上記の期間(2022年2月)に調査を終了したのは7件で、このうち5件で調査結果が通知されている。また、残る2件のうち1件は調査をしない旨が通知され、1件は申立人の取り下げによる調査中止により、調査が終了している。
さて、当ブログ開設者は、長引くコロナ禍の影響なのか、札幌市職員の士気が全体的に低下傾向にあるという印象を抱いている(今回公開分では、第2021-84号における提出書類の記載内容の見落としや、第2021-89号における情報の保存年限に関する説明の誤りがその典型例)。ただし、これはあくまで、当ブログ開設者の印象論である。
さて、当ブログ開設者は、長引くコロナ禍の影響なのか、札幌市職員の士気が全体的に低下傾向にあるという印象を抱いている(今回公開分では、第2021-84号における提出書類の記載内容の見落としや、第2021-89号における情報の保存年限に関する説明の誤りがその典型例)。ただし、これはあくまで、当ブログ開設者の印象論である。
そんな中、市の回答において、新型コロナ感染症対策として業務を縮小した旨、言及する事例が現れた。国保料を延滞した市民が申し立てた、第2021-89号の案件がそれである。すなわち、この案件の市の回答では、新型コロナ対策として、感染拡大防止及び保健所応援業務のため、滞納整理業務を縮小した旨の説明がなされている。こうした事情は、職員の士気に大きく影響するであろう。
ところで、この案件の申立人は、「滞納した国保料は、新たな就職先で健保の保険料と合算して賃金から控除されていると誤解した」旨の主張をしている。そもそも、申立人のこうした誤解がなければ、国保料の滞納を解消すべく分割納付が継続されていたと思われるものの、この点はさておき、滞納整理業務の縮小がなければ、適時に納付督促を受けた申立人が国保料の滞納を早期に解消し、その結果として、延滞金が発生しない、あるいはより少額で済んだ可能性があると思われる。
また、申立人は郵送で国保の脱退手続きを行っているが、直接窓口を訪れていれば、①国保の被保険者資格を喪失しても、滞納している保険料の納付義務は引き続き残ること、②滞納している国保料の納付方法はこれまで同様であること、③国保料を滞納していると延滞金が発生する(場合がある)こと等の説明を受けていた可能性がある(窓口職員を過大評価しているであろうか?)。そして、こうした説明を受けていれば、申立人が上記のような「誤解」をすることは避けられたのであり、当ブログ開設者は、郵送で国保の脱退手続きした場合の市の対応には、なお工夫の余地があると考えている(申立人に対しては、「資格喪失についての文書」が送付された模様であるが、文書の記載内容の詳細は不明)。
以上の次第で、この案件の申立人は、新型コロナの感染拡大という「不運」に直面するとともに、市の対応にも工夫の余地があるのではないか、という2点について、この事例に特有の事情があったと思われる。しかしながら、調査担当のオンブズマンによる判断は、指摘内容に具体性を欠き、抽象論に傾いたきらいがある。これもまた、新型コロナ感染拡大による(オンブズマン自身の)士気低下の影響なのかもしれない。
このほか、第2021-91号では、オンブズマンが「専門的知見」を欠くことを理由として、「調査することが相当でない特別の事情がある」として調査しない旨が通知されている。しかしながら、当ブログ開設者は、あくまで一般論としてではあるが、こうした理由により調査しないという結論を導くことには疑問を抱いている。
ただし、この案件では、申立人がすでに市から受けた説明内容を確認した上で上記の結論を導いている。そのため、こうした具体的事情の下にあっては、同じオンブズマンが担当した第2021-72号にくらべると、結論が正当化される余地はあるかもしれない。
【追記】(2022.3.28)
第2021-89号の不明点を解消すべく、市の保健福祉局保健医療部保険企画課に問い合わせたところ、以下の趣旨の回答を得たので追記する(趣旨を明確にするため、適宜、当ブログ開設者が補足・修正している)。
①郵送で国保の脱退手続きをとった申立人に送付した「資格喪失についての文書」には、「国保の資格を喪失しても、滞納保険料がある場合には、引き続き当該保険料の納付義務は残る」といった説明の記載はなされていない。今後、今回の苦情が申し立てられた区では、同文書に「加入期間中の保険料についてご不明な点はお問い合わせください。」という文言を新たに付け加える。
②区役所窓口で国民健康保険の脱退手続きを行った場合、滞納保険料の有無を確認し、一括での納付が困難なときは、納付相談の窓口に引き継ぐことにしている。
③令和2年12月22日付けの通知では、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う保健所等への応援業務のため、各区の裁量で催告業務を休止できることとしている。したがって、通常の状況であれば、納付催告書をより早期に発送していた。
以上の次第で、国保の脱退手続きを郵送で行うのと窓口で行う場合では対応に差があり(①②)、新型コロナの感染拡大がなければ、より早期に納付催告書を送付していた(③)、ということである。やはり、申立人には「不運」な側面があったわけである。
なお、「資格喪失についての文書」に付け加える説明は、申立人のような「誤解」を避けるには必ずしも十分ではないと思われるものの、詳しい説明はかえって読む者の理解を妨げることもある。今後、必要に応じて、適宜、改善を図ることを期待したい。
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①第2021-82号
事業から発生する生ごみを清掃工場に搬入する際、ダンプ式の軽トラックをダンプさせず(ここでいう「ダンプ」とは荷台を傾けるという趣旨だと思われる)、手でごみを投入するという取り扱いについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
②第2021-84号
特別障害者手当の返還を求められたが、当初の返還額から返還額が減額されるならば初めから減額後の金額の返還を求めるべきであるし、支給開始から2年間は何も連絡がなかったのに今になって返還を求めることにも納得がいかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
まとまった降雪直後ではなく、しばらく時間がたってから不要を除雪を行ったために自宅前に雪塊が山積みになったとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
滞納している国民健康保険の保険料を一括で納付するように納付催告書が届いたが、①就職により国保を脱退した際に滞納分の保険料の取扱いについての説明がなかったこと(申立人は健保の保険料と合算して賃金から控除されると誤認していた)、②納付催告書が送付されるまで滞納についての知らせがなかったこと、③市が取得した申立人の財産データが削除されないこと、④保険料の延滞金についての説明がなかったことについて、苦情が申し立てられたケース。なお、この苦情は、第2021-88号の申立てが取り下げられた後、改めて申し立てられた案件と思われる。(担当オンブズマン:田村智幸)
⑤第2021-90号
市が道路の拡幅を検討するに際し、地域住民の意向を無視したまま計画が進められているとして苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)
申立人の娘が救急搬送を依頼した際の搬送先病院の選定に疑問があるとして、苦情が申し立てられたケース(娘は搬送先で受診した当日に帰宅したが、その翌々日に死亡した模様)。医療機関選定の適否判断には高度の専門的知見を要するとして、「調査することが相当でない特別の事情があるとき」に該当するとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:田村智幸)