2019/12/26

2019年11月に調査を終了したケース

2019年12月1日、同年11月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、12月15日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2019年11月)に調査を終了したのは12件で、このうち9件で調査結果が通知されている。また、1件は申立人による苦情申し立ての取り下げにより、2件は調査をしない旨が通知され、調査が終了している。

その中で注目されるのが、第2019-61号である。この案件は、り災証明書における損壊の程度に関し苦情が申し立てられた事例であるが、オンブズマンは、「そのような専門的知見を持たないオンブズマンが調査・判断をすることは相当ではない」として、札幌市オンブズマン条例16条2項が定める、「調査することが相当でない特別の事情があると認められるとき」という、調査対象外事項に該当すると判断した。さしづめ、札幌市オンブズマンのど素人宣言”とでも言えようか。

ところで、札幌市オンブズマンは、「人格が高潔で、行政に関し優れた識見を有する者のうちから、議会の同意を得て、市長が委嘱する」(札幌市オンブズマン条例8条2項)とされている。したがって、オンブズマン自身が「そのような専門的知見」を持たないことを公言してはばからないとしても、どのような点で「行政に関し優れた識見を有する者」であるのか、大いに関心をひかれるところである。

もっとも、「行政に関し優れた識見を有する者」をオンブズマンに任用しようにも、森羅万象あらゆる行政に関して精通した人物を任用することなど、そもそも無理な話であるようにも思われる。そうであるならば、特定分野に精通した人物をオンブズマンとして任用するにしても、専門外の事項についてはど素人であるということを、制度としては織り込み済みと考えるべきなのかもしれない。

また、オンブズマンが苦情として取り扱う事項についてど素人であったとしても、そのことで直ちに制度運用に支障が生じると断言するのも困難である。むしろ、オンブズマン調査の対象となった部局には、ど素人のオンブズマンにも理解できるように説明することが求められるのであり、オンブズマンによる調査は、市職員が対外的な説明能力を向上させる絶好の機会になり得るものである。つまり、オンブズマンによる調査過程そのものが、札幌市オンブズマン制度の目的である「市政の改善」(札幌市オンブズマン条例1条)につながるわけである。

それにもかかわらず、今回の第2019-61号では、市の回答が示されることなく調査が終了している。当ブログ開設者は、市職員による説明機会の喪失という不利益は決して小さくないと考えるが、残念ながら担当オンブズマンは、苦情に関する事項について専門的知見を持たないのみならず、オンブズマン制度の存在意義についての知見も欠いているように思われる。

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①第2019-52号
 障害福祉サービス受給者証の更新手続きについて問い合わせた際の職員対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマ:八木橋眞規子)

②第2019-53号
 生活保護受給者に対する担当ケースワーカーによる一連の対応等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

③第2019-54号
 隣地の住宅新築工事において違法なブロック塀が設置されているにもかかわらず、市の対応が不十分であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)


④第2019-55号
 日常生活用具の給付決定に時間がかかったために消費税増税分の負担を強いられることになったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑤第2019-56号
 市営住宅退去時に敷金を超える金額を負担するよう請求されたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑥第2019-57号
 生活保護受給者が、水道を止められたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑦第2019-58号
 街路灯から落下したサビにより車の屋根が損傷したことに関し、市には賠償責任はないという回答のほか、職員の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑧第2019-59号
 市営住宅の自治会に対する市の指導が不十分である等、市の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑨第2019-61号
 地震で損壊した住宅が「一部損壊」と判定されたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。「苦情について調査しない」旨が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑩第2019-63号
 生活保護受給者が担当ケースワーカーから、同じマンションの居住者の前で名前を呼ばれたのは個人情報の漏洩であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑪第2019-64号
 国民健康保険料の滞納により財産を差し押さえられたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑫第2019-71号
 市営温水プールの水泳教室における先生の評価に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。当該水泳教室は温水プールの指定管理者の独自事業で「市の業務」に該当しないとして、「苦情について調査しない旨」が通知され、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2019/11/27

2019年10月に調査を終了したケース

2019年11月1日、同年10月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、11月15日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(2019年10月)に調査を終了したのは5件で、このうち4件で調査結果が通知されている。また、残る1件は申立人による苦情申し立ての取り下げにより、調査が終了している。

その中で注目されるのが、第2019-41号である。この案件を担当した房川樹芳オンブズマンは、文章表現の稚拙さが特に際立つオンブズマンであるが、この案件もまた然り、である。

まず、この案件は、障害福祉サービスの利用者が市に対応を求めた際の職員の対応について苦情が申し立てられた案件である。そして、その前提として、サービス利用契約が事業所によって一方的に解約されたという申立人の主張と、申立人からサービス利用契約の解約の申入れがなされたという事業所の主張が対立している。

この点、苦情等調査結果通知書(以下、「通知書」という)12頁で、「契約の解約の理由については、・・・(中略)・・・その場にいなかったオンブズマンには、どちらの主張が正しいかわからないことから、事実認定についての判断を述べることはできません。」という判断が示されているが、ここでいう「事実認定」とは、市の担当課が事業所に問い合わせたところ、申立人が申し立てる事実の存在は確認できなかったという市が行った「事実認定」を指すのか、それとも、オンブズマン自身が申立人と事業所の間で起きた「事実」について認定できないということなのか、その趣旨は不明である。

次に、この案件でサービス契約の解約をめぐり問題になっているのは、解約の「理由」ではなく、解約の「手続き」であろうと思われる。現に、同頁1行目の見出しには、「不適切な契約の解約の手続き」と明記されている。「理由」と「手続き」の区別もつかないのは、いささかお粗末であろう。

さらに、房川樹芳オンブズマンは、上記のように「事実認定についての判断を述べることはできない」という判断を示しておきながら、通知書14頁では、「申立人に対する契約の解約の理由の伝え方としてはいささか不十分であったように思います。」とも述べている。後者の言い回しでは、あたかも事業所が申立人に契約の解約を通知したかのように読めるが、「事実認定についての判断を述べることはできない」のではなかったか。

すなわち、市の説明によると、事業所が申立人に申し入れたのは、「朝の支援からの撤退」であり、夜の支援は継続する方針であったというのである。したがって、「事実認定についての判断を述べることができない」ならば、「事業所による契約の解約」という申立人が主張する事実を前提とする、「解約の理由の伝え方が不十分」という判断を示すこともできないはずである。

もっとも、房川樹芳オンブズマンとしては、事業所による契約全部の解約の場合のみならず、提供するサービスの一部から撤退する場合にも、事業所は利用者に対しその理由を説明することが求められる、ということをいいたい模様である(12頁6段落目参照)ことからすると、14頁の「解約の理由」という記述も、事業所による契約の一方的解約であるか事業所によるサービスの一部からの撤退であるかを問わず、事業所はサービスの利用者に対しその理由を説明する必要があると、読み手の側で忖度せよ、ということなのかもしれない(ただし、読み手に忖度を強いるのであれば、オンブズマンもなかなかの殿様商売である)。

ところで、当ブログ開設者としては、この案件では、事業所が「一方的」に「朝の支援からの撤退」を申し入れたことが、正当な理由のないサービス提供の拒否に該当するのか否かが、一番の問題であると考えている。そのため、申立人による「一方的に解約された」という主張も、事業所が契約解除の意思表示を行ったという法的主張というよりは、事業所が解約のきっかけをつくったという主張と解すべきであると思われる。

この点、房川樹芳オンブズマンは、「市においては、当該事業所に対して、契約の解約の契機となる朝の支援の撤退の理由が正当な理由に該当することを申立人も納得したうえで、合意して契約の解除に至ったのかの確認とそれに伴う指導が不十分であったようにオンブズマンは思います。」と述べている(通知書13頁)。

しかしながら、「正当な理由のないサービス提供の拒否」という法令違反行為(となるのかどうかも一つの論点であるが)を前提に、利用者が事業所に愛想をつかしてサービス利用契約を解約することは十分考えられる。したがって、サービス提供の拒否に正当な事由があるかということと、契約の解約に申立人が納得しているかということは、別次元の問題である。それにもかかわらず、その区別していない房川樹芳オンブズマンの判断は、何が問題であるかを十分把握していないように思われる。

また、市の権限行使のパターンの一つに、事業所に法令違反の疑いがある場合に、当該違反の存否を確認するとともに、違反があった場合にその是正を求めるということがある。そのため、たとえそれが申立人のためであるとしても、市が、「申立人も納得して契約の合意解約に至ったのか」という、法令違反に関わらない内容で事業所の対応に介入をした場合、事業所からオンブズマンに対し、市の介入が過剰であるという苦情が申立てられる可能性も否定できないであろう。

もっとも、市の権限行使の適否が一つの論点になるとしても、本件は、申立人は市が十分に自分の味方になってくれなかったと感じていることが、苦情申立の背景にあると思われる。そのため、市がその権限を適切に行使したとしても、こうした申立人の思いとのギャップを埋めるのは、実際のところ困難かもしれない。

なお、札幌市障害者総合支援法施行条例は、重度訪問介護にかかる指定障害福祉サービスの事業者が利用者またはその家族から苦情を受け付けた場合には、その内容について記録することが義務づけられている(同条例50条は同条例46条2項も準用)。また、事業者は、「利用者又はその家族からの苦情に関して」市又は市長による調査に協力する義務を課している(同条例50条が準用する同条例46条3~5項)。

そうすると、今回の市の対応は、申立人から苦情を受け、事業所に電話をかけて問い合わせるのみだった模様であることからすると、それ以前からの一連の経緯も含め、事業所が申立人からの苦情に関し適切に記録を作成・保管しているか等、市の事業所への調査が適切であったかということについて、オンブズマンが見解を示す余地はあったように思われる。

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①第2019−41号
 事業所から一方的に障害福祉サービスの利用契約を打ち切られたと主張する申立人から、そのことの不当性を訴えた市職員の対応等について、苦情が申し立られたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

②第2019−48号
 特別障害手当受給の再認定の際に医師の診断書が必要とされることについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

③第2019−50
 札幌市外の医療機関の経理担当者から、札幌市に介護保険の主治医意見書作成料を請求した際、これまで提出を求められたことのない法人代表者の委任状が必要であるとの連絡を受けたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

④第2019−51号
 企業所有のマンションにおいて入居世帯数の水道料金を支払えばよいところ、全世帯数の水道料金を支払っていたとして、過去10年間に過払いした水道料金の返還を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑤第2019−60号
 市営住宅の入居者が、他の入居者から嫌がらせを受けているとして、市の対応を求めて苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2019/10/28

2019年9月に調査を終了したケース

2019年10月1日、同年9月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、10月15日に一部公開決定がなされた。 

上記の期間(2019年9月)に調査を終了したのは6件で、このうち5件で調査結果が通知されている。また、残る1件は申立人による苦情申し立ての取り下げにより、調査が終了している。


ところで、今回公開を受けた案件のうち、第2019−47号は、市営住宅に居住する申立人が、当該住宅の管理人の対応について、苦情を申し立てた案件である。この案件は、一部公開決定通知書において、「苦情等調査結果通知書」の「①申立人の居住地がわかる部分」及び 「②区の名称」が「非公開部分」として記載されているところ、
交付を受けた「苦情等調査結果通知書」の「写し」では、従前、市営住宅の指定管理者であった事業者名、新たに指定管理者となった事業者名及び新たな事業者が指定管理者となった時期等が非公開とされていた。

申立人は、指定管理者である事業者に居住しているわけでなければ、指定管理者が変更となった時期に居住しているわけでもなく、いったいどのような理由により、これらの部分が非公開部分に該当するのか、その対応関係は不明である(指定管理者名と変更となった時期がわかれば「居住地がわかる」という趣旨であろうか)。

また、2019年6月20日に調査を終了した第2019-9号は、この案件と同様に、市営住宅の居住者が苦情を申し立てた案件であるところ、「申立人の居住地がわかる部分」が「非公開部分」とされているにもかかわらず、平成30年4月から市営住宅の指定管理者が交代したこと及びそれ以前の指定管理者が札幌市住宅管理公社であったことが記載されている部分は、非公開とはされていなかった(なお、第2019−9号においても、新たに指定管理者となった事業者名については非公開とされているが、webで検索したところ豊平区、清田区、南区及び厚別区の市営住宅の指定管理者は、平成30年3月31日までが札幌市住宅管理公社であり(くわしくは12を参照されたい)、平成30年4月1日からは株式会社東急コミュニティーとなっている(くわしくは34を参照されたい)ことが判明した)。

以上の次第で、この案件における「非公開部分」の取扱いは、従前、市営住宅の指定管理者であった事業者名及び指定管理者が交代した時期が「申立人の居住地がわかる部分」といえるのかという点、さらに、従前、市営住宅の指定管理者であった事業者名及び指定管理者が交代した時期を非公開とする取扱いが、過去に交付を受けた案件と異なるという点について、疑問を抱かざるをえない。

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①第2019−38号
 生活保護を受給している申立人が、転居するならば自費で転居するようにいわれたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

②第2019−42号
 国民健康保険の被保険者証が届かなかったこと及びその後の市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

③第2019−45号
 自宅付近の階段においてカラスへの注意を喚起するための市の対応が不十分であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

④第2019−46号
 市立図書館において、図書の延滞者への対応が不十分であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑤第2019−47号
 市営住宅に居住する申立人が、当該住宅の管理人の対応が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
 なお、本件苦情にかかる市営住宅において、施設管理の指定管理者となっている株式会社東急コミュニティーが開設するインターネットサイト(ここ)及び一般財団法人札幌市住宅管理公社のインターネットサイト(ここ)も参照されたい。


⑥第2019−49号
 生活保護受給者が、転居を希望しているにもかかわらずそのための費用が支給されないとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が苦情を取り下げたことで、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)


2019/09/25

2019年8月に調査を終了したケース

2019年9月1日、同年8月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、9月17日に一部公開決定がなされた。 

上記の期間(2019年8月)に調査を終了したのは11件で、このうち8件で調査結果が通知されている。また、残る3件のうち2件は申立人による苦情申し立ての取り下げ、1件は申立人の死亡により調査が終了している。


このうち、第2019−30号は、市にカラスの巣の撤去を求めて苦情が申し立てられた案件である。札幌市オンブズマンは、2018年度に「カラスによる被害と対策の周知啓発」と題する発意調査を行っているところ、市民向けの周知がいかに困難であるかを如実に示しており、たいへん興味深い。


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①第2019−16号
 かつて市立札幌病院に勤務していた申立人が、配偶者の勤務先の理事長等に申立人を誹謗中傷する発信人不明の怪文書が送付されたことについて、病院の職員が関与した疑いがあるとして病院が調査を実施したものの満足のいくものではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)


②第2019-26号
 市立札幌病院に勤務していた申立人が任期満了により退職した後、新たな勤務先の関係者に申立人を誹謗中傷する発信人不明の怪文書が送付されたため病院に問い合わせたところ、内部調査を行い結果を報告するということであったが、発信人を特定することは困難であるという回答であったことから、怪文書の発信者が誰であるか徹底な調査を行うことを求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

③第2019−30号
 自宅近くにカラスが営巣し、申立人を含む通行人を威嚇したり攻撃することから、早急に巣の撤去すること等を求めて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
 
④第2019−32号
 申立人の子が児童相談所に一時保護されたこと及び一時保護に至る経緯に納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑤第2019−33号
 生活保護を受給している申立人が、通所していたデイケアでトラブルに巻き込まれたにもかかわらず、担当ケースワーカーが十分な対応をしてくれないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑥第2019−36号
 認可保育所の近隣住民が、当該保育所の建設工事の開始前に、保育所を建設する法人による地域住民に対する十分な説明と質問に対する明確な回答を求めたいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑦第2019−37号
 市民プールの更衣室に職員が入室してきた(当ブログ開設者注:当該部分が非公開とされているが、利用対象の性別とは異なる性別と思われる。)として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑧第2019−39号
 自宅向かいのマンションが市道に雪出しをしていることについて、市の回答文書には「雪出しは行われていないことを確認している」とあるが、このような回答は虚偽であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑨第2019−40号
 市の委託業務を行っているNPO法人の運営に問題があるとして市の所管課に相談したが、担当者が積極的に関わろうとしないこと等について苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑩第2019−43号
 被相続人が死亡した直後、市税事務所から被相続人の未払住民税の見込額の通知があり、その後、確定した未払額を記載した納税通知が送られてきたが、未払額を把握した時点で相続人に連絡していれば、正しい遺産分割協議と相続税の申告納税手続きができたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の死亡により調査を終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑪第2019−44号
 事前の案内がなく、突然歩道の工事が開始されたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の苦情を取り下げにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

2019/08/26

2019 年7月に調査を終了したケース

2019年8月1日、同年7月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、8月15日に一部公開決定がなされた。 

上記の期間(2019年7月)に調査を終了したのは12件で、このうち8件で調査結果が通知されている。また、残る4件のうち2件は申立人による苦情申し立ての取り下げ、2件は申立人に調査しない旨が通知され、調査が終了している。


このうち、(オンブズマン判断の妥当性が疑わしいという意味で)興味深いのが、第2019-34号である。この案件は、札幌市役所に臨時職員として勤務していた申立人が、アルバイトに応募した際の書類を見た職員から連絡がきたことを契機に申し立てられた苦情である。担当オンブズマンは、連絡をした職員の行為は、「市の機関の業務の執行に関する」ものではないとして、調査を行わない旨を決定した。

しかしながら、札幌市個人情報保護条例は、「個人情報取扱事務の目的に照らし保有する必要がなくなった個人情報については、確実に、かつ、速やかに廃棄し、又は消去すること」を規定するとともに(同条例11条1項3号)、「実施機関の職員(…中略…)又は職員であった者は、その事務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない。」と定めている(同条例11条2項)。

当ブログ開設者としては、アルバイトに応募するために提出した書類を見た職員が私的にその情報を利用することは、札幌市個人情報保護条例が禁ずる「不当な目的」による使用に他ならず、「個人情報の適正管理」という、まさに「市の機関の業務の執行」に不備があった事例であると考えている。

また、オンブズマンは、申立人に対し、札幌市が設ける「ハラスメント」の相談窓口を紹介しているが、市職員が申立人に連絡したことが、オンブズマンのいうように「市の機関の業務の執行」でないならば、当該相談窓口が想定する「ハラスメント」に該当するかの否かも疑問である。すなわち、市職員の業務外の行為も、当該窓口の相談対象となるのか、ということである(ただし、申立人が相談窓口で話を聞いてもらうことにより、一定の効用が得られる可能性はあるかもしれない)

したがって、申立人の苦情が個人情報を記載した書類の廃棄を求める内容であることからすると、オンブズマンはむしろ、札幌市個人情報保護条例が規定する「利用停止請求権」(同条例33条1項)を紹介すべきであったと思われる。

もっとも、この「利用停止請求権」を行使するとしても、まずは個人情報の開示決定を受ける必要がある。そのため、あえてこうした迂遠な手続きを利用することなく、オンブズマンに苦情を申し立てることには十分な理由がある。それにもかかわらず、オンブズマンがこの案件の調査を実施しないのでは、「市民の権利利益を擁護する」(札幌市オンブズマン条例1条)制度が泣こうというものである。


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①第2019-11号
 自宅周辺部の除雪方法及びその後の職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

②第2019-19号
 生活保護の受給している申立人から、保護費の支給を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

③第2019−20号
 国民健康保険の被保険者証が郵送されてこないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)



④第2019−23号
 児童クラブの利用料の口座引き落とし手続きを完了しているにもかかわらず、当該利用料の督促状が届いたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)




⑤第2019−24号
 生活保護を受給している申立人から、転居の関連する費用のうち現住居から退去する費用についても保護費を支給してほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)




⑥第2019−25号
 入居しているグループホームから満足のいくサービスを受けられないでいると市に訴えているにもかかわらず、市の対応が不十分で何ら改善が図られないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)


⑦第2019−27号
 生活保護を受給している申立人から、担当ケースワーカーによる公的年金に関する説明をはじめとする一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑧第2019−28号
 建築計画概要書と異なる建物が建っていることに対する市の担当課の対応について、苦情が申し立てられたケース。オンブズマンが既に調査を行った内容と重複する苦情であるとして、申立人に調査を実施しない旨が通知された。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑨第2019−29号
 市営住宅の居住者と同居していたと主張する申立人が、同住宅の共同物置に保管されていた申立人の荷物が何の断りもなく市の倉庫に移動されたのみならず、荷物の量も減っていたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑩第2019-31号
 突然に生活保護が打ち切られたとして、苦情が申し立てられたケース。申立人による苦情の取り下げにより、調査を終了している。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑪第2019−34号
 臨時職員として勤務していた札幌市の職員から電話がきたが、アルバイトに応募した際の書類から電話番号を知ったということだったとして、個人情報の管理の徹底を求めて苦情が申し立てられたケース。申立人に対しては、調査を実施しない旨が通知された。
(担当オンブズマン:八木橋眞規子)

⑫第2019−35号
 電話を受けた保護課の職員が、勝手に電話を担当ケースワーカーに転送したとして、苦情が申し立てられたケース。申立人による苦情の取り下げにより、調査を終了している。(担当オンブズマン:杉岡直人)