2022/08/25

2021年度(令和3年度)の活動状況報告書について照会した(回答あり)

2022年7月に調査を終了した案件については、公開決定期限が2週間延長され8月29日となっている。未だ公開決定を受けていないため、当ブログで紹介するまで今しばらくお待ちいただきたい。

ところで、2021年度(令和3年度)の『札幌市オンブズマン活動状況報告書』について、以下の4点をオンブズマン事務局に問い合わせるメッセージを送った。

①奥付の「編集・発行」に「札幌市総務局オンブズマン事務局」と記載されているが、オンブズマン事務局は具体的にどのような作業を行っているのか。

②掲載された苦情申立て事例はどのように選択しているのか。

③札幌市オンブズマンが過去に実施した発意調査のリストが掲載されていないのはなぜか。

④15頁記載の事例の「オンブズマン判断」の第2段落には、以下のような記述がある。すなわち、「介護保険制度の適用に当たり、このような契約上の重要事項を一般市民向けに明示せずに運用していること自体に問題があると考えます。」ここでいう「契約」とは、誰を当事者として、どのような権利義務を発生させる契約か。

このうち①は、活動状況報告書の内容について札幌市オンブズマンに苦情を申し立てようとした場合、「オンブズマンの行為」は所轄外の事項とされることから、オンブズマン事務局の「職員の行為」をピックアップする可能性を探るためである。

次に②は、掲載事例よりも興味深い事例があると思われるためである(たとえば、市道の除雪により敷地内にシカが侵入するという苦情・第2021-111号)。

さらに③は、例年、活動状況報告書に掲載される過去に実施した発意調査のリストが、2021年度版には掲載されていないためである。そのため、2021年度に発意調査が実施されなかったことを隠蔽するためであるとか、前年度の「制度発足20周年特集号」では、発意調査のリストは特集部分に掲載されていたところ、特集の掲載がない平年の編集に戻す際、発意調査のリストを記載するのを失念したためであるとか、あらぬ疑念を生じさせる。

最後に④は、この案件(第2021-17号)で調査を担当した原俊彦オンブズマンが、「住宅改修費」の支給決定という「行政処分」を「契約」と誤認しているのではないかと思われるためである。

なお、照会事項②についてであるが、掲載事例は「オンブズマンの活動状況を知っていただく上で参考になると思われる事例の一部」を掲載している模様である。なるほど、照会事項④の事例は、制度理解が不十分なオンブズマンもいるという事実は、制度を利用しようとする市民にとって、参考になる有益な情報である。苦情申立てに際して申立人は、オンブズマンにも理解できるように、懇切丁寧な制度説明が必要となる場合もある、というわけである。

この点、2020年度(令和2年度)の活動状況報告書(76頁)では、苦情等調査結果通知書(第2020-75号)におけるオンブズマン判断の明らかな誤りは、活動状況報告書段階では隠蔽されていた。

すなわち、この案件において調査を担当した原俊彦オンブズマンは、保育所の利用調整基準について、「保育所等の申込児童数が、利用の要請を行った施設の利用定員を上回る場合には、国の通知に従い、保育の必要性の高い順に利用調整を行う」という判断をしていた。

しかしながら、札幌市における保育所入所の利用調整は、札幌市が行政庁として定める「審査基準」(行政手続法5条1項)たる「利用調整基準」に基づいてなされるのであり、「国の通知に従い」というオンブズマン判断は誤りである。

このように、原俊彦オンブズマンは、この案件を担当した時点において、地方自治の制度枠組みや行政手続についての理解を欠いていたわけである。こうした事情が隠蔽された場合、市民としては、オンブズマンが制度理解を欠くことをふまえた上で苦情申立てをすることができなくなる。札幌市オンブズマン制度の適切な運用のためには、由々しき事態ではなかろうか。


【追記】(2022.8.30)

照会事項について、オンブズマン事務局から回答があったので紹介する。

まず、①についてである。活動状況報告書の編集・発行に際し、「オンブズマン事務局は、オンブズマンとの協議に基づき原稿を作成するとともに、印刷契約関係事務も担っています」ということである。

この回答は、「オンブズマンからの指示を受け」ではなく、「オンブズマンとの協議に基づき」、という点がポイントであろう。オンブズマン事務局として独自に活動する余地があるからである。

次に、②についてである。活動状況報告書への掲載事例の選択については、「オンブズマンが調査を行った苦情の中から、オンブズマンとオンブズマン事務局が協議し、オンブズマンの活動状況を知っていただく上で参考になると思われる事例を選択しております。」

「また、掲載することにより個人情報が明らかになるおそれがあるかどうかや、同一年度中の類似事例があるかどうかなど、その時々の様々な要素も考慮し、総合的に判断しています」ということである。

当ブログ開設者は全件公表を原則とすべきと考えているが、この点は措くとして、事前に「この案件を掲載すべきだ」という見解を伝える対応はありえるかもしれない。

さらに、③の過去に実施した発意調査のリストについては、「例年活動状況報告書に掲載される」というのは、当ブログ開設者の思い違いであった。「令和2年度の活動状況報告書については「制度発足20 周年特集」として、平成22 年度の活動状況報告書については「制度発足10 周年特集」として、それまでの発意調査のリストを掲載しております」ということである。

最後に、④についてである。個別の案件についての照会であるが、「契約上の重要事項を一般市民向けに明示せずに運用していること自体に問題がある」という記述における「契約」とは、いかなる契約であるかについての照会である。

この点、当ブログ開設者は、「契約上の重要事項」ではなく「住宅改修費が不支給となる場合」と表現するのが適切であったと考えている。しかしながら、調査担当の原俊彦オンブズマンは、当ブログ開設者が想定していないような事情を考慮しているのかもしれないと考えて、照会した次第である。

オンブズマン事務局からの回答は、「ここでいう『契約』とは、申立人と工事業者を当事者とした、住宅改修工事についての契約のことです。介護保険の住宅改修費の支給可否は、こうした契約を締結するかを判断する上で重要な事項であり、『工事完了前に入院した場合は、退院して改修したものを使用しないと住宅改修費は支給されない。』ことを一般市民向けに明示せずに運用していること自体に問題がある、という内容であると御理解ください。」というものである。

この回答によると、「契約上の重要事項」とは、契約を締結するか否かを判断する際の重要な事項を指すようだ。しかしながら、「契約上の重要事項」といった場合、当該契約における権利義務の具体的内容を指すのが一般的である。調査担当の原俊彦オンブズマンの用語法があまりにも特異であるため、オンブズマン事務局としても(適切かつ親切なことに)補足説明せざるを得なかったと思われる。

とはいえ、この事例を「活動状況報告書」に掲載することは、原俊彦オンブズマンは特異な判断をすることが稀ではないという意味において、「オンブズマンの活動状況を知っていただく上で参考になる」ことは間違いない。

以上、当ブログ開設者が行った照会に対するオンブズマン事務局の回答を紹介した。今回は、この回答で了としたい。

2022/07/20

2022年6月に調査を終了したケース

 2022年7月1日、同年6月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、2022年7月15日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2022年6月)に調査を終了したのは5件で、3件で調査結果が通知されている。また、残る2件のうち1件は調査をしない旨が通知され調査が終了し、1件は申し立ての取り下げにより調査は実施されなかった(別の論点を追加し、再度申し立てがなされる模様である)。

さて、調査結果が通知された3件は、3人のオンブズマンが1件づつと、きれいに担当が分かれている。そのうち、コロナ禍ならではの苦情としては、原俊彦オンブズマンが担当した案件(第2022-8号)が興味深い。この案件は生活保護受給者が申し立てた苦情であるが、「長期にわたって家庭訪問が行われていない」こともその内容となっている。ケースワーカーによる家庭訪問を嫌悪する受給者がいるなか、こうした苦情が申し立てられたことは、当ブログ開設者には、コロナ禍で孤立したり、疎外感を強めている受給者がいることを示唆しているように感じられた。

そうすると、調査担当のオンブズマンとしては、この苦情の申立人の世帯の他にも、長期にわたり家庭訪問が行われていない世帯の存否について、担当部局に確認することを求めてもよさそうなものである。しかし、調査を担当した原俊彦オンブズマンは、札幌市オンブズマンの制度は申立人の個別的な利害の実現を目的としていると理解しているためであろうか、そうした発想を欠いたようである(申立人に親身な姿勢をみせる八木橋オンブズマンなら、また違った判断を示したであろうか・・・)。

また、調査しない旨が通知された案件(第2022-9号)は、当ブログ開設者が申し立てた苦情である。当ブログ開設者が特定のオンブズマンの担当案件数が少ない事情について照会したところ、実質的に意味のある回答を受けるまで複数回の照会を要したとして、適切な内容をできる限り速やかに回答することを求めて苦情を申し立てた。一連の対応の経過については、通知書の「苦情申立ての趣旨」で確認して頂きたい(照会における表現が辛辣だとすれば、それは当ブログ開設者のオンブズマン制度への期待の現れであろう)。

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①第2022-5号
 地下鉄駅で福祉割引SAPICAを利用して地下鉄からバスへの乗継割引券を購入しようとした際、駅職員から現金で購入するよう言われたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2022-8号
 生活保護受給者の担当ケースワーカーが交代したにもかかわらず交代前のケースワーカー名の押印された封筒が送付されてきたり、架電した際に交代前のケースワーカーが電話を受けることがあるなど本当に交代したか疑わしく、長期にわたって家庭訪問も行われていないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

③第2022-9号
 特定のオンブズマンの担当案件数が他のオンブズマンより少ない事情について問い合わせたことについて、実質的に意義のある回答がなされるまで照会を繰り返すことになったのはいかにも煩わしいとして、市民からの照会にはできる限り速やかに適切な回答をすることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人の直接の不利益が存在しないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

④第2022-12号
 月寒体育館のスケートリンクで接触事故に遭遇したが、以前から改善を要求しているにもかかわらず未だ実現されていないとして、改めて改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)


⑤第2022-16号
 住基カードを紛失したので区役所の戸籍住民課に再発行を依頼したが再発行を受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。苦情内容を追加して新たな苦情を申し立てるとして、いったん申立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:原俊彦)

2022/07/17

2021年度(令和3年度)活動状況報告書・非掲載案件リスト

札幌市オンブズマンは、毎年、活動状況を公表することが義務付けられているが(札幌市オンブズマン条例27条1項)、今般、2021年度(令和3年度)(以下、「2021年度」と表記する)の活動状況報告書が公表された。例年、活動状況報告書が公表されるたび、「非掲載案件」のリストを公表してきたことから、2021年度についても活動状況報告書へ非掲載となった案件を紹介する(注1)。

ところで、当該活動状況報告書によると、2021年度に市民から札幌市オンブズマンに申し立てられた苦情は112件で、このうち調査結果が通知されたものが79件、調査結果が通知されることなく調査が終了したものが33件となっている。そして、当該活動状況報告書に掲載されたのは、調査結果が通知された案件のうち39件である(注2)。

したがって、活動状況報告書に掲載されなかった案件の内訳は、調査結果が通知された案件の40件と、調査結果が通知されることなく調査が終了した案件の全33件である。調査結果が通知された案件は、掲載39件、非掲載40件とほぼ五分五分の割合となっている。これらの非掲載となった案件にも、興味深い案件は散見される。ぜひ、それらの案件も含め、通知書本体に触れることで、札幌市オンブズマンによる調査の醍醐味を味わって頂きたい。

なお、2021年度は、オンブズマンの発意に基づく調査は、「新型コロナウイルス感染症対策のため市の業務を一部縮小していたことの影響など」により、実施されなかった。2020年度も新型コロナの影響があったと思われるが、発意調査は実施されている(第2020-発1号)ことからすると、2021年度のオンブズマンは、発意調査にさほど意義を見出していないのかもしれいない(注3)。

(注1 )当ブログ開設者は、オンブズマン調査は、全件公表を原則とするべきであると考えている。それは、活動状況報告書への掲載事例が恣意的に選択されないようにするとともに、全件公表がオンブズマン調査の質を確保するためには必要不可欠であると考えているためである。この点、札幌市よりも遅れて自治体オンブズマン制度を設けた熊本市では、全件・全文の公開を原則とした運用がなされており、札幌市ができない理由はないように思われる。

(注2)2020年度(令和元年度)は、苦情申立件数全90件中、調査結果を通知した60件のうち39件が活動状況報告書に掲載されていた(非掲載21件)。2021年度は、苦情申立件数の増加にともない(全90件→全112件)調査結果が通知された案件の件数も増加した(全60件→全79件)ため、活動状況報告書に非掲載となった案件の件数も大幅に増加した(21件→40件)。なお、調査結果が通知された案件の割合は若干改善している(66.7%→70.5%)。また、調査結果を通知しなかった案件(2020年度同様、活動状況報告書には全件非掲載)の件数は、ほぼ横ばいである全30件→全33件)。

(注3)過去に発行された「活動状況報告書」には、その年度に実施されたオンブズマンの自己の発意による調査の概要と、過去に実施された発意調査のリストが掲載されていたが、2021年度の「活動状況報告書」には、過去に実施された発意調査のリストも掲載されていない。このことは、2021年度のオンブズマンが発意調査の意義を軽視していることの象徴であるように思われる。

(1)調査結果を通知したもの(40件)
 市営住宅の入居者が、連日怒鳴り声が聞こえるとして相談していることについて、管理人、住宅管理公社及び市の担当課の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 戸籍訂正の手続きについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 自宅前の除雪について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護受給者が、振込から手渡しになった生活保護費の支払いを再度振込にすることを求めるとともに、職員の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護の受給者から、転居費用、職業訓練校への交通費及び同校へ通学することで支給される給付金に関する説明等、市職員の一連の対応について苦情が申し立てられたケース(担当オンブズマン:原俊彦)
 生活保護の受給者が、ケースワーカーによる家庭訪問がない理由についての市の説明が矛盾していること等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護受給者が、課長からひどい対応を受けたとして部長への電話の取り次ぎを求めても十分な対応がなされない等、市職員の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 インターネットを通じた取り引きから生じた「消費者トラブル」について、市の消費者センター及び市の担当部局の対応が適切ではなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 生活保護受給者が、ケースワーカーが交代した理由について問い合わせても適切な回答がなされない等、保護課の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護受給者が、年金が減額されたことにともない保護費が増額されたにもかかわらず保護変更決定通知書が送付されていないこと及び担当ケースワーカーによる家庭訪問が適切に実施されていないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 札幌市オンブズマンに苦情を申し立てようとする際、市職員が申立てに介入してくるためにオンブズマン制度の中立性が確保されていないこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 教育委員会の職員から送付されてきたメールの内容に虚偽がある等、教育委員会職員の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 介護保険を利用して住宅改修を行った際、工事を実施した事業者が住宅の一部を損傷させ、その修理に費用がかかったことから、修理費用の全額を弁償してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 2年ほど前に市営住宅の自治会が管理する駐車場の防犯灯などを自治会負担でLED電球に変更し、現在もリース料を払っているところ、最近になって、市が防犯灯のポールを交換するということであったことから、交換したLED電球を引き続き使用することや、対応した職員の対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 札幌市オンブズマンに苦情を申し立てた際、オンブズマンと面談したいと要望したにもかかわらずオンブズマン事務局の職員により面談希望を拒否されたことから、面談が実施されないまま苦情等調査結果通知書(第2021-35号)が送られてきたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護の受給者が、保護課への相談回数が多いことを理由として相談回数が制限されたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護を受給する伯母が入院した際、その旨を担当ケースワーカーに連絡したところ、伯母が死亡した場合の対応について問い合わせを受けたが、こうした問い合わせは配慮に欠けるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護受給者が、保護費返還決定書が届いたものの、自分だけが返還を求められることに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護の受給者が、住環境が悪いため転居したいが転居費用が支給されないこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護受給者が、療養上の理由による転居について保護費の支給が受けられることになったが、保護費の支給日が実際の転居手続に間に合わないこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 自宅に隣接する建物の消防法令違反について、消防局に対応を求めているにもかかわらず、違反状態が是正されないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市営住宅の駐車場で隣のスペースに駐車する車の駐車位置を改善することを求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 生活保護の受給者が、通院のための自動車の利用を認めないという判断およびそのことに伴う市職員の一連の対応に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護受給者が、担当ケースワーカーが保護停止の事例を挙げて不安をあおる等の対応をすることが不満であり、担当者の交代を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市が道路の拡幅を検討するに際し、地域住民の意向を無視したまま計画が進められているとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 国民健康保険の保険料を過払いしたが返還されなかったり、返還されるにしても返還まで時間がかかったりしたこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 自宅マンション前の除雪がなされた後、1階居室の窓が雪で埋まり換気ができなくなったため市に排雪を求めたが対応されず、その後の一連の対応にも問題があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市の雨水貯留池に投雪する市民がいるために市の担当課に対応を求めているが十分な対応がなされないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 生活保護の受給者が自動車使用禁止の指示書の交付を受けたことや、職員が対応した際の発言内容等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市職員が住居に不法侵入していることについて市に調査を依頼して以降の市の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 通所している作業所の職員が申立人にとって知られたくない個人情報を当該作業所を訪問した申立人の友人に漏洩したことについて、市の障がい福祉課による当該作業所に対する指導が不十分であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 さる団体が発行する広報誌について、市の経済観光局が印刷・発送にかかる経費を負担しているところ、内容に問題がある広報紙が発行されたことについて市の対応が十分ではなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 さる団体が発行する広報誌において名誉を傷つける内容が記載されたにもかかわらず、当該広報誌の発行に関与する市の経済観光局の対応が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 冬季の雪堆積場を夏期に野球場として利用する施設の利用調整の方法及び調整結果及び公園施設内の野球場の利用が公平ではないとして、苦情が申し立てられたケース。なお、同様の内容の別件の苦情(第2021-99号)は、活動状況報告書に掲載されている。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市の指定管理施設で嘱託職員として勤務していた申立人は他の職員から嫌がらせを受けてきたところ、指定管理施設の職場環境が劣悪なことについて、市が指定管理者に対する指導を行うなど適切な対応をとることを求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 申立人の息子が通うデイサービスの事業者に対し指導を行うよう市に求めた際、対応した職員の対応が高圧的であったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
 学校開校事業で利用する施設の管理人の対応が横柄であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護の受給者から、自動車処分の指示の取消等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市道の除雪で雪山ができることでその雪山から敷地内にシカが侵入し被害を受けているとして、市に対応を求めて苦情が申し立てられたケース。黒塗りで非公開とされているために判然としないが、シカによる食害が生じているものと推測される。シカの食害については、北海道新聞のニュースサイト掲載の記事が参考になる。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 市の指定管理施設においてベテランの専任スタッフが雇止めにより退職することになったことから、市には指定管理施設の職員の質の低下を防ぎ、職員の流出を防止するために適切な措置を抉るよう強く指導してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

(2)調査結果を通知しなかったもの(33件)
 知人のアパートに勝手に出入りしていた生活保護受給者が、知人が死亡したのち、申立人に対し荷物の処分料を請求してきたので支払ったが、後になっておかしいと思ったとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての取り下げにより、調査は実施されていない。(担当オンブズマン:原俊彦)
 NPO法人が市の担当課からかどの圧迫、行政指導を受けたとして苦情が申し立てられたケース。当該法人の代理人を称する者から申立書が提出されたが、法人の苦情申立ての意思が確認できないとして、オンブズマンは「取り扱いを中止」した。なお、同趣旨の別件の調査(第2021-48号)が実施されている。(担当オンブズマン:原俊彦)
 産業廃棄物処分業の許可に関する北海道の対応について、苦情が申し立てられたケース。「市の機関の業務の執行」に該当しないとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 所有するアパートが隣接する市営住宅の長期にわたる工事により外壁の損傷被害を受けたとして、苦情が申し立てられたケース。建築や工事に関する専門的知識を有しないオンブズマンが工事の影響の有無について判断を述べることは適当ではなく、「調査することが相当でない特別の事情があると認めるとき」に該当するとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 札幌市の保育所等の利用調整基準が、国の通知に「基づいたうえで」制定されるという説明のうち、「基づいたうえで」の具体的に意味するところの説明を求めて苦情が申し立てられたケース。調査しない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 体育館で開催された〇〇教室が新型コロナ感染拡大により、全6回のうち2回を実施したのみで中止されたが、残り4回の受講料は返金されることになったものの道具のレンタル料が返金されないことは納得いかないとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申立後、返金されることになったとして、申し立ての取り下げにより調査は終了している。(担当オンブズマン:原俊彦)
 親が通所する就労支援事業所に子も通うことを希望して区の保健福祉課を訪問したものの、その際の説明や手続き時時間がかかること等を不服として苦情が申し立てられたケース。この苦情の当事者が申立人自身でないこと等から調査対象とならない可能性が高い旨を説明したところ、申し立てが取り下げられ調査は終了している。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護の受給者が、担当ケースワーカーが交代すると聞いて新担当ケースワーカーに電話したが、その際の対応に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。オンブズマンとの面談を希望していたが、体調が回復しないとして、いったん苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:田村智幸)
 札幌市オンブズマンが実施した調査に関する文書の公文書公開請求において、公開対象公文書に漏れがあったことから、漏れが生じた理由の説明と、再発防止を求めて苦情が申し立てられた例。
 この案件は、当ブログ開設者が申し立てた苦情であるが、調査が実施された第2021-24号(訂正前)とは前提とする事実が異なるという申立人の主張に対し、当該案件の苦情等調査結果通知書が訂正されたことにより、本件苦情が第2021-24号(訂正後)と同一の苦情であるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市営住宅の入居に当選したが、民生委員からの圧力で辞退に追いやられたとして苦情が申し立てられたケース。申し立てられた事実が1年以上前のことであり、調査しないという結論になる可能性が高い旨を説明したところ、申立てが取り下げられたため調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 申立人に無断で印鑑登録証が偽造されるという犯罪について、犯罪に加担した区役所の責任を札幌市オンブズマンが追及してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。印鑑登録がなされたのが1年以上前の出来事であるとして、調査しない旨が通知され調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 長年介護してきた夫が退院した後の入院先を教えてもらえないとして、苦情が申し立てられたケース。夫の退院後の処遇については高齢者介護の専門家の知見に基づいて決定されたと思われ、オンブズマンが調査・判断をすることは適当でないとして、「調査することが相当でない特別の事情がある」(札幌市オンブズマン条例16条2項)として、調査が実施されなかったケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 道路工事や維持管理作業を受託している(と思われる)事業者から、市の担当課の職員の発言をはじめとする一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。苦情申し立ての取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:原俊彦)
 オンブズマンによる苦情調査(第2021-15号)において、市教育委員会が札幌市の小学校で防犯カメラの運用を取りやめるという回答をして以後の対応について、苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての内容が申立人に直接的・具体的な利害関係がないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
 申立人の中学生の息子に対するスクールカウンセラー、校長及び児童相談所の対応に不満があるため、オンブズマンの調査で息子の気持ちを明らかにしてほしいとして苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:田村智幸)
 マンション出入り口前に設置されていたカーブミラーが撤去されたことにつき、納得のいく説明をしてほしいとして苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:田村智幸)
 児童手当の支給申請の期限について説明がなかったにもかかわらず、申請が期限に遅れたことを理由に10月分の児童手当が支給されなかったとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 生活保護を受給していた叔母が交通事故に遭ったが、加害者が加入していた保険会社から保険金が支払われるまで生活保護の支給が継続したことについて、高額な治療費が税金を財源とする生活保護費から支払われてよいものか真実が知りたいとして、苦情が申し立てられたケース。申立の原因となった事実から1年以上の期間が経過しているとして、調査しない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:田村智幸)
 申立人の妻が市立病院で出産したところ、申立人のみならず、出産した妻も出産した子に会えずにいるところ、納得のいく説明をお願いしても全く返事がないとして、苦情が申し立てられたケース。「感染対策の当否が判断できない」ために調査することが適当でない特別の事情があるとして、調査しない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:田村智幸)
 申立人の兄が生活保護を不正に受給している旨を再三保護課に知らせているにもかかわらず、兄に対する生活保護が支給され続けたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の兄に対する生活保護支給について申立人には利害がないとして、調査しない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市立札幌病院で妻が出産したが、新型コロナ感染症対策を理由として生まれた子どもへの面会が制限されているとして、苦情が申し立てられたケース。調査することが相当でない特別の事情がある等を理由として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
 生活保護受給者が、障害者手帳が郵送されたために適切な障害者加算が受けられなかったとして、苦情が申し立てられたケース。調査開始後申し立てが取り下げられたため、調査中止が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 シルバー人材センターの派遣事業として児童館に派遣された申立人が館長からパワハラを受け、そのことについて市の担当課に対処を求めたにもかかわらず、引き続き就労できるよう働きかける等の十分な対応がなされないとして、苦情が申し立てられたケース。その後、申立人による苦情申立ての取り下げにより、調査は中止されている。(担当オンブズマン:原俊彦)
 違法建築物が長年にわたり放置されている件で、市に対応の方針についての回答を求め、苦情が申し立てられたケース。過去に同趣旨の苦情が申し立てられているところ、オンブズマンの行為はオンブズマンの所轄外であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 保護課の担当者が訪問日を一方的に決めて変更予定を聞き入れず、その際、ケースワーカー以外の職員まで入室してきたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が申し立てを取り下げたため、調査は実施されなかった。(担当オンブズマン:田村智幸)
 金融機関、警察、裁判所等が、申立人個人に関する事項について、申立人の承諾もなく取り扱っているとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申し立て内容がオンブズマンの所轄事項に該当しないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 2022年2月末をもって1期目の任期を満了するオンブズマンについて2期目の任用予定の有無を照会したところ、任用予定をブラックボックス化した回答しかなされなかったとして、手続きをブラックボックス化する理由の説明を求めて苦情が申し立てられたケース。苦情について調査しない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 滞納していた国民健康保険の保険料について、就職したことにより毎月の賃金から天引きされると思っていたが、その後、滞納分の保険料について一括納付を求められたことを契機として、滞納分の取扱いについて職員から適切な説明がなされなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。その後、申立人の苦情取り下げにより、調査は中止されている。その後、再度申してられた第2021-89号の調査が実施された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 申立人の娘が救急搬送を依頼した際の搬送先病院の選定に疑問があるとして、苦情が申し立てられたケース(娘は搬送先で受診した当日に帰宅したが、その翌々日に死亡した模様)。医療機関選定の適否判断には高度の専門的知見を要するとして、「調査することが相当でない特別の事情があるとき」に該当するとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 2022年2月末で任期を満了するオンブズマンについて、2期目の任用予定の存否及び委嘱過程をブラックボックス化する理由の説明を求めて苦情が申し立てられたケース。苦情について調査しない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市が行った違法建築物の調査について、調査結果及び調査内容について報告してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。苦情について調査しない旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:原俊彦)
 今年は降雪が多いが、市は「捨て場所がない」、「トラックが足りない」等の理由で除排雪が十分などうかという申立てがなされたケース。オンブズマンによる調査を要望するものではないとして、申立ての取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:田村智幸)
 札幌市の市営住宅の通年募集について、電子申請を可能にすること等を求めて苦情が申し立てられたケース。札幌市外に居住し、市営住宅への入居希望者でもない申立人は「申立の原因となった事実について利害を有さない」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2022/06/20

札幌市オンブズマン苦情処理日数の状況(オンブズマン別・2021年度まで)

前回のエントリーでは、オンブズマン調査の年度別の処理状況を紹介した。このエントリーでは、オンブズマン別の処理状況を紹介する。

ところで、札幌市オンブズマンの制度が発足した2001年3月(年度としては2000年度)以来、オンブズマンは、各年度の3月1日付で2年任期で任用されている。そのため、初年度の任用期間は当該年度の3月、1か月間だけとなる。そこで、データとしての信頼度を高めるため、以下の表では、任用初年度は2年度目と合算し、13か月間に申し立てられた苦情の処理状況について計上している。

また、オンブズマンの任用期間の最終年度は、4月から翌年2月末までの11か月間の任用である。したがって、まるまる1年には1か月不足することになるが、最終年度については、この11か月間に申し立てられた苦情の処理状況について計上している(それ以外の年度については、4月から翌年3月までの12か月間に申し立てられた苦情の処理状況について計上してある)。

このほか、「取扱件数」のうち、「結果通知処理件数」に計上した件数は、「苦情等調査結果通知書」が発送された案件のものである。そして、「平均処理日数」、「中央値」及び「30日以内処理率」のデータは、この苦情等調査結果通知が発送された案件について、算出したものである。

(1) 廣岡得一郎(弁護士・2001年3月1日〜2005年2月28日)


取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2000/01年度
57
39
43.67
29
56.4%
2002年度
33
27
28.85
26
66.7%
2003年度
32
29
26.38
25
53.8%
2004年度
28
18
29.11
26
66.7%
通算
150
113
33.37
28
64.6%

(2) 長井敬子(札幌地方・簡易裁判所民事調停委員、人権擁護委員・2001年3月1日〜2005年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2000/01年度
62
42
38.29
31
47.6%
2002年度
41
32
31.88
28
68.8%
2003年度
39
26
33.73
31
38.5%
2004年度
23
20
33.10
30
55.0%
通算
165
120
34.73
30
52.5%

(3) 三谷鉄夫(北海道大学名誉教授・2001年3月1日〜2004年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2000/01年度
58
39
49.54
29
53.8%
2002年度
37
29
32.45
28
62.1%
2003年度
32
26
29.50
30
53.8%
通算
127
94
38.72
29
56.4%

(4) 佐藤譲治(元会社役員・2004年3月1日〜2008年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2003/04年度
36
31
31.55
29
64.5%
2005年度
35
30
22.73
22
96.7%
2006年度
39
33
23.42
25
93.9%
2007年度
30
26
24.00
22
92.3%
通算
140
120
25.48
25
86.7%

(5) 文仙俊一(弁護士・2005年3月1日〜2009年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2004/05年度
41
36
27.44
27.5
75.0%
2006年度
38
32
27.03
26.5
90.6%
2007年度
37
28
24.50
23.5
89.3%
2008年度
33
29
31.14
28
75.9%
通算
149
125
27.54
27
82.4%

(6) 杉野目康子(翻訳家、元北海道教育委員・2005年3月1日〜2009年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2004/05年度
36
29
24.55
27
72.4%
2006年度
38
27
25.59
27
92.6%
2007年度
39
31
24.90
23
87.1%
2008年度
31
29
34.48
29
69.0%
通算
144
116
27.37
27
80.2%

(7) 前野正明(元会社役員・2008年3月1日〜2012年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2007/08年度
48
46
31.70
27.5
78.3%
2009年度
43
36
38.36
35
38.9%
2010年度
46
37
34.12
35
45.9%
2011年度
35
27
45.78
44
18.5%
通算
172
146
36.56
31.5
49.3%

(8) 岩本勝彦(弁護士・2009年3月1日〜2013年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2008/09年度
54
43
32.40
30
58.1%
2010年度
43
37
35.54
29
51.4%
2011年度
46
43
35.77
35
39.5%
2012年度
42
36
25.56
22.5
80.6%
通算
185
159
32.49
29
56.6%

(9) 井上宏子(消費生活アドバイザー・20009年3月1日〜2013年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2008/09年度
46
39
38.54
36
35.9%
2010年度
41
35
34.69
30
51.4%
2011年度
40
37
37.78
35
35.1%
2012年度
33
25
27.28
27
80.0%
通算
160
136
35.27
31
47.8%

(10) 相澤重明(札幌家庭裁判所家事調停委員・2012年3月1日〜2016年2月29日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2011/12年度
46
39
34.13
30
53.8%
2013年度
42
35
31.11
30
57.1%
2014年度
46
39
34.15
30
51.3%
2015年度
31
26
36.92
36
23.1%
通算
165
139
33.90
31
48.2%

(11) 三木正俊(弁護士・2013年3月1日〜2017年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2012/13年度
50
43
29.63
28
72.1%
2014年度
43
35
34.57
33
45.7%
2015年度
51
40
32.35
30
55.0%
2016年度
25
22
33.55
32.5
31.8%
通算
169
140
32.26
30
58.5%

(12) 吉田かよ子(北星学園大学教授・2013年3月1日〜2015年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2012/13年度
48
40
29.13
28
75.0%
2014年度
34
28
32.96
31
50.0%
通算
82
68
30.71
29
64.7%

(13) 岩田雅子(札幌地方・簡易裁判所民事調停委員・2015年3月1日〜2019年2月28日)

取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2014/15年度
46
41
30.76
28
63.4%
2016年度
34
31
34.26
30
58.1%
2017年度
28
20
36.25
34.5
35.0%
2018年度
20
17
39.35
41
17.6%
通算
128
109
34.10
31
49.5%

(14) 杉岡直人(北星学園大学教授・2016年3月1日〜2020年2月29日)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2015/16年度
42
36
34.81
32
47.2%
2017年度
27
24
37.71
35.5
20.8%
2018年度
26
20
42.60
38
15.0%
2019年度
24
20
36.20
36.5
20.0%
通算
119
100
37.34
36
29.0%

(15) 房川樹芳(弁護士・2017年3月1日〜2021年2月28日
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2016/17年度
34
29
35.38
30
51.7%
2018年度
28
26
*37.62
*36
19.2%
2019年度
43
32
36.25
36
25.0%
2020年度
27
16
33.06
34
37.5%
通算
132
103
*35.85
*35
32.0%
*を付したデータは、2018年度の案件のうち1件について推定値に基づくことを示している。

(16) 八木橋眞規子(札幌地方・簡易裁判所民事調停委員・2019年3月1日~現職)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2018/19年度
50
38
41.82
38.5
26.3%
2020年度
27
22
33.91
31.5
40.9%
2021年度
40
31
42.42
42
12.9%
通算
117
91
40.11
37
25.3%

(17) 原俊彦(札幌市立大学名誉教授・2020年3月1日~現職)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2019/20年度
39
26
39.81
38.5
23.1%
2021年度
30
22
43.91
38.5
18.2%
通算
69
48
39.81
38.5
23.1%

(18)田村智幸(弁護士・2021年3月1日~現職)
取扱件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2020/21年度
47
29
43.28
41
24.1%
通算
47
29
43.28
41
24.1%

以下の(グラフ1)は、オンブズマン別の結果通知の平均処理日数を示したものである。なお、上記のオンブズマン別の表は、オンブズマンの任期の古い順に並べたものだが、以下のグラフも同順である。


(グラフ1)

次に、年度別の処理状況と同様に、各オンブズマンの処理日数区分ごとの度数分布の表を作成した。

(表1)
   
20日
以内
 21日〜
30日
 31日〜
45日
46日〜
60日
61日〜
90日
91日
以上
30日
以内
処理率
30日
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
廣岡
23
20.4%
50
55.6%
24
21.2%
9
8.0%
2
1.8%
5
4.4%
64.6%
35.4%
長井
16
13.3%
47
39.2%
39
32.5%
7
5.8%
8
6.7%
3
2.5%
52,5%
47.5%
三谷
18
19.1%
35
37.2%
24
25.5%
5
5.3%
7
7.4%
5
5.3%
56.4%
43.6%
佐藤
22
18.3%
82
68.3%
12
10.0%
3
2.5%
1
0.8%
0
0.0%
86.7%
13.3%
文仙
20
16.0%
83
66.4%
17
13.6%
3
2.4%
1
0.8%
1
0.8%
82.4%
17.6%
杉野目
25
21.6%
68
58.6%
14
12.1%
6
5.2%
3
2.6%
0
0.0%
80.2%
19.8%
前野
13
8.9%
59
40.4%
40
27.4%
22
15.1%
10
6.8%
2
1.4%
49.3%
50.7%
岩本
20
12.6%
70
44.0%
48
30.2%
15
9.4%
6
3.8%
0
0.0%
56.6%
43.4%
井上
13
9.6%
52
38.2%
47
34.6%
17
12.5%
5
3.7%
2
1,5%
47.8%
52.2%
相澤
7
5.0%
60
43.2%
52
37.4%
18
12.9%
2
1.4%
0
0.0%
48.2%
51.8%
三木
7
5.0%
69
49.3%
52
37.1%
10
7.1%
2
1.4%
0
0.0%
54.3%
45.7%
吉田
3
4.4%
41
60.3%
21
30.9%
2
2.9%
1
1.5%
0
0.0%
64.7%
35.3%
岩田
5
4.6%
49
45.0%
39
35.8%
16
14.7%
1
0.9%
0
0.0%
49.5%
50.5%
杉岡
3
3.0%
26
26.0%
53
53.0%
13
13.0%
5
5.0%
0
0.0%
29.0%
71.0%
房川
1
1.1%
32
31.1%
53
51.5%
17
16.5%
0
0.0%
0
0.0%
32.0%
68.0%
八木橋
1
1.1%
22
24.2%
39
34.1%
22
24.2%
7
7.7%
0
0.0%
25.3%
74.7%
1
2.1%
9
18.8%
24
50.0%
11
22.9%
1
2.1%
2
4.2%
20.8%
79.2%
田村
0
0.0%
7
24.1%
10
34.5%
8
27.6%
4
13.8%
0
0.0%
24.1%
75.9%
通算
198
10.1%
861
44.0%
607
31.0%
204
10.4%
66
3.4%
20
1.0%
54.1%
45.9%

(表1)よりもさらに度数分布を細かく区分し、平均処理日数の短い順に並べたのが、以下の(グラフ2)である。このグラフは、処理日数の短いオンブズマンの順に並べてある。

(グラフ2)

前回のエントリーで紹介したように、2021年度に調査結果を通知するまでに要した日数は(2021年3月に就任した田村智幸オンブズマンは2020年度の申立分を含む)、制度発足以来最長を記録している。個別のオンブズマンの処理日数を前年度と比較した場合、八木橋眞規子オンブズマンは8.5日、原俊彦オンブズマンは4.1日、処理日数が伸びている。また、田村智幸オンブズマンも、他のオンブズマンと同様の処理日数を要している(八木橋42.42日、原43.91日、田村43.28日)。

ところで、2021年度申立分のみの処理件数を見た場合、取扱件数は、八木橋40件、原30件、田村42件である(田村オンブズマン担当分は上記の表から2020年度申立分の件数を除いた件数)。他の2名に比べて、原俊彦オンブズマンの取り扱い件数が目立って少なくなっている。

また、調査結果を通知した件数も、八木橋31件、原22件、田村26件と、3人の中で最小となっている。このような事情は、原俊彦オンブズマンの取扱件数が少ないことによって、他のオンブズマンに過大な負担を負わせている可能性を示唆している。同額のオンブズマン報酬が支払われているなか、こうした偏りをどのように評価するのが適切であろうか。

一つの考え方は、できるだけ優秀なオンブズマンが多くの案件を担当することが市民にとっても利益になる、という立場である。しかし、担当件数が相対的に少ないオンブズマンは、経験を積むことでオンブズマンとしての力量を備える機会が与えられないことになる。また、優秀なオンブズマンも、多くの件数を担当することになれば、個別の調査のクオリティが低下するおそれも否定できまい。

別の考え方としては、オンブズマンごとの担当案件の件数はできるだけ等しくする、という立場である。しかし、担当するオンブズマンによって調査の水準に大きなバラつきがあるなか、調査の水準があまり高くないオンブズマンが担当する案件が増えることは、苦情を申し立てる市民の立場からすると望ましいとはいえないであろう。

札幌市オンブズマンこれまで、調査を担当するオンブズマンに当たり外れはなく、外れしかいないという意味で、苦情を申し立てる市民にとって、誰が調査を担当するかはさほど重要ではなかった(ように思われる)。しかし、オンブズマンによる調査を担当する力量に大きな差があることが顕著になってきた現状では、そろそろ、担当オンブズマンの専門的バックグラウンドに留意した担当案件の配分を模索すべきあろう。もっとも、眠れるオンブズマン原俊彦が担当しても差し支えない案件があれば、だが。