上記の期間(2025年12月)に処理を完了したのは7件で、このうち4件で調査結果が通知された。また、残る3件のうち、2件については苦情について調査しない旨が通知され、1件については苦情申立ての取下げという取り扱いがなされている。
1.梶井祥子にオンブズマンの職務は「荷が重い」(その3)
前月(2025年11月)に調査を終了した案件を紹介する前回のエントリーで(その1)(その2)を論じたが、今回の公開分は(その3)。やはり、「梶井祥子にオンブズマンの職務は『荷が重い』」ようである。
今回公開分においても、梶井祥子は札幌市オンブズマン条例の「調査対象外事由」の規定が「オンブズマンの負担が荷重になること」を避けるために設けられた規定である旨の見解を披歴している(また、「本来の利害関係人の意思にそぐわない申立てがなされる事態を避ける」という見解も披歴している)。こうした見解については、すでに前回のエントリーで批判しているので繰り返さない。
むしろ、今回公開分で「梶井祥子にオンブズマンの職務は『荷が重い』」ことを痛感した案件は、「障がいのある方を対象とした札幌市職員選考」の応募者が、試験当日に担当職員から補聴器を外すよう求められて受験を断念したことを理由として申し立てられた苦情である(第2025-76号)。
苦情申し立て後の顛末は通知書で確認していただくとして、本件苦情は、当該選考試験に際し市が障害者差別解消法7条2項が規定する行政機関に求められる「合理的配慮」を具体的にどのように行っているのかということや、市の障害者雇用促進法が規定する法定雇用率の達成状況(同法38条~40条参照)などについて、当ブログ開設者は興味を抱くことになった(札幌市における2025年6月1日現在の法定雇用率の達成状況は以下の画像データのとおり)。
また、2025年度の採用選考案内によると、採用予定数は「一般事務」「学校事務」とも1~2名程度とされており、なかなかの「狭き門」の模様である。
(同案内の全文)。
さて、この案件担当の梶井祥子は、オンブズマン判断の「(4) おわりに」において、札幌市の「ユニバーサル展開プログラム」や、「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン(2023~2031年度)」の2件の行政計画について言及している。
この点、梶井祥子は「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」を策定する「審議会」の副会長を務めていたようだ。どうやら、オンブズマンの地位を利用して、自らが関与した行政計画の宣伝をしようとしたか、当該行政計画についての「知ったかかぶり」をしようとしたものと思われる)。
しかしながら、上述の障害者差別解消法が規定する「合理的配慮」や、障害者雇用促進法が規定する地方公共団体の法令上の義務について言及しなかった(「市の回答」には、「受験上の配慮の申出」を受けている旨の記述あり)。当ブログ開設者が、「梶井祥子にオンブズマンの職は荷が重い」と感じる所以である。
2.前提となる「制度」を知らないと振り回されることになる
現在、国レベルで「給付付き税額控除」の議論が始まったところであるが、今回公開分の第2025-65号は、2025年度に実施された「定額減税給付金」についての苦情である。申立人は、給付額が不足すること、また、問い合わせた際の案内が不正確であるとして、苦情が申し立てられた。
この案件も、制度の詳細については通知書を参照されたいが、前提となる「制度」を理解していると、必要な「手続き」の意味も理解できるところ、前提となる「制度」を理解しないまま「手続き」を取ることになると「振り回された」印象を抱くことになると思われる。また、実際に適切な手続きを取っていなかったために、苦情申し立てにつながることになった。
おそらく申立人は、過去の納税額の還付を申告する手続きと「定額減税給付金」受給のための手続きや、「国税」の手続きと「市税」の手続きの違いについて、明確に認識できていなかったと思われる。前提となる「制度」への理解を欠いたが故の不幸であると当ブログ開設者は考えている。
ただし、制度を存在を前提とすると、所定の手続きを取ることが当然視されることになるものの、過度に制度が複雑化したために必要な手続きそのものが不明確になることは、過去のオンブズマンに対する苦情から明らかである。制度や手続きの周知のあり方、さらに、前提となる制度設計のあり方は「永遠の課題」かもしれないが、当ブログ開設者は、市民の苦情が制度の周知や制度そのものの改善につながる契機となることを期待している。
3.複数回の申立てをする「超上客」をいかに「おもてなし」すべきか(その3
前回のエントリーで「複数回の苦情を申し立てる『超上客』へのおもてなしのあり方については、次回のエントリーでも取り扱うことにしたい」と論じた。それは、今回公開分の第2025-79号がまさにそうした案件だからである。
本件苦情の申立人は、前回のエントリーで紹介した第2025-74号において、市の担当課からの回答が「双方の主張に食い違いがあり、当時の記録が存在しないため判断できない」ということに不満を述べる一方で、「私が市に対して行ってきた複数の苦情申し立てに関し、『双方の主張が食い違い、記録がないため判断できない』という同一の理由により、すべてが実質的に判断不能として処理されている現状」について改善の必要性を訴えていた。
こうした主張からは、申立人が「担当課」と「オンブズマン」を混同していることが疑われたが、今回公開を受けた本件第2025-79号の記述から、申立人はオンブズマンに対する苦情申し立てのほかにも、「人事課」にも対応を求め、その対応に不満を抱いたことにより苦情が申し立てられたことが判明することになった(前回のエントリーにも記述したところである)。
本件担当オンブズマン神谷奈保子(今般の申立人の複数の申立ても担当している)は、本件の「調査しない理由」において、①申立人が人事課からの回答に不満を覚えて本件苦情を申し立てたこと、②申立人の当初の不満である担当ケースワーカーの対応についてはすでにオンブズマンが「前回調査」(第2025-57号)を実施していること、③『前回調査』において、オンブズマンは「双方の主張に食い違いがあり」「事実を確認することができず、本件ケースワーカーの行為が個人情報保護及びプライバシー尊重の観点に照らし不適切であるかどうかを判断することができません」という判断をしていることについて言及した。
こうした「事実関係」の整理は、複数回の苦情申立てがなされたケースにおいて、論点を明確化するために一定の意義を有することは間違いない。しかしながら、そのことがかえって、本件申立人の場合には、論点や対応を求める担当部局を拡散させることに「一役買う」結果になることを当ブログ開設者は懸念する。
そうすると、ケースによっては、オンブズマンが申立人の苦情申立ての論点を「ピンポイント」で絞り込み、その点についてオンブズマンの見解を示すことに徹するほうが「おもてなし」として適切なケースもあるのではないかと当ブログ開設者は考えている。
なお、当ブログ開設者は、市職員の対応に不満を抱いた市民が当該職員に懲戒処分を課すことを求めて「人事課」に情報提供した場合、人事課の対応の原理原則に興味があるが(一般論としては、懲戒処分の要否を判断するのは当該職員の直近の上長の模様である)、オンブズマンがこの点について調査するとなると「収拾がつかない」ことになりそうである(ので、やめておいたほうがいいだろう)。
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①第2025-65号
令和7年度の定額減税補足給付金の申立てをしたが、必要書類の提出がないとして認められなかったことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
②第2025-72号
生活保護を受給する申立人が収入申告書を提出しに行った際、担当職員が不在のため担当外に職員が申立人に対応したところ、当該担当外の職員の対応に恐怖を覚えたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:樋川恒一)
③第2025-76号
「障害のある方を対象とした札幌市職員採用選考」の試験当日に補聴器を外すことを求められ、試験の受験を断念することになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
④第2025-77号
生活保護を受給する申立人が、担当ケースワーカーの一連の対応に不満があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
⑤第2025-79号
(申立人に対応した市職員の対応について申立人が人事課に不満を伝えたことを契機とする)人事課による市職員の対応に関する調査は、(市とは別組織である)社会福祉協議会への調査を行っていない点で不備があるとして、このような人事課の対応についてオンブズマンによる調査を求めて苦情が申し立てられたケース。本件苦情はすでにオンブズマンが実施した調査(第2025-57号)と同内容と思われるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
⑥第2025-81号
定期券で市電に乗車している申立人が車内の清掃状況について電車事業所に連絡したところ「4~5日おきに清掃している」という回答を受けたが、日常的に汚い状態で運転していることをオンブズマンにも確認してほしいとして苦情が申し立てられたケース。申立人に直接的な利害関係があるとはいえないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
⑦第2025-83号
(おそらく市立体育館で何らかのスポーツの教室の講師を務めていた申立人が当該教室の運営担当者から教室閉鎖を言い渡されたために)当該担当者の処分と教室の継続を求めて苦情が申し立てられたケース。本件苦情がオンブズマンの調査対象事項であることを伝えたところ、申立てを取り下げる意向が確認された。(担当オンブズマン:樋川恒一)



























