2020年3月2日、同年2月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、2020年3月16日に一部公開決定がなされた。
上記の期間(2020年2月)に調査を終了したのは11件で、このうち9件で調査結果が通知されている。また、2件は調査をしない旨が通知され、調査が終了している。
このうち、第2019-91号は、住民税の還付等に関し、申立人が”市”に苦情を申し立てたケースである。ただし、申立人と市の双方は、住民税を源泉徴収する”給与支払者”の過誤により側杖を食らった被害者であり、被害者である申立人が、被害者である市に対し苦情を申し立てたという点で、特異な案件である。このほか、給与支払者が、源泉徴収した住民税をどのように納付しているかが垣間える点も興味深い(ただし、制度に関する一般的な説明が不足しており、源泉徴収における当事者の関係が十分に可視化されていない点が惜しまれる)。
ところで、この案件でオンブズマンは、判断の末文において、「今後はこのようなことが発生しないことをオンブズマンは望みます。」と述べている。しかしながら、この言葉はいったい誰に向けたものなのであろうか。すなわち、苦情等調査結果通知書の名宛人は、申立人と市の双方であるが、この双方は、給与支払者の過誤の被害者である。被害者としては、「このようなことが発生しないこと」を望まれても、踏んだり蹴ったりであろう。また、苦情等調査結果通知書の名宛人ではない、給与支払者へ向けたメッセージとも考えにくいところである。
そうすると、おそらくオンブズマンは、給与支払者による住民税の源泉徴収に関連する諸手続きが適切になされるよう、市が給与支払者に対し指導をする等、できる範囲での適切な対応を望む、と言いたかったのではないかと推測するが、神ならぬ身の当ブログ開設者は、その真偽を確認する術を持たないのが残念である。
なお、この案件は、調査を担当した杉岡直人オンブズマンにとって、おそらく4年の任期の最後を飾る苦情調査であると思われる。後任のオンブズマンには、冗長かつ鈍らな判断ではなく、簡素・簡潔でありながら勘所をおさえた判断を期待したい。
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①第2019−78号
申立人の子が施設に入所するに際しての市職員の一連の対応及び生活保護を受給する申立人とは世帯を分離する子に対する問い合わせ等の市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
生活保護を受給する申立人の自宅に担当ケースワーカーが訪問した際の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
③第2019−80号
生活保護の受給者から、これまで通り車の使用を認めてほしいとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
④第2019−81号
生活保護を受給している家族とは世帯分離している申立人から、保護課の担当者から訪問を受けたことについて、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑤第2019−84号
申立人の子について児童相談所から支援を受けていたことに関し、病院受診の希望がかなえられなかったり、支援が一方的に打ち切られたりするなどの一連の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑥第2019−86号
障害福祉サービス受給者証の更新に時間がかかりすぎるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
⑦第2019−87号
申立人の子の国民健康保険証が届かなかったこと等について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
⑧第2019−91号
住民税税額変更通知書が来ないまま、2019年4月の給与で住民税が多額に還付されたことについて、そのことに関する市の説明に納得ができないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
⑨第2019−92号
生活保護を受給する申立人から、療養中の妻に対し求職活動を行うよう指示する指示書が交付されたことを等を不服として、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑩第2019−94号
生活保護の担当ケースワーカーが自宅を訪問した際の対応について、苦情が申し立てられたケース。すでに同内容の苦情について調査を終了しているとして、調査をしない旨が通知されている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
⑪第2019−96号
生活保護の受給者から、市のこれまでの対応について苦情が申し立てられたケース。申し立ての原因となった事実のあった日から1年以上が経過しているとして、調査しない旨が通知されている。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)