2025/07/31

2024年度(令和6年度)活動状況報告書・非掲載案件リスト

札幌市オンブズマンは、毎年、活動状況を公表することが義務付けられている(札幌市オンブズマン条例27条1項)ところ、先日、2024年度(令和6年度)(以下、「2024年度」と表記する)の活動状況報告書が公表された。当ブログでは例年、活動状況報告書が公表されるたび、「非掲載案件」のリストを公表してきた。そこで、2024年度の活動状況報告書についても「非掲載案件」を紹介する(注1)。

当該活動状況報告書によると、2024年度に市民から札幌市オンブズマンに申し立てられた苦情は98件で、68件で調査結果が通知された。このうち、活動状況報告書には32件が掲載され、36件が非掲載となった。調査結果が通知された案件のうち、半数弱が活動状況報告書に掲載されたことになる。また、調査結果が通知されることなく調査が終了した30件は全件非掲載である(注2)。

ところで、2024年度の活動状況報告書の特徴の一つとして、学校教育に関連する苦情が全く掲載されなかったことが指摘できると思われる。この点、市民が市職員から「クレーマー」と決めつけられたとか、「カスハラ」と決めつけられといった苦情については、活動状況報告書に掲載されている一方で、学校や教育委員会に対し過剰なまでに再三にわたり対応を求めている(いわゆる「モンスターペアレンツ」ではないかと思われる)案件を掲載することは意識的に避けられているように感じられた。

このような取り扱いの差は、「モンスターペアレンツ」についてはすでに社会的に認知される一方で「カスタマーハラスメント」については新たな課題として認識された、あるいは、市民からの要望に行政が対応に苦慮する点には共通性があり別異に取り扱う必要性は低い、という判断があるのかもしれない。

しかしながら、「クレーマー」や「カスハラ」は基本的に市民対行政という「二面関係」の事例であるのに対し、学校教育の場合には、親-子-学校(教委)という三面関係(四面関係)が成立する点で二面関係の事例とは異なる独自性がある。そのため、当ブログ開設者は活動状況報告書に掲載するべき事例であろうと考えている(なぜ、うちの事例を活動状況報告書に掲載したと詰問されるリスクは「クレーマー」とされた事例も同様であろう)。

なお、2024年度は、オンブズマンの発意に基づく調査の実施件数は1件で、活動状況報告書に58頁以下に調査内容が掲載されている。「対人コミュニケーションスキルの育成」という調査であるが、当ブログ開設者は市職員のコミュニケーションスキルよりも、オンブズマンの調査スキルの向上こそ、喫緊の課題であると考えている。

(注1)当ブログ開設者は、オンブズマン調査は全件公表を原則とするべきであると考えている。全件公表がオンブズマンに調査の質の確保を動機づけるとともに、オンブズマン調査に飽き足らない市民に対しては自ら行動する契機となりうると考えるからである。この点、札幌市よりも遅れて自治体オンブズマン制度を設けた熊本市では、全件・全文の公開を原則とした運用がなされている。

(注2)2023年度(令和5年度)は、苦情申立件数全71件中、調査結果を通知した案件が57件であった。このうち、34件が活動状況報告書に掲載され、23件が非掲載となった(掲載率は約60%)。2024年度は、苦情申立件数が前年から27件増加したため(全71件→全98件)、調査結果が通知された案件の件数も増加した(全57件→全68件)。ただし、調査結果が通知された案件の割合は若干低下している(80.3%→69.4%)。また、活動状況報告書に掲載された件数は、前年から若干減少した(34件→32件)。なお、調査結果を通知しなかった案件は前年からほぼ倍増し(全14件→全30件)、苦情申立て件数に占める割合は上昇している(19.7%→30.6%)。

(1) 調査結果を通知したもの(36件)
第2024-3号
 申立人の子が通う学校において他の児童に対し教員による不適切な指導が行われており、申立人の子も心理的に負担に感じているようであるとして、そうした教員の指導の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-4号
 申立人の子が通っていた学校において、申立人の子を含む子どもたちに対し複数の教員から不適切な指導が行われていたとして、そうした教員たちの指導の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-5号
 申立人の子どもたちが通っていた学校では他の子どもに対し教員から不適切な指導がなされ、申立人自身も教員から嫌がらせを受け体調を崩すこともあるなど、当該学校では教員による不適切な指導がなされているとして改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-8号
 申立人が障がい福祉課を訪問した際に対応した職員や他の職員が申立人に向けた対応が不愉快であったり、馬鹿にされた気分になったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-9号
 申立人が職員部人事課を訪問した際に上席の職員と話をしたいと要望したが拒否されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-14号
 申立人の子が通う学校において、担任が子の性格や特性に対応した適切な指導をしていないことに不満を覚え教育委員会に対応を求めたにもかかわらず、教育委員会が十分な調査を実施しないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-17号
 生活保護を受給する申立人が同居していた家族が特別養護老人ホームに入居したため、担当ケースワーカーに様子を見てきてほしいと依頼し、訪問予定だと聞いていたにも関わらず、未だ訪問していないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-18号
 市営住宅に入居する申立人が階下から犬の鳴き声がして騒々しいことを住宅管理公社および市住宅課に相談しても解決しないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-27号
 生活保護受給者が資産調査の資料提出のため担当係を訪問した際の担当ケースワーカーの対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-28号
 生活保護を受給している申立人が長期にわたり家庭訪問がなされず、訪問された際にも極めて短時間で不十分であったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-31号
 生活保護受給者が入金された保護費の金額が当初聞いていた金額が違ったことをはじめとして保護下の担当職員の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-33号
 生活保護受給者が意に反してジェネリック医薬品の使用を強制されることや、夜間の家庭訪問に応じてもらえないことについて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-35号
 生活保護を担当する職員による物品授受行為が懲戒事由に該当するとして担当部局に情報提供したにもかかわらず、当該職員に対する処分内容等について教えてもらえないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-36号
 生活保護を受給している申立人が職員による物品受領行為や窓口での対応に不満を覚えるとともに、その旨を上司に伝えても適切な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-37号
 生活保護を受給している申立人がエアコンの設置を申請が却下されたとして、設置申請を認めるよう求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-40号
 グループホームに入居していた申立人が転居に際しグループホームから支給された立退料を収入認定する際の取り扱いや転居費用の支給等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-42号
 生活保護の受給開始時に面談した職員の対応及び面談を実施した場所の設定等が不適切であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-49号
 生活保護受給者が担当ケースワーカーが配慮に欠ける対応をするとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-52号
 所得制限のため支給停止となっていた児童手当を再度受給するには申請が必要であるということであるが、申請が必要である旨の案内が不十分であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-57号
 スポットクーラーの購入費用を保護費として支給することを検討しないという保護下の説明に納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-61号
 申立人の子が通う学校で使用する教材(情報通信端末と思われる)に不具合が生じたところ、特定の業者からの購入を強要する等、学校及び教育委員会の対応に問題があるとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:神谷菜保子)
第2024-66号
 申立人は生活保護を受給する親族に所有する住宅を貸与し親族が受給する保護費から賃料名義で貸与した金銭の返還を受けているところ、申立人の関知しないところで保護課が当該親族の転居を進めたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-69号
 中学校に通う申立人を含む複数の生徒の行為が被害生徒に対する「いじめ」と認定されたが、申立人のみが当該被害生徒への「謝罪の会」に参加できなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-72号
 申立人の子である中学生を複数の生徒の行為に関し中学校が「いじめ対策委員会」を設置したが、この委員会を含む中学校の一連の対応に疑問があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-76号
 生活保護受給者がケースワーカーが事前連絡もなく家庭訪問するとともに、その際、受給者のプライバシーへの配慮もなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-79号
 市営住宅の住民が、新旧の自治会が併存状態であるとともに、共益費の未納額が累積する混乱状態にあるとして、市に混乱状態を解消するために対処することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 区保健福祉部の職員が申立人の承諾を得ず診断書を取り寄せたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 申立人が区役所を訪問した際、保健福祉部の職員と1時間くらい話をしているうちに事実に反する理由で110番通報されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 区役所の保健福祉部の職員から障害年金の年金番号で障害者手帳の更新が行えると聞いたとして、更新のために提出した診断書の返還を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 司法書士の過誤により登記上持ち分があるとされる不動産に賦課される固定資産税が未納であるとして差し押さえ通知が送られてきたことから、当該不動産に対する課税されることを不服として苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の子は小学校の就学先の指定を変更されていたが、中学に進学する際にも就学先の指定変更について教育委員会に要望を伝えていたにもかかわらず適切な対応がなされなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 道路を走行中に車がアスファルトの穴に落ちてタイヤがバーストしたことから、道路管理上の責任がある市に補償を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
 生活保護受給者が保護費の支給方法が口座振り込みから窓口支給に変更されたのは、変更決定も弁明機会の付与もない違法な処分であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
 申立人の子の小学校の担任が配慮に欠ける言動を繰り返す等の問題があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 公文書一部公開決定において非公開情報とされた情報を誤って公開したにもかかわらず、担当部署が当該非公開情報が含まれるCD-Rの回収を懈怠しているのは回収の必要性が著しく低いからだとして、担当部署によるCD-Rの差し替えの求めを撤回することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

(2)調査結果を通知しなかったもの(30件)
第2024-1号
 昨冬に自宅の生垣が除雪の際に傷つけられたため現場の確認を依頼したが放置され、今冬もまた生垣を傷つけられたことから、生垣の原状回復を求めて苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-6号
 子ども家庭福祉係の相談員が話す内容を理解してくれず、必要な情報も提供してくれないとして、その対応について苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-7号
 生活保護課の担当者から冷たく事務的に対応されるとして苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-16号
 札幌市は「ゼロカーボンシティ」の宣言をしているのだから、白旗山都市環境林を広範囲にわたって伐採することを取りやめることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-21号
 申立人の子が療育手帳の更新のため児童福祉総合センターを訪問した際の職員対応について苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-23号
 マイナンバーカード更新手続きの際に対応した職員の接遇について苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は終了した。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-26号
 生活保護受給者が入居していた賃貸物件を所有する会社が当該受給者から提訴され多大な迷惑と損害が生じたとして、保護課が当該受給者の提訴のため法テラスを紹介した経緯等についての説明を求めて苦情が申し立てられたケース。すでに調査を終了した第2023-17号と一連の苦情申し立て内容であるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-32号
 生活保護申請時及びその後の家庭訪問時の職員の言動が保護を申請した申立人の不安を煽るものであったとして苦情が申し立てられたケース。保護費の支給が遅れるのではないか等の不安を申立人が抱いたからといって、「現在、申立人に具体的な利害が発生していると、直ちにオンブズマンは判断することはでき(ない)」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-39号
 札幌市立の小学校ではお盆期間が平日であるにもかかわらず完全休校になることが疑問であるとして苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立の原因となった事実についての利害を有さない」(札幌市オンブズマン条例16条1項1号)として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-43号
 市の担当課が「会社乗っ取り」を是認して適切な権限行使をしなかったとして苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情がある」と認められるときに該当するとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-44号
 2023年7月に介護保険料の段階算定のための世帯分離ついて窓口に相談したところ、世帯分離をしなくても2024年の段階算定に影響はないという説明を受けていたにも関わらず、2024年6月の通知では段階が2段階上昇していたとして苦情が申し立てられたケース。説明を受けたのが1年以上前の出来事であり、「申立の原因となった事実のあった日から1年を経過している」(札幌市オンブズマン条例16条1項2号)として調査をしない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2024-45号
 生活保護受給者が利用する事業所や受けるサービスの見直しが急務と考え、保護課による自宅訪問日に各担当部局も同席することを求めたが同席を拒否されたとして、本件の原因となった事柄ではなく、札幌市の組織性、体制、姿勢等の問題点を適切に調査してほしいとして苦情が申し立てられたケース。市政全販に対する苦情は申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2024-46号
 聴覚過敏の申立人が信号機の音、公園のスピーカー、区役所の窓口の音声による番号案内等の音等が非常にうるさいとしてオンブズマンによる調査を求めて苦情が申し立てられたケース。信号機音及び公園のスピーカーは「市の機関の業務の執行」に該当せず、区役所窓口の音声案内には「個別具体的利害がない」として調査しない旨が通知されった。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2024-47号
 海外へ移住するなら国民年金の保険料を納付する意味がないとして、たとえば市に年金の受給資格を譲渡する代わりに、市が納付ずみの保険料相当額を支払う当の対応を求めて苦情が申し立てられたケース。「市の機関の業務の執行」に該当しないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 第2024-38号の申立人が当該調査における「市の回答」には事実と異なる記述があるとして再調査を求めて苦情が申し立てられたケース。再調査の申立ては「オンブズマンの行為に関する事項」に該当するとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 公園でゲートボールをする利用者たちがわがもの顔な態度で公園を専有しているとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンが担当課に申立人が連絡を希望している旨を伝えることでオンブズマンによる調査を行わないことになった模様。なお、申立人が明示的に「苦情申立てを取り下げた」かは公開された文書からは不明。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 町内会の活動実態が不明で会計報告もなされていないところ、市の担当部署に相談しても「町内会は自治組織であり町内会組織へ踏み込んだ調査及び指導ができない」という回答であったとして苦情が申し立てられたケース。本件申し立てが「市の直接的な機関でない町内会への苦情」であるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 自宅畑の横に産業廃棄物処理業者が廃棄物を堆積しているとして担当課に指導を要望した際には対応する旨の回答を得たがその後も改善されないとして苦情が申し立てられたケース。申立後に再度担当課に確認したところ業者に指導する旨の回答を得たとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 第2024-50号の申立人が当該調査が不十分であるとして再度の調査を求めて苦情が申し立てられたケース。「オンブズマンの行為に関する事項」はオンブズマンの所轄外であり、一度オンブズマンが行った調査は再調査できないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 生活保護を受給する申立人が証券口座を新規に開設した際に口座に振り込まれた金額を収入申告したところ、その金額が控除が全くなされないままに収入認定されたことを不服として苦情が申し立てられた事例。当該取り扱いについて北海道知事に対する審査請求がなされているとして調査が中止された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 体育館でバドミントンをする際の利用料についての不満を伝えているにもかかわらず、市民文化局地域振興部区政課は一方的な主張を繰り返すだけでこちらの話に耳を傾けないとして苦情が申し立てられた事例。オンブズマンは申立人が求める金額の引き下げを強制する権限がないことを説明したところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 貸し出し予約をした図書の取り置き期限の延長ができないという図書館の説明に納得がいかないとして苦情が申し立てられた事案。同旨の苦情については第2024⁻50号で調査結果を通知し、再調査を求める苦情についても第2024-65号で再調査をしない旨を通知しているとして、本件についても調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市が支給する町内会への助成金について一部の町内会で横領が行われていることから市に調査を求めて苦情が申し立てられた事案。当該不正については申立人に利害がなく、申立人が2023年度に申し立てた事案(おそらく第2023-43号)及び本件の内容に照らしても助成金に不正が行われている事情は伺われないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 福祉除雪の事業者が歩道部分に排雪していたため社会福祉協議会に苦情を申し立てたものの形式的な謝罪のみであったとして、業者への指導を求めて苦情が申し立てられたケース。苦情申し立て後社会福祉協議会から連絡があり解決したとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 自宅前を除雪していた除雪車が安全確認もせずに猛スピードでバックしていたとして区、苦情が申し立てられたケース。どこに連絡してよいかわからずオンブズマンに連絡したとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 オンブズマンの苦情等調査結果通知書が届いたが「市の回答」に事実に反する虚偽の回答があったため担当職員に問い合わせたところ、当該職員の対応が二転三転したとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンが再調査できない等の説明をしたところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の給与の差し押さえをする旨市税事務所から連絡があった旨を勤務先会社からきいたが、市税事務所が事前に「第三者」に情報を提供することは守秘義務に違反するのではないかと主張して苦情が申し立てられたケース。申立人はすでに同旨の別件の苦情を申し立てているとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市税を滞納している申立人が、市税事務所が嫌がらせとも思える給与調査を実施するとともに、分割納付認めないとして苦情が申し立てられたケース。申立人はすでに本件苦情と同趣旨の申し立てを行っており、「調査することが相当でない特別の事情」があるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市職員の守秘義務違反や申立人に対するストーカー行為についての調査を求めて苦情が申し立てられたケース。「苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 市長が議会の予算特別委員会において行った答弁が申立人の陳情の趣旨と異なっていたとして、答弁の訂正を求めて苦情が申し立てられたケース。「議会に関する事項」はオンブズマンの所轄外の事項であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

2025/07/28

オンブズマン調査の分野別分類(2024年度・全案件)

当ブログでは読者の利便性を高めるべく、過去の各年度ごとに調査を終了した案件を大まかな行政分野ごとに分類するエントリーを作成してきた。2024年度も同様に、分野別に分類したエントリーを作成した。ただし、分類は必ずしも厳格なものではなく、あくまで便宜的なものである。

 各案件番号にpdfファイルへのリンクが張り付けてあるので、より詳しい内容が知りたい場合には、ファイルを開いて確認していただきたい。 

<苦情分野の一覧> 
◎市税に関する苦情 
◎国民健康保険・介護保険・国民年金に関する苦情 
 〇国民健康保険関連 
 〇介護保険関連 
 〇国民年金関連 
◎社会福祉に関する苦情 
 〇障がい者福祉関連 
 〇児童福祉関連 
◎生活保護に関する苦情 
 〇受給者からの苦情 
 〇第三者からの苦情 
◎学校教育に関する苦情 
◎社会教育施設に関する苦情 
◎体育施設に関する苦情 
◎その他の施設・財産管理に関する苦情 
◎保健・衛生に関する苦情 
◎消防・救急に関する苦情 
◎除雪・道路管理等に関する苦情 
◎戸籍・住民票その他の証明窓口に関する苦情 
◎都市・環境問題に関する苦情 
◎まちづくり・市民参加に関する苦情 
◎市営住宅に関する苦情 
◎経済施策に関する苦情 
◎交通事業に関する苦情 
◎水道事業に関する苦情 
◎職員対応に関する苦情 
◎議会の対応に関する苦情
◎オンブズマン制度の運用に関する苦情 
◎その他の苦情 
◎オンブズマンの自己の発意による調査

<苦情分野別の案件一覧>
◎市税に関する苦情
 市税を指定納付期限内にキャッシュレシュ決済で分割納付しているにもかかわらず、再三にわたり「分納催告書」が送付されてくるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市税を滞納している申立人が、市税事務所が執拗に給与調査をしてくるとともに、分割納付を認めないことを不服として苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 司法書士の過誤により登記上持ち分があるとされる不動産に賦課される固定資産税が未納であるとして差し押さえ通知が送られてきたことから、当該不動産に対する課税されることを不服として苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の給与の差し押さえをする旨市税事務所から連絡があった旨を勤務先会社からきいたが、市税事務所が事前に「第三者」に情報を提供することは守秘義務に違反するのではないかと主張して苦情が申し立てられたケース。申立人はすでに同旨の別件の苦情を申し立てているとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市税を滞納している申立人が、市税事務所が嫌がらせとも思える給与調査を実施するとともに、分割納付認めないとして苦情が申し立てられたケース。申立人はすでに本件苦情と同趣旨の申し立てを行っており、「調査することが相当でない特別の事情」があるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎国民健康保険・介護保険・国民年金に関する苦情
〇国民健康保険関連
 国民健康保険料等を滞納しているとして差押予告書が送付されてきたが、滞納処分が停止されるべき生活状態であるのみならず、生活保護廃止の時点でその後の保険料の取り扱いについて適切な説明を受けていなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 国民健康保険の保険料を滞納していた申立人がこれまで納付相談をしてきたにもかかわらず、事前連絡もなく預金口座を差し押さえられたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

〇介護保険関連
 2023年7月に介護保険料の段階算定のための世帯分離ついて窓口に相談したところ、世帯分離をしなくても2024年の段階算定に影響はないという説明を受けていたにも関わらず、2024年6月の通知では段階が2段階上昇していたとして苦情が申し立てられたケース。説明を受けたのが1年以上前の出来事であり、「申立の原因となった事実のあった日から1年を経過している」(札幌市オンブズマン条例16条1項2号)として調査をしない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

〇国民年金関連
 海外へ移住するなら国民年金の保険料を納付する意味がないとして、たとえば市に年金の受給資格を譲渡する代わりに、市が納付ずみの保険料相当額を支払う当の対応を求めて苦情が申し立てられたケース。「市の機関の業務の執行」に該当しないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎社会福祉に関する苦情
〇障がい者福祉関連
 障がいのある子に支給される紙おむつ代の支給上限額の引き上げ等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 申立人が障がい福祉課を訪問した際に対応した職員や他の職員が申立人に向けた対応が不愉快であったり、馬鹿にされた気分になったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 聴覚過敏の申立人が信号機の音、公園のスピーカー、区役所の窓口の音声による番号案内等の音等が非常にうるさいとしてオンブズマンによる調査を求めて苦情が申し立てられたケース。信号機音及び公園のスピーカーは「市の機関の業務の執行」に該当せず、区役所窓口の音声案内には「個別具体的利害がない」として調査しない旨が通知されった。(担当オンブズマン:田村智幸)
 申立人に断りもなく窓口で対応した職員が申立人の障害者手帳にセロハンテープを貼ったことを契機として手帳が破損したとして、手帳の修復を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人が勤務する福祉施設においては利用者の支援計画書が作成されていないことを所管部局に公益通報したにもかかわらず、適切な監督権限が行使されないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 区保健福祉部の職員が申立人の承諾を得ず診断書を取り寄せたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 申立人が区役所を訪問した際、保健福祉部の職員と1時間くらい話をしているうちに事実に反する理由で110番通報されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 区役所の保健福祉部の職員から障害年金の年金番号で障害者手帳の更新が行えると聞いたとして、更新のために提出した診断書の返還を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

〇児童福祉関連
 子ども家庭福祉係の相談員が話す内容を理解してくれず、必要な情報も提供してくれないとして、その対応について苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 申立人の子が療育手帳の更新のため児童福祉総合センターを訪問した際の職員対応について苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 所得制限のため支給停止となっていた児童手当を再度受給するには申請が必要であるということであるが、申請が必要である旨の案内が不十分であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎生活保護に関する苦情
〇受給者からの苦情
 生活保護受給者が12時30分ころ保護課に電話したところ昼休み中の電話は避けてほしいと言われたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 生活保護受給者が不用品を売却して得た収入の取り扱いやインターネットプロバイダに支払う費用について担当ケースワーカーから受けた発言内容等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護課の担当者から冷たく事務的に対応されるとして苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 生活保護を受給している申立人が長期にわたり家庭訪問がなされず、訪問された際にも極めて短時間で不十分であったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 生活保護を受給している申立人が病気を理由に面談を拒否したところ、保護課を訪問するか家庭訪問を受けなければ保護停止になるという威圧的な内容の書面を投函されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 生活保護を受給する申立人が同居していた家族が特別養護老人ホームに入居したため、担当ケースワーカーに様子を見てきてほしいと依頼し、訪問予定だと聞いていたにも関わらず、未だ訪問していないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護受給者が資産調査の資料提出のため担当係を訪問した際の担当ケースワーカーの対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 生活保護を受給している申立人が長期にわたり家庭訪問がなされず、訪問された際にも極めて短時間で不十分であったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 生活保護申請時をはじめとする一連の担当職員の対応および保護開始後に受給額が減額されることについて事前に適切な説明を受けていないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護を従前受給していた申立人が改めて生活保護を申請するために保護課を訪れた際の職員の対応が不適切であるとして苦情が申し立てられたケース。なお、本件の申立人は保護申請後の職員の対応について別件の苦情申し立て(第2024-32号)を行っているが、当該案件はすでに調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 生活保護受給者が入金された保護費の金額が当初聞いていた金額が違ったことをはじめとして保護下の担当職員の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 生活保護申請時及びその後の家庭訪問時の職員の言動が保護を申請した申立人の不安を煽るものであったとして苦情が申し立てられたケース。保護費の支給が遅れるのではないか等の不安を申立人が抱いたからといって、「現在、申立人に具体的な利害が発生していると、直ちにオンブズマンは判断することはでき(ない)」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 生活保護受給者が意に反してジェネリック医薬品の使用を強制されることや、夜間の家庭訪問に応じてもらえないことについて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護を担当する職員による物品授受行為が懲戒事由に該当するとして担当部局に情報提供したにもかかわらず、当該職員に対する処分内容等について教えてもらえないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護を受給している申立人が職員による物品受領行為や窓口での対応に不満を覚えるとともに、その旨を上司に伝えても適切な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護を受給している申立人がエアコンの設置を申請が却下されたとして、設置申請を認めるよう求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 グループホームに入居していた申立人が転居に際しグループホームから支給された立退料を収入認定する際の取り扱いや転居費用の支給等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 生活保護の受給開始時に面談した職員の対応及び面談を実施した場所の設定等が不適切であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護受給者が利用する事業所や受けるサービスの見直しが急務と考え、保護課による自宅訪問日に各担当部局も同席することを求めたが同席を拒否されたとして、本件の原因となった事柄ではなく、札幌市の組織性、体制、姿勢等の問題点を適切に調査してほしいとして苦情が申し立てられたケース。市政全販に対する苦情は申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 生活保護受給者が担当ケースワーカーが配慮に欠ける対応をするとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 スポットクーラーの購入費用を保護費として支給することを検討しないという保護下の説明に納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護を受給する申立人が証券口座を新規に開設した際に口座に振り込まれた金額を収入申告したところ、その金額が控除が全くなされないままに収入認定されたことを不服として苦情が申し立てられた事例。当該取り扱いについて北海道知事に対する審査請求がなされているとして調査が中止された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 生活保護受給者がケースワーカーが事前連絡もなく家庭訪問するとともに、その際、受給者のプライバシーへの配慮もなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

〇第三者からの苦情
 生活保護受給者が入居していた賃貸物件を所有する会社が当該受給者から提訴され多大な迷惑と損害が生じたとして、保護課が当該受給者の提訴のため法テラスを紹介した経緯等についての説明を求めて苦情が申し立てられたケース。すでに調査を終了した第2023-17号と一連の苦情申し立て内容であるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 申立人は生活保護を受給する親族に所有する住宅を貸与し親族が受給する保護費から賃料名義で貸与した金銭の返還を受けているところ、申立人の関知しないところで保護課が当該親族の転居を進めたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎学校教育に関する苦情
 申立人の子どもが学校でいじめを受けており、その旨を教育委員会に訴えても対応してもらえないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 申立人の子が通う学校において他の児童に対し教員による不適切な指導が行われており、申立人の子も心理的に負担に感じているようであるとして、そうした教員の指導の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の子が通っていた学校において、申立人の子を含む子どもたちに対し複数の教員から不適切な指導が行われていたとして、そうした教員たちの指導の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の子どもたちが通っていた学校では他の子どもに対し教員から不適切な指導がなされ、申立人自身も教員から嫌がらせを受け体調を崩すこともあるなど、当該学校では教員による不適切な指導がなされているとして改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の子が通う学校において、担任が子の性格や特性に対応した適切な指導をしていないことに不満を覚え教育委員会に対応を求めたにもかかわらず、教育委員会が十分な調査を実施しないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 札幌市立の小学校ではお盆期間が平日であるにもかかわらず完全休校になることが疑問であるとして苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立の原因となった事実についての利害を有さない」(札幌市オンブズマン条例16条1項1号)として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の子が通う学校で使用する教材(情報通信端末と思われる)に不具合が生じたところ、特定の業者からの購入を強要する等、学校及び教育委員会の対応に問題があるとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:神谷菜保子)
 中学校に通う申立人を含む複数の生徒の行為が被害生徒に対する「いじめ」と認定されたが、申立人のみが当該被害生徒への「謝罪の会」に参加できなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人の子である中学生を複数の生徒の行為に関し中学校が「いじめ対策委員会」を設置したが、この委員会を含む中学校の一連の対応に疑問があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎社会教育施設に関する苦情
 図書館で予約した図書の取り置き期限の延長が認められずに予約が取り消されたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 第2024-50号の申立人が当該調査が不十分であるとして再度の調査を求めて苦情が申し立てられたケース。「オンブズマンの行為に関する事項」はオンブズマンの所轄外であり、一度オンブズマンが行った調査は再調査できないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 貸し出し予約をした図書の取り置き期限の延長ができないという図書館の説明に納得がいかないとして苦情が申し立てられた事案。同旨の苦情については第2024⁻50号で調査結果を通知し、再調査を求める苦情についても第2024-65号で再調査をしない旨を通知しているとして、本件についても調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎体育施設に関する苦情
 札幌市から中島公園テニスコートの管理の許可を受けた札幌テニス協会がテニスコートを適切に整備・管理していないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 第2024-38号の申立人が当該調査における「市の回答」には事実と異なる記述があるとして再調査を求めて苦情が申し立てられたケース。再調査の申立ては「オンブズマンの行為に関する事項」に該当するとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 体育館でバドミントンをする際の利用料についての不満を伝えているにもかかわらず、市民文化局地域振興部区政課は一方的な主張を繰り返すだけでこちらの話に耳を傾けないとして苦情が申し立てられた事例。オンブズマンは申立人が求める金額の引き下げを強制する権限がないことを説明したところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎その他の施設・財産管理に関する苦情
 札幌市平岸霊園内の道路にコンクリート製台座が放置されていたために衝突した車が破損したとして、修理代金の弁償を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 自宅に隣接する市有地の桜の木の枝が越境する等管理が不十分であるとして対応を求めたにもかかわらず十分な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 公園でゲートボールをする利用者たちがわがもの顔な態度で公園を専有しているとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンが担当課に申立人が連絡を希望している旨を伝えることでオンブズマンによる調査を行わないことになった模様。なお、申立人が明示的に「苦情申立てを取り下げた」かは公開された文書からは不明。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎保健・衛生に関する苦情
 札幌市の火葬場では2024年3月から「火葬場予約システム」を導入したが、予約時間の枠にずれて到着した場合の案内が不十分である等、霊柩車の運行会社から改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎消防・救急に関する苦情
 申立人が2度にわたり(おそらく親族の)傷病者の救急搬送を求めて119番通報をしたが2度とも受け入れ先が見つからずに救急搬送されなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎除雪・道路管理等に関する苦情
 市が取得しようとしている道路用地の地権者(の一部)を代表して建設局総務部用地取得課と交渉している申立人が、補償額が不十分であることのほか、文書の記載が不十分であるにも関わらず任意売却に応じないと市が一方的に判断したり、地権者が本来不要な手続きを取るよう市から求められたり、任意売却に応じても土地収用手続の対象となることについて説明を受けていなかったとして、用地取得へ向けた市の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 昨冬に自宅の生垣が除雪の際に傷つけられたため現場の確認を依頼したが放置され、今冬もまた生垣を傷つけられたことから、生垣の原状回復を求めて苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 自宅前を大型車が通行するたびに自宅が振動するため土木センターに苦情を伝えても「道路に問題はない」として対応してもらえないとして、道路を直すなどの対策をとることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人が居住するマンション前の歩道が通学路となっているため市に歩道を除雪するよう求めたところ、今季は車道への影響を見ることとし来季に判断するという電話での回答があったが、文書での回答がなされておらず、回答内容にも疑義があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 申立人が私費を投じて排雪した自宅前に道路を除雪した際の雪を堆積することや、そのことについて市に連絡した際の職員の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 自宅前の雪山に道路の雪を堆積された件で担当部署の電話対応について苦情を伝えるため市民の声を聞く課を落とすれたが、その際、対応した職員に「春原」と認定されたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 福祉除雪の事業者が歩道部分に排雪していたため社会福祉協議会に苦情を申し立てたものの形式的な謝罪のみであったとして、業者への指導を求めて苦情が申し立てられたケース。苦情申し立て後社会福祉協議会から連絡があり解決したとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 自宅前を除雪していた除雪車が安全確認もせずに猛スピードでバックしていたとして区、苦情が申し立てられたケース。どこに連絡してよいかわからずオンブズマンに連絡したとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎戸籍・住民票その他の証明窓口に関する苦情
 法律事務所に勤務する申立人が不動産競売申立書に添付する「公課証明書」を取得する際に市役所を訪問いた際の市職員の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 マイナンバーカード更新手続きの際に対応した職員の接遇について苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は終了した。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 本人から所得証明書の取得を受任した申立人が、対応した窓口の職員が申立人の意に反して「本人確認書類」のコピーを取ったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎都市・環境問題に関する苦情
 申立人が関係するマンション敷地が地盤沈下等の地盤変動の進行が著しく速くなったことから、市に対し国土交通省の補助事業である「宅地耐震化推進事業」の「変動予測調査」を実施するよう要請しているにもかかわらず、市は頑なに当該マンションが同事業の対象とならないという姿勢を変えないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 札幌市は「ゼロカーボンシティ」の宣言をしているのだから、白旗山都市環境林を広範囲にわたって伐採することを取りやめることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 自宅とは別に所有する土地・建物が面する道路を建築基準法42条2項に規定する道路として指定することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市から路線測量の業務を受託した事業者が業務外の古タイヤ片付け作業を行ったにも関わらず委託業務成績評定の標定点が低かったことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 自宅畑の横に産業廃棄物処理業者が廃棄物を堆積しているとして担当課に指導を要望した際には対応する旨の回答を得たがその後も改善されないとして苦情が申し立てられたケース。申立後に再度担当課に確認したところ業者に指導する旨の回答を得たとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎まちづくり・市民参加に関する苦情
 町内会の世帯数に疑念を抱きまちづくりセンター所長に情報開示を求めたが適切な情報開示がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 市民活動サポートセンターに入居するNPO法人等の不正行為等について、担当の市民文化局に問い合わせや指摘をしても担当職員が回答や面談に応じないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 長きにわたり市民の声を聞く課に対し多数の要望をしてきた申立人が、同課から問題人物として警察に通報されたことをはじめとする一連の対応について納得できないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 町内会の活動実態が不明で会計報告もなされていないところ、市の担当部署に相談しても「町内会は自治組織であり町内会組織へ踏み込んだ調査及び指導ができない」という回答であったとして苦情が申し立てられたケース。本件申し立てが「市の直接的な機関でない町内会への苦情」であるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市が支給する町内会への助成金について一部の町内会で横領が行われていることから市に調査を求めて苦情が申し立てられた事案。当該不正については申立人に利害がなく、申立人が2023年度に申し立てた事案(おそらく第2023-43号)及び本件の内容に照らしても助成金に不正が行われている事情は伺われないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

◎市営住宅に関する苦情
 市営住宅に入居する申立人が階下から犬の鳴き声がして騒々しいことを住宅管理公社および市住宅課に相談しても解決しないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市営住宅に住む申立人が同じ棟に住む他の住民の一連の迷惑行為について市住宅課に対応を求めても十分対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
 市営住宅の住民が、新旧の自治会が併存状態であるとともに、共益費の未納額が累積する混乱状態にあるとして、市に混乱状態を解消するために対処することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎経済施策に関する苦情
 札幌プレミアム商品券をwebから申し込んだが来るはずの返信メールが来ず、そのことについて問い合わせのメールを送っても満足な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎交通事業に関する苦情
 市電の運転士が用を足すまで車両を離れ何の説明もなく運行を遅らせたことや、ラッシュ時に運行停止した際の情報提供が不十分だったことについて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
 地下鉄駅でエスカレーターを利用していたところ突然停止したため歩いて登っていた際に転倒し負傷したが、一連の駅職員の対応が不十分であるとして苦情が申し立てられたケース。申(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎水道事業に関する苦情
 給湯ボイラーの減圧弁が不調になった原因が水道工事が行われた際の断水が原因であると思われるため水道局に減圧弁の交換を要請したが、水道局が交換に応じないとして苦情が申し立てられた事例。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎職員対応に関する苦情
 申立人が職員部人事課を訪問した際に上席の職員と話をしたいと要望したが拒否されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎議会の対応に関する苦情
 市長が議会の予算特別委員会において行った答弁が申立人の陳情の趣旨と異なっていたとして、答弁の訂正を求めて苦情が申し立てられたケース。「議会に関する事項」はオンブズマンの所轄外の事項であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎オンブズマン制度の運用に関する苦情
 オンブズマンの苦情等調査結果通知書が届いたが「市の回答」に事実に反する虚偽の回答があったため担当職員に問い合わせたところ、当該職員の対応が二転三転したとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンが再調査できない等の説明をしたところ、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:梶井祥子)

◎その他の苦情
 外国籍の市職員の人数について問い合わせたところ、「個人情報になる」として教えてもらえなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
 市の担当課が「会社乗っ取り」を是認して適切な権限行使をしなかったとして苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情がある」と認められるときに該当するとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
 市職員の守秘義務違反や申立人に対するストーカー行為についての調査を求めて苦情が申し立てられたケース。「苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

◎オンブズマンの自己の発意による調査
 札幌市が職員の対人コミュニケーションのスキルを向上させるためにどのような研修を行っているか等について、オンブズマンが自己の発意により調査を実施したケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

2025/07/26

2025年5月に処理を終了した案件

 2025年6月1日、同年5月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行っところ、決定期間延長の上、同年7月16日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2025年5月)に処理が完了したのは8件で、このうち5件で調査結果が通知された。また、2件については苦情について調査しない旨が通知され、1件については苦情申立てが取り下げられた。

今回、公開を受けた案件においては、中学校の就学先指定の変更手続きについて苦情が申し立てられた案件(第2024⁻86号)および複数の相続人がいる場合の固定資産税の賦課手続きについて苦情が申し立てられた案件(第2025-6号)が、行政事務の運用実態が垣間見える点で興味深い(ただし、どちらの案件も対応の不備が明らかになっている)。

また、事案としては、北ガスアリーナが貸切利用されると市民が利用できないという苦情も興味深く感じられた(第2024-91号)。それというのも、市の回答には「札幌市体育施設条例」に定める「体育施設」の表が掲載されているものの、当ブログ開設者に「なじみのある」施設がそこには記載されていなかったからである。

すなわち、札幌市の体育施設条例とは別に、札幌市都市公園条例に基づき設置された「体育施設」や、「札幌市スポーツ交流施設条例」に基づき設置された「スポーツ交流施設」もあり、ひとくちに「体育施設・スポーツ施設」といっても、根拠となる条例が必ずしも統一されていない模様である(「札幌ドーム条例」もその一例)。なお、スポーツ施設の一覧は市のwebサイトに掲載されている(ここ)。

それにしても、この案件が「傑作」なのは、市の回答で「第2期札幌市スポーツ推進計画」が引用されていることである。そこでは、「スポーツを見る機会の充実」が方針として掲げられているからである。

この点、当ブログ開設者としては、それまで札幌ドームを本拠地として使用していた北海道日本ハムファイターズが北広島市に移転したことについて、札幌市はどのように考えているのか、ぜひ説明を聞きたいと感じた次第である(ひょっとして、プロ野球はしょせん「興行」であって「スポーツ」ではないため、ファイターズが移転したからといって、「スポーツを見る機会の充実」に支障を生ずるものではない、ということであろうか)。

と、揶揄するようなことを書いたが、札幌市としては「4つのプロスポーツチーム」と連携協力して、まちづくりを進めていく方針であり、そこには北海道日本ハムファイタイーズも含まれている。したがって、プロ野球が「スポーツ」の枠組みから排除されているわけではなさそうである。なお、札幌市とプロスポーツチームの連携については、プロスポネットSAPPOROの取り組みを参照されたい(ここ)。

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①第2024-86号
 申立人の子は小学校の就学先の指定を変更されていたが、中学に進学する際にも就学先の指定変更について教育委員会に要望を伝えていたにもかかわらず適切な対応がなされなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

②第2024-91号
 北ガスアリーナのメインアリーナでプロスポーツの大会が開催される場合には貸切使用とされ、メインアリーナ以外の貸切の利用対象外と思われる施設も利用できなくなることから、安易に貸切利用とせずに一般市民も利用できるようにすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

③第2024-96号
 申立人の子の小学校の担任が配慮に欠ける言動を繰り返す等の問題があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2025-1号
 生活保護担当課の窓口カウンター職員が申立人が訪問した理由を適切に把握しないなどその対応に問題がったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑤第2025-6号
 市が固定資産税を賦課する際の「共有代表者」を変更した手続き及び同税の納税義務者の取り扱いに不備があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

⑥第2025-10号
 (申立人との関係は不明)児童相談所の入所者(申立人との関係は不明)が暴力を受けた件で児相に疑問点の回答を求めているものの明確な回答が得られず、現在は対応を拒否された状態であるとして苦情が申し立てられたケース。「申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑦第2025-13号
 札幌市オンブズマンの調査結果等について公文書公開請求に応じることは、市民が自らが苦情を申し立てたことについて他人に知られないという利害を毀損する可能性があるとともに、オンブズマンの調査が市民の期待を大きく裏切る内容であることが詳らかになることから「非公開情報」に該当するとして、現行の公開請求に対する運用を改めることを求めて苦情が申し立てられたケース。本件苦情申し立てが、前回苦情申立て(苦情等調査結果通知書第2024-97号)の一部と同様の趣旨であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑧第2025-16号
 創成川に架かる橋の歩道の点字タイルにつまづいて転倒したことから、改善を求めて苦情が申し立てられたケース。担当部局と連絡が取れたとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:樋川恒一)

2025/07/21

2025年4月に処理を終了した案件

 2025年5月1日、同年4月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行っところ、決定期間延長の上、同年6月13日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2025年4月)に処理が完了したのは11件で、このうち6件で調査結果が通知された。また、2件については苦情について調査しない旨が通知され、3件については苦情申立てが取り下げられた(このうち1件については調査実施が通知された後に申立てが取り下げられたことから、調査対象部局に調査中止が通知されている)。

今回、公開を受けた案件のうちもっとも興味深い案件は、遺産を相続した生活保護受給者が医療費および就職支度金の取扱いについて適切な説明を受けていないとして苦情を申し立てた案件である(第2024-85号)。この案件は、市の回答には制度の説明として明確でないところがあり、オンブズマンもその点についてとくに指摘しておらず、極めて問題の多い調査であると当ブログ開設者は考えている。

まず、確認するべきは、資産を保有することに至った被保護世帯に対しては、保護が廃止されたり、廃止に至らないケースでは保護が停止されることである。そして、被保護世帯については、原則として国民健康保険の適用が除外されるが(国民健康保険法6条9号)、保護が停止されている世帯に属するものはこの限りでない(同号)。そのため、世帯主は国民健康保険に加入する義務を負う。

また、保護が停止された場合には、保護費が支給されている期間であれば「就職支度金」が支給されるような場合であっても、当然ながら当該金銭は支給されないことになる(さらに、保護停止期間中に医療機関を受診して費用負担が生じた場合には、その分の資産が取り崩されたことになり、場合によっては保護停止期間の短縮が検討されることになるだろう)。

しかしながら、本件においては「保護停止」がなされたわけでない。「最低生活費」を超過する資産を翌月以降に「収入認定」する扱いとし、保護を継続する扱いとされている。そして、収入認定の対象となる資産が尽きた時点で、再び保護費の支給を再開する予定であったようだ。このような扱いとしたのは、受給者が医療機関を受診しているため、医療扶助を継続する必要性が考慮されたためと思われる。

ところが、予期せぬ事態だったのは、本件苦情申立人が就労を開始したことである。その結果、市は「収入増により保護廃止となる可能性があること」、「その場合には、(中略)稼働開始までに受診した医療費については10割の返還が必要となる(社保対象後は3割返還)こと」を説明したということである。

この点、市の説明によると、「稼働などにより継続して収入を得ることとなった場合には、遺産残金等に稼働収入が加わった収入充当額により、今後6か月を超えて実支給がなくなる可能性があ」る、「6か月超えて実支給がなくなると、保護廃止が想定される」ということである。

また、保護廃止時点以後に医療扶助を支給するいわれがないのは当然のこととして、市の説明によると、実支給額がなくなった「月以降に申立人が支払うべき医療費を担当部が支払ってきたという取り扱いになる」ということである。

さて、以上の市の説明は、果たして適切であろうか。この点、当ブログ開設者は、本件の申立人の保護の要否の疑義は「就労を開始して以後」生じたものである以上、それ以前に実施した保護費について申立人が返還するいわれはないと考えている。

にもかかわらず市が返還を要するというならば、市は「資力があるにもかかわらず、保護を受けた」という生活保護法63条に基づく返還であること、および当該返還を行ったうえでなお以後6か月を超えて保護を要しない状態である、ということを明示する必要があると思われる。

結局、本件においては、市が「よかれ」と思って保護を継続したのが裏目に出た、ということなのであろう。市は、保護廃止となり保護費の返還を求める必要が生じた場合、稼働開始までに受診した医療費部分の(返還額の)減額を検討したうえで返還額を決定する方針というのであるが、制度の「原理原則」について明確にすることなく、「このように判断した」という結論だけが示されている。

以上のことから、本件の調査担当オンブズマン梶井祥子が、①本件において市が「保護停止」の扱いとしなかった理由、②稼働開始前の医療扶助について返還を求める根拠について、市に説明を求めていたならより有意義な調査となったと思われる。しかし、残念ながらそのような問題意識を欠いたようで、当ブログ開設者の釈然としない思いは解消されないままである。

【以下の内容を追記しました。2025.7.29】
以上の記述は、本件調査(第2024-85号)の「市の回答」に疑義があるという指摘である。そのことに力を注ぐ結果、担当オンブズマンの梶井祥子が今回の市が行った取扱いを理解していないという重大な事実を見落としていた(が、同案件が2024年度の「活動状況報告書」に掲載されたことで、当ブログ開設者が気づいた次第)。

すなわち、前述のように今回の苦情申立人に対し、市は残余財産を継続的に収入認定する取扱いとした結果、保護が支給されない期間が発生したわけである。ところが、梶井祥子はオンブズマン判断において、「(担当部は)2025年3月までは保護を停止するものの、当該世帯を保護継続の扱いとすることを決定」したと明言しているのである。

生活保護制度法26条は「保護の停止」を規定するが、同条が規定する「保護の停止」がなされていない(であるからこそ、市は「保護を継続」という説明を行っている)にもかかわらず、梶井祥子は保護費の金銭的支給がないことをもって、「保護の停止」と誤認したのであろう。オンブズマン判断としては、取り返しのつかない致命的なミスだと思われる。

【以下の内容を追記しました。2025.7.24】

次に、もう1点指摘しておくべきことは、札幌市立大学の図書館職員の対応について申し立てられた苦情について、「市の機関の業務の執行及び当該業務に関する職員の行為」に該当しないとして調査しない旨を通知した判断の妥当性である(第2025-7号)。

すなわち、札幌市立大学は地方独立行政法人法が適用される独立行政法人であるが、同法28条1項は、地方独立行政法人が事業年度及び中期目標の期間ごとに業務の実績について設立団体の長の評価を受けなければならないことを規定するとともに、同条6項は、設立団体の長が地方独立行政法人に対し、業務運営の改善等を命ずる権限を規定する(なお、中期目標に関しては、同法78条の2も参照)。

これに対し、この案件を担当したオンブズマンは、「図書館の運営の主体は大学側にあることから市の業務と捉えることはできない」と判断した。しかしながら、大学の業務運営を監督する権限が設立団体の長に認められている以上、この権限行使の適否については「市の機関の業務の執行及び当該業務に関する職員の行為」として、オンブズマン調査の対象になると思われる。要するに、「図書館の運営」も「業務運営」に該当するならば、設立団体の長による監督権限行使の対象となりうるのである。

したがって、オンブズマンとしては、札幌市立大学の図書館の運営が設立団体の長である札幌市長の監督権限に服するか否かを明らかにしない限り、「市の機関の業務の執行」に該当しないと判断することはできないと当ブログ開設者は考えるのであるが、どうやらこの案件を担当したオンブズマンの識見は貧弱で、そこまでは考えが至らなかったようである(ただし、「大学の自治」の観点からは、本件に対しど素人のオンブズマン神谷奈保子が口を挟まなかったのはもっけの幸いかもしれない)。

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①第2024-85号
 生活保護受給者が遺産を受領したことでそれまでの保護費を返還し、当面、保護を停止されたところ、保護停止の間に受診した医療費の返還を求められるとともに、就職の際に負担した費用の控除についての説明もなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

②第2024-88号
 道路を走行中に車がアスファルトの穴に落ちてタイヤがバーストしたことから、道路管理上の責任がある市に補償を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

③第2024-90号
 生活保護受給者が保護費の支給方法が口座振り込みから窓口支給に変更されたのは、変更決定も弁明機会の付与もない違法な処分であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

④第2024-94号
 公園周りの除雪にともない雪が公園内に「吹き入れ」て公園入口がふさがれたり、遊歩道が狭くなっているとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑤第2024-95号
 区役所で申立人の子どもの印鑑登録をしようとしたところ、当初対応した職員は「顔写真付き身分証明書がないからできない」という説明を受けたが、対応する職員が変わったところ印鑑登録を行うことができたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)

⑥第2024-97号
 公文書一部公開決定において非公開情報とされた情報を誤って公開したにもかかわらず、担当部署が当該非公開情報が含まれるCD-Rの回収を懈怠しているのは回収の必要性が著しく低いからだとして、担当部署によるCD-Rの差し替えの求めを撤回することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑦第2025-2号
 申立人の子どもが今年度から通う中学校では、児童生徒が教科書を学校に置いて帰るいわゆる「置き勉」が認められていないと聞いたとして、市内の学校における取り扱いを統一するよう求めて苦情が申し立てられたケース。現時点では具体的不利益が生じていない状況であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑧第2025-3号
 トイレ等の下水道の流れが悪くなり自費で清掃作業をしたが改善されなかったところ、その後、市の下水道管の破損が原因だったことが判明したとして、自費で負担した費用の補償を求めて苦情が申し立てられたケース。調査対象部局に調査実施通知書が送付された後、申立人から苦情申し立てが取り下げられ、調査中止が通知された。(担当オンブズマン:樋川恒一)

⑨第2025-7号
 札幌市立大学図書館で自己作成資料を閲覧中に注意され、その後、蔵書を閲覧中に司書から強制的に退館させられたとして苦情が申し立てられたケース。図書館運営は地方独立行政法人たる大学側にあることから「市の業務」と捉えることができないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑩第2025-8号
 建設局雪対策室から指定されたアドレスにメールを送信したにもかかわらず約4か月たっても何の連絡も来ないとして苦情が申し立てられたケース。その後、申立人の承諾を得て苦情申し立てを取り下げる扱いとされた。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑪第2025-9号
 高校の職員が申立人の許可なく申立人が情報公開請求をしている旨の情報を漏洩したとして苦情が申し立てられたケース。市の回答を待って改めて苦情申し立てをするとして、いったん申立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

2025/07/20

2025年3月に処理を終了した案件

 2025年4月1日、同年3月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行っところ、決定期間延長の上、同年5月15日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2025年3月)に処理が完了したのは12件である。このうち苦情申立に基づく案件が11件、オンブズマンの発意に基づく調査が1件である。調査結果が通知されたのは、オンブズマンの発意に基づく調査を含む9件である。また、残る3件は苦情について調査しない旨が通知された。

今回、公開を受けた案件も前回公開された分と同様に、「カスタマーハラスメント」を想起させる事案が見受けられる(第2024-81号)。また、オンブズマンに苦情を申し立てるよりも、子どもの権利救済機関である「子どもアシストセンター」に相談・救済申し立てをしたほうが適切ではないかと思われる事案もある(第2024-69号第2024-72号)。いずれも、オンブズマン調査のあり方を考えるうえで興味深い案件である。

また、オンブズマンマン調査のあり方については、今回公開された発意調査(第2024-発1号)は課題が残ると当ブログ開設者は考えている。それというのも、当ブログ開設者は、調査を担当したオンブズマンが調査を行ったという外形を整えるだけで役割を果たしたと考えているのではないか、という疑念を抱いているからである。

まず、今回実施された発意調査は、市職員の対人コミュニケーション能力を向上させるべく、市がどのような研修を行っているかという担当オンブズマン神谷奈保子の問題意識に基づいている。そして、調査における市の回答は、どのような研修を行っているかという「枠組み」についての説明がなされている。

その一方で、実際に研修を受けた職員の実数や(人数が明示されているのは「海外事例調査助成事業」により派遣された人数のみである)、研修を実施することでどのような「成果」が得られたかといった点については、必ずしも明らかになったとはいえない。この点、当ブログ開設者は、本件調査がたとえば研修を受けた職員が抱いた「感想」などに付いて言及していれば、「成果」の一端が垣間見えたと考えている。しかしながら、残念なことに、調査担当オンブズマンはそうした発想を欠いたようだ。

ただし、市が職員に対し行っている研修であれ本件発意調査であれ、単に「実施した」という形式を整えるためになされているとすれば、研修や調査から得られる成果を問うことは必要ないのかもしれない。だとすると、本件発意調査をきっかけとして市の研修のあり方に興味を抱いた市民が引き続き、その点を注視する必要があるだろう。そしてまた、そのことこそが「市民の意向が的確に反映された市政運営に資する」(札幌市オンブズマン条例1条)と思われる。

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①第2024-69号
 中学校に通う申立人を含む複数の生徒の行為が被害生徒に対する「いじめ」と認定されたが、申立人のみが当該被害生徒への「謝罪の会」に参加できなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

②第2024-72号
 申立人の子である中学生を複数の生徒の行為に関し中学校が「いじめ対策委員会」を設置したが、この委員会を含む中学校の一連の対応に疑問があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

③第2024-77号
 市税を滞納している申立人が、市税事務所が執拗に給与調査をしてくるとともに、分割納付を認めないことを不服として苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

④第2024-79号
 市営住宅の住民が、新旧の自治会が併存状態であるとともに、共益費の未納額が累積する混乱状態にあるとして、市に混乱状態を解消するために対処することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑤第2024-80号
 区保健福祉部の職員が申立人の承諾を得ず診断書を取り寄せたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑥第2024-81号
 申立人が区役所を訪問した際、保健福祉部の職員と1時間くらい話をしているうちに事実に反する理由で110番通報されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑦第2024-82号
 区役所の保健福祉部の職員から障害年金の年金番号で障害者手帳の更新が行えると聞いたとして、更新のために提出した診断書の返還を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑧第2024-83号
 司法書士の過誤により登記上持ち分があるとされる不動産に賦課される固定資産税が未納であるとして差し押さえ通知が送られてきたことから、当該不動産に対する課税されることを不服として苦情が申し立てられたケース。。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑨第2024-92号
 市税を滞納している申立人が、市税事務所が嫌がらせとも思える給与調査を実施するとともに、分割納付認めないとして苦情が申し立てられたケース。申立人はすでに本件苦情と同趣旨の申し立てを行っており、「調査することが相当でない特別の事情」があるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑩第2024-93号
 市職員の守秘義務違反や申立人に対するストーカー行為についての調査を求めて苦情が申し立てられたケース。「苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑪第2024-98号
 市長が議会の予算特別委員会において行った答弁が申立人の陳情の趣旨と異なっていたとして、答弁の訂正を求めて苦情が申し立てられたケース。「議会に関する事項」はオンブズマンの所轄外の事項であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑫第2024-発1号
 札幌市が職員の対人コミュニケーションのスキルを向上させるためにどのような研修を行っているか等について、オンブズマンが自己の発意により調査を実施したケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)