平成28年度に実施された札幌市オンブズマンの発意調査(
第28−発2号)は、「避難行動要支援者名簿作成等の取組状況と課題について」と題するものであった(担当オンブズマン:杉岡直人)。
この「避難行動用支援者名簿」とは、「災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であつて、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するもの」の名簿であり、災害対策基本法に基づき、市町村が作成を義務付けられている(同法49条の10第1項)。また、災害支援等の実施に必要な限度で、避難支援者に対し提供されることになる(同法49条の11第2項)。
そして、上記オンブズマン調査における「市の回答」によると、平成27年12月から現在(具体的な年月日は不明)にいたるまで、22団体から名簿情報の提供依頼を受けている、ということであった。
ところが、本日(平成30年12月27日)の報道(毎日新聞)によると、要支援者名簿の提供依頼を受けながら、実際には提供されていない事例があったことが報道されている(以下の画像データを参照されたい)。
市の回答によると「22団体」から名簿情報の提供依頼を受けたとされる(ただし、いつの時点までの数かは不明)一方で、新聞報道によると「9団体」に謝罪したということであるが、これらの情報だけでは、名簿情報の提供の実態は不明のままである。オンブズマンによる追加調査が求められるであろう。
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以上が、平成30年(2018年)12月27日に公開した内容であるが、オンブズマンによる追加調査に期待するよりも、自分で問い合わせた方が早い!と思い直し、市の担当部局(保健福祉局総務課)に問い合わせたところ、以下の回答があった。
<各年度の名簿提供申請件数(新規)・名簿提供件数(新規)・更新名簿提供件数>
平成27年度:申請10団体、提供3団体
平成28年度:申請20団体、提供19団体
平成29年度:申請11団体、提供8団体 更新19団体
平成30年度:申請16団体、提供20団体 更新27団体
合計(平成30年12月31日時点):申請57団体、提供50団体
まず、申請数と提供数のギャップについては、名簿提供の申請がなされてから実際に名簿が提供されるまでの間、名簿掲載者から名簿提供の同意を取り付けるため、2~3か月かかるということである。そのため、申請年度の翌年度に名簿が提供されることもあり、同一年度の申請件数と提供件数が一致しないとしても、そのことが直ちに、提供の申請がありながら提供されなかった件数を意味するわけではない。
また、更新の件数については、前年度に提供された名簿から変更がない場合には翌年度に更新名簿が提供されない等の事情により、当該年度の前年度までに新規に名簿が提供された団体の総数と、当該年度の更新団体数にギャップが生じることがある。そのため、この場合にも件数のギャップが直ちに、提供されるべき更新名簿が提供されなかったことを意味するわけではない(なお、平成27年度に新規に提供された名簿は、平成28年1月1日のデータで作成されたものであるため、平成28年度に更新名簿が提供されていないということである)。
以上の次第で、こちらからの拙い問い合わせに対し、きわめて詳細かつ明快な回答を得ることができたい。担当の職員氏には、記して感謝したい。
なお、札幌市の要配慮者避難支援対策事業について、くわしくは
こちらのサイトで確認されたい。