2024/03/28

2024年2月に調査を終了したケース

2024年3月1日、同年2月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、同年3月15日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2024年2月)に調査を終了したのは6件である。このうち5件が苦情申し立てに基づく調査、残る1件がオンブズマンの発意に基づく調査で、全6件で調査結果が通知されている。なお、担当者に確認したところ、2023年度に実施された発意調査は今回公開された1件のみということである。

さて、今回公開された調査結果通知書のうち、以下の2件が興味深い。1件目が、自立支援医療の受給者が登録薬局を1か所から2か所に増やしてほしいと要望したことを契機とする市職員の一連の対応についての苦情である(第2023-48号)。2件目が、ものづくり産業における担い手の確保や人材育成等の企業支援策についてのオンブズマンの自己の発意による調査である(第2023-発1号)。いずれの案件も田村智幸オンブズマンが担当した。

まず、第2023-48号である。当ブログ開設者は、市民にとって適切なタイミングで適切な内容の説明を受けることは重要な利益であると考えている。本件事案は、(実体的な結論とは別に)「説明の適切さ」を考えるうえで興味深い。

すなわち、この案件では、申立人からの問い合わせを受けた後、「やむを得ない事情」があれば複数登録が可能である旨の説明がなされるまで日数を要している。さらに、職員が申立人に登録医療機関および登録薬局を尋ねた事情や、職員が複数の薬局の登録を受けているとされる申立人の知人の居住地について尋ねた事情について、本件調査によりようやく明らかにされた模様である。

このように、職員が行った説明は、内容の適切さとは別に説明が後手後手に回った点で「適切」さに欠けたと当ブログ開設者は考えている。もっとも、説明が先走りすぎるのも問題で、今回のようなケースでは「複数登録が認められる」と市民が誤解するおそれもある。説明不足や説明過剰を招かぬよう相手に応じた説明を行うことは、実際のところ難易度が高いことは間違いない。

ところで、申立人が利用する登録医療機関および登録薬局はそもそも申立人に尋ねるまでもなく、市が保有する情報を確認すれば把握できるのではないか、という疑問がある(市は当然、登録医療機関および登録薬局の情報を保有しているはずである)。

ただし、市の回答によると、申立人は登録医療機関および登録薬局を明らかにすることに難色を示したということである。申立人は薬局の対応に不満を抱いていること自体を薬局に知られたくないと考えていたのであろうか。そうした事情がないならば、本件においては申立人の同意を得たうえで、市が把握する情報を利用して登録医療機関および登録薬局に照会するという対応も可能だったと思われる。

以上の次第で、当ブログ開設者は、本件苦情に係る職員の対応は大いに改善の余地があったと考えている。それでも、いかなる場合に「やむを得ない事情」として取り扱うかについての市の見解が明らかになった点は、本件苦情調査の成果であろう。本件苦情を契機として、今後は市民に対し(複数登録について)適切な説明がなされることを期待したい。

次に、ものづくり産業における担い手の確保や人材育成等の企業支援策についての発意調査(第2023-発1号)である。市の回答にある諸施策は非常に興味深い内容であり、その点を明らかにした点で意義ある調査であると思われる。

もっとも、札幌市の産業振興施策は、「ものづくり産業」という特定の産業に着目した施策のみならず、「中小企業」という事業規模に着目した施策も実施されているというのが当ブログ開設者の理解である。

そうすると、「中小企業」対象の施策が「ものづくり産業」における担い手の確保や人材育成等につながるケースもあるのではなかろうかということで、経済観光局産業振興部にその旨問い合わせた。有益な回答が得られた場合には当ブログで紹介したい(追記:照会および回答の内容はこのエントリーで紹介している)。

ところで、この案件を担当した田村智幸オンブズマンによると、「ものづくり基盤技術振興基本法では、第4条で「国の責務」、第5条で「地方公共団体の責務」、第6条で「ものづくり事業者の責務」が並列に記載されているだけで、各自の役割や相互の連携・補完を定める文言はな(い)」そうである。

しかしながら、同法は政府に対し、法制上等の措置を講じることを義務づけ(同法7条)、政府が講じた施策に関する報告書を国会に提出することを義務づけ(同法8条。2023年度版ものづくり白書)、政府にものづくり基盤技術基本計画の策定を義務づけている(同法9条1項。同条2項は同計画に定める事項を規定)。また、同法の第三章は、国が講ずる「基本的施策」について規定している(同法10条~18条)。

したがって、同法は少なくとも国(政府)の役割については、明確に規定していると思われる(たとえば、同法12条は「ものづくり労働者の確保等」のため国が必要な施策を講ずる旨規定する)。

そして、同法5条は地方公共団体の責務として、「国の施策に準じた施策及びその地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及びこれを実施する」旨規定する。これらの規定が意味するところは、ものづくり基盤技術の振興に関し、国が第一義的に責務を負い、地方公共団体は田村智幸オンブズマンのいう「補完」的な責務を負う趣旨であると思われる。

たしかに、市の回答には「現状では、ものづくり産業の担い手確保等について、国・都道府県・市町村の役割を明確に規定している法令等はな(い)」とある。

しかしながらこの回答は、田村智幸オンブズマンが「国・道・政令指定都市それぞれが果たすべき役割や国・道においてこれに取り組んでいる施策との連携・関係性を踏まえ、市としてどのような施策を実行し検討しているのか調査する必要があると考え」て調査を実施したと言明することに対応するものである。

したがって、前述の「市の回答」の意味するところは、都道府県と市町村については、国が講ずる基本的施策を規定する「ものづくり基盤技術振興基本法」第三章のような法令等は存在しないという趣旨であると理解すべきであろう。

また、田村智幸オンブズマンによると、「ものづくり産業の発展のための施策の総合かつ計画的な推進を強力に図り、担い手の育成を力強く進めていくためには、国が司令塔とな(る)」必要があるそうだ。

しかしながら、国と地方との関係は地域主権改革により、国が地方に優越する上下の関係から対等なパートナーシップの関係へと転換されている。地方自治法においても、245条が「普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与」について規定するとともに、同法245条の2は「関与の法定主義」を規定している。また、同法245条の3は「関与の基本原則」を規定している。

したがって、田村智幸オンブズマンがいう「国が司令塔となる」トップダウン型の施策の推進様式がこれらの規定と整合するか、当ブログ開設者は疑念を抱いている(ただし、地方自治法が定める「国の関与」の諸規定は、個別法に根拠となる規定がなくとも地方自治法が「国の関与」の根拠となることを意味している)。

なお、本件の調査結果が通知された3週間後、2024年3月14日に「第2次札幌市産業振興ビジョン」が公表された。本件調査も、ずいぶん間が悪いタイミングで実施されたものである(なお、「第2次札幌市産業振興ビジョン」は、田村智幸オンブズマンがその「基本的な方向に沿って札幌市の様々な施策が実行・計画されていると承知している」という「第2次札幌市まちづくり戦略ビジョン」(ビジョン編戦略編資料編)の方向性に沿った、産業振興部門の個別計画である)。

さて、縷縷述べてきたが、上記2件のオンブズマン調査はいずれも、当ブログ開設者の興味関心を強く喚起する内容であった。今後も札幌市オンブズマンには、市の業務を市民に可視化する役割を期待している。

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①第2023-48号
 自立支援医療の受給者が登録薬局を1か所から2か所に増やしてほしいと要望したことを契機とする市職員の一連の対応に対し苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

②第2023-50号
 生活保護受給者が保護課に非常食の貸与を申し入れた際の職員の対応等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

③第2023-51号
 要介護認定の申請をしたところ「自立」と認定されたことおよび「自立」と認定されたにも関わらず「介護保険負担割合証」が送られてきたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2023-52号
 区役所の設備運転保守管理業務を受託する事業者に雇用され業務責任者として就労してきた申立人が市民対応時のトラブルを理由に退職に追い込まれたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑤第2023-53号
 保健福祉局の担当職員から誤った情報を提供されたり侮辱する発言をされたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑥第2023-発1号
 札幌市において実施されているものづくり産業における担い手確保や人材育成等の企業支援について、オンブズマンが自己の発意により調査を実施したケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

2024/03/02

2024年1月に調査を終了したケース

2024年2月1日、2024年1月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、同年2月14日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2024年1月)に調査を終了したのは4件で、このうち2件で調査結果が通知された。また、残る2件のうち1件は調査しない旨が通知され、1件は申立てが取り下げられた。

今回公開された調査結果通知書のうち、市道を走行中にタイヤが破損したとして苦情が申し立てられた第2023-46号が興味深い。この案件では、市は賠償することを認めたものの、申立人は市が主張する過失割合に納得がいかないとして苦情が申し立てられた。

ところで、道路管理の瑕疵により自動車が損傷したとして賠償を求めた案件は過去にもある。ある意味、典型的な苦情といえるかもしれない。当ブログでも紹介しているところ(第28-13号第29-80号第30-57号第2019-119号第2019-121号第2020-74号の6件。ただし確認もれの可能性あり)、これらの案件ではいずれも市は「賠償しない」という見解であった。

これに対し本件では、市は4割の過失を認めている。しかし、申立人はそれでは納得がいかないとして、100%の賠償のほか、破損したタイヤと同一の製品を探すことも求めて苦情を申し立てた。この点、当ブログ開設者は、申立人の主張はあまりスジがよろしくないという印象を受けた次第である(ただし、どのような主張をしようともそれは当事者本人の自由であることはいうまでもない)。

ところで、調査を担当した田村智幸オンブズマンは、「オンブズマンは、オンブズマン条例に基づき、中立公正な立場において市の業務に対する苦情について、市の対応の不備等を指摘する立場にありますが、本来的に司法手続きで判断されるべきことについて司法の判断を先取りするような意見を述べることはでき」ないとして、「過失割合の妥当性や市の道路管理責任について、オンブズマンの判断を述べること」をしなかった。当ブログ開設者は、このような田村智幸オンブズマンの判断は、具体的な過失割合について言質を取られることを避けようとした結果であろうと考えている。

しかしながら、田村智幸オンブズマンもいうように、札幌市オンブズマンは市の業務について、市の対応の不備等を指摘することをその役割とする。したがって、市が業務の一環として「今回の事例おける過失割合は4割である」と主張することについて、オンブズマンがその不備(のありなし)を指摘することは何ら妨げられるものではない、と当ブログ開設者は考えている。

つまり、司法機関は紛争解決のために最終判断を下すのに対し、オンブズマンは市の対応に改善の必要があるならばその点の指摘をするにとどまる。また、その指摘も強制力はなく、市がその指摘に応じるか否かは市の判断に委ねられている。そして、「過失割合」についてのオンブズマンの指摘を市が受け入れたとしても、市と申立人の間で合意が成立するとは限らない。オンブズマンが何を述べようとも、「司法の判断を先取り」することにはならないというのが、当ブログ開設者の考えるところである。

また、田村智幸オンブズマンは本件について「本来的に司法手続きで判断されるべきこと」であると述べているが、司法手続きの利用こそが紛争解決の「本来的」なあり方だと考えているならば、そうした評価は当事者合意に基づく自主的な解決の意義を著しく過小評価していると思われる。

むしろ考えるべきは、オンブズマンが沈黙することは結果として市の対応を黙認することになり、そうしたオンブズマンの姿勢が田村智幸オンブズマンのいう「中立公正な立場」といえるのか、ということであろう。

この点、市の対応に不備はないとオンブズマンが判断した場合、申立人からするとオンブズマンは市をひいきしており「中立公正な立場」ではないように感じられるかもしれない。しかしながら、少なくとも「不備はない」と判断する理由が明示される点はオンブズマンが「沈黙」した場合と決定的な違いがある。田村智幸オンブズマンは「紛争解決の落とし所」について見解を示すことを回避したが、オンブズマンの役割は市の主張の妥当性について見解を示すことなのではなかろうか。

以上、縷々述べてきたが、田村智幸オンブズマンと当ブログ開設者では札幌市オンブズマンの「制度観」に違いがあるのかもしれない。すなわち、田村智幸オンブズマンは、札幌市オンブズマンは行政と市民間の紛争を解決するADR(裁判外紛争解決手続)として理解する一方で、当ブログ開設者は、札幌市オンブズマンは住民自治の実質化を図るための制度であり、苦情を媒介とする行政と市民間のコミュニケーションチャンネルである、と考えているということである。この点については、機会があれば再論したい。

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①第2023-37号
 生活保護の受給者から通院時のタクシー代支給に関する担当ケースワーカーの対応をはじめとする一連の市職員の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

②第2023-46号
 市道を軽自動車で走行中にタイヤが破損したことに関し市の過失割合に関する説明に納得がいかず市職員の一連の対応にも問題があるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2023-47号
 有料老人ホームを運営する法人が市本庁の生活保護担当課から指導を受け無料低額宿泊所を開設したにもかかわらず、保護の実施機関である区の保護課から生活保護受給者の入居を認めないという連絡があったとして苦情が申し立てられたケース。調査開始後に苦情申し立てが取り下げられ調査が中止された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

④第2023-49号
 生活保護受給者が親族の死亡により遺産を相続したところ遡及して保護費の返還を求められたとして苦情が申し立てられたケース。申し立ての取り下げにより調査は実施されなかった。(担当オンブズマン:原俊彦)

2024/03/01

新オンブズマン就任(2024年)

2024年2月29日、以下の議案が札幌市議会に提出され、同日、議会の同意を得た模様。これにより、新たに梶井祥子氏(大学教授)がオンブズマンに就任した。梶井氏は、2020年3月にオンブズマンに就任した原俊彦氏(大学名誉教授)の後任である。

これにより、2024年3月1日以降は、2021年3月1日に就任したオンブズマン2期目の田村智幸氏(弁護士)、2023年3月1日に就任したオンブズマン1期目の神谷奈保子氏(民事調停委員)とあわせ、3名体制で札幌市オンブズマンの職務が遂行されることになる。




2024/02/29

2023年12月に調査を終了したケース

2024年1月1日、2023年12月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、決定期限延長のうえ、2024年2月9日付で一部公開決定がなされた。

上記の期間(2023年12月)に調査を終了したのは8件で、このうち7件で調査結果が通知された。また、残る1件は調査しない旨が通知された。

今回公開された調査結果通知書のうち、滞納していた固定資産税を差押予告書記載の指定納付期限までに電子納税したにもかかわらず差押調書が送付されてきたという苦情(第2023-42号)が興味深い。結論として市は対応の拙さを認めているものの、何が拙かったかという認識に難があるように思われるためである。

まず、市の税務担当部局では情報システムとして、「収納管理システム(①)」と「滞納整理システム(❷)」という異なったシステムがあり、差押通知書を発行する際には「滞納整理システム(❷)」を利用するようである(なお、「差押通知書」は差押債権の債務者に交付され、滞納者には「差押調書」が交付される模様)。

また、市税が電子納税された場合にはそれぞれのシステムにデータを反映させる必要があるところ、「収納管理システム(①)」と電子納税に関する「速報データ(③)」は連携している一方で、苦情の時点では「滞納整理システム(❷)」が未改修で「速報データ(③)」と連携していないなかった。そのため、「速報データ(③)」を出力した「エクセルデータ(④)」に基づいて「滞納整理システム(❷)」に手作業で入力する作業が必要な状況であった(現在は改修ずみ)。

ところが、「エクセルデータ(④)」を「滞納整理システム(❷)」に反映させる作業を担当職員が懈怠した結果、差押えに着手する段階で電子納税により滞納が解消していることが認識されず、「差押通知書」(および「差押調書」)が発送されることになった模様である。

なお、「滞納整理グループ」が差押えを実施する際(「差押通知書」の発送はその過程の一つ)の手順は、(1)納税担当職員が差押え起案時に「滞納整理システム(❷)」または「エクセルデータ(④)」で電子納税の状況を確認する、(2)差押え決裁時に(ア)担当係長が「滞納整理システム(❷)」により、(イ)担当課長が「エクセルデータ(④)」または「収納管理システム(①)」により電子納税の状況を確認する、(3)納税担当職員が「差押通知書」発送前に電子納税の状況を最終確認する、というものであった(なお、ここでいう「電子納税の状況を確認する」とは、結果通知書の「速報データの情報の有無を確認」という記述を換言したものである)。

以上の手順を前提とすると、たとえ「滞納整理システム(❷)」に「速報データ(③)」が反映されていなくとも、上記(2)(イ)の担当課長の段階で、「エクセルデータ(④)または「収納管理システム(①)」により電子納税がされている状況を把握できるはず、ということになる。逆にいえば、(1)の納税担当職員および(2)(ア)の担当係長の段階では「滞納整理システム(❷)」により状況確認をすることが(も)想定されており、当該システムに電子納税の情報が反映されていない「まさか」に事態に対処することは、そもそも期待できない手順となっている。

しかしながら、「市の回答」によれば(通知書9頁)、「債権等の差押えの事務処理を行う際の担当係長及び担当課長の役割は、担当職員が作成した書類の記載内容を確認することでありますが、本件では、いずれの役職者も所定の確認を怠っていた不適切なもの」なのだそうだ(下線は当ブログ開設者による付記)。

上述したように、「滞納整理システム(❷)」に「速報データ(③)」が反映されていなかったため、担当係長は所定の確認作業を行ったにもかかわらず、電子納付が完了している状況を認識できなかったのであり、市の回答の「いずれの役職者も所定の確認を怠っていた」という記述は正確さを欠くと思われる。当ブログ開設者は、確認作業を完全に怠った担当課長の失策を糊塗するため、担当係長が巻き添えを食らったと考えているが、いかにも気の毒であり、担当係長の士気が低下しないか懸念する。

また、「市の回答」(通知書5頁)では、「速報データ(③)」が「滞納整理システム(❷)」に反映されていなかったことについて、(滞納整理システム(❷)への)「「速報データ」の情報の入力が適切に行われているかについて、他の職員による確認を行うべきでありましたが、担当係長及び担当課長はそれに関して適切な指示を行っていませんでした」として、確認体制に不備があったことを認めている。

この点についても、担当課長による確認の段階で「速報データ(③)が「滞納整理システム(❷)」に反映されていないことを把握していれば、当該入力作業の完了を確認する作業が必要であることを認識できていたと思われる。したがって、担当課長が確認作業を怠ったことは、二重の意味で致命的な失策であった。

当ブログ開設者は、担当課長が確認作業を怠った理由や、そもそも職員が「エクセルデータ(④)」を「滞納整理システム(❷)」に反映させることを懈怠した理由を明らかにしない限り、具体的対策を講じることはできないと考えている(業務負担が過重でそこまで手が回らなかったのだろうか?)。本件ではすでにシステム改修が完了しているとはいえ、「職員への指導や注意喚起を行う」(通知書10頁)という「精神論」頼みでは、今後も「確認作業の懈怠」という同種の過誤が生じるおそれがあると考える。

なお、この案件を担当した田村智幸オンブズマンによると、「本件では、納税担当職員と上席者のどちらか一人だけでも「速報データ」を直接確認するという本来のルールを実行していれば、本件の事態が起こらなかったことが明らか」(通知書14頁)なのだそうであるが、このような記述からは、田村智幸オンブズマンがいう「本来のルール」について、オンズマン自身の理解が粗雑であることが見て取れる(なお、田村智幸オンブズマンがいう「速報データ」とは、「エクセルデータ(④)」を指すものと思われる)。

まず、すでに確認したように、納税担当職員の確認作業は「滞納整理システム(❷)」によることも想定されているほか、担当課長の確認作業も「収納管理システム(①)」によることも想定されている。したがって、「「速報データ」を直接確認する」ことが「本来のルール」であるという理解は誤りである(なお、田村智幸オンブズマンがいう「速報データ」とは「エクセルデータ(④)であろうことは前述)。

また、市の回答では、「速報データ」と「エクセルデータ」の文言が明確に使い分けられているが、これはおそらく「速報データ」本体は本庁にある財政局(税務担当)税制部納税指導課が保有しており、そこから各市税事務所に「エクセルデータ」が提供されるためであるというのが当ブログ開設者の理解である。

そうすると、田村智幸オンブズマンがいう「速報データ」が「エクセルデータ」を意味するのではないとするならば、「「速報データ」を直接確認する」ためには、各市税事務所の職員はその都度、本庁の納税指導課を訪問しなければならないことになる。しかし、そうした煩わしさを避けるために「エクセルデータ」の提供がされているわけである。本件のような事態を避けるために必要だった作業は「速報データ」を直接確認することではなく、(市の回答の用語を用いるならば)「「速報データ」の情報の有無を確認する」ことであった(なお、前述のように当ブログ開設者は「電子納税の状況を確認する」と表記した)。

それからもう1点、田村智幸オンブズマンの判断には、「差押えの対象物が「給与」という勤務先から申立人に支払われる債権であり、その性格上、勤務先から申立人への給与の支払を禁止する命令であることから・・・(以下略)」という記述がある。このような記述は、賃金全額の支払いが禁じられるかのように読めるのだが、もしかすると田村智幸オンブズマンは法律専門職の弁護士という肩書を有しながら、残念なことに差押禁止債権をご存知ないのかもしれない。

すなわち、賃金債権の差押えは労働基準法24条の「賃金全額払い」の例外として、使用者は当該差押え額を控除して賃金を支払うことが認められる。その一方で、本件における固定資産税の場合には、地方税法373条7項が国税徴収法の規定を準用することを規定し、同法76条は差押禁止債権を規定する。したがって、この差押禁止債権に該当する賃金については、使用者はなお労働者に対し支払わなければならないことになる。賃金債権の差押えが「勤務先から申立人への給与の支払いを禁止する」というのは、いかにも正確さを欠く粗暴な記述と思われる(なお、民事については、民事執行法152条1項参照)。

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①第2023-35号
 身体障害のある市営住宅の入居者が駐車場の割り当てに際し障害者への配慮に欠けるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

②第2023-36号
 土砂災害警戒地域に指定された道路ののり面上端にある申立人所有地の管理について札幌市の複数の部署に相談しているが総合的な対応がなされないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

③第2023-38号
 自宅前の道路が舗装されたことで歩道部分に傾斜がついたことや車両乗り入れ部の平らな縁石の本数が家により違いがあるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2023-40号
 生活保護受給者がこれまでとことなりケースワーカーが事前の約束なしに家庭訪問をするようになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑤第2023-41号
 タクシー運転手の申立人から公園のトイレが冬季に閉鎖されることについて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

⑥第2023-42号
 滞納している固定資産税を差押予告書記載の指定納付期限までにpaypayで電子納税したにもかかわらず差押調書が送付されてきたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)

⑦第2023-43号
 全世帯数にくらべて町内会に加入する世帯数が少なすぎるのは何らかの不正が行われているからに違いないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑧第2023-45号
 市職員が配偶者の収入が増えたことで共済組合から被扶養者として取り扱われなくなったことについて苦情が申し立てられたケース。共済組合の行う決定や処分は「市の機関の業務の執行」に該当しないとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

2024/02/15

2022年度(令和4年度)活動状況報告書・非掲載案件リスト

札幌市オンブズマンは、毎年、活動状況を公表することが義務付けられている(札幌市オンブズマン条例27条1項)。2022年度(令和4年度)(以下、「2022年度」と表記する)の活動状況報告書も公表されすでに半年以上経過している。当ブログでは例年、活動状況報告書が公表されるたび、「非掲載案件」のリストを公表してきたことから、遅ればせながら、2022年度の活動状況報告書非掲載案件を紹介する(注1)。

なお、当該活動状況報告書によると、2022年度に市民から札幌市オンブズマンに申し立てられた苦情は94件で、このうち調査結果が通知されたものが71件、調査結果が通知されることなく調査が終了したものが23件となっている。このうち、活動状況報告書に掲載されたのは調査結果が通知された37件である(注2)。

また、活動状況報告書に掲載されなかった案件は57件で、調査結果が通知された案件が34件、調査結果が通知されることなく調査が終了した全案件23件である。調査結果が通知された案件は掲載37件・非掲載34件と、ほぼ五分五分の割合となっている。非掲載となった案件にも興味深い案件はある。このエントリーでそれらの案件をしみじみと味わっていただきたい。

なお、2022年度は、2年ぶりにオンブズマンの発意に基づく調査が実施された。活動状況報告書に調査の要約が掲載されている。

(注1)当ブログ開設者は、オンブズマン調査は全件公表を原則とするべきであると考えている。全件公表がオンブズマンに調査の質の確保を動機づけるとともに、オンブズマン調査に飽き足らない市民に対しては自ら行動する契機となりうると考えるからである。この点、札幌市よりも遅れて自治体オンブズマン制度を設けた熊本市では、全件・全文の公開を原則とした運用がなされていることは注目に値する。

(注2)2021年度(令和3年度)は、苦情申立件数全112件中、調査結果を通知した案件が79件であった。このうち、40件が活動状況報告書に掲載されていた(非掲載39件)。2022年度は、苦情申立件数が前年から18件減少したものの(全112件→全94件)、調査結果が通知された案件の件数の減少の程度はゆるやかであった(全79件→全71件)。そのため、活動状況報告書に掲載された件数もほぼ前年並みとなっている(40件→37件)。なお、調査結果を通知しなかった案件(2021年度同様、活動状況報告書には全件非掲載)は9件減少している(全33件→全24件)。

(1) 調査結果を通知したもの(34件)
第2022-1号
 生活保護受給者が、市側の都合で長らく家庭訪問をしなかったにもかかわらず、訪問日を強制的に決定するとともに、訪問日には体調不良であったにもかかわらず訪問が強行され、資産報告書及び預金通帳の写しの提出も強制されたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-3号
 新型コロナウイルスの感染者がホテル療養するに際し、当初は他の感染者と同乗するという説明だったのに、翌日には単独で搬送できることになったとして、当初の説明と職員の説明時の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-6号
 滞納している市税の取扱い及び担当職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-7号
 市から業務を受託している企業で就労している者が行った通報について、市が正式の「公益通報」として取り扱わなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-8号
 生活保護受給者の担当ケースワーカーが交代したにもかかわらず交代前のケースワーカー名の押印された封筒が送付されてきたり、架電した際に交代前のケースワーカーが電話を受けることがあるなど本当に交代したか疑わしく、長期にわたって家庭訪問も行われていないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-15号
 生活保護受給者が入居している住居の管理会社から退去させられたことに関し、保護課が十分な説明をしてくれず、所持品の取扱いも不適切であったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-18号
 申立人が札幌市立学校に在学していた当時に教諭から性暴力を受けたことについて、札幌市教育委員会のその後の一連の対応が適切ではなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-20号
 非公開とされた部分が多く詳細は不明であるが、申立人が児童相談所に虐待の通報をしたことについて、児童相談所が当該児童の世帯に情報を漏洩したとして苦情が申し立てられたと思われるケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-22号
 敬老優待乗車証のチャージのために郵便局を訪れた際の職員の対応(詳細不明)等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-24号
 生活保護受給者が保護課から適切な支援を受けていないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-27号
 児童相談所に一時保護された児童について、児童相談所が申立人の意向に添った対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-28号
 公文書公開請求をしたところ、当初なされた一部公開決定では対象公文書の特定に漏れがあり、追加決定がなされることになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-36号
 申立人が納税のために市税事務所を訪問した際に同行した者がいることについて、日常的に市税事務所と連絡を取っている同行者とは別の人物に市職員が伝えたのは個人情報の漏洩であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-41号
 申立人の母がショートステイを利用した際、事業所で何某かのアクシデントがあったことに関し、市の当該事業所に対する権限行使及び申立人への市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-42号
 申立人が通所する就労継続支援B型事業所が営む軽食喫茶店について情報提供した際の市職員の申立人の対応及び当該事業所に対する市の権限行使のあり方について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-47号
 生活保護を受給する申立人が担当ケースワーカーの対応に不満があるとして、上司による対応等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-48号
 申立人がかつて勤務していた介護保険事業所が報酬を不正に請求しているという申し出をきっかけとして、市が事業所から提供を受けた資料について申立人が個人情報開示請求をしたところ、すでに廃棄済みであることを理由として非開示決定がなされたことを不服として、再度調査を実施することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-50号
 生活保護を受給する申立人が、生活扶助が1万円ほど少なくなったのは誰かが着服したためではないかとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-51号
 生活保護を受給する申立人が同一世帯構成員が施設に入所するに際し、当該構成員の受給する年金及び通帳の取扱い等について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-52号
 札幌市オンブズマンの調査に関する文書について公文書公開請求を行った申立人が、非公開部分の特定をするとともに当該箇所を非公開とする理由を明確に記載した通知書の交付を求め、あわせて決定通知書記載の非公開理由のひな形について、非公開情報該当性についての記載の明確にすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-61号
 申立人の関係人が市立札幌病院に入院しているところ、当該関係人が他の病院に転院することを病院職員が妨害しているとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-62号
 生活保護受給者が転居費用の支給や担当ケースワーカーの交代を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-64号
 生活保護受給者が、転居にともない家賃が安くなったにもかかわらず適時に住宅扶助の金額が変更されず、過支給となったために分割での返還を余儀なくされたとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-69号
 生活保護を受給する申立人が、担当のケースワーカーの一連の対応や窓口を訪問した際に元警察官が同席したこと等に不満を覚え、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-70号
 札幌市の業務を受託した企業の従業員が当該業務の遂行過程において、市職員から怒鳴りつけられる等のパワハラ行為を受けたとして、当該職員への処分等の対処を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-75号
 札幌市から除雪業務を受託した事業者の「除雪センター」及び札幌市の「土木センタ―」が申立人からの問合せに適切な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-77号
 札幌市に寄付をするに際し特定の日付を希望日として伝えていたにもかかわらず、市からの連絡が途絶えたことにより当該特定の日付で寄付することができなかったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-80号
 生活保護受給者が、非常食の支給が途中で打ち切られたこと等を不服として苦情が申してられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-82号
 生活保護受給者が、金銭の借り入れが確認できたので保護を打ち切らなければならないと通告されたが、結局何も見つからず、その後の職員の対応も誠実さを欠くとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-83号
 申立人と関係のある「本人」が生活保護を受給しているところ、保護課が申立人が依頼しても「本人」の安否確認をしない等その対応に問題があるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-84号
 身体障害者手帳を取得した申立人が、医療費助成について当該助成の申請日より遡って疾病の発生日とすることを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-86号
 就学指定先が変更される前に申立人の関係者が通っていた小学校における「いじめ」に関し、一連の学校の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-88号
 札幌市内に事務所を開設する士業者が、市が所有する建物を利用する顧問先法人の解散に関し市からの問合せに再三にわたり対応を余儀なくされたり、荷物の保管を要求される等、過大な負担を負わされているとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)
第2022-94号
 住民税非課税世帯を対象とした特別給付金の申請書類が届かなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:神谷奈保子)

(2)調査結果を通知しなかったもの(23件)
第2022-9号
 特定のオンブズマンの担当案件数が他のオンブズマンより少ない事情について問い合わせたことについて、実質的に意義のある回答がなされるまで照会を繰り返すことになったのはいかにも煩わしいとして、市民からの照会にはできる限り速やかに適切な回答をすることを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人の直接の不利益が存在しないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-16号
 住基カードを紛失したので区役所の戸籍住民課に再発行を依頼したが再発行を受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。苦情内容を追加して新たな苦情を申し立てるとして、いったん申立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-23号
 市が道路工事を委託した事業者によるずさんな工事により自宅が被害を受けたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人による苦情申立ての取り下げにより、調査は実施されなかった。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-25号
 市が検討中の「町内会支えあい条例」、パートナーシップ排雪はいずれも不要であり、冬季五輪も実施すべきではないとして、苦情が申し立てられたケース。苦情はいずれも市の政策への意見であり、申立人自身に利害があるといえないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-30号
 生活保護受給中の申立人が入居中の住宅の大家から退去するよう命じられたが借地借家法に違反しているとして苦情が申し立てられたケース。住居の貸主・借主間の関係は「市の業務」に該当せず、市の対応に関してはすでに調査を実施している(第2022-15号)として、申立人に対し苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-31号
 過去に2度、居宅に滞在していた際に保健師が訪問してきて病院に救急搬送されることがあったとして、苦情が申し立てられたケース。苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過しているとして、申立人に苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-33号
 介護施設内で生じた窃盗事件を施設がもみ消しをするのに市職員が加担する等の行為があったとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が現に施設と係争中であるとともに、苦情申し立ての原因となった事実のあった日から1年が経過しているとして、申立人に苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-34号
 生活保護を受給している申立人が、過去に年金を受給した際に返還の通知を受けるまで3年近くかかったことの理由を調査することを求め、苦情が申し立てられたケース。申立ての原因となった事実からすでに10年以上経過しているとして調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-39号
 学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして、苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022−40号
 申立人の子が学校でいじめを受けているにもかかわらず、学校が十分な対応をしないとして苦情が申し立てられたケース。すでに実施した調査(第2022-11号)と同旨の申立てであるとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-54号
 オンブズマンに苦情を申し立てたところ、調査が開始される前に調査対象となる部局の職員が申立人に接触を図ることはオンブズマン調査の公正・中立性に疑義を生じさせるとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が「利害」を有さないとして、苦情について調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-58号
 オンブズマンが調査を実施する要件たる「申立人の利害」について市民に周知を図ること、オンブズマン事務局がオンブズマンの公正・中立性に疑義を生じさせる行為を慎むこと及び苦情申立がなされた場合にはオンブズマンが調査を実施する・しないに関わらず「受理通知」を送付することを求めて、苦情が申し立てられたケース。いずれも「オンブズマンの行為」に対する苦情であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-59号
 退職した勤務先から支払われた給与が収入認定されたことを不服として、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-65号
 農業委員会総会の場におけるある委員の発言が「委員たるに値しない非行」に該当するとして、苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情がある」ことを理由として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-66号
 新型コロナウイルスの感染者情報の公開が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。「札幌市が公表する新型コロナウイルス感染者情報が、申立人御自身に直接的・具体的な利害があるとは言えません」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
第2022-67号
 申立人の土地が産業廃棄物の保管場所となっていることについて、業者が道路占有を申請する際に地番を誤認するとともに、当該誤認を市が十分確認しなかったためであるとして、これまで市に説明を求めてきたが納得のいく回答が得られず、2022年4月に再度質問したがこれまでの回答と変わらなかったとして苦情が申し立てられたケース。苦情申立ての原因となった工事が平成30年の出来事であり、「申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-68号
 肺炎球菌ワクチンの接種について保健所に問い合わせたにもかかわらず、適切な情報提供を受けられなかったとして苦情が申し立てられたケース。調査に着手したものの、問い合わせがなされたのが2021年6月のことであり、「申立の原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査中止が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-72号
 申立人の関係人の虐待致死事件に関し市に高齢者虐待防止法に基づく通報を行ったところ、市は介護保険法に違反する事実は認められないとして申立てを棄却したが、その結論は不当であり、市が事業者に対し適切な処分を行うことを求めて苦情が申し立てられたケース。申立人は当該関係人が2020年1月に入院して適切な医療を受けていれば死亡しなかったと主張しているところ、「申し立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している」として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-78号
 中通りにある有料駐車場付近の除雪に関し苦情が申し立てられたケース。申立人が「申立ての原因となった事実についての利害を有しない」(札幌市オンブズマン条例16条1項1号)として、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-79号
 申立人の関係者が生活保護を受給しているところ、申立人が保護課に対し当該受給者への対応を求めても適切な対応がなされなかったとして苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情申立ての取り下げにより、調査は中止された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-90号
 除雪センターの弁護士から届いた内容証明郵便の記載内容が、市民が適切な行政サービスを受けられないかのような記載であるとして、苦情が申立られたケース。発端が同じような近接した時期に起こった事案についてすでに調査を完了しており、この案件でオンブズマンが新たな見解を示すとは考えにくいとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)
第2022-91号
 市立病院で医療過誤があった件について、損害賠償を請求するつもりであり、市立病院の医師賠償責任保険加入についても調べてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。医療行為に関する高度な専門的知見を欠くオンブズマンには調査が困難であるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)
第2022-92号
 子どもが通う小学校でいじめのようなことがあり、学校及び教育委員会に対応を求めているが十分ではないとして苦情が申し立てられたケース。オンブズマンとの面談の日程が決まらないとして、苦情申し立てが取り下げられた。(担当オンブズマン:田村智幸)