2022/06/19

札幌市オンブズマン苦情処理日数の状況(年度別・2021年度まで)

2022年6月になり、同年5月に調査を終了した案件の公開決定分の交付を受ける際に確認したところ、当該交付分で2021年度に苦情が申し立てられた全案件の交付が完了したということであった。そこで、オンブズマン事務局に各案件の処理日数のデータ提供を依頼し、提供を受けたデータに基づいて、以下の表及びグラフを作成した。

ところで、(表1)の「結果通知処理件数」とは、「苦情申立件数」のうち、オンブズマンが「苦情等調査結果通知」を発送し、調査を終了した案件の件数である。これらの案件における「処理日数」とは、原則として苦情申し立てを受理した日から、「苦情等調査結果通知書」の発送までに要した日数である(したがって、申立人に苦情の内容を確認するために要した日数は算定から除外されている)。

また、札幌市オンブズマンの制度が発足した初年度の2000年度は、3月に制度がスタートし、運用されたのがわずか1か月間にとどまっていることから、この期間の処理状況は便宜的に2001年度と合算し、2000/01年度の13か月間に申し立てられた案件の処理状況を合算して計上してある。そして、以後の各年度は、当該年度の12か月間に申し立てられた案件の処理状況を計上した(したがって、調査終了が翌年度となった案件は、申立時点を基準として処理状況を計上している)。

さて、2021年度における札幌市オンブズマンの苦情処理の状況は、2年ぶりに100件の大台に回復している(112件)。これは、コロナ禍により低調化した市民の活動が、活発化しつつあることを示しているのかもしれない。

また、「苦情申立件数」に対する「結果通知処理件数」の割合(70.5%)は、3年連続で80%を割り込んでいる。2019年度に77.0%を記録するまでは、2005年度から2018年度にかけて80%台を維持していたが、札幌市オンブズマンが調査を実施することに後ろ向きな傾向は相変わらずである。

当ブログ開設者は、オンブズマンが調査を実施することで得られる知見は、市民にとっても有益であり、できる限りオンブズマンは調査を実施することが望ましいと考えている。現在の運用のあり方が適切か、検討すべきであると思われる。

(表1)
 
苦情申立
件数
結果通知
処理件数
結果通知
平均処理
日数
結果通知
処理日数
中央値
結果通知
30日以内
処理率
2000/01年度
177
120
43.69
29
52.5%
2002年度
111
88
31.14
28
65.9%
2003年度
113
83
30.07
30
54.2%
2004年度
93
74
30.78
28
63.5%
2005年度
103
88
24.78
26
83.0%
2006年度
115
92
25.32
25.5
92.4%
2007年度
111
90
24.40
23
88.9%
2008年度
117
108
32.45
28
73.1%
2009年度
133
109
36.62
32
44.0%
2010年度
130
109
34.79
32
49.5%
2011年度
125
111
38.94
37
32.4%
2012年度
135
110
29.16
28
71.8%
2013年度
122
104
29.84
28
68.3%
2014年度
129
107
33.45
30
51.4%
2015年度
130
109
33.05
31
47.7%
2016年度
100
88
35.36
31.5
45.5%
2017年度
82
67
35.76
33
38.8%
2018年度
77
66
*40.06
*37
15.2%
2019年度
122
94
38.84
37
23.4%
2020年度
90
60
34.50
34
38.3%
2021年度
112
79
43.71
42
16.5%
全期間
通算
2427
1956
*33.70
*30
54.1%
*を付したデータは、2018年度の案件のうち1件について推定値に基づくことを示している。

次に、年度別の平均処理日数をグラフ化したものが、以下の(グラフ1)である。この2年、平均処理日数が短縮化する傾向にあったが、2021年度は制度発足当初をも下回る処理日数を要している。ただし、時間をかけ丁寧に調査をする方針に転じたのであれば、調査に時間を要していることのみを問題視することは適切ではなく、今後も引き続き、処理日数の状況と調査そのもののクオリティを観察する必要があるだろう。

(グラフ1)

また、以下の(表2)は、制度発足以来の処理日数の度数分布を取りまとめたものである。10年ぶりに処理日数が90日を超える案件が生じた(2件)が、いずれも担当したのは、眠れるオンブズマン原俊彦である。眠っているうちに無駄に時間だけ過ぎていったのかもしれない。処理日数が60日を超えた案件(61日~90日)も2年ぶりに生じており(6件)、総じて処理が遅滞化している。

(表2)
   
20日
以内
 21日〜
30日
 31日〜
45日
46日〜
60日
61日〜
90日
91日
以上
30日
以内
処理率
30日
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
件数
処理率
2000/01
年度
20
16.7%
43
35.8%
26
21.7%
10
8.3%
9
7.5%
12
10.0%
52.5%
47.5%
2002
年度
20
22.7%
38
43.2%
17
19.3%
5
5.7%
7
8.0%
1
1.1%
65.9%
34.1%
2003
年度
13
15.7%
32
38.6%
33
39.8%
5
6.0%
0
0.0%
0
0.0%
54.2%
45.8%
2004
年度
7
9.5%
40
54.1%
21
28.4%
4
5.4%
2
2.7%
0
0.0%
63.5%
36.5%
2005
年度
20
22.7%
53
60.2%
15
17.0%
0
0.0%
0
0.0%
0
0.0%
83.0%
17.0%
2006
年度
21
22.8%
64
69.6%
5
5.4%
1
1.1%
0
0.0%
1
1.1%
92.4%
7.6%
2007
年度
21
23.3%
59
65.6%
7
7.8%
2
2.2%
1
1.1%
0
0.0%
88.9%
11.1%
2008
年度
7
6.5%
72
66.7%
15
13.9%
8
7.4%
4
3.7%
2
1.9%
73.1%
26.9%
2009
年度
7
6.4%
41
37.6%
34
31.2%
20
18.3%
7
6.4%
0
0.0%
44.0%
56.0%
2010
年度
14
12.8%
40
36.7%
35
32.1%
14
12.8%
5
4.6%
1
0.9%
49.5%
50.5%
2011
年度
6
5.4%
30
27.0%
51
45.9%
15
13.5%
8
7.2%
1
0.9%
32.4%
67.6%
2012
年度
20
18.2%
59
53.6%
20
18.2%
10
9.1%
1
0.9%
0
0.0%
71.8%
28.2%
2013
年度
8
7.7%
63
60.6%
28
26.9%
4
3.8%
1
1.0%
0
0.0%
68.3%
31.7%
2014
年度
1
0.9%
54
50.5%
39
36.4%
10
9.3%
3
2.8%
0
0.0%
51.4%
48.6%
2015
年度
8
7.3%
44
40.4%
45
41.3%
12
11.0%
0
0.0%
0
0.0%
47.7%
52.3%
2016
年度
0
0.0%
40
45.5%
33
37.5%
13
14.8%
2
2.3%
0
0.0%
45.5%
54.5%
2017
年度
0
0.0%
26
38.8%
31
46.3%
8
11.9%
2
3.0%
0
0.0%
38.8%
61.2%
2018
年度
0
0.0%
10
15.2%
40
60.6%
14
21.2%
2
3.0%
0
0.0%
15.2%
84.9%
2019
年度
3
3.2%
19
20.2%
46
48.9%
20
21.3%
6
6.4%
0
0.0%
23.4%
76.6%
2020
年度
1
1.7%
22
36.7%
30
50.0%
7
11.7%
0
0.0%
0
0.0%
38.3%
61.7%
2021
年度
1
1.3%
12
15.2%
36
45.6%
22
27.8%
6
7.6%
2
2.5%
16.5%
83.5%
全期間
通算
198
10.1%
861
44.0%
607
31.0%
204
10.4%
66
3.4%
20
1.0%
54.1%
45.9%

さらに、以下の(グラフ2)は、(表2)よりも度数分布を細かく区分し、度数分布の経年変化を示した。

(グラフ2)

2021年度の札幌市オンブズマンは、前年度よりも取り扱い件数を増やす一方で、苦情処理の平均処理日数は過去最長を記録した。

しかしながら、処理日数の長期化は、オンブズマンが困難な調査を実施したり、調査のクオリティを改善した場合にも生じる可能性がある。2022年度も引き続き、札幌市オンブズマンの苦情調査の内容のみならず、苦情の取扱件数及び処理日数にも注目していきたい。

※なお、オンブズマン別の処理日数の状況については、このエントリーで紹介する。