと考え保護課に相談したところ転居に要する費用は支給できないといわれたが、他の受給者には転居費用も支給された者がいるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-47号
 生活保護を受給する申立人が担当ケースワーカーの対応に不満があるとして、上司による対応等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-50号
 生活保護を受給する申立人が、生活扶助が1万円ほど少なくなったのは誰かが着服したためではないかとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-51号
 生活保護を受給する申立人が同一世帯構成員が施設に入所するに際し、当該構成員の受給する年金及び通帳の取扱い等について苦情が申し立てられたケース。なお、本件申立人は、別途、第2022-57号の苦情も申し立てている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-57号
 生活保護を受給する申立人が、転居費用を受領するために保護課を訪問した際、担当職員が何に使用するのかも説明しないまま申立人から受け取った印鑑を押印したことについて苦情が申し立てられたケース。なお、本件苦情の申立人は、第2022-51号の申立ても行っている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-59号
 退職した勤務先から支払われた給与が収入認定されたことを不服として、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-62号
 生活保護受給者が転居費用の支給や担当ケースワーカーの交代を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-64号
 生活保護受給者が、転居にともない家賃が安くなったにもかかわらず適時に住宅扶助の金額が変更されず、過支給となったために分割での返還を余儀なくされたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-69号
 生活保護を受給する申立人が、担当のケースワーカーの一連の対応や窓口を訪問した際に元警察官が同席したこと等に不満を覚え、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-79号
 申立人の関係者が生活保護を受給しているところ、申立人が保護課に対し当該受給者への対応を求めても適切な対応がなされなかったとして苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-80号
 生活保護受給者が、非常食の支給が途中で打ち切られたこと等を不服として苦情が申してられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-82号
 生活保護受給者が、金銭の借り入れが確認できたので保護を打ち切らなければならないと通告されたが、結局何も見つからず、その後の職員の対応も誠実さを欠くとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

◎幼稚園・学校教育に関する苦情
第2022-11号
 不登校の状態にある中学生が、学校や教育委員会の対応では自らの学ぶ権利や安心して登校し学習する権利が侵害されたままであるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-18号
 申立人が札幌市立学校に在学していた当時に教諭から性暴力を受けたことについて、札幌市教育委員会のその後の一連の対応が適切ではなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-39号
 学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022−40号
 申立人の子が学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-63号
 市立中学校の正門前に居住する申立人が、生徒を送迎する違法駐車の車両により迷惑を受けているが改善されないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

◎体育施設・イベントに関する苦情
第2021-99号
 冬季の雪堆積場を夏期に野球場として利用する施設の利用調整の方法及び調整結果が公平ではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2021-104号
 冬季の雪堆積場を夏期に野球場として利用する施設の利用調整の方法及び調整結果及び公園施設内の野球場の利用が公平ではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2021-108号
 学校開校事業で利用する施設の管理人の対応が横柄であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-12号
 月寒体育館のスケートリンクで接触事故に遭遇したが、以前から改善を要求しているにもかかわらず未だ実現されていないとして、改めて改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-73号
 スポーツ局が実施したPRステッカーの入札において、仕様書の記載を見て入札を断念したが納品された現物は仕様書記載の規格と食い違いがあるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎その他の施設・財産管理に関する苦情
第2022-45号
 申立人の自宅裏の市有地に散在する単管パイプ等の取り扱いについて、市に真摯な対応を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-56号
 申立人の所有地に隣接する市有地に盛土がされ豪雨等による流出が懸念され、その旨を市に指摘しても適切な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎保健・衛生に関する苦情
第2022-2号
 新型コロナウイルスの濃厚接触者となったことによりPCR検査を受けることにしたが、問い合わせた一般相談電話窓口では保健所が実施する無料の検査についての説明を受けられず、有償の発熱外来を受診したとして、その分の費用の支払いを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-3号
 新型コロナウイルスの感染者がホテル療養するに際し、当初は他の感染者と同乗するという説明だったのに、翌日には単独で搬送できることになったとして、当初の説明と職員の説明時の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-53号
 申立人が区保健センターで子どもの乳幼児健康診断を受けた際、45分以上も待機することになったとして、待機時間の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-66号
 新型コロナウイルスの感染者情報の公開が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。「札幌市が公表する新型コロナウイルス感染者情報が、申立人御自身に直接的・具体的な利害があるとは言えません」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-68号
 肺炎球菌ワクチンの接種について保健所に問い合わせたにもかかわらず、適切な情報提供を受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。調査に着手したものの、問い合わせがなされたのが2021年6月のことであり、「申立の原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査中止が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

◎消防・救急に関する苦情
第2022-21号
 申立人が救急搬送を受けられなかったこと及びその後の消防局の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022−31号
 過去に2度、居宅に滞在していた際に保健師が訪問してきて病院に救急搬送されることがあったとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過しているとして、申立人に苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎除雪・道路管理等に関する苦情
第2021-111号
 市道の除雪で雪山ができることでその雪山から敷地内にシカが侵入し被害を受けているとして、市に対応を求めて苦情が申し立てられたケース。黒塗りで非公開とされているために判然としないが、シカによる食害が生じているものと推測される。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-13号
 除雪が迅速になされなかったことや、その際の業者が受注した道路工事において安全が十分に確保されていなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-23号
 市が道路工事を委託した事業者によるずさんな工事により自宅が被害を受けたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人による苦情申立ての取り下げにより、調査は実施されなかった。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-37号
 居住する市営住宅の出入り口の幅の歩道の縁石を撤去して、歩道をバリアフリー化してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-67号
 申立人の土地が産業廃棄物の保管場所となっていることについて、業者が道路占有を申請する際に地番を誤認するとともに、当該誤認を市が十分確認しなかったためであるとして、これまで市に説明を求めてきたが納得のいく回答が得られず、2022年4月に再度質問したがこれまでの回答と変わらなかったとして苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての原因となった工事が平成30年の出来事であり、「申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-75号
 札幌市から除雪業務を受託した事業者の「除雪センター」及び札幌市の「土木センタ―」が申立人からの問合せに適切な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-78号
 中通りにある有料駐車場付近の除雪に関し苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」(札幌市オンブズマン条例16条1項1号)として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-90号
 除雪センターの弁護士から届いた内容証明郵便の記載内容が、市民が適切な行政サービスを受けられないかのような記載であるとして、苦情が申立られたケース。発端が同じような近接した時期に起こった事案についてすでに調査を完了しており、この案件でオンブズマンが新たな見解を示すとは考えにくいとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

◎戸籍・住民票・印鑑登録等に関する苦情
第2022-16号
 住基カードを紛失したので区役所の戸籍住民課に再発行を依頼したが再発行を受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。苦情内容を追加して新たな苦情を申し立てるとして、いったん申立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-17号
 住民基本台帳カードを紛失し再発行を依頼したところ、当該カードが有効期限内であるにもかかわらずマイナンバーカードの発行しかできないという対応をされたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-49号
 札幌市外からの転入手続きの際、ネットカフェを新しい住所とする転入届の受付を拒否されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎都市・環境問題に関する苦情
第2022-38号
 自宅裏の空き家の屋根から自宅敷地内に落雪があることについて、市が適切な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-43号
 市の保育施設が建設されるに際し地域住民に対する説明を欠いたり、建物の高さについての説明が一貫性を欠いたこと、騒音や眺望が妨げられる等の支障があること及び情報公開請求に際し職員からやめてほしいと言われたことなどについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎市民生活に関する苦情
〇消費者保護関連
第2022-76号
 インターネットから申し込んだキャンペーンについて消費者センターに相談した際の職員の対応に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎まちづくり・市民参加に関する苦情
第2022-25号
 市が検討中の「町内会支えあい条例」、パートナーシップ排雪はいずれも不要であり、冬季五輪も実施すべきではないとして、苦情が申し立てられたケース。苦情はいずれも市の政策への意見であり、申立人自身に利害があるといえないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎情報公開・個人情報保護に関する苦情
第2022-28号
 公文書公開請求をしたところ、当初なされた一部公開決定では対象公文書の特定に漏れがあり、追加決定がなされることになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-48号
 申立人がかつて勤務していた介護保険事業所が報酬を不正に請求しているという申し出をきっかけとして、市が事業所から提供を受けた資料について申立人が個人情報開示請求をしたところ、すでに廃棄済みであることを理由として非開示決定がなされたことを不服として、再度調査を実施することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-52号
 札幌市オンブズマンの調査に関する文書について公文書公開請求を行った申立人が、非公開部分の特定をするとともに当該箇所を非公開とする理由を明確に記載した通知書の交付を求め、あわせて決定通知書記載の非公開理由のひな形について、非公開情報該当性についての記載の明確にすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎市営住宅に関する苦情
第2022-55号
 成年被後見人(本人)が入居する市営住宅の退去手続きに際し、成年後見人の司法書士が退去届に本人の押印を求められたことを不服として苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

◎経済施策に関する苦情
第2022-19号
 自営業を営む申立人が新型コロナに伴う各種給付金を受給することで生活保護が廃止されることになったが、当初説明を受けていた金額よりも納入通知書記載の返還金の額が大きかったことや、納入通知書記載の金額にも誤りがあったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

◎交通事業に関する苦情
第2022-5号
 地下鉄駅で福祉割引SAPICAを利用して地下鉄からバスへの乗継割引券を購入しようとした際、駅職員から現金で購入するよう言われたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-44号
 定期券を購入して路面電車を利用している申立人が、「路面電車無料デー」が設けられたことを理由として、日割りでの払い戻しまたは定期券の期限の延長を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎病院事業に関する苦情
第2022-60号
 申立人の関係人が市立札幌病院で治療を受けた際、担当医が院内での他の診療科に紹介をしなかったことや治療に際し医療過誤があったとして病院から医療事故調査の申立てをすること等を求めて苦情が申し立てられたケース。なお、本件苦情申立人は、第2022-61号の申立ても行っている模様である。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-61号
 申立人の関係人が市立札幌病院に入院しているところ、当該関係人が他の病院に転院することを病院職員が妨害しているとして苦情が申し立てられたケース。なお、本件苦情の申立人は、第2022-60号の申立ても行っている模様である。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-91号
 市立病院で医療過誤があった件について、損害賠償をを請求するつもりであり、市立病院の医師賠償責任保険加入についても調べてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。医療行為に関する高度な専門的知見を欠くオンブズマンには調査が困難であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎上下水道に関する苦情
第2022-10号
 水道料金・下水道料金を滞納している者がそれぞれの料金の「減免」を申請したが、申請に対する市の対応が札幌市行政手続条例に違反しているとして、苦情が申し立てられたケース。 
 なお、札幌市においては、下水道料金は利用者による「減免申請」の手続が設けられている一方で、水道料金は手続が設けられていない模様である。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-71号
 水道料金の不払いを理由として給水停止の通知を受けたことを不服として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎農業委員会に関する苦情
第2022-65号
 農業委員会総会の場におけるある委員の発言が「委員たるに値しない非行」に該当するとして、苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情がある」ことを理由として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

◎オンブズマン制度に関する苦情
第2022-9号
 特定のオンブズマンの担当案件数が他のオンブズマンより少ない事情について問い合わせたことについて、実質的に意義のある回答がなされるまで照会を繰り返すことになったのはいかにも煩わしいとして、市民からの照会にはできる限り速やかに適切な回答をすることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人の直接の不利益が存在しないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-54号
 オンブズマンに苦情を申し立てたところ、調査が開始される前に調査対象となる部局の職員が申立人に接触を図ることはオンブズマン調査の公正・中立性に疑義を生じさせるとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が「利害」を有さないとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-58号
 オンブズマンが調査を実施する要件たる「申立人の利害」について市民に周知を図ること、オンブズマン事務局がオンブズマンの公正・中立性に疑義を生じさせる行為を慎むこと及び苦情申立がなされた場合にはオンブズマンが調査を実施する・しないに関わらず「受理通知」を送付することを求めて、苦情が申し立てられたケース。いずれも「オンブズマンの行為」に対する苦情であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

◎その他の苦情
第2021-98号
 市職員が住居に不法侵入していることについて市に調査を依頼して以降の市の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2021-112号
 市の指定管理施設においてベテランの専任スタッフが雇止めにより退職することになったことから、市には指定管理施設の職員の質の低下を防ぎ、職員の流出を防止するために適切な措置を抉るよう強く指導してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-7号
 市から業務を受託している企業で就労している者が行った通報について、市が正式の「公益通報」として取り扱わなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-70号
 札幌市の業務を受託した企業の従業員が当該業務の遂行過程において、市職員から怒鳴りつけられる等のパワハラ行為を受けたとして、当該職員への処分等の対処を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-77号
 札幌市に寄付をするに際し特定の日付を希望日として伝えていたにもかかわらず、市からの連絡が途絶えたことにより当該特定の日付で寄付することができなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

◎オンブズマンの自己の発意による調査
第2022-発1号
 札幌市がIT技術の活用を推進していくなかで、高齢者等新たな技術への対応が困難と考えられる市民に対しどのように対処していくかについて、オンブズマンが自己の発意により調査を実施したケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2023/06/10

2023年3月に調査を終了したケース

 2023年4月1日、同年3月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期限延長のうえ、5月1日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2023年3月)に調査を終了したのは9件で、調査結果を通知したものが7件、残る2件で調査をしない旨が通知されている。

さて、今回の公開分は、「弁護士」の肩書を有する田村智幸オンブズマンが、法律(条例)の条文一つ満足に読めないらしいことが判明したことが興味深い。おそらく「弁護士」という職業は、あくまで紛争処理屋であって、制度屋でなければ理論屋でもないのであろう。そのため、依頼人の利益を最大化するという職業的使命のためならば、都合よく話を「つまみ食い」することも厭わず、そうした行動様式が、傍からは「条文一つ満足に読めない」ように見える要因なのではないかと、当ブログ開設者は考えている。

このことが顕著に現れているのが、「無料低額診療」に関する第2022−74号である。この「無料低額診療」は、社会福祉法が定める「第二種社会福祉事業」として、経済的理由により適切な医療を受けることが困難な方々に対して、医療機関が無料又は低額な料金で診療を行う事業である(札幌市のサイトにおける同事業の紹介)。

調査担当の田村智幸オンブズマンは、「無料低額診療事業に対して、都道府県が監督権限に基づき助言・指導・調査・是正等を行えるような根拠や規定等を見出すことはできませんでした」という見解をその判断において披歴している。

しかしながら、社会福祉法70条は、都道府県知事による社会福祉事業を経営する者に対する調査権限を規定している。また、同法72条は、都道府県知事に対し、法令違反が存する場合に社会福祉事業を経営することを制限・停止を命ずることができる旨、規定している。

こうした規定が存するにも関わらず、田村智幸オンブズマンは、「監督権限に基づき助言・指導・調査・是正等を行えるような根拠や規定等を見出すことはできませんでした」というのである。当ブログ開設者に、「条文一つ満足に読めないらしい」と思わせた理由がおわかりいただけるだろうか(なお、同法150条が規定する「大都市特例」により、同法70条及び72条の規定は指定都市に適用される)

また、この案件の調査対象部局の担当者は、当ブログ開設者が社会福祉法が規定する市の権限について問い合わせた際、オンブズマン判断のこの箇所は「言葉足らずである」とコメントしていたが、当ブログ開設者はオンブズマンが「言葉足らず」だったのではなく、前提たる「制度」への理解が足らなかったものと考えている。

すなわち、田村智幸オンブズマンは、「無料低額診療事業は税優遇があるものの、医療費の負担そのものは医療機関の持ち出しとされているようです」とも述べている。このような書きぶりは、当ブログ開設者には医療機関が100%医療費を負担するかのように読める。しかしながら、受診者が公的医療保険の適用を受ける場合には、医療機関には保険者から診療報酬が支払われるのであり、医療機関が負担することになるのは、受診者の本人負担分に限られる。したがって、医療機関による医療費の負担は、全額が「医療機関の持ち出し」になるわけではない。

そして、この案件では、苦情申立人と調査対象部局の双方とも、公的医療保険の適用を当然の前提とする主張及び回答を行っている。そのため、上記の田村智幸オンブズマンの判断は、公的医療保険制度への理解を欠くことが顕著であると思われる。当ブログ開設者としては、田村智幸オンブズマンが国民健康保険に関する苦情調査を担当することがないよう願わずにはいられない。

結局、この案件では、社会福祉法に基づく権限行使を求める申立人の苦情に対しては、①市が権限を行使するような法令違反は存在しないこと、また、②医師による投薬が1ヶ月とされたことが不満ならば、その理由について受診した医療機関に尋ねるべきこと(保険医療機関及び保険医療養担当規則療担規則20条2号イが、「投薬は、必要があると認められる場合に行う」旨規定していることが手がかりになるだろうか?)が、申立人に示されるべきであった(その法的性格は、医療法6条の13第1項1号が定める「助言」である)と当ブログ開設者は考えている。しかしながら、ついぞ調査担当の田村智幸オンブズマンから、そのような指摘がなされることはなかった。

次に、第2022-91号も、調査担当の田村智幸オンブズマンが「条文一つ満足に読めない」と思わせる案件である。この案件は、市立病院で医療過誤があったとして、損害賠償を請求したいと考えた申立人が、「医師賠償責任保険加入についても調査をお願いする」として、苦情が申し立てられた模様である。苦情申立ての趣旨の大部分が非開示とされており、申立人の主張を読み取ることはできないが、おそらく賠償も求めているものと思われる。

この案件の調査を担当した田村智幸オンブズマンは、札幌市オンブズマン条例16条2項が「調査することが相当でない特別の事情があると認めるとき」を調査対象外事項として規定する趣旨を検討する。それによるとこの規定は、「高度に専門的な知識が求められる行為に関しては、オンブズマンが判断を示すことは困難であることを踏まえ、設けられている」のだそうだ。そして、この見解にしたがい調査を実施しなかった。

しかしながら、札幌市オンブズマン条例19条3項は、「専門的又は技術的な事項について、特に必要があると認めるときは、専門的機関に対し、調査、鑑定、分析等の依頼をすることができる」と規定する。したがって、調査担当のオンブズマンに専門的・技術的な知見を欠く場合についても、制度上は手当てがなされている(ただし、実際に専門的機関に依頼した事例は存在しないようである)。

また、『「札幌市オンブズマン条例」の解釈と運用(逐条解説)』においても、条例16条2項について、「例えば医療行為に係るものなど、高度に専門的な事項で条例19条3項の規定による専門的機関による調査等の依頼によっても解決する見込みがなく、調査能力の充実した裁判所等に速やかに判断を仰ぐべき場合など」が例示されている。

このように、条例が制定された当初、札幌市オンブズマンに苦情が申し立てられた事項が高度に専門的なものであったとしても、そのことだけで当然にオンブズマンによる調査の対象外となるわけではなかったことは明らかである。したがって、上記の田村智幸オンブズマンによる条例16条2項の理解は、条例制定過程における議論を無視し条例19条3項の規定を死文化するとともに(※)、オンブズマン調査の対象外となる事項を過度に拡大するものであると思われる。

ただし、当ブログ開設者も、この案件の処理に関しては、申立人が提訴する意向を有していることや、医療行為の当否に関しては裁判所の判断に委ねるのが適切であると思われることからすると、「簡易迅速」を旨とするオンブズマンが「調査対象外」と結論づけることに異論はない。

その一方で、市立病院が医療過誤の賠償にどのような備えをしているかについては、なおオンブズマン調査の対象となりえるであろう。申立人も、「医師賠償責任保険加入についても調査をお願いする」との主張を行っているように、公立病院における国賠法適用の有無や医師個人の責任等について(最高裁は医療行為について「公権力の行使」に当たらないと判示している模様・最判昭和57.4.1)、札幌市の見解を確認しておくことには、一定の意義があるであろう。

以上の次第で、当ブログ開設者は、田村智幸オンブズマンの判断はいささか適切さに欠けることがままあると考えている。その反面、そうした適切さに欠ける判断は、その裏とりをすることで、当ブログ開設者の札幌市行政への理解が深まるという効果を有している。そうであるならば、「弁護士」の肩書を有する田村智幸オンブズマンが「条文一つ満足に読めない」などと揶揄するよりも、田村智幸オンブズマンのご高説をありがたく拝聴し、自らの見識を深めることに徹するのが今後の当ブログ開設者のとるべき態度かもしれない。

(※)なお、条例19条3項の規定については、条例が制定された当時、オンブズマンが専門的知見を欠くことで専門的機関に対する調査等の依頼をすることすらままならない、という事態は想定していなかった可能性がある。この点、条例制定後に調査等の依頼が行われたケースが存在しない模様である事情も考慮すると、札幌市オンブズマン制度の実態は、オンブズマンが調査等を適切に依頼できるだけの専門的知見を欠く一方で、調査等の依頼のしくみも、「簡易迅速」を旨とするオンブズマン制度との相性がよくないのではないかと、当ブログ開設者は考えている。

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①第2022-69号
 生活保護を受給する申立人が、担当のケースワーカーの一連の対応や窓口を訪問した際に元警察官が同席したこと等に不満を覚え、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

②第2022-73号
 スポーツ局が実施したPRステッカーの入札において、仕様書の記載を見て入札を断念したが納品された現物は仕様書記載の規格と食い違いがあるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2022-74号
 無料低額医療により医療機関を受診した申立人が、薬が1か月しか処方されなかったことを不服として、札幌市に社会福祉法による調査と指導等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

④第2022-75号
 札幌市から除雪業務を受託した事業者の「除雪センター」及び札幌市の「土木センタ―」が申立人からの問合せに適切な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2022-76号
 インターネットから申し込んだキャンペーンについて消費者センターに相談した際の職員の対応に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑥第2022-80号
 生活保護受給者が、非常食の支給が途中で打ち切られたこと等を不服として苦情が申してられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑦第2022-82号
 生活保護受給者が、金銭の借り入れが確認できたので保護を打ち切らなければならないと通告されたが、結局何も見つからず、その後の職員の対応も誠実さを欠くとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑧第2022-90号
 除雪センターの弁護士から届いた内容証明郵便の記載内容が、市民が適切な行政サービスを受けられないかのような記載であるとして、苦情が申立られたケース。発端が同じような近接した時期に起こった事案についてすでに調査を完了しており、この案件でオンブズマンが新たな見解を示すとは考えにくいとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑨第2022-91号
 市立病院で医療過誤があった件について、損害賠償をを請求するつもりであり、市立病院の医師賠償責任保険加入についても調べてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。医療行為に関する高度な専門的知見を欠くオンブズマンには調査が困難であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

2023/04/29

2023年2月に調査を終了したケース

 2023年3月1日、同年2月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、3月15日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2023年2月)に調査を終了したのは6件で、このうち苦情申し立てに基づくものが5件、オンブズマンの自己の発意に基づくもの(いわゆる「発意調査」)が1件となっている。また、苦情申立に基づく調査のうち、3件で調査結果が通知され、残る2件のうち1件で調査をしない旨、1件で調査中止が通知されている。

さて、今回公開分の発意調査(第2022-発1号)は、札幌市オンブズマンが2年ぶりに実施したものである。調査を担当したのは、この2月に通算4年の任期を満了した八木橋オンブズマンである。八木橋オンブズマンが発意調査を実施するのは4年の任期で初であり、「置き土産」といえるかもしれない。なお、調査内容については、調査結果通知書の本体でご確認いただきたい。

また、今回公開分では、調査手続きの観点から第2022-70号が興味深い。この案件は、札幌市の業務を受託した企業の従業員が、市職員から「パワハラ」を受けたとして苦情が申し立てられた案件である。ただし、「パワハラ」を受けたと主張する本人の「代理人」として、同僚から苦情が申し立てられている。

調査を担当オンブズマンによると、「なかなか連絡がつかない申立人自身の本件調査の継続の意思確認に少々時間を要した」とのことであるが、申立人の「顕在化した問題を調査中止で収めることは希望しない」意思が確認できたとして、調査結果が通知されている。

この点、調査対象部局内においても、「代理人による苦情申立てであるが、申立人がこの内容を承知しているか疑問である」という主張が存在したことが、「市の回答」部分に記載されている。そのため、当ブログ開設者は、代理人による苦情申立てがなされた後、当初は苦情申立に消極的だった申立人が「翻意」したという心象を抱いている。

したがって、本来ならば本件については申立人の意思が不明確であることを理由としていったん調査を終了し、別途、申立人の意思が明確な苦情申立がなされたならば、改めてオンブズマンは調査に着手すべきであったと考えている。ただし、「簡易迅速」という札幌市オンブズマン制度の趣旨に照らすと、そこまで厳格な手続きを求めることが適切かは、検討する余地はあるだろう。

なお、本件では申立人(代理人)の主張を受け、市の回答において「パワハラの成否」について言及されている。その趣旨は「市職員の申立人への対応は適切さを欠いたものの、パワハラではない」というものである。

このような説明は、「募ったが募集していない」という時の首相の国会答弁へのオマージュかもしれないが、対応の適否と「パワハラ」の成否を区分して論じることに実益があるとは思われない。調査担当のオンブズマンは、市にこうした弁明の余地を認めずに、市職員の申立人への対応の適否についてのみ論ずれば十分であったと思われる。

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①第2022-70号
 札幌市の業務を受託した企業の従業員が当該業務の遂行過程において、市職員から怒鳴りつけられる等のパワハラ行為を受けたとして、当該職員への処分等の対処を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2022-71号
 水道料金の不払いを理由として給水停止の通知を受けたことを不服として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2022-77号
 札幌市に寄付をするに際し特定の日付を希望日として伝えていたにもかかわらず、市からの連絡が途絶えたことにより当該特定の日付で寄付することができなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

④第2022-78号
 中通りにある有料駐車場付近の除雪に関し苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」(札幌市オンブズマン条例16条1項1号)として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2022-79号
 申立人の関係者が生活保護を受給しているところ、申立人が保護課に対し当該受給者への対応を求めても適切な対応がなされなかったとして苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑥第2022-発1号
 札幌市がIT技術の活用を推進していくなかで、高齢者等新たな技術への対応が困難と考えられる市民に対しどのように対処していくかについて、オンブズマンが自己の発意により調査を実施したケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2023/03/15

2023年1月に調査を終了したケース

2023年2月1日、同年1月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、公開決定期限延長のうえ、2023年3月3日付で一部公開決定がなされた。

記の期間(2023年1月)に調査を終了したのは10件で、このうち7件で調査結果が通知されている。また、残る3件のうち2件で調査をしない旨、1件で調査中止が通知されている。

今回公開された案件のうち「調査しない旨」が通知された2件(第2022-67号,第2022-72号)は、いずれも「調査しない」ことの理由づけ(及び調査しないという結論)が適切か、大いに議論の余地があると思われる。

まず、第2022-67号である。この案件は、申立人所有地に道路工事に伴う産業廃棄物が放棄されていた件について市に回答を求めているが、未だ納得のいく回答が得られないという趣旨の苦情である(と当ブログ開設者は理解した)。そして、この案件担当の田村智幸オンブズマンは、申立ての原因となった工事から1年以上経過しており、その後のやり取りの内容も工事の申請経緯等を抜きに判断できないとして、調査を実施しなかった。

しかしながら、本件苦情は、2022年4月に行った照会に対する回答がこれまでの回答と変わらない点を不服として、申立人は苦情を申し立てているのである。「工事から1年以上経過している」ことを理由として調査を実施しないという判断は、市に対する問い合わせ及びそれへの回答という一連の行為の意義について、過小評価しているといわざるを得ない。

この点、当ブログ開設者は田村智幸オンブズマンが再任されるに際し、このエントリーに「市の業務の実体的側面に限らず、制度・手続き・説明といった側面からも、適切な調査が実施されることを期待したい」と記したが、あながち的外れではなかったようである。

また、この案件の苦情申立ての趣旨によると、市は申立人に対し「最終回答」を行っている模様である。本件の調査が実施されていれば、オンブズマンに苦情を申し立てても市の「最終回答」が変わらない、ということが示されたと思われる。こうして一度は調査を実施し、それでも再度申立人が苦情を申し立てるならば、「すでに調査を実施した」ことを理由として調査を実施しないことも正当化されると思われる。

次に、第2022-72号である。この案件は、虐待致死事件について高齢者虐待防止法に基づく通報を行ったが棄却されたことを不服として、市が(施設の?)運営法人に対し適切な処分を行うことを求める苦情である。調査担当の原俊彦オンブズマンは、2020年1月に申立人の関係者が入院しなかったことの経緯の調査を抜きに判断することはできないとして、「申立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」という理由で調査を実施しなかった。

しかしながら、苦情申立ての趣旨によると、通報を行ったのは2022年12月のことであり、オンブズマンへの苦情申立ては1年以内になされている(苦情申立ては2023年1月)。

また、申立人は、通報への対応という「市の機関の業務の執行」について、「申立人が違法と思料する根拠法令の検討をせず、申立外の法令のみを審査基準として審査した」ことを不服として、苦情を申し立てているのである。したがって、「入院しなかったことの経緯の調査を抜きに判断できない」というオンブズマン判断もまた、申立人のいう「論点ずらし」であろう。

すなわち、①高齢者虐待防止法による通報がなされた場合に市はどのような対応をするのか、とりわけ、②どのような法令に基づいてどのような権限を行使することができるのか、という点が明らかになれば、おのずと、③申立人が違法と思料する根拠法令の検討をしなかった事情が明らかになったと思われる。

この案件を担当した原俊彦オンブズマンは、今回公開分の別件(第2022-60号)では、申立人が構成した論点を調査対象と調査対象外に振り分け、専門的な医学的判断に関わらない部分のみ調査を実施するという巧みな技を披露していた。この案件において同様の技巧が披露されなかったことは、実に残念である。

なお、今回、2022年4月1日に申し立てられた第2022-1号が、ようやく公開された。この案件は、オンブズマン事務局職員の説明によると、第2021-83号の苦情がいったん取り下げられた後、再度、同内容の申し立てがなされた案件である。ただし、「調査実施通知書」の日付は2022年11月24日であり、再度の苦情申立がなされた後も、しばらく塩漬けの状態が継続した模様である。

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①第2022-1号
 生活保護受給者が、市側の都合で長らく家庭訪をしなかったにもかかわらず、訪問日を強制的に決定するとともに、訪問日には体調不良であったにもかかわらず訪問が強行され、資産報告書及び預金通帳の写しの提出も強制されたとして苦情が申し立てられたケース。なお、本件は第2021-83号の申立人がいったん申し立てを取り下げた後、再度苦情を申し立てた案件である。(担当オンブズマン:田村智幸)

②第2022-56号
 申立人の所有地に隣接する市有地に盛土がされ豪雨等による流出が懸念され、その旨を市に指摘しても適切な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2022-60号
 申立人の関係人が市立札幌病院で治療を受けた際、担当医が院内での他の診療科に紹介をしなかったことや治療に際し医療過誤があったとして病院から医療事故調査の申立てをすること等を求めて苦情が申し立てられたケース。なお、本件苦情申立人は、第2022-61号の申立ても行っている模様である。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2022-61号
 申立人の関係人が市立札幌病院に入院しているところ、当該関係人が他の病院に転院することを病院職員が妨害しているとして苦情が申し立てられたケース。なお、本件苦情の申立人は、第2022-60号の申立ても行っている模様である。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2022-62号
 生活保護受給者が転居費用の支給や担当ケースワーカーの交代を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑥第2022-63号
 市立中学校の正門前に居住する申立人が、生徒を送迎する違法駐車の車両により迷惑を受けているが改善されないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑦第2022-64号
 生活保護受給者が、転居にともない家賃が安くなったにもかかわらず適時に住宅扶助の金額が変更されず、過支給となったために分割での返還を余儀なくされたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑧第2022-67号
 申立人の土地が産業廃棄物の保管場所となっていることについて、業者が道路占有を申請する際に地番を誤認するとともに、当該誤認を市が十分確認しなかったためであるとして、これまで市に説明を求めてきたが納得のいく回答が得られず、2022年4月に再度質問したがこれまでの回答と変わらなかったとして苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての原因となった工事が平成30年の出来事であり、「申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑨第2022-68号
 肺炎球菌ワクチンの接種について保健所に問い合わせたにもかかわらず、適切な情報提供を受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。調査に着手したものの、問い合わせがなされたのが2021年6月のことであり、「申立の原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査中止が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑩第2022-72号
 申立人の関係人の虐待致死事件に関し市に高齢者虐待防止法に基づく通報を行ったところ、市は介護保険法に違反する事実は認められないとして申立てを棄却したが、その結論は不当であり、市が事業者に対し適切な処分を行うことを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人は当該関係人が2020年1月に入院して適切な医療を受けていれば死亡しなかったと主張しているところ、「申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

2023/03/06

審査請求が認められる

すでに2022年8月に調査を終了したケースのエントリーに記載したが、第2022-22号の苦情等調査結果通知書で非公開とされた箇所の一部の公開を求めて審査請求したところ、審査庁たる札幌市長は2023年3月3日付の裁決において請求を認容した。「札幌市情報公開・個人情報保護審査会」への諮問すら行われない、いわば「完全勝利」である(札幌市情報公開条例17条1項2号参照)。

全文参照

まず、裁決までの経緯を振り返っておく。2022年9月1日付で行った公文書公開請求に対し、同月27日付でなされた一部公開決定において、苦情等調査結果通知書第2022-22号が公開された(当初公開分)。この案件は、敬老優待乗車証のチャージのために郵便局を訪れた際の職員の対応に不満を覚えた申立人が、市に対応を求めたものの適切な対処がなされないとして苦情が申し立てられた事案である。

そして、当初公開された上記通知書においては、市とチャージ業務について業務委託契約を締結した日本郵便北海道支社の業務マニュアルを引用した箇所が非公開とされていたことから、当ブログ開設者が当該箇所の公開を求めて審査請求をしたところ、公開を命ずる裁決が出されるとともに、裁決書と合わせて、苦情等調査結果通知書第2022-22号が送られてきた(裁決後の通知書)。

なお、この裁決では、上記マニュアルを引用した箇所について、「本件非公開部分を公開しても申立人と郵便局員とのやり取りの内容が明らかになるものとは認められず、特定の個人を識別することはできない」として、条例7条1号に定める非公開情報(いわゆる「個人情報」)には該当しないと判断されている(同号は「非公開情報」として「個人に関する情報で、特定個人を識別することができるもの」を規定する)。

ここでのポイントは、特定個人識別性がないことを理由として非公開情報ではないと判断している点である。この点、当ブログ開設者による、マニュアルを引用した箇所は「個人に関する情報」には該当しないという主張は、残念ながら採用されなかった。

また、裁決は条例7条1号の非公開情報該当性を否定するとともに、条例7条5号オ(いわゆる「事務事業情報」)該当性も否定した(同号オは「事務又は事業の性質上、公にすることにより、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすと認められるもの」を非公開情報と規定する)。

以上の次第で、今回の裁決は、オンブズマンによる「苦情等調査結果通知書」について、通知書の記載内容は「個人に関する情報」であるが、「特定個人識別性」が認められない限り条例7条1号が規定する非公開情報(いわゆる「個人情報」)には該当しないことを明確にした点で、大きな意義があると思われる。

その一方で、条例7条5号オが規定する非公開情報(いわゆる「事務事業情報」)該当性に関しては、条例7条1号が規定する非公開情報該当性と結びつけた判断をしている。しかしながら、こうした判断が適切かどうかは、なお議論の余地があると思われる。特定個人識別性がある箇所を非公開にしたとしても、自らが申し立てた苦情(について記載された文書)が公文書公開の対象となること自体、苦情申立を忌避する理由となると思われるからである。

また、今回の審査請求においては、審査請求書に「苦情等調査結果通知書を公開することによりオンブズマンがいかにずさんな調査を行っているかが明らかになり、「市民のオンブズマン制度への信頼を失わせ」る可能性がある」旨も記載した。裁決書記載の「審査請求書による請求人の主張」においては見事なまでに無視されたが、その理由は定かでない。