2019/01/07

避難行動要支援者名簿に関するオンブズマン調査(第28−発2号)について(2019.1.7更新)

平成28年度に実施された札幌市オンブズマンの発意調査(第28−発2号)は、「避難行動要支援者名簿作成等の取組状況と課題について」と題するものであった(担当オンブズマン:杉岡直人)。

この「避難行動用支援者名簿」とは、「災害が発生し、又は災害が発生するおそれがある場合に自ら避難することが困難な者であつて、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するもの」の名簿であり、災害対策基本法に基づき、市町村が作成を義務付けられている(同法49条の10第1項)。また、災害支援等の実施に必要な限度で、避難支援者に対し提供されることになる(同法49条の11第2項)。

そして、上記オンブズマン調査における「市の回答」によると、平成27年12月から現在(具体的な年月日は不明)にいたるまで、22団体から名簿情報の提供依頼を受けている、ということであった。

ところが、本日(平成30年12月27日)の報道(毎日新聞)によると、要支援者名簿の提供依頼を受けながら、実際には提供されていない事例があったことが報道されている(以下の画像データを参照されたい)。


市の回答によると「22団体」から名簿情報の提供依頼を受けたとされる(ただし、いつの時点までの数かは不明)一方で、新聞報道によると「9団体」に謝罪したということであるが、これらの情報だけでは、名簿情報の提供の実態は不明のままである。オンブズマンによる追加調査が求められるであろう。

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以上が、平成30年(2018年)12月27日に公開した内容であるが、オンブズマンによる追加調査に期待するよりも、自分で問い合わせた方が早い!と思い直し、市の担当部局(保健福祉局総務課)に問い合わせたところ、以下の回答があった。

<各年度の名簿提供申請件数(新規)・名簿提供件数(新規)・更新名簿提供件数>

平成27年度:申請10団体、提供3団体
平成28年度:申請20団体、提供19団体
平成29年度:申請11団体、提供8団体 更新19団体
平成30年度:申請16団体、提供20団体 更新27団体
合計(平成30年12月31日時点):申請57団体、提供50団体

まず、申請数と提供数のギャップについては、名簿提供の申請がなされてから実際に名簿が提供されるまでの間、名簿掲載者から名簿提供の同意を取り付けるため、2~3か月かかるということである。そのため、申請年度の翌年度に名簿が提供されることもあり、同一年度の申請件数と提供件数が一致しないとしても、そのことが直ちに、提供の申請がありながら提供されなかった件数を意味するわけではない。

また、更新の件数については、前年度に提供された名簿から変更がない場合には翌年度に更新名簿が提供されない等の事情により、当該年度の前年度までに新規に名簿が提供された団体の総数と、当該年度の更新団体数にギャップが生じることがある。そのため、この場合にも件数のギャップが直ちに、提供されるべき更新名簿が提供されなかったことを意味するわけではない(なお、平成27年度に新規に提供された名簿は、平成28年1月1日のデータで作成されたものであるため、平成28年度に更新名簿が提供されていないということである)。

以上の次第で、こちらからの拙い問い合わせに対し、きわめて詳細かつ明快な回答を得ることができたい。担当の職員氏には、記して感謝したい。

なお、札幌市の要配慮者避難支援対策事業について、くわしくはこちらのサイトで確認されたい。

2018/12/25

平成30年11月に調査を終了したケース

平成30年12月1日、同年11月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、12月17日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(平成30年11月)に調査を終了した案件は全8件で、このうち6件で調査結果が通知されている。また、1件は申立人の取り下げ、1件は調査をしない旨が通知され、調査が終了している。

なお、今回公開を受けた公文書のうち、苦情等調査結果通知書・第30−46号(以下の⑤)は、非公開情報の取り扱いに疑義があるため、現在のところ掲載を保留している。疑義が解消しだい掲載の予定であるが、今のところ見通しはたっていない。悪しからずご諒解いただきたい(掲載ずみ)。

①第30−42号
 申立人が介護してきた母の所在がわからなくなったため市の担当課に問い合わせたが教えてもらえないことについて、事実関係を調査の上、対応を改めてほしいとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

②第30-43号
 生活保護を受給している申立人が、旧担当ケースワーカーが自身の個人情報を主治医に漏洩したことを契機として、旧担当ケースワーカーの姓だけではなく名も明らかにすること等を求めて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

③第30−44号
 生活保護を受給している申立人が、就労ボランティアへの参加強制をやめるよう求めて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

④第30−45号
 生活保護の受給を開始した申立人が、当初居住していたウィークリーマンションの滞在費が保護費として認められなかったことや、所持金が収入として認定されたこと等を不服として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

⑤第30−46号
 市立図書館の貸出券を紛失した申立人が、仮券を発行した後、再発行まで約1か月かかること等を不服として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑥第30−47号
 生活保護の受給者が、保護として実施されるはり・灸治療の回数が週1回とされていることを不服として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

⑦第30−49号
 市が管理する緑地帯にごみステーションが設置されていることにつき、市に解決を求めているものの未だ解決が図られていないとして、苦情が申し立てられたケース。申立人には直接の利害関係がないとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑧第30−50号
 特別児童手当の支給が遅れているとして、早期の支給を求めて苦情が申し立てられてケース。申立人が苦情を取り下げたことにより、調査は終了している。(担当オンブズマン:杉岡直人)

2018/11/24

平成30年10月に調査を終了したケース

平成30年11月1日、同年10月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、11月15日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(平成30年10月)に調査を終了した全4件で、調査結果が通知されている。

なお、今回、交付を受けた苦情等調査結果通知書のうち、最も興味深いのが第30-35号である(トンネルの坑口手前に設置された警報表示板の設置位置が不適切であるという苦情)。苦情の詳細はリンク先(又は以下の①)で確認していただくとして、市は、現在の警報表示板だけでは、利用者の安全確保に不十分であるとして、予告看板、坑口の信号ランプ及び補助警報表示板等の設置を検討・実施するということである。追加的な施設はぜひ、実際にそれらの視認性を確認した上で設置してもらいたいものである。

①第30−35号
 盤渓北ノ沢トンネルの坑口手前に設置された警報表示板の設置位置が不適切であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

②第30−39号
 公文書公開請求に対する決定通知書に同封されていた交付費用の納入通知書は、申立人の居住地に取扱機関が存在しないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

③第30−40号
 申立人が公文書公開請求を行ったところ、請求した文書(の一部)は作成しておらず保有していないとのことであったが、そうであるならば、「公開しないという事実を公文書で明らかにすべきである」として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

④第30−41号
 転居に伴い返金された敷金の収入認定の取扱いをはじめとして、保護課の職員による支援が不十分であるとして、生活保護の受給者から苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

2018/10/19

平成30年9月に調査を終了したケース

平成30年10月1日、同年9月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、10月12日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(平成30年9月)に調査を終了した全4件で、調査結果が通知されている。

なお、今回、交付を受けた苦情等調査結果通知書のうち、興味深いのが第30-34号である。この案件は、インターネットからの公文書公開請求に関するものであるが、札幌市行政情報課はこの苦情をふまえ、公文書公開請求の入力フォームの注意書きを強調するとともに、請求の記載事項にメールアドレスを追加する改善を図った模様である。

①第30−33号
 市営住宅の居住者が、他の居住者による喫煙状態が改善されるよう対応を求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

②第30−34号
 インターネットからの公文書公開請求について、請求を受理した旨の返信メールが送られてくるように改善を求め、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

③第30−37号
 市営住宅の居住者が、他の居住者から迷惑行為を受けているとして、改善を求めて苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

④第30−38号
 マンションの管理組合は「消費者」に該当しないとして、消費者センターが十分な相談対応を行わないこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

2018/10/01

平成30年8月に調査を終了したケース

平成30年9月1日、同年8月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、9月25日に一部公開決定がなされた。

上記の期間(平成30年8月)に調査を終了した案件は全10件で、このうち9件で、調査結果が通知されている。また、1件は申立人の取り下げにより、調査が終了している。

なお、今回の一部公開決定は、平成30年9月6日未明に発生した地震への対応のため、かつ、対象公文書に個人に関する情報等の非公開情報が多く含まれているため、短期間に公開・非公開等の検討及び判断が困難であるとして、公開決定期間が9月26日まで延長されている。

さて、今回交付を受けた苦情等調査結果通知書のうち、第30-29号の苦情等調査結果通知書が、特に興味深い。それというのも、この案件では、道路の無電柱化事業に伴う夜間の道路工事の騒音が苦情の原因となったところ、苦情等調査結果通知書における市の回答において、道路の無電柱化事業とはいかなる事業であるかについて、丁寧な説明を行っているからである。ご関心の向きはぜひ、その部分をご一読いただきたい(札幌市のインターネットサイトにおける同事業の説明も、あわせて参照されたい)。

①第30−18号
 生活保護の受給者が、交付された文書の交付方法や内容、担当ケースワーカーの家庭訪問時の対応等、市職員の一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

②第30−23号
 平成29年9月に児童扶養手当の支給を申請したところ、平成30年1月分から支給されることになったが、平成29年10月から12月分が不支給とされたことに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

③第30−26号
 新年度から改定となった市営住宅の賃料について疑問があり、7月以降、適正な金額に訂正されたが、4月から6月分については訂正されないままであることに納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

④第30−27号
 歩道と建物の間の段差につまづいて負傷・転倒したことから、市には段差を解消する等の改善策を取って欲しいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑤第30−28号
 国民健康保険料を滞納したところ、分割納付約束の期限前の保険料額についてまで差し押さえされたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑥第30−29号
 夜間の道路工事が原因で体調不良が生じそうだとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

⑦第30−30号
 当初受けていた介護保険の要支援認定の期限が平成32年3月末であったところ、区分認定の変更を申請し認定を受けたところ、その期限が平成31年4月末となった。そこで、こうした(期限が短くなる)取扱いの根拠について職員に尋ねたところ、適切な回答を得られなかったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)

⑧第30−31号
 消防署が防火査察を実施する基準が不明瞭であるとともに、消防訓練の実施を依頼した際の職員の対応が不躾なものであったとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)

⑨第30−32号
 市税を滞納した場合、市がそれ以後どのような対応をとるか問い合わせたにもかかわらず適切な説明が得られず、自らの分割納付の希望についても聞いてもらえない等の苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑩第30−36号
 家の前の道路とマンホールの間の段差について土木センターに相談しても取り合ってもらえないという苦情について、申立人の取り下げにより調査が終了したケース。(担当オンブズマン:岩田雅子)