2020/09/10

2020年7月に調査を終了したケース

2020年8月1日、同年7月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、同年9月4日に一部公開決定がなされた(通常、公文書公開請求がなされた場合、請求の翌日から起算して14日以内に決定がなされるところ、今回は決定期間が延長された)。

上記の期間(2020年7月)に調査を終了したのは7件で、このうち4件で調査結果が通知されている。また、残る3件のうち、2件は申し立ての取り下げ、1件は調査しない旨が通知され、調査が終了している。

今回紹介する案件のうち、第2020-20号は、当ブログ開設者が苦情を申し立てた案件である。申し立てに際し、担当の原俊彦オンブズマンと面談したが、原俊彦オンブズマンは当ブログ開設者に対し声を荒らげたり、苦情申立人全般を蔑視する発言を行うなど、実に興味深い体験であった(なお、原俊彦オンブズマンからは、当ブログ開設者が「普通の人ではない」というお墨付きも頂戴した。実にありがたいことである)。

さて、第2020-16号は、そんな原俊彦オンブズマンが担当した案件である。建築基準法が定める指定道路(同法42条1項5号)内の支障物を巡っての市の対応について、苦情が申し立てられたが、オンブズマンは、一知半解の判断を行ったという印象である。

たとえば、①建築基準法44条に違反し指定道路内に「建築物又は敷地を造成するための擁壁」が建築・築造された場合における市の対応と、②同法44条が規定する以外の支障物が指定道路内に存在する場合の市の対応について、その異同の整理が不十分であるように思われる。

また、「既存不適格建築物」への特定行政庁による権限行使の事例が判断で引き合いに出されているが、このケースは、当初は適法だった建築物が後発的な法改正等の事情により不適合になったという「既存不適格建築物」の事例ではなく、指定道路内に支障物を構築するという端から違法な事例なのではないか。

さらに、指定道路が「指定当時の形態を保つ責任」や(路面を砕石から舗装に変更することは「形態の変更」に該当することが前提となるが、このような変更も許されないのであろうか?)、「法45条に基づく是正指導」といった言い回し(法違反に対する是正指導ならば、法44条が根拠となるのではないか?)が典型だが、使われている用語にも適切さを欠くきらいがある。

当ブログ開設者としては、よく、この内容で結果通知書を出せるものだと、大いに驚かざるを得ない。今後は、原俊彦オンブズマンが経験を重ねることにより、判断のクオリティが向上することを望むとともに、調査の対象部局には、オンブズマンにも理解できるような、適切な制度説明の実施を期待したい。

(追記)
 第2020-13号及び第2020-14号のオンブズマン判断には、いずれも「札幌市は、全国で第4位の人口を有する大都市」という記述がある。しかしながら、都市の人口を多い方から順に並べた場合、東京(区部)、横浜、大阪、名古屋、札幌の順で、札幌は第5位なのではないだろうか・・・。

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①第2020-13号
 特別定額給付金の振込に時間がかかっていること等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)

②第2020-14号
 特別定額給付金の振込に時間がかかっていること等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
③第2020-16号
 建築基準法が定める指定道路上に建築物が建築されたり、駐車場が設置されているという違法状態が是正されるよう市に対応を求めているにもかかわらず、十分な対応がなされていれないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:原俊彦)

④第2020-17号
 住民税をインターネットからクレジットカードで納付する際に決済手数料がかかることが納得いかないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン::原俊彦)

⑤第2020-19号
 特別定額給付金をオンライン申請してから1か月経過しても未だ入金がなされないとして、苦情が申し立てられたケース。申立人の取り下げにより、調査は終了した。(担当オンブズマン:房川樹芳)

⑥第2020-20号
 公文書公開決定等に対する審査請求を行った場合において、審査請求手続きの教示が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が受けた具体的な不利益が確認できないとして、調査しない旨が通知された。(担当オンブズマン:原俊彦)

⑦第2020-27号
 生活保護受給者から、担当のケースワーカーや係長の対応がひどいとして、苦情が申し立てられたケース。申し立ての取り下げにより、調査は終了した。(担当オンブズマン:原俊彦)