2019年1月に調査を終了した案件を紹介するエントリーで、第2019-85号の案件については、機会を改めて検討したいと記述した。この案件は、札幌市オンブズマン制度の活動状況を紹介する、「平成30年度札幌市オンブズマン活動状況報告書」の内容に不満があるとして、当ブログ開設者が申し立てた苦情である。
この案件、担当した房川樹芳オンブズマンは、「活動状況報告書」の作成及び公表は「オンブズマンの行為」という、オンブズマンの所轄外の事項であるとして(札幌市オンブズマン条例3条6号)、調査を実施しないという判断を行った。
しかしながら、過去に実施された第29-42号の案件では、オンブズマン事務局を対象とする苦情調査等を市民向けに公表してほしい、という苦情が、オンブズマンによる調査の対象となっている。この点、第2019-85号のオンブズマン判断によるならば、調査結果の公表は「オンブズマンの行為」として、オンブズマンの所轄外の行為になるのではないか。
また、第29−71号の案件では、オンブズマン調査の進め方について苦情が申し立てられている。苦情調査の進め方という段取りは、これこそ「オンブズマンの行為」に他ならないと思われるのだが、どういうわけか、この案件もまた、オンブズマン調査の対象となっている。
このような取り扱いの差は、いったい何に由来するのか、興味をそそられるところであるが、平成29年度(2017年度)のオンブズマンは、単なる名義貸しで、「オンブズマンの行為」として具体的な活動を行っていなかったのが、平成30年度(2018年度)の活動状況報告書を作成・公表に関しては、「オンブズマンここにあり」とばかりにしゃしゃり出た、ということなのかもしれない。
そこで、オンブズマン事務局に対し、第2019−85号では調査を実施せず、第29−71号では調査を実施していることをふまえ(どちらの案件も担当は房川樹芳オンブズマン)、「札幌市オンブズマン条例3条6号が規定する「オンブズマンの行為」とは、具体的にどのような行為を指すのか」等の照会を行った。
これに対し、事務局からは、「今回のお問い合わせにお答えすることは、オンブズマンの調査結果や判断内容に触れる可能性がありますので、事務局としてお答えすることはできません。」という回答があった。
以上の次第で、札幌市オンブズマンが活動する上で、何がオンブズマンの所轄外の事項たる「オンブズマンの行為」となるのか、きちんと整理しておかないと、場当たり的なその場しのぎの対応を繰り返し、制度への信頼が(あればの話だが)毀損されるように思われるのだか、いかがであろうか。
以上の次第で、札幌市オンブズマンが活動する上で、何がオンブズマンの所轄外の事項たる「オンブズマンの行為」となるのか、きちんと整理しておかないと、場当たり的なその場しのぎの対応を繰り返し、制度への信頼が(あればの話だが)毀損されるように思われるのだか、いかがであろうか。
ところで、平成30年度の活動状況報告書については、「正誤表」が公表されている。当初発行された活動状況報告書は、処理日数の状況の記載に誤りがあったようだ。この点、「活動状況報告書」の作成・公表が「オンブズマンの行為」であるとすると、どうやら札幌市では、処理に61日以上要した件数が2か3か(あるいは、処理に46日~60日要した件数が13か14か)、数えることもままならない人物が、オンブズマンに任用されているようだ・・・・。
このほか、第2019-85号の案件では、申立人の苦情が割愛されたり、改竄されたりしている。オンブズマンが配慮して、申立人の人格を疑わせるような口汚ない表現を削除したのか、それとも、オンブズマンにとって不都合な内容を隠蔽するためであるのか、その理由は定かでないが、以下に記しておく。
①巻頭言について
「苦情について調査しない旨の通知書(以下、「通知書」という。)」における「苦情申立ての趣旨」には、「オンブズマン報酬をもらうだけもらっておいて市民へ向けた挨拶もなしに退任するのは問題である」と記載されているが、申立人は「問題である」という、なまくらな表現は用いていない。
申立てにおける表現は、「オンブズマン報酬をもらうだけもらっておいて市民へ向けた挨拶もなしに退任するというのは、まさにカネと共に去りぬ、gone with the moneyの趣である。来る2月末をもって退任する杉岡直人オンブズマンも、「死人に口なし」の状況に陥ることは望まないのではあるまいか。」であった。
「カネとともに去りぬ、gone with the money」と言いたいがために申し立てた苦情であるにもかかわらず、肝心のこの部分を「問題である」などというなまくらな表現に置き換えた房川樹芳オンブズマンは、万死に値する。
②苦情処理日数の状況について
通知書における「苦情申立ての趣旨」では、以下の記述が完全に割愛されている。「オンブズマンの行為」に誤りがあったことを隠蔽するためであろうか。
「平成28年度の活動状況報告書においては、苦情処理日数の状況について、それまでの31日~60日の括りを2分割しているが、この程度では小手先の対応をいわざるを得ない。
また、本件報告書に掲載されている「苦情処理日数の状況」のデータは、当初、誤りがあったとして、その後、訂正がなされているが、次年度は、こうした誤りがないようにすることを望む。特に、オンブズマン事務局は、本件苦情申立人に対し、苦情処理日数のデータについて出し惜しみをしておきながら、その相手方から苦情処理日数の状況についてデータの誤りを指摘され、訂正に至っている。実に杜撰な対応である。」
「平成28年度の活動状況報告書においては、苦情処理日数の状況について、それまでの31日~60日の括りを2分割しているが、この程度では小手先の対応をいわざるを得ない。
また、本件報告書に掲載されている「苦情処理日数の状況」のデータは、当初、誤りがあったとして、その後、訂正がなされているが、次年度は、こうした誤りがないようにすることを望む。特に、オンブズマン事務局は、本件苦情申立人に対し、苦情処理日数のデータについて出し惜しみをしておきながら、その相手方から苦情処理日数の状況についてデータの誤りを指摘され、訂正に至っている。実に杜撰な対応である。」
③オンブズマン制度の枠外における改善について
申立てでは、「本件報告書15頁に掲載された案件では、申立人の審査請求に対する裁決で不支給処分が取り消され、申請時から児童扶養手当が支給されている。」という具体的事情の存在を前提に、「オンブズマン制度の枠外で改善が図られたケース」を活動状況報告書へ掲載することを求めたにもかかわらず、通知書における「苦情申立ての趣旨」では、上述の具体的事情が割愛されている。
また、申立てでは、「上述の具体的な案件では、担当の房川樹芳オンブズマンが「確実な証拠の提出についての基準の明確化」について言及しているのに対し、裁決においては「確実な証拠の提出を求めること」は、法が定める以上の要件を求めるものであるとしてバッサリと切り捨てている。そのため、裁決の結果を紹介した場合には、オンブズマンが赤っ恥をかくことになるかもしれないが」と記述しているにもかかわらず、通知書における「苦情申立ての趣旨」では、この部分も割愛されている。
申立人は、活動状況報告書の記載について、単に抽象的・一般的な改善要望を行っているのではなく、具体的事例をベースとして、改善要望を行なっているのである。したがって、当該具体的事例を割愛した場合、苦情を抽象論としての改善要望に矮小化することになるであろう。
もっとも、房川樹芳オンブズマンにとっては、自らが是認した不支給処分を裁決が取り消したことは、隠蔽したい不都合な真実なのかもしれないが、だからといって申立人の苦情の改竄に手を染めることは、決して許されることではないだろう。
申立てでは、「本件報告書15頁に掲載された案件では、申立人の審査請求に対する裁決で不支給処分が取り消され、申請時から児童扶養手当が支給されている。」という具体的事情の存在を前提に、「オンブズマン制度の枠外で改善が図られたケース」を活動状況報告書へ掲載することを求めたにもかかわらず、通知書における「苦情申立ての趣旨」では、上述の具体的事情が割愛されている。
また、申立てでは、「上述の具体的な案件では、担当の房川樹芳オンブズマンが「確実な証拠の提出についての基準の明確化」について言及しているのに対し、裁決においては「確実な証拠の提出を求めること」は、法が定める以上の要件を求めるものであるとしてバッサリと切り捨てている。そのため、裁決の結果を紹介した場合には、オンブズマンが赤っ恥をかくことになるかもしれないが」と記述しているにもかかわらず、通知書における「苦情申立ての趣旨」では、この部分も割愛されている。
申立人は、活動状況報告書の記載について、単に抽象的・一般的な改善要望を行っているのではなく、具体的事例をベースとして、改善要望を行なっているのである。したがって、当該具体的事例を割愛した場合、苦情を抽象論としての改善要望に矮小化することになるであろう。
もっとも、房川樹芳オンブズマンにとっては、自らが是認した不支給処分を裁決が取り消したことは、隠蔽したい不都合な真実なのかもしれないが、だからといって申立人の苦情の改竄に手を染めることは、決して許されることではないだろう。