2021/11/02

2020年度の活動状況報告書から考える

今さらながらの感があるが、2021年7月14日に、2020年度(令和2年度)の『札幌市オンブズマン活動状況報告書』が、代表オンブズマン原俊彦オンブズマンから札幌市長に交付された。その時の模様が、以下の写真である。


2020年に2019年度の活動状況報告書が交付された際は、以下の写真のように、3名のオンブズマン立ち合っていたところ、新型コロナ感染拡大のためであろうか、代表オンブズマン1名のみが、市長に活動状況報告書を交付する場に臨席した模様である。


昨年の写真では、まるで居眠りしているかのような姿勢だったオンブズマン、今年はようやくお目覚めを迎えたものの、まだ眠気が抜けきらないかのごとく見えるのは、ご愛敬といえようか。

ところで、この2020年度の活動状況報告書、例年であれば、単年度のオンブズマンの活動状況を紹介する内容であるが、2020年度の活動状況報告書は、制度発足20周年記念号と題し、過去のオンブズマンの活動状況や、歴代のオンブズマンからの寄稿文などが掲載されている。

このうち、歴代のオンブズマンからの寄稿文は、制度発足10周年以降にオンブズマンの職にあった元オンブズマンに寄稿を依頼した模様であるが、井上宏子・元オンブズマンからの寄稿文の掲載はなかった。そこで、すでに落命しているならば寄稿のしようもないと思い、オンブズマン事務局に問い合わせたが、そうした事情は確認できなかった。

当ブログ開設者は、井上宏子・元オンブズマンの健筆に接することができず、実に残念に思っている。もしかすると、存命であっても、すでに文章を執筆できるだけの事理弁識能力を持ち合わせていないのかもしれない。井上宏子・元オンブズマンが、ご健勝であられることを願っている。

そのほか、元オンブズマンの寄稿文の中では、2021年2月末でオンブズマンを退任した、房川樹芳・元オンブズマンの寄稿文の内容も、実に興味深いものであった。房川樹芳・元オンブズマンの言行不一致ぶりが、読み取れるように思われたからである。

それによると、房川樹芳・元オンブズマンは、苦情調査の進め方について以下のように述べている。苦情が申し立てられた後、「市の担当部署から聴取することになりますが、結構、詳細に回答してくれていると感じました。その上で、1か月位を目途として判断します。まずは法規の確認。次に、類似の裁判例がないかの調査。さらに問題点の改善ができないかを考え、双方が納得できるような判断を心がけたつもりです」。

ここでは、「法規の確認」という文言が用いられているが、この2020年度の活動状況報告書に掲載されている房川樹芳・元オンブズマンが同年度に実施した「街路灯の安全対策」についての発意調査は、国の「通知」を参照する一方で、「法規」は全く参照されていない。これは、房川樹芳・元オンブズマンが担当した調査は、苦情調査と発意調査では調査の進め方が異なっていたか、房川樹芳・元オンブズマンが「法規」の語を理解していないかのいずれかであろう。

また、2020年度の活動状況の紹介では、活動状況報告書に担当者名は記載されていないものの、原俊彦オンブズマンが担当した第2020-75号の要約が興味深い(活動状況報告書76頁)。

この案件は、このエントリーでもその問題点を指摘したところであるが、苦情等調査結果通知書の「オンブズマン判断」に記載されていた内容の一部が、活動状況報告書における「オンブズマン判断」の要約からは、見事なまでに削除されている。字数の都合で削除したというよりは、誤りであることが明白であり、さすがにそのまま掲載するわけにはいかなかったのであろう。

以上、当ブログ開設者の感じた点を縷々述べてきたが、札幌市オンブズマン制度も、制度の存在意義を再検討する時期に来ているように思われる。すなわち、これまでは、オンブズマン制度を通じた「市政の改善」とは、オンブズマンの指摘を踏まえ、市が対応を改めるということであった。このような「改善」がなされることは、制度の積極的な存在意義ということができる。

その一方で、必ずしも市政のその分野に詳しくないオンブズマンにも理解できるように、調査対象部局がオンブズマン向けの説明を工夫するならば、このような説明の工夫も「市政の改善」と評価できると思われる。市民一般に向けた説明の改善につながるからである。このような「改善」についても、オンブズマン制度の消極的な存在意義として、正面から認めていく時期にあると、当ブログ開設者は考えている。

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