朝日新聞デジタルに、札幌市内で市が管理する普通河川に架けられた橋1660カ所のうち、約500カ所が無許可であることが分かった、という記事が掲載された(2018年4月14日付)。記事の中でも紹介されているが、市の河川管理課が無許可で架けられた橋について調査する契機となったのが、市民による札幌市オンブズマンへの苦情申し立てに基づく調査(第27−126号)及びオンブズマンが自己の発意に基づく調査である(第28−発1号)。
今回の朝日新聞の報道により、札幌市オンブズマンに興味を持たれた方への情報提供のため、公文書公開請求により取得した各調査の調査結果通知書をここに示し、若干のコメントを付すことにする。
①苦情等調査結果通知書(平成28年5月10日付・第27−126号)
この苦情は、札幌市が管理する普通河川に架橋しようとした市民が、市から許可を受けるとともに、占用料の支払いが必要である旨の説明を受けたことから、無許可で架橋している者との公平な取り扱いを求め、申し立てられたものである。
申立人の具体的な主張は、(ア)許可を受けて架橋しても無許可者同様に占用料を徴収しない、(イ)許可を受け占用料を支払うが、無許可架橋者からも架橋時点に遡って占用料を徴収することの確約、(ウ)無許可架橋の黙認、いずれかの対応を求めるものである。
これに対し、市は、(あ)当初の説明に加え、(い)無許可の橋が設置されている状況を是正していくこと、(う)占用料の納付義務は許可を受けてから発生するので、無許可の橋の設置者から過去に遡って占用料を徴収することはできない、と回答している。
以上をふまえ、オンブズマンは、市が申立人に対し、条例の取り扱いを説明し、理解を求めたことについて問題があったとはいえないが、無許可で橋を設置した者と不公平にならないよう、早期に状況が是正されるよう、適切な対応がなされることを期待する旨の判断を行った。
②苦情等調査結果通知書(平成29年3月24日付・第28−発1号)
この調査は、上記の苦情調査の後、オンブズマンが自己の発意に基づき、札幌市が管理する普通河川に設置された橋の管理の実態について、調査したものである。
この調査において、市は、(あ)無許可で設置された橋の全体数は把握しておらず、今後の調査により把握していく、(い)無許可の橋は、正規の手続きを経て占用料を納付している市民との公平性を保てないため是正していかなければならない、(う)今後のスケジュールとしては、平成28年度には河川巡視を実施し、平成29年度からデータとの照合、権利関係の調査及び治水上の安全性の把握に着手するとともに、平成30年度までに指導・是正に着手する予定である旨の回答を行っている。
これに対し、オンブズマンは判断において、(ア)今後の対応は是正へ向けてスピート感をもって取り組むこと、(イ)いつまでに是正を完了するか目標を立てて取り組むことを要請している。
以上のオンブズマンによる調査をふまえ、札幌市が管理する普通河川に無許可で架けられた橋について把握した実態が、今回、報道されたわけである。法令に則り適切な河川管理を行うという観点からは、札幌市の今回の取り組みは、評価されるべきである。
しかしながら、今般の札幌市の対応は、将来へ向けて改善をはかるものであるとはいえ、第27−126号の申立人が求める「公平な取り扱い」という観点からは、なお課題が残るといわざるを得ない。苦情等調査結果通知書第27−126号における市の回答にあるように、「占用料の納付義務は許可を受けてから発生するので、無許可の橋の設置者から過去に遡って占用料を徴収することはできない」ならば、現在、無許可で橋を架けている者は、過去分の占用料のみならず、今後も許可を受けるまでの期間、占用料の支払いを免れることになるからである。
こうした事態を看過できないとするならば、過去、無許可のまま普通河川に架けられた橋が放置された結果、占用料が徴収されず市に財産的な損害が発生したことは「財務会計上の怠る事実」であるとして、その是正を求める住民監査請求を行うということも、一つの対応となるかもしれない。
2018/04/15
2018/03/23
平成30年2月に調査を終了したケース
平成30年3月1日、平成30年2月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、平成30年3月15日に一部公開決定がなされた。
上記の期間(平成30年2月)に調査を終了した案件は全6件で、うち5件において調査結果が通知されている。また、残る1件は、申立人の取り下げにより調査が終了している。
①第29-62号
住宅地近隣でキツネが営巣・徘徊していることにつき、市に捕獲等の対応を求めたが応じられないと回答されたことをはじめとする、市の一連の対応はエキノコックス対策として十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
②第29‐64号
生活保護受給者が、社会福祉協議会から緊急援護資金の貸し付けを受けた場合に収入認定される旨の説明を受けたことを契機とする、市の一連の対応に納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
③第29‐65号
市の指定のごみ袋を購入する際に誤って多く購入したため、店舗に返金するよう求めたところ、市の通達により返金できないという説明を受けたことから、返金を認めない不合理な市の通達を改めることを求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
④第29‐70号
生活保護の受給者が入院する医療機関から、当該受給者が退院後に介護保険を利用するための手続きや転居するにあたっての敷金支給の可否についての判断に時間がかかる等、市の一連の対応について苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
⑤第29‐72号
オンブズマン調査の2件の結果通知書における市の回答内容に齟齬があるとして、市に回年以上答を求めたが適切な回答がなく、ようやく受けた口頭での回答も合理性を欠くとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑥第29‐75号
以前通っていた福祉事業所に対し、市が平成28年に4回ほど行った調査がどのようなものであったかの調査を求めて苦情が申し立てられたが、すでに市の調査から1年以上が経過しており調査対象外であることを説明したところ、苦情が取り下げられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
2018/03/16
オンブズマン再任(平成30年)
平成30年2月26日、以下の議案が札幌市議会に提出され、同日、議会の同意を得た。これにより、杉岡直人氏(大学教授)がオンブズマン2期目に再任され、平成30年3月1日以降、オンブズマン2期目2年目の岩田雅子氏(民事調停委員)、オンブズマン1期目2年目の房川樹芳氏(弁護士)の3名体制で、札幌市オンブズマンの職務が遂行されることになった。
2018/02/23
平成30年1月に調査を終了したケース
平成30年2月1日、平成30年1月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、平成30年2月14日に一部公開決定がなされた。
上記の期間(平成30年1月)に調査を終了した案件は全5件で、うち3件において調査結果が通知されている。また、残る2件は、苦情について調査しない旨が通知され調査が終了している。
①第29−61号
タクシー乗務員が、人通りが多い公園トイレについては、冬期間も閉鎖しないようしてほしいとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
②第29−63号
マンションの管理組合法人が、当該マンション内で旅館業を営む者がいることに関し、当該事業者が建築基準法や旅館業の許可条件に違反しているとして、営業停止又は営業許可の取り消しを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
③第29−67号
生活保護受給者が、平成23年に交付された指示(指導書)の撤回を求めて苦情を申し立てたところ、当該指示(指導書)の交付からすでに1年を経過しているとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:岩田雅子)
④第29−68号
生活保護受給者が、過去に担当ケースワーカーから「火災保険料を保護費として支給することはできない」という虚偽の説明を受けていたとして、過去の支給を受けられたはずの火災保険料相当額の支払い等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
⑤第29−69号
申立人の親族が高齢者虐待防止法及び老人福祉法に基づいて一時保護されたことに関し、審判手続や一時保護の期間が明示されることがないまま行われたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情」(札幌市オンブズマン条例16条2項)があるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:杉岡直人)
上記の期間(平成30年1月)に調査を終了した案件は全5件で、うち3件において調査結果が通知されている。また、残る2件は、苦情について調査しない旨が通知され調査が終了している。
①第29−61号
タクシー乗務員が、人通りが多い公園トイレについては、冬期間も閉鎖しないようしてほしいとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
②第29−63号
マンションの管理組合法人が、当該マンション内で旅館業を営む者がいることに関し、当該事業者が建築基準法や旅館業の許可条件に違反しているとして、営業停止又は営業許可の取り消しを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
③第29−67号
生活保護受給者が、平成23年に交付された指示(指導書)の撤回を求めて苦情を申し立てたところ、当該指示(指導書)の交付からすでに1年を経過しているとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:岩田雅子)
④第29−68号
生活保護受給者が、過去に担当ケースワーカーから「火災保険料を保護費として支給することはできない」という虚偽の説明を受けていたとして、過去の支給を受けられたはずの火災保険料相当額の支払い等を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
⑤第29−69号
申立人の親族が高齢者虐待防止法及び老人福祉法に基づいて一時保護されたことに関し、審判手続や一時保護の期間が明示されることがないまま行われたことに納得がいかないとして苦情が申し立てられたケース。「調査することが相当でない特別の事情」(札幌市オンブズマン条例16条2項)があるとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:杉岡直人)
2018/01/27
平成29年12月に調査を終了したケース
平成30年1月1日、平成29年12月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、平成30年1月15日に一部公開決定がなされた。
上記の期間(平成29年12月)に調査を終了した案件は全6件で、うち5件において調査結果が通知されている。また、残る1件は、苦情について調査しない旨が通知され調査が終了している。
①第29−55号
一般競争入札の対象である運搬業務において、市が積算した発注額は人件費や燃料費の高騰等の事情を考慮すると適正な価格とは思われないとして、発注額の増額を検討することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
②第29−57号
生活保護受給者が担当ケースワーカーからNHK受信料が免除になる旨の説明を受け免除申請書を担当ケースワーカーに提出したところ、後から免除申請書は受信契約書を兼ねたものであり、意に反してNHKと受信契約を締結することを余儀なくされたことから、今後は生活保護受給者が直接NHKと契約する方式をとるべきであるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
③第29−58号
申立人の父がデイサービス利用中に転倒したことに関し、市の担当課が当該施設に行った調査は「転倒した事実はない」という施設の主張を鵜呑みにするものであり、もっと厳しい姿勢で調査を行うべきであるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
④第29−59号
過去に国民健康保険の加入手続きについて相談した際、失業軽減の適用を受けた場合の保険料の額について説明を受けなかったために健康保険の任意継続の手続きをとったが、結果的に失業軽減の適用を受けた場合の保険料よりも高額の保険料負担を余儀なくされるとともに、当時の対応について問い合わせたことに対する市職員の対応もひどいものであったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑤第29−60号
会社の従業員が市税を滞納している件で市税事務所から連絡を受けた会社の担当者から、市税事務所職員の電話対応が一方的かつ横柄であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
⑥第29−66号
通所していた事業所でのトラブルを契機に北海道社会福祉協議会に設置された苦情窓口の北海道福祉サービス運営適正化委員会に苦情を申し出たが、事業所から送られてきた回答は事実に反することから、その職員が事業所の所長との話し合いの席に同席していた札幌市保健福祉局から事業所の対応について、踏み込んだ調査をしてほしいとして苦情が申し立てられたケース。北海道福祉サービス運営適正化委員会は札幌市の機関ではなく、札幌市保健福祉局が申立人と事業所の所長との話し合いに同席していたことが申立人の不利益や権利の侵害にも関係していないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:岩田雅子)
上記の期間(平成29年12月)に調査を終了した案件は全6件で、うち5件において調査結果が通知されている。また、残る1件は、苦情について調査しない旨が通知され調査が終了している。
①第29−55号
一般競争入札の対象である運搬業務において、市が積算した発注額は人件費や燃料費の高騰等の事情を考慮すると適正な価格とは思われないとして、発注額の増額を検討することを求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
②第29−57号
生活保護受給者が担当ケースワーカーからNHK受信料が免除になる旨の説明を受け免除申請書を担当ケースワーカーに提出したところ、後から免除申請書は受信契約書を兼ねたものであり、意に反してNHKと受信契約を締結することを余儀なくされたことから、今後は生活保護受給者が直接NHKと契約する方式をとるべきであるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
③第29−58号
申立人の父がデイサービス利用中に転倒したことに関し、市の担当課が当該施設に行った調査は「転倒した事実はない」という施設の主張を鵜呑みにするものであり、もっと厳しい姿勢で調査を行うべきであるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
④第29−59号
過去に国民健康保険の加入手続きについて相談した際、失業軽減の適用を受けた場合の保険料の額について説明を受けなかったために健康保険の任意継続の手続きをとったが、結果的に失業軽減の適用を受けた場合の保険料よりも高額の保険料負担を余儀なくされるとともに、当時の対応について問い合わせたことに対する市職員の対応もひどいものであったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑤第29−60号
会社の従業員が市税を滞納している件で市税事務所から連絡を受けた会社の担当者から、市税事務所職員の電話対応が一方的かつ横柄であるとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)
⑥第29−66号
通所していた事業所でのトラブルを契機に北海道社会福祉協議会に設置された苦情窓口の北海道福祉サービス運営適正化委員会に苦情を申し出たが、事業所から送られてきた回答は事実に反することから、その職員が事業所の所長との話し合いの席に同席していた札幌市保健福祉局から事業所の対応について、踏み込んだ調査をしてほしいとして苦情が申し立てられたケース。北海道福祉サービス運営適正化委員会は札幌市の機関ではなく、札幌市保健福祉局が申立人と事業所の所長との話し合いに同席していたことが申立人の不利益や権利の侵害にも関係していないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:岩田雅子)
登録:
投稿 (Atom)