2024/11/09

2024年8月に調査を終了したケース

 2024年9月1日、同年8月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期間延長のうえ、同年10月15日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2024年8月)に調査を終了したのは9件で、このうち7件で調査結果が通知された。また、残る2件は調査しない旨が通知された。

今回調査結果が通知された7件は、いずれも「生活保護」に関する案件である。生活保護申請時の窓口対応をはじめとして、札幌市における生活保護の運用実態が垣間見え興味深い。他の案件も含め指摘すべき論点はいくつもあるが、そのなかでも、第2024-35号における市の回答のうち、職員の懲戒に関し「公文書公開請求」がなされた場合の市の対応について言及する部分は看過できないと考えている(第2024-36号も同旨の回答)。

この案件では、職員に懲戒事由に該当する行為があるとして担当部署に情報提供を行ったにもかかわらず、その後の対応について教えてもらえないことを不服として苦情が申し立てられた。これに対し、市は「懲戒処分の公表基準」に基づいてその概要を公表しているところ、特定の職員が処分を受けた事実は、公表基準に該当しない限り公にされることはないと回答している。

また、公文書公開請求がなされたとしても、「本件処分の有無等」および「処分のみならず調査の有無や内容」は、札幌市情報公開条例(以下、「条例」という。)第7条第1号(個人に関する情報)の本文に規定する非公開情報に該当し、その内容が公開されることはない、という回答も行っている(その際、「非公開情報」を公開しないとする決定ではなく、条例第10条に基づく「公開請求の拒否」として扱う模様である)。

しかしながら、上記回答の後者、すなわち、職員の懲戒に関し「公文書公開請求」がなされた場合の市の対応について、当ブログ開設者は以下の3点について疑問を抱いている(これに対し、調査担当オンブズマン田村智幸は市の回答に格別の疑問を抱かなかったようである。制度の枠組みについて基本的な理解を欠いているのかもしれない)。

まず、第1の点である。すなわち、市職員の懲戒処分に関する公文書公開請求がなされた場合、「非公開情報」に該当しないとして公開される部分はあるのか、もしあるならば、それはどのような文書のどのような部分なのか、という点である。

続いて第2の点である。市の回答では、条例第7条第1号「ウ」が定める「公務員の職務遂行情報」についての言及がないが、その理由である。

最後に第3の点である。市の回答では、条例第7条第4号が定める「事務事業情報」についての言及がないが、市が市職員の懲戒に関する情報を「事務事業情報」として取り扱うことなく、「個人に関する情報」の枠組みで処理する理由である。

それでは、第1の点から順に見ていこう。市の回答によると、申立人に対応した職員は、「本件を処分した後、情報公開請求があった場合は、処分に関する情報は非公開又は一部公開になると思われること」を説明したということである。したがって、「処分に関する情報」ならばそのすべてが非公開になるわけではなく、「一部公開」になる余地はある模様である。

この点、市の回答によると、「処分に関する情報」のうち、「本件処分の有無等」および「処分のみならず調査の有無および内容」については、条例第7条第1号の本文に規定する非公開情報に該当する「非公開情報」だということである。

そうすると、「処分に関する情報」であっても、「本件処分の有無等」および「処分のみならず調査の有無および内容」を除く部分については「非公開情報」に該当しない余地が残されることになる。しかし、それが具体的にどのような情報であるかについては、市の回答は必ずしも明確ではない。

続いて第2の点である。条例第7条第1号本文は、「非公開情報」たる「個人に関する情報」について規定する。しかしながら、同号本文が規定する「個人に関する情報」であっても、「当該個人が公務員等(中略)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び氏名並びに当該職務遂行の内容に係る部分」(同号ウ)は「非公開情報」から除外される。

したがって、条例第7条第1号本文が規定する「個人に関する情報」であっても、公務員等の「職務の遂行に係る情報」については、条例7条1号が規定する「非公開情報」に該当しない余地があるわけである。そうすると、上記第1の点については、少なくともこの公務員等の「職務の遂行に係る情報」については、条例第7条第1号が規定する「非公開情報」に該当しない部分があると思われる。

この点、当ブログ開設者は、公務員の職務遂行上の「法令違反」(地方公務員法第29条第1項第1号)や「職務上の義務違反および職務懈怠」(同項第2号)を理由とする懲戒処分の場合には、当該懲戒の事由とされた「職務遂行の内容」に関しては条例第7条第1号が規定する「非公開情報」には該当しない一方で、私生活上の非行による「信用失墜行為」(地方公務員法第29条第1項第3号)を理由とする懲戒処分の場合には「職務の遂行に係る情報」に該当せず、なお条例第7条第1号が規定する「非公開情報」に該当する、といった整理が可能ではないかと考えている。

最後に第3の点である。確認しておくべきは、条例第7条が規定する「非公開情報」は、「個人に関する情報」(同条1号)に限定されないことである。したがって、同号が規定する「非公開情報」に該当しないとしても、他の号が規定する「非公開情報」に該当することは考えられる。実際、条例第7条は「事務事業情報」(同条4号)として、「人事管理に係る事務に関する情報であって、公にすることにより、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあるもの」(同号カ)を非公開情報として定めている。

ところで、市が職員に懲戒を課すことは、職場規律を維持する人事管理上の措置にほかならない。したがって、公務員等の「職務の遂行にかかる情報」として「非公開情報」たる「個人に関する情報」に該当しない情報であっても、なお、市が行う「事務又は事業に関する情報」であって、「公にすることによって、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」ならば「非公開情報」に該当することになると思われる(条例第7条第4号カ)。

ところが、本件調査において、調査対象部局はそうした回答を行っていない。市としては、これらの文書に記載される内容を公にしても、「公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ」はないため、条例第7条第4号カが定める「非公開情報」には該当しない、と考えているのであろうか。

このように、「公文書公開請求」がなされた場合の市の対応に関する市の回答ついて、当ブログ開設者は疑問を抱いたわけである。いずれも公文書に記載された内容の「非公開情報」該当性の問題であるが、実際に職員の懲戒に関する公文書の公開請求を行う場合を想定すると(市にとっては請求された場合)、どのような「公文書」に記載された情報の「非公開情報」該当性が問われるかも考えておく必要があるかもしれない。

当ブログ開設者は、ア.事実関係の調査に関する文書、イ.処分内容およびその決定過程等を記録する文書、ウ.被処分者に通知する文書、等を想定するが、上述したように、これらの文書に記載される内容は、「人事管理にかかる事務に関する情報」(条例第7条第4号カ)として「非公開情報」に該当すると考えている。

以上の次第で、当ブログ開設者が抱いた「非公開情報」該当性に関する市の回答の疑問を解消するには、市が①どのような文書の②どのような部分を③どのような根拠に基づいて非公開にするのか、実際に「公文書公開請求」を行ってみるのが案外手っ取り早いかもしれない。

このほか、2024年度の介護保険料の段階算定が前年度より2段階引き上げられとして申し立てられた苦情(第2024-44号)では、世帯分離について相談したのが1年以上前のことであるとして調査しない旨が通知された。しかしながら、申立人は決定された介護保険料に不満を抱いて苦情を申し立てたものである。当ブログ開設者は、介護保険料の決定通知を受けた日を「申立の原因となった事実のあった日」と解すべきと考えている。

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①第2024-29号
 生活保護申請時をはじめとする一連の担当職員の対応および保護開始後に受給額が減額されることについて事前に適切な説明を受けていないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

②第2024-30号
 生活保護を従前受給していた申立人が改めて生活保護を申請するために保護課を訪れた際の職員の対応が不適切であるとして苦情が申し立てられたケース。なお、本件の申立人は保護申請後の職員の対応について別件の苦情申し立て(第2024-32号)を行っているが、当該案件はすでに調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

③第2024-31号
 生活保護受給者が入金された保護費の金額が当初聞いていた金額が違ったことをはじめとして保護下の担当職員の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

④第2024-33号
 生活保護受給者が意に反してジェネリック医薬品の使用を強制されることや、夜間の家庭訪問に応じてもらえないことについて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑤第2024-35号
 生活保護を担当する職員による物品授受行為が懲戒事由に該当するとして担当部局に情報提供したにもかかわらず、当該職員に対する処分内容等について教えてもらえないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑥第2024-36号
 生活保護を受給している申立人が職員による物品受領行為や窓口での対応に不満を覚えるとともに、その旨を上司に伝えても適切な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑦第2024-37号
 生活保護を受給している申立人がエアコンの設置を申請が却下されたとして、設置申請を認めるよう求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑧第2024-39号
 札幌市立の小学校ではお盆期間が平日であるにもかかわらず完全休校になることが疑問であるとして苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立の原因となった事実についての利害を有さない」(札幌市オンブズマン条例16条1項1号)として調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑨第2024-44号
 2023年7月に介護保険料の段階算定のための世帯分離ついて窓口に相談したところ、世帯分離をしなくても2024年の段階算定に影響はないという説明を受けていたにも関わらず、2024年6月の通知では段階が2段階上昇していたとして苦情が申し立てられたケース。説明を受けたのが1年以上前の出来事であり、「申立の原因となった事実のあった日から1年を経過している」(札幌市オンブズマン条例16条1項2号)として調査をしない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

2024/09/19

2024年7月に調査を終了したケース

 2024年8月1日、同年7月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期間延長のうえ、同年9月13日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2024年7月)に調査を終了したのは5件で、このうち4件で調査結果が通知された。また、残る1件は調査しない旨が通知された。

さて、今回公開された案件のうち、市税を指定期限内にキャッシュレス決済で納付しているにも関わらず、「分納催告書」が送付されてくるとして苦情が申し立てられた第2024-24号が興味深い。

このような苦情には既視感がある。それもそのはず、2023年度には、「PayPayを利用して市税を納付したにも関わらず、自宅及び職場あてに賃金を差し押さえる旨の通知が送付された」という苦情が申し立てられている(第2023-42号)。

ところで、上記2023年度に申し立てられた案件(第2023-42号)の苦情等調査結果通知書によると、①その当時、滞納整理事務の担当者が業務に使用する「滞納整理システム」には「速報データ」が連携していなかった、②そのため、別途、「『速報データ』の情報の有無を確認する」作業が必要であるにもかかわらず、当該作業を行わなかったという業務上の過誤があった、③現在はシステム改修が完了し、「滞納整理システム」に「速報データ」が連携した、ということである。

しかるに、今回の案件(第2024-24号)では、「滞納整理システムに連携している速報データの確認をしない」という業務上の過誤が発生した。せっかくシステム改修が完了したのに「速報データ」の確認を怠るとは、「起こる可能性のあることはいつか実際に起こる」、あるいは、「何事であれ失敗する可能性のあるものはいずれ失敗する」といった、マーフィーの法則を地で行くような職員の業務遂行である。

もっとも、「システム改修が完了した」とはいうものの、不完全な点も残されたままだったようだ。今回の案件の市の回答によると、システムにおいて、分納催告の滞納明細には「速報データ」が反映されておらず、滞納明細の画面から「速報データ」を確認できない仕様になっているということである。「滞納整理システム」に「速報データ」が連携したというには、いかにも中途半端な印象を受けるものの、なにゆえにこうした不完全なシステムとなったのか、その事情は不明である。

ところで、今回この案件を担当したオンブズマン田村智幸は「(差押等の強制処分の可能性について通知する)内容の文書を送付する以上は、誤送付が生じないよう複数人の目でチェックができる何らかの方法や工夫を取り入れて誤送付が生じないような方策を取り入れるべき」という見解を披瀝する。

「複数人のチェック」がいかにも効果的な手段であるかのようだが、職員相互が「誰かがチェックしているはず」と思い込み、過誤を見落とすような事態が生じないとも限らない。実際、前述の第2023-48号も、係長及び課長のチェックが機能せずに過誤が生じることになった。

こうした事態を防ぐには、限られた人間の注意力を効果的に配分できるように、どのような点で過誤が生じやすいかを明確化し、職員間で情報を共有することが求められると思われる。いわゆる、職場における「暗黙知」の共有というやつである。

マニュアルにより作業を標準化する場合にも、標準化すること以上に、なぜその作業を行うのかということや、どのような過誤を避けるための標準化であるか、といった背景事情についての情報の共有は、過誤を回避するうえで有効な手段であると思われる。

以上の次第で、非常の後味の悪い案件ではあるが、今回の第2024-24号の調査を通じて、どこに落とし穴が待ち構えているか職員に注意を喚起する効果を期待する。今後、職員が同じ轍を踏み、「2度あることは3度ある」とならぬことを願ってやまない。

次に、申立人に対し調査しない旨が通知された第2024-32号である。この案件では、生活保護申請時及びその後の家庭訪問時の職員の対応について苦情が申し立てられたが、申請時の対応については、すでに別件の苦情(第2024-30号)が申し立てられているようである。

こうした場合、新たに別件として調査を実施するのが非効率であることは当然であり、「申請時の職員対応」についての苦情が同一の内容であるならば、その部分についての調査を実施しないことは適切であると思われる(ただし、理由づけは別途考える必要がある)。

しかし、「申請時の職員対応」について、当初の苦情で主張されていない内容が新たな苦情申し立てに含まれていたり、当初の苦情が申し立てられた後、職員が家庭訪問した際の対応について新たに苦情が申し立てられた場合には、なお、申立人には「(苦情)申立ての原因となった事実についての利害」が認められると当ブログ開設者は考えている。したがって、本件苦情について、「具体的利害の不存在」を理由として調査を実施しないという調査担当オンブズマン神谷奈保子の理由づけには賛成できない。

それでは、このような場合、調査担当オンブズマンはどのように対応すべきか。当ブログ開設者は、申立人に対し「すでに申し立てられている案件で新たな内容も取り込んで調査する」旨説明し、申し立ての取り下げを要請するか、それが叶わぬ場合には新たな案件としてすでに申し立てられている案件と並行して調査を実施するのが適切であろうと考えている。

この点、調査担当オンブズマンとしても、すでに申し立てられた案件において、新たに申し立てられた案件の趣旨を取り込んで調査を実施しているのかもしれない。調査担当オンブズマンが「申立人の苦情を適切に拾い上げたか」についての評価は、別件の苦情調査の結果を待つ必要がある。

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①第2024-24号
 市税を指定納付期限内にキャッシュレシュ決済で分割納付しているにもかかわらず、再三にわたり「分納催告書」が送付されてくるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

②第2024-25号
 札幌市平岸霊園内の道路にコンクリート製台座が放置されていたために衝突した車が破損したとして、修理代金の弁償を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2024-27号
 生活保護受給者が資産調査の資料提出のため担当係を訪問した際の担当ケースワーカーの対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2024-28号
 生活保護を受給している申立人が長期にわたり家庭訪問がなされず、訪問された際にも極めて短時間で不十分であったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑤第2024-32号
 生活保護申請時及びその後の家庭訪問時の職員の言動が保護を申請した申立人の不安を煽るものであったとして苦情が申し立てられたケース。保護費の支給が遅れるのではないか等の不安を申立人が抱いたからといって、「現在、申立人に具体的な利害が発生していると、直ちにオンブズマンは判断することはでき(ない)」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

2024/08/27

2024年6月に調査を終了したケース

 2024年7月1日、同年6月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期間延長のうえ、同年8月15日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2024年6月)に調査を終了したのは13件で、このうち12件で調査結果が通知された。また、残る1件は調査しない旨が通知された。

さて、今回もまた、当ブログ開設者の興味関心を喚起する案件が目白押しである。そのうち、「火葬場予約システム」が導入されたことを契機として申し立てられた第2024-13号は、「ゆりかごから墓場まで」、札幌市の業務がいかに広範にわたるかを示していると思われた。以下では、当ブログ開設者の関心を引いたポイントをできるだけ簡潔に紹介する。

まずは、道路を通行する自動車により振動の被害を受けている旨の苦情が申し立てられた第2024-12号である。この案件の担当オンブズマン梶井祥子は、「本件道路の舗装は法定基準を満たしており、舗装構成には問題がない」と判断した。

しかしながら、道路交通振動については、振動規制法16条が「測定に基づく要請」について規定している。札幌市においても、道路交通振動の状況についてwebサイトで公開しており、環境局が当該業務を所管している。

本件調査の「市の回答」においても、申立人が「環境局に言っても対応してくれない」と主張していることや、環境局都市環境推進部環境対策課にも匿名の意見が寄せられていることなど、申立人による(と思われる)「環境局」への働きかけについての言及があるほか、調査対象部局自体も、「限度を超えた振動も確認できなかった」旨、言及している。

この点、市の回答にいう「限度を超えた振動」とは、上記の振動規制法に基づく限度基準を指すと思われるのだが、調査担当オンブズマン梶井祥子は、本件苦情に係る道路の舗装が法定基準を満たしている、ということ以上の説明を調査対象部局に求めることはしなかった。

以上の次第で、本件調査の実質的意義をより高めようとうするならば、上記の回答にある「限度」とはどのような根拠に基づき、具合的にどのような基準であるかということや、限度を超える振動が確認できた場合に市がどのような対応をするかについて、市に説明を求める必要があったと当ブログ開設者は考えている(考えられる論点は、舗装の法定基準は満たすものの振動の限度基準を超えるケースの取扱いである)

ところで、調査担当のオンブズマンは、担当案件にどれだけ心血を注ぐべきであろうか。とりわけ、今回公開された案件のうち、第2024-3号第2024-4号第2024-5号および第2024-14号のように(いずれも申立人の子が通う学校の教員の対応に関わる苦情である)、申立人が情緒の安定を欠くという印象を抱かせる苦情については、第2024-21号の担当オンブズマン梶井祥子がそうしたように、「冷酷非道」に徹することも求められる場合もあるのではないか。むしろ、プロならばそうすることもまた、一つの識見たりうるのではないか。

しかしながら、残念なことに、上記4件の調査担当オンブズマンである梶井祥子は「冷酷非道」に徹することはなかった。その結果、当ブログ開設者は同オンブズマンの調査への取り組みは一貫性を欠くという印象を抱くことになった。それとも、調査担当オンブズマンの梶井祥子は、今回公開分の4件の調査に手を焼いているなか、新たに申し立てられた第2024-21号については「冷酷非道」に徹するように方針転換した、ということであろうか

次に紹介するのは、札幌プレミアム商品券の申し込みを受け付けた旨の返信メールがこない旨の苦情が申し立てられた第2024-15号である。プレミアム商品券に関しては、2023年度にも発券場所が少ない等の苦情(第2023-27号)が申し立てられており、当ブログ開設者も南区内に発券場所のローソンが5店舗しかないというのはさすがに少なすぎると指摘したところである(このエントリー)。

そして、2024年度のプレミアム商品券である。2024年度は2023年度と同様の紙商品券に加えて、スマホ商品券が
追加された。また、紙商品券もコンビニ端末での発券手続を不要とする「改善」が図られたはずだったのだが、本件苦情が申し立てられる事態となった。その経緯は結果通知書本体で確認していただきたい。

ところで、当ブログ開設者は、本件における市の対応は、「返信メールが来ない」という申立人からの問い合わせに適切に対応できておらず、大いに問題があったと考えている。しかし、市の対応は頑なで、その旨の謝罪一つするつもりもないようだ。

調査担当オンブズマンも、「想定外の事態に対し、担当課及び事務局の方々は混乱の中で、尽力されたものとオンブズマンは思います」などと、市の対応を持ち上げている。その一方で、申立人への個別的対応の適否については、申立人が主張する「業務不履行」は認められないと判断したが、問い合わせに適切に対応できていない点で、「業務の履行は適切さを欠いた」と当ブログ開設者は考えている。

最後に、第2024-26号である。この案件は、不動産を所有する会社が入居者である生活保護受給者に退去を求めたところ、当該入居者から提訴され多大な迷惑と損害を被ったとして苦情が申し立てられた案件である。調査担当オンブズマンは、本件苦情がすでに調査を終了した第2023-17号と一連のものであるとして調査を実施しなかった。

当ブログ開設者は、調査ずみの案件において、調査担当オンブズマンが申立人の稚拙な主張を咀嚼せずに調査を実施した結果、調査対象部局から必要な説明を受けることができず、本件調査担当オンブズマンも、そうした調査対象部局の説明のブランク(その限りで「調査は未実施」というのが当ブログ開設者の評価である。)を埋めるつもりもなかったものと受け止めている。

この点、調査ずみの案件では、生活保護受給者が転居する場合に保護課はどの程度関与するか、とりわけ、保護費の支給の可否を判断する際、①ペットを飼育する保護受給者の転居先におけるペット飼育の可否を確認することの要否や、②保護受給者が入居する住居から退去を求められた場合の転居費用の支給の可否といった一般論が、市の回答で示されるように「問い」の建て方が工夫されてしかるべきであったと当ブログ開設者は考えている。

おそらく、苦情ベースでものを考えるのと、制度ベースでものを考えるかで苦情の見え方が異なってくるのであろう。その結果、調査を実施する際の「問い」の建て方も異なってくるというのが当ブログ開設者の理解である。当ブログ開設者としては、こうしたギャップが埋まることを願っている。

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①第2024-3号
 申立人の子が通う学校において他の児童に対し教員による不適切な指導が行われており、申立人の子も心理的に負担に感じているようであるとして、そうした教員の指導の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

②第2024-4号
 申立人の子が通っていた学校において、申立人の子を含む子どもたちに対し複数の教員から不適切な指導が行われていたとして、そうした教員たちの指導の改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

③第2024-5号
 申立人の子どもたちが通っていた学校では他の子どもに対し教員から不適切な指導がなされ、申立人自身も教員から嫌がらせを受け体調を崩すこともあるなど、当該学校では教員による不適切な指導がなされているとして改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)

④第2024-10号
 生活保護を受給している申立人が長期にわたり家庭訪問がなされず、訪問された際にも極めて短時間で不十分であったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)


⑤第2024-12号
 自宅前を大型車が通行するたびに自宅が振動するため土木センターに苦情を伝えても「道路に問題はない」として対応してもらえないとして、道路を直すなどの対策をとることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)


⑥第2024-13号
 札幌市の火葬場では2024年3月から「火葬場予約システム」を導入したが、予約時間の枠にずれて到着した場合の案内が不十分である等、霊柩車の運行会社から改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)


⑦第2024-14号
 申立人の子が通う学校において、担任が子の性格や特性に対応した適切な指導をしていないことに不満を覚え教育委員会に対応を求めたにもかかわらず、教育委員会が十分な調査を実施しないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)


⑧第2024-15号
 札幌プレミアム商品券をwebから申し込んだが来るはずの返信メールが来ず、そのことについて問い合わせのメールを送っても満足な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)


⑨第2024-18号
 市営住宅に入居する申立人が階下から犬の鳴き声がして騒々しいことを住宅管理公社および市住宅課に相談しても解決しないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)


⑩第2024-19号
 市営住宅に住む申立人が同じ棟に住む他の住民の一連の迷惑行為について市住宅課に対応を求めても十分対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)


⑪第2024-20号
 法律事務所に勤務する申立人が不動産競売申立書に添付する「公課証明書」を取得する際に市役所を訪問いた際の市職員の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)


⑫第2024-22号
 地下鉄駅でエスカレーターを利用していたところ突然停止したため歩いて登っていた際に転倒し負傷したが、一連の駅職員の対応が不十分であるとして苦情が申し立てられたケース。申(担当オンブズマン:神谷奈保子)


⑬第2024-26号
 生活保護受給者が入居していた賃貸物件を所有する会社が当該受給者から提訴され多大な迷惑と損害が生じたとして、保護課が当該受給者の提訴のため法テラスを紹介した経緯等についての説明を求めて苦情が申し立てられたケース。すでに調査を終了した第2023-17号と一連の苦情申し立て内容であるとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)

2024/07/23

2024年5月に調査を終了したケース

 
2024年6月1日、同年5月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期間延長のうえ、同年7月16日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2024年5月)に調査を終了したのは8件で、このうち5件で調査結果が通知された。また、残る3件のうち2件は調査しない旨が通知され、1件は苦情申立てが取り下げられた。

さて、今回公開された案件のうち第2024−21号は、調査担当オンブズマン梶井祥子の冷酷非道ぶりに当ブログ開設者は背筋の冷たくなる思いをした。

この案件は、申立人の子が療育手帳の更新のため児童福祉総合センターを訪問した際の職員対応についての苦情である。調査担当オンブズマン梶井祥子によると、「児童福祉総合センターを訪れたのは申立人本人ではな」いため事実関係が判然とせず、「申立人ご自身は市の職員と接しておらず、申立人ご自身と市の職員との間に直接的・具体的利害関係があるとまでは言えない」のだそうだ。

しかし、民法820条は親権者が子を監護教育する権利義務を規定する。調査担当オンブズマン梶井祥子によると、「その場の状況を間接的な伝聞や推測でしか捉えることができず、事実関係が判然としない部分が多くあ」ったというのであるから、だとするとなおのこと、申立人の子が児童福祉総合センターを訪問した際の職員の対応について、申立人が市に説明を求めることには十分な「利害」があると当ブログ開設者は考える。

また、調査担当オンブズマン梶井祥子は、「市の職員の対応や業務が不適切であったとして調査することにも当たらない」とも判断している。しかしながら、市の職員の対応や業務が「不適切」であったかどうかは、調査を実施した結果、はじめて判断可能になるものである。予め市職員の対応や業務に不適切さが確認できない限り調査を実施しないというのでは、そうしたオンブズマンの姿勢こそ、不適切にもほどがあると言わざるを得ない。

この点、オンブズマンが調査を実施することは、市にとっても説明機会が付与されるという利点が認められる(事例もある)と思われる。調査担当オンブズマン梶井祥子自身も、別件では「本件苦情申立てによって、市がその考え方を示すことができたことはオンブズマン制度の意義でもあります」という見解を示していた(第2023−63号)。

以上の次第で、本件調査を実施しないとして申立人の苦情をばっさりと切り捨てた担当オンブズマン梶井祥子の判断は、当ブログ開設者には冷酷非道に感じられたわけである。あるいは、担当オンブズマン梶井祥子の目が全くの節穴で、「大切なものほど目に見えない」ということであろうか(2023年度札幌市オンブズマン活動状況報告書の巻頭言(梶井祥子名義)参照)。

とはいえ、札幌市オンブズマンの制度は単なるお飾りで、実質的に意味ある調査などゆめゆめ期待をしてはならないのかもしれない。だとすれば、当ブログ開設者にそうした思いを再確認させた調査担当オンブズマン梶井祥子の功績は(前任のオンブズマン原俊彦同様に)極めて大きい。

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①第2024-2号
 申立人が関係するマンション敷地が地盤沈下等の地盤変動の進行が著しく速くなったことから、市に対し国土交通省の補助事業である「宅地耐震化推進事業」の「変動予測調査」を実施するよう要請しているにもかかわらず、市は頑なに当該マンションが同事業の対象とならないという姿勢を変えないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

②第2024-8号
 申立人が障がい福祉課を訪問した際に対応した職員や他の職員が申立人に向けた対応が不愉快であったり、馬鹿にされた気分になったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2024-9号
 申立人が職員部人事課を訪問した際に上席の職員と話をしたいと要望したが拒否されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2024-11号
 生活保護を受給している申立人が病気を理由に面談を拒否したところ、保護課を訪問するか家庭訪問を受けなければ保護停止になるという威圧的な内容の書面を投函されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑤第2024-16号
 札幌市は「ゼロカーボンシティ」の宣言をしているのだから、白旗山都市環境林を広範囲にわたって伐採することを取りやめることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑥第2024-17号
 生活保護を受給する申立人が同居していた家族が特別養護老人ホームに入居したため、担当ケースワーカーに様子を見てきてほしいと依頼し、訪問予定だと聞いていたにも関わらず、未だ訪問していないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑦第2024-21号
 申立人の子が療育手帳の更新のため児童福祉総合センターを訪問した際の職員対応について苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑧第2024-23号
 マイナンバーカード更新手続きの際に対応した職員の接遇について苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は終了した。(担当オンブズマン:梶井祥子)

2024/07/22

2023年度(令和5年度)活動状況報告書・非掲載案件リスト

札幌市オンブズマンは、毎年、活動状況を公表することが義務付けられている(札幌市オンブズマン条例27条1項)ところ、先日、2023年度(令和5年度)(以下、「2023年度」と表記する)の活動状況報告書も公表された。当ブログでは例年、活動状況報告書が公表されるたび、「非掲載案件」のリストを公表してきた。そこで、2023年度の活動状況報告書も「非掲載案件」を紹介する(注1)。

当該活動状況報告書によると、2023年度に市民から札幌市オンブズマンに申し立てられた苦情は71件で、57件で調査結果が通知された。このうち、活動状況報告書には34件が掲載され、23件が非掲載となった。調査結果が通知された案件のうち、約6割が活動状況報告書に掲載されたことになる。また、調査結果が通知されることなく調査が終了した14件は全件非掲載である(注2)。

ところで、非掲載となった案件にも興味深い案件はある。たとえば、第2023−35号は、市営住宅に入居する障害者が駐車場の配分について苦情を申し立てた案件である。障害者差別解消法7条2項は行政機関に対し障害者への合理的配慮を義務づけているところ、一般論として市は障害者の市営住宅入居に際しどのような対応をしているか、当ブログ開設者は興味を抱いた次第である(ただし、調査担当のオンブズマンはそうした問題意識を欠いたためか調査事項とはなっていない)。

なお、2023年度は、オンブズマンの発意に基づく調査の実施件数は1件で、活動状況報告書に57頁以下に調査内容が掲載されている。

(注1)当ブログ開設者は、オンブズマン調査は全件公表を原則とするべきであると考えている。全件公表がオンブズマンに調査の質の確保を動機づけるとともに、オンブズマン調査に飽き足らない市民に対しては自ら行動する契機となりうると考えるからである。この点、札幌市よりも遅れて自治体オンブズマン制度を設けた熊本市では、全件・全文の公開を原則とした運用がなされている。

(注2)2022年度(令和4年度)は、苦情申立件数全94件中、調査結果を通知した案件が71件であった。このうち、37件が活動状況報告書に掲載され、34件が非掲載となった(掲載率は約52%)。2023年度は、苦情申立件数が前年から23件減少したため(全94件→全71件)、調査結果が通知された案件の件数も減少する一方で(全71件→全57件)、調査結果が通知された案件の割合は若干高まっている(75.5%→80.3%)。ただし、活動状況報告書に掲載された件数は、前年から若干減少した(37件→34件)。なお、調査結果を通知しなかった案件は前年から9件の減少であり(全23件→全14件)、苦情申立て件数に占める割合は若干低下した(24.5%→19.7%)。

(1) 調査結果を通知したもの(23件)
第2023-9号
 市立体育館の正面玄関前の階段に自転車用スロープの設置を要望したところ、当初設置されたスロープが狭く幅を広げる修正が必要となったことや、申立人の問い合わせに対する市の回答が不誠実であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2023-15号
 配偶者と2人で年金収入のみの苦しい生活をしているにもかかわらず、国民健康保険の保険料の減免申請を受け付けてもらえないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智之)
第2023-18号
 住民税非課税世帯支援給付金の申請手続きについてコールセンターに問い合わせた際、銀行の都合で変更になった銀行名の証明書類を添付するよう説明を受けたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2023-23号
 WEST19の庁舎周辺部の駐輪禁止エリアを明確にすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-28号
 申立人の子息が何某かの不始末をしでかしたこと(詳細は不明)にともなう学校の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2023-31号
 生活保護受給者に対する市職員の電話での対応や病状調査票に係る対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-32号
 札幌市外から札幌市に転入した申立人による市の児童相談所の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-35号
 身体障害のある市営住宅の入居者が駐車場の割り当てに際し障害者への配慮に欠けるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-37号
 生活保護の受給者から通院時のタクシー代支給に関する担当ケースワーカーの対応をはじめとする一連の市職員の対応について苦情が申し立てられたケース。
第2023-40号
 生活保護受給者がこれまでとことなりケースワーカーが事前の約束なしに家庭訪問をするようになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2023-51号
 要介護認定の申請をしたところ「自立」と認定されたことおよび「自立」と認定されたにも関わらず「介護保険負担割合証」が送られてきたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-52号
 区役所の設備運転保守管理業務を受託する事業者に雇用され業務責任者として就労してきた申立人が市民対応時のトラブルを理由に退職に追い込まれたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2023-54号
 生活保護受給者が自己の居住する住宅は通常の家賃に加えて「事務手数料」がかかるとして転居希望を伝えたことに端を発する担当ケースワーカーの一蓮の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)(担当オンブズマン:原俊彦)
第2023-55号
 建設局総務部用地取得課から理不尽な対応を受けている件で「市長宛のメール」でそのことを訴えたにもかかわらず、市民の声を聞く課は対応を用地取得課に丸投げし改善へ向けた具体的対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2023-57号
 町内会の世帯数に疑念を抱きまちづくりセンター所長に情報開示を求めたが適切な情報開示がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-58号
 市が取得しようとしている道路用地の地権者(の一部)を代表して建設局総務部用地取得課と交渉している申立人が、補償額が不十分であることのほか、文書の記載が不十分であるにも関わらず任意売却に応じないと市が一方的に判断したり、地権者が本来不要な手続きを取るよう市から求められたり、任意売却に応じても土地収用手続の対象となることについて説明を受けていなかったとして、用地取得へ向けた市の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2023-59号
 証明書発行のため区役所を訪れた際、提示した身分証明書以外の証明書の提示を求められたことから車に運転免許証を取りに行くことにしたところ、対応した職員から再度番号札を取るように言われたことに(※再度順番待ちが必要となるため)納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-60号
 生活保護受給者が、引っ越しの要望をしても適切な対応がなされないほか、本人の体調にかかわりなく強引に家庭訪問しようとするとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2023-61号
 外国籍の市職員の人数について問い合わせたところ、「個人情報になる」として教えてもらえなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-62号
 申立人の子どもが学校でいじめを受けており、その旨を教育委員会に訴えても対応してもらえないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-65号
 市電の運転士が用を足すまで車両を離れ何の説明めもなく運行を遅らせたことや、ラッシュ時に運行停止した際の情報提供が不十分だったことについて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2023-67号
 生活保護受給者が12時30分ころ保護課に電話したところ昼休み中の電話は避けてほしいと言われたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2023-69号
 生活保護受給者が不用品を売却して得た収入の取り扱いやインターネットプロバイダに支払う費用について担当ケースワーカーから受けた発言内容等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

(2)調査結果を通知しなかったもの(14件)
第2023-2号
入居する市営住宅に空き室が多いのは税金の無駄づかいであり、入居者にとっても班長役が短い周期で回るために負担が大きいとして、苦情が申し立てられたケース。オンブズマンとの面談日の調整が難しいとして、申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2023-3号
町内会が実施する除雪の騒音及び費用徴収について、苦情が申し立てられたケース。「市の機関の業務の執行」(札幌市オンブズマン条例16条1項)に該当しないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2023-5号
 申立人が勤務していた福祉サービス事業所で虐待やパワハラを受けたが、北海道社会福祉サービス運営適正化委員会から得た回答によると当該事業所を所轄する市の担当職員が事業所の運営に関与しているとして、苦情が申し立てられたケース。「北海道社会福祉サービス運営適正化委員会」は市の機関ではないためにオンブズマンの調査対象外であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2023-16号
 申立人が通所していた事業所でいじめを受け体調を崩したこと等について市の担当課に調査・指導等の権限行使を要望した際の職員の対応及びそれ以後に市が何らの対応をしないことについて苦情が申し立てられたケース。担当課職員の対応についてはすでにオンブズマンが調査を実施している(第2022-42号)として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-26号
 デイサービスを体験利用した際の利用報告書に事実に反する記載がなされていたことについて、居宅介護支援事業所、ケアマネージャーおよび区の担当課に苦情を申し立てても対応してもらえなかったことから、保健福祉局介護保険課に調査および指導を求めたものの、介護保険課からも納得のいく明快な説明が受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。事業所と申立人の関係は「市の機関の業務の執行」に該当せず、ケアマネの対応についてはすでに市から事業所に指導がなされているとして「調査することが相当でない特別の事情がある」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2023-29号
 交通事故の現場で受傷者の救護に当たった際、その後到着した救急隊から失礼な発言をされたとして苦情が申し立てられたケース。申立人が苦情申し立てを取り下げたことにより調査は終了している。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-30号
 市職員が勤務時間中にイントラメールで私的なやり取りをしたり、勤務時間中に調査施設を私的に利用しているとして苦情が申し立てられたケース。本件申立てに係る市の職員同士間の不適切な行為については、市の業務執行に該当するものではないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-39号
 市営住宅の入居者がさまざまな嫌がらせを受けているとして苦情が申し立てられたケース。嫌がらせの主体が不明であり、調査対象とすべき機関も特定できないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-44号
 職員が申立人の就職活動を記録する日付印の日付をボールペンで修正したことについて問い合わせた際の対応が不適切であるとして苦情が申し立てられたケース。当該対応がなされたのは札幌市ではなく、北海道労働局の施設であったとして申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-45号
 市職員が配偶者の収入が増えたことで共済組合から被扶養者として取り扱われなくなったことについて苦情が申し立てられたケース。共済組合の行う決定や処分は「市の機関の業務の執行」に該当しないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-47号
 有料老人ホームを運営する法人が市本庁の生活保護担当課から指導を受け無料低額宿泊所を開設したにもかかわらず、保護の実施機関である区の保護課から生活保護受給者の入居を認めないという連絡があったとして苦情が申し立てられたケース。調査開始後に苦情申し立てが取り下げられ調査が中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2023-49号
 生活保護受給者が親族の死亡により遺産を相続したところ遡及して保護費の返還を求められたとして苦情が申し立てられたケース。申し立ての取り下げにより調査は実施されなかった。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2023-68号
 申立人の(おそらく)子が学校で加害行為を受けたり、不登校になっていることについて市教育委員会が十分な対応をしてくれないとして苦情が申し立てられたケース。苦情の内容(A)は申立ての原因となった事実からすでに1年を経過しており、別の内容(B)は同趣旨の苦情についてすでに調査しない旨の通知ずみであるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)
第2023-71号
認可外保育所通園中の第一子について「施設等利用給付認定新2号認定」の認定書類を提出した際、当初、第二子の育児休業中であるため対象外であると誤った説明を受けたとして苦情が申し立てられたケース。区から謝罪と改善策を検討する旨の説明を受けたとして申立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:田村智幸)