2024/07/23

2024年5月に調査を終了したケース

 
2024年6月1日、同年5月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期間延長のうえ、同年7月16日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2024年5月)に調査を終了したのは8件で、このうち5件で調査結果が通知された。また、残る3件のうち2件は調査しない旨が通知され、1件は苦情申立てが取り下げられた。

さて、今回公開された案件のうち第2024−21号は、調査担当オンブズマン梶井祥子の冷酷非道ぶりに当ブログ開設者は背筋の冷たくなる思いをした。

この案件は、申立人の子が療育手帳の更新のため児童福祉総合センターを訪問した際の職員対応についての苦情である。調査担当オンブズマン梶井祥子によると、「児童福祉総合センターを訪れたのは申立人本人ではな」いため事実関係が判然とせず、「申立人ご自身は市の職員と接しておらず、申立人ご自身と市の職員との間に直接的・具体的利害関係があるとまでは言えない」のだそうだ。

しかし、民法820条は親権者が子を監護教育する権利義務を規定する。調査担当オンブズマン梶井祥子によると、「その場の状況を間接的な伝聞や推測でしか捉えることができず、事実関係が判然としない部分が多くあ」ったというのであるから、だとするとなおのこと、申立人の子が児童福祉総合センターを訪問した際の職員の対応について、申立人が市に説明を求めることには十分な「利害」があると当ブログ開設者は考える。

また、調査担当オンブズマン梶井祥子は、「市の職員の対応や業務が不適切であったとして調査することにも当たらない」とも判断している。しかしながら、市の職員の対応や業務が「不適切」であったかどうかは、調査を実施した結果、はじめて判断可能になるものである。予め市職員の対応や業務に不適切さが確認できない限り調査を実施しないというのでは、そうしたオンブズマンの姿勢こそ、不適切にもほどがあると言わざるを得ない。

この点、オンブズマンが調査を実施することは、市にとっても説明機会が付与されるという利点が認められる(事例もある)と思われる。調査担当オンブズマン梶井祥子自身も、別件では「本件苦情申立てによって、市がその考え方を示すことができたことはオンブズマン制度の意義でもあります」という見解を示していた(第2023−63号)。

以上の次第で、本件調査を実施しないとして申立人の苦情をばっさりと切り捨てた担当オンブズマン梶井祥子の判断は、当ブログ開設者には冷酷非道に感じられたわけである。あるいは、担当オンブズマン梶井祥子の目が全くの節穴で、「大切なものほど目に見えない」ということであろうか(2023年度札幌市オンブズマン活動状況報告書の巻頭言(梶井祥子名義)参照)。

とはいえ、札幌市オンブズマンの制度は単なるお飾りで、実質的に意味ある調査などゆめゆめ期待をしてはならないのかもしれない。だとすれば、当ブログ開設者にそうした思いを再確認させた調査担当オンブズマン梶井祥子の功績は(前任のオンブズマン原俊彦同様に)極めて大きい。

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①第2024-2号
 申立人が関係するマンション敷地が地盤沈下等の地盤変動の進行が著しく速くなったことから、市に対し国土交通省の補助事業である「宅地耐震化推進事業」の「変動予測調査」を実施するよう要請しているにもかかわらず、市は頑なに当該マンションが同事業の対象とならないという姿勢を変えないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

②第2024-8号
 申立人が障がい福祉課を訪問した際に対応した職員や他の職員が申立人に向けた対応が不愉快であったり、馬鹿にされた気分になったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2024-9号
 申立人が職員部人事課を訪問した際に上席の職員と話をしたいと要望したが拒否されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2024-11号
 生活保護を受給している申立人が病気を理由に面談を拒否したところ、保護課を訪問するか家庭訪問を受けなければ保護停止になるという威圧的な内容の書面を投函されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑤第2024-16号
 札幌市は「ゼロカーボンシティ」の宣言をしているのだから、白旗山都市環境林を広範囲にわたって伐採することを取りやめることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑥第2024-17号
 生活保護を受給する申立人が同居していた家族が特別養護老人ホームに入居したため、担当ケースワーカーに様子を見てきてほしいと依頼し、訪問予定だと聞いていたにも関わらず、未だ訪問していないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑦第2024-21号
 申立人の子が療育手帳の更新のため児童福祉総合センターを訪問した際の職員対応について苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」として調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:梶井祥子)

⑧第2024-23号
 マイナンバーカード更新手続きの際に対応した職員の接遇について苦情が申し立てられたケース。申立ての取り下げにより調査は終了した。(担当オンブズマン:梶井祥子)

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