2019年10月1日、同年9月に札幌市オンブズマンによる調査が終了した案件の調査結果等について公文書公開請求を行ったところ、10月15日に一部公開決定がなされた。
上記の期間(2019年9月)に調査を終了したのは6件で、このうち5件で調査結果が通知されている。また、残る1件は申立人による苦情申し立ての取り下げにより、調査が終了している。
ところで、今回公開を受けた案件のうち、第2019−47号は、市営住宅に居住する申立人が、当該住宅の管理人の対応について、苦情を申し立てた案件である。この案件は、一部公開決定通知書において、「苦情等調査結果通知書」の「①申立人の居住地がわかる部分」及び 「②区の名称」が「非公開部分」として記載されているところ、交付を受けた「苦情等調査結果通知書」の「写し」では、従前、市営住宅の指定管理者であった事業者名、新たに指定管理者となった事業者名及び新たな事業者が指定管理者となった時期等が非公開とされていた。
申立人は、指定管理者である事業者に居住しているわけでなければ、指定管理者が変更となった時期に居住しているわけでもなく、いったいどのような理由により、これらの部分が非公開部分に該当するのか、その対応関係は不明である(指定管理者名と変更となった時期がわかれば「居住地がわかる」という趣旨であろうか)。
また、2019年6月20日に調査を終了した第2019-9号は、この案件と同様に、市営住宅の居住者が苦情を申し立てた案件であるところ、「申立人の居住地がわかる部分」が「非公開部分」とされているにもかかわらず、平成30年4月から市営住宅の指定管理者が交代したこと及びそれ以前の指定管理者が札幌市住宅管理公社であったことが記載されている部分は、非公開とはされていなかった(なお、第2019−9号においても、新たに指定管理者となった事業者名については非公開とされているが、webで検索したところ、豊平区、清田区、南区及び厚別区の市営住宅の指定管理者は、平成30年3月31日までが札幌市住宅管理公社であり(くわしくは1、2を参照されたい)、平成30年4月1日からは株式会社東急コミュニティーとなっている(くわしくは3、4を参照されたい)ことが判明した)。
以上の次第で、この案件における「非公開部分」の取扱いは、従前、市営住宅の指定管理者であった事業者名及び指定管理者が交代した時期が「申立人の居住地がわかる部分」といえるのかという点、さらに、従前、市営住宅の指定管理者であった事業者名及び指定管理者が交代した時期を非公開とする取扱いが、過去に交付を受けた案件と異なるという点について、疑問を抱かざるをえない。
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①第2019−38号
生活保護を受給している申立人が、転居するならば自費で転居するようにいわれたとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
(全文参照)
②第2019−42号
国民健康保険の被保険者証が届かなかったこと及びその後の市職員の対応について、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
(全文参照)
③第2019−45号
自宅付近の階段においてカラスへの注意を喚起するための市の対応が不十分であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
(全文参照)
④第2019−46号
市立図書館において、図書の延滞者への対応が不十分であるとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:杉岡直人)
(全文参照)
⑤第2019−47号
市営住宅に居住する申立人が、当該住宅の管理人の対応が十分ではないとして、苦情が申し立てられたケース。(担当オンブズマン:房川樹芳)
なお、本件苦情にかかる市営住宅において、施設管理の指定管理者となっている株式会社東急コミュニティーが開設するインターネットサイト(ここ)及び一般財団法人札幌市住宅管理公社のインターネットサイト(ここ)も参照されたい。
(全文参照)
⑥第2019−49号
生活保護受給者が、転居を希望しているにもかかわらずそのための費用が支給されないとして、苦情が申し立てられたケース。申立人が苦情を取り下げたことで、調査は終了している。(担当オンブズマン:八木橋眞規子)
(全文参照)